住宅手当と家賃補助は会社が従業員の住居費を支援する福利厚生
住宅手当とは、会社が従業員の家賃や住宅ローンなど、住宅にかかる費用を補助するために支給する手当です。法律で会社に導入が義務付けられている制度ではなく、会社が独自に設ける法定外福利厚生にあたります。
家賃補助も、従業員の住居費の一部を会社が負担する制度です。住宅手当と同じ法定外福利厚生に分類されます。一般的には、賃貸住宅に住む従業員が負担する家賃の一部をサポートする目的で支給される手当をさすことが多いようです。
関連記事:【税理士監修】住宅補助と住宅手当の違いとは?家賃補助・社宅との違いや導入時のポイントを解説
住宅手当と家賃補助は法律上の明確な区別がない
住宅手当と家賃補助は、どちらも住居にかかる費用を支援する目的で導入される制度の名称です。法律で定められている福利厚生ではないため、同じ名称でも会社ごとに内容は異なる可能性があります。
名称ではなく、自社がどのような目的で、誰に、いくら支給する制度なのかを明確にしておくことが重要です。
住宅手当・家賃補助と社宅は支給方法が異なる
住宅手当や家賃補助を支給するときには、給与に上乗せするといった形で、住宅にかかる費用の一部を現金で支給するのが一般的です。
同じように住居にかかる費用をサポートする制度である社宅では、会社が住宅を借りたり所有したりして従業員に貸与します。
現金で支給する住宅手当は原則として給与課税の対象ですが、社宅は従業員から一定の条件を満たす賃料を受け取ることで、給与として課税されない場合があります。
関連記事:福利厚生の社宅とは?導入メリットや税務ルール、住宅手当との違いを解説
住宅手当・家賃補助を導入する会社が押さえたい支給額の目安
住宅手当や家賃補助の支給額を決めるときには、平均支給額を押さえておくとよいでしょう。ここでは厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」をもとに、会社の規模別に住宅手当の平均支給額を紹介します。
関連記事:【社労士監修】住宅手当の相場はどのくらい?業種やエリアごとにチェック
住宅手当は1カ月につき1人平均1万8,700円
厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」によると、住宅手当の1人あたりの平均支給額は1万8,700円でした。規模別の支給額についても見ていきましょう。
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会社の規模
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住宅手当の1人あたり1カ月平均支給額
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1,000人以上
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2万1,100円
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300~999人
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1万8,500円
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100~299人
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1万6,400円
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30~99人
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1万7,500円
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全体平均
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1万8,700円
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会社の規模別に見ると、従業員数が多いほど住宅手当が充実している傾向が見られますが、100~299人と30~99人では30~99人の方が平均支給額が高くなっています。
また住宅手当を支給している会社は、45.7%と半数ほどです。支給している割合も、会社の規模が大きいほど高くなる傾向があります。
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会社の規模
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住宅手当を支給している割合
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1,000人以上
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60.8%
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300~999人
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59.0%
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100~299人
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52.1%
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30~99人
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41.6%
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全体平均
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45.7%
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参考:厚生労働省|令和7年就労条件総合調査
支給額は一律にせず自社の目的と負担を踏まえて決める
住宅手当の金額に法律で定められている決まりはありません。たとえば月額1万円・2万円などの定額制や、家賃の一定割合を上限額まで補助する方法などが考えられます。支給額を決める際は、次のような点を整理しておきましょう。
- 制度に充てられる年間予算
- 対象となる従業員数
- 賃貸・持ち家などの対象範囲
- 勤務地からの距離などの条件
- 採用・定着において解決したい課題
このとき対象となる従業員の範囲が、同一労働同一賃金のガイドラインに反しないよう注意しましょう。住宅手当については、正社員とパート・有期雇用労働者との間で待遇差を設ける場合は、職務内容や配置変更の範囲などを踏まえて、その差が不合理ではないか確認する必要があります。
2026年10月から適用される改正されたガイドラインの詳細は、関連記事をご覧ください。
関連記事:同一労働同一賃金ガイドラインとは?2026年改正のポイントをわかりやすく解説
住宅手当・家賃補助を会社が導入するメリット
住宅手当や家賃補助は、従業員の住居費負担を軽減する制度です。会社にとっても、採用や定着などの面でメリットが期待できます。ここでは、具体的なメリットを見ていきましょう。
従業員の満足度向上につながる
従業員の住居にかかる負担を軽減する住宅手当や家賃補助は、従業員満足度向上につながる要素の1つです。給与として支給される金額が増えるため、従業員にメリットが伝わりやすい制度でもあります。
関連記事:【2025年】従業員満足度が高い企業ランキング6選!取り組み事例も紹介
採用時のアピール材料になる
住宅手当や家賃補助は、求人票などで内容を具体的に伝えやすい制度です。求人票に「住宅手当あり」と記載するだけでも、就活生や求職者が福利厚生をイメージできます。
入社後の待遇をより具体的に伝えるには、住宅手当や家賃補助について、対象者・支給条件・金額なども記載するとよいでしょう。
従業員の定着につながる可能性がある
住居にかかる費用の負担が軽減される職場であれば「長く働き続けたい」と考える従業員が増える可能性があります。
そもそも「転職したい」と考える従業員が減る可能性がありますし、転職を検討した場合にも他の会社と比べて待遇が良ければ留まる可能性が高まるでしょう。
住宅手当・家賃補助を導入するときの注意点
住宅手当は従業員に喜ばれやすい一方、会社側には継続的な費用負担や制度管理の手間が発生します。継続的に支給できる制度にするために、注意が必要なポイントを見ていきましょう。
支給条件を明確にする
自社の福利厚生として住宅手当や家賃補助を導入するときには、支給条件をはっきりさせる必要があります。目的を達成できる制度設計になるよう、条件を定めましょう。
住宅手当や家賃補助は会社が独自に定める法定外福利厚生のため、対象者の条件を雇用形態・住居形態・世帯主かどうか・勤務地からの距離など、自由に設定できます。
ただし複雑すぎる条件は、従業員が理解しにくく、運用の手間にもつながるため、可能な限りシンプルな内容にするとよいでしょう。
制度について従業員に周知する
住宅手当や家賃補助を導入・運用するときには、支給対象・金額・申請方法・支給開始・終了の条件などを規程に明記しておくことも必要です。
たとえば、結婚・転居・持ち家の取得・異動などによって対象条件が変わる場合、いつから支給額を変更するのかまで決めておくと、運用上のトラブルを防ぎやすくなります。
会社側の費用負担を確認する
住宅手当は一度導入すると、継続的に費用負担が発生します。支給期間が長期化することや、対象者が増えることもあるため、想定以上の費用になる可能性もあるでしょう。
導入時点の対象者をもとに算出した費用のみで判断するのではなく、年間予算・対象者数の変動・昇給や採用による人員増加なども考慮する必要があります。
制度の廃止や減額時の注意点
いったん導入した住宅手当や家賃補助を廃止・減額する場合には、労働条件の不利益変更に該当する可能性があります。制度の見直しを行う際は、就業規則や賃金規程・労働契約との関係を確認しましょう。
住宅手当・家賃補助は課税される?
住宅手当や家賃補助を導入するときには、税務上の扱いについても確認しましょう。現金で支給する住宅手当や家賃補助は、従業員に支給すると所得税の課税対象になるのが一般的です。
同じ住居に関する福利厚生でも、会社が住宅を貸与する社宅とは扱いが異なります。まずは住宅手当・家賃補助と社宅の違いをチェックしましょう。
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項目
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住宅手当・家賃補助
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社宅
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支給方法
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現金支給が一般的
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会社が用意した住居を従業員に貸し出す
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従業員の所得税
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原則として課税
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一定の要件を満たすと課税されない場合がある
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会社の運用
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支給条件や支給額に関する管理が中心で負担を低く抑えやすい
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物件の契約や管理などの手間がかかる
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住居の自由度
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従業員が自由に選びやすい
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会社が契約する物件に限定されることがある
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違いを確認すると、住宅手当や家賃補助は原則として所得税の課税対象となることがわかります。
自由度を重視するなら住宅手当や家賃補助が向いている
従業員が自分の希望する場所や物件に住めることを重視するなら、手当を現金で支給する住宅手当や家賃補助が向いています。制度として導入したときに支給条件を満たしている従業員には、今の住居に住み続けながら手当を支給することも可能です。
非課税で支給するなら社宅が向いている
従業員の住居に関する福利厚生を所得税非課税で運用するなら、社宅の導入が向いています。従業員から賃料相当額の50%以上を徴収している場合には、社宅を提供しても所得税がかかりません。
賃料相当額については、以下の合計額で算出します。
- (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)× 0.2%
- 12円 ×(建物の総床面積㎡ ÷ 3.3㎡)
- (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)× 0.22%
ただしこの要件を満たせない場合には、住宅手当や家賃補助と同様に、所得税の課税対象となります。従業員の可処分所得をできるだけ増やすために所得税非課税で支給したいと考えている場合には、確実に要件を満たせるよう確認しなければいけません。
固定資産税の課税標準額や床面積などを用いた計算が必要となるため、税理士などの専門家に確認しながら制度設計すると安心です。
関連記事:【税理士監修】借り上げ社宅と家賃補助の違い|税負担・運用コスト・注意点を解説
参考:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
住宅手当・家賃補助は福利厚生費として扱える?
住宅手当や家賃補助は、会社が法定外福利厚生として導入できる制度です。ただし従業員に現金で支給する場合、税務上は原則として給与として扱われます。所得税の課税対象ですし、事業主負担も含めて社会保険料の算定にも影響する点に注意しましょう。
福利厚生制度として導入することと、「福利厚生費」として処理できるという税務上の扱いは分けて考えなければいけません。
福利厚生だから「税金がかからない」「福利厚生費として処理できる」とは限らないため、制度を設計する際は、税務上の扱いまで確認しておきましょう。
給与として支給しても会社側では損金算入できる
住宅手当や家賃補助を税務上の給与として扱う場合でも、会社の経費にならないわけではありません。法人税の計算上、一定の要件を満たす給与は損金に算入できます。
福利厚生費として処理できないから会社の税務上の負担が大きくなる、というわけではない点を押さえておきましょう。
住宅手当・家賃補助の導入時は目的と運用負担を整理する
住宅手当や家賃補助は、従業員の住居費負担を軽減します。人材採用や人材定着にプラスに働く福利厚生の1つです。一方で、支給対象者が増えれば会社の費用負担も増えるため、導入前に制度の目的と予算を明確にする必要があります。具体的には、以下の手順で進めていくとよいでしょう。
- 住宅手当・家賃補助・社宅で解決したい課題を決める
- 対象者と支給条件を決める
- 支給額と年間予算を試算する
- 住宅手当・家賃補助・社宅のどれが目的に合うか比較する
- 就業規則・賃金規程や税務上の扱いを確認する
- 従業員への周知方法と、申請・変更の手続きを決める
また福利厚生は住宅に関するものだけではありません。日常的に利用できる福利厚生には、他にも食事補助といった制度もあります。複数の選択肢の中から、自社の課題を解決し、従業員が「使いたい」と感じる福利厚生を導入するとよいでしょう。
住宅手当・家賃補助に関するよくある質問
住宅手当や家賃補助に関する質問への回答も見ていきましょう。
住宅手当と家賃補助は同じですか?
法律上の明確な定義による違いはありません。会社によって名称や対象条件が異なり「住宅手当は持ち家も対象」「家賃補助は賃貸のみ」といった使い分けをするケースがあります。
住宅手当はいくら支給すればよいですか?
法律上の一律の基準はありません。「令和7年就労条件総合調査」によると、住宅手当の1人あたりの平均支給額は1万8,700円でした。また会社の規模が大きいほど、支給額が大きい傾向があります。
住宅手当・家賃補助は非課税ですか?
現金で支給する住宅手当や家賃補助は、原則として給与として課税されます。非課税で支給するには、会社が従業員へ住居を貸し出す社宅が向いています。一定の要件を満たすことで、所得税非課税での支給が可能です。
住宅手当は福利厚生費として扱えますか?
住宅手当は法定外福利厚生として導入できますが、従業員に現金で支給する場合の税務上の扱いは、福利厚生費ではなく給与となります。
住宅関連の福利厚生は自社の課題と従業員ニーズから設計を
住宅手当や家賃補助は、従業員の住居に関する負担を軽減できる福利厚生です。導入する際は、支給額に加えて、対象者・条件・会社の費用負担・税務上の扱い・運用負担などを確認し整理しましょう。
また、住宅手当・家賃補助だけが福利厚生の選択肢ではありません。自社の従業員がどのような支出や働き方に課題を感じているのかを把握した上で、限られた予算を効果的に配分しましょう。
住宅手当や家賃補助は、従業員の固定費を支援できる一方、対象者が限られる場合や、会社側の継続的な費用負担が大きくなる場合があります。福利厚生の予算をより幅広い従業員の生活支援に活用したい場合は、食事補助など別の選択肢も検討できます。
食事補助であれば、一定の要件を満たして導入すれば、所得税非課税での支給も可能です。
導入や運用の手間を抑えたい、所得税非課税の要件を確実に満たして導入したい、という場合には、自社の目的に合う導入について相談できる、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか。資料請求で詳細を確認できます。
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