同一労働同一賃金とは?
同一労働同一賃金とは、同一企業内の正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間にある不合理な待遇差の解消を目指す考え方です。
対象となる待遇は給与だけではありません。賞与・手当・福利厚生なども含まれます。待遇ごとに、性質・目的・職務内容などを踏まえて、不合理な差がないかを判断しなければいけません。
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金とは
同一労働同一賃金での手当の扱い
同一労働同一賃金において、手当は性質や目的に照らして、待遇差に不合理がないかを判断しなければいけません。
例えば、通勤にかかる費用を補助する通勤手当と、役職に伴う責任に対して支給する役職手当では支給目的が異なるため、待遇差を判断する際に考慮する事情も異なります。
企業では、手当ごとに次の点を確認するとよいでしょう。
- 何を目的として支給しているか
- 誰を支給対象としているか
- 支給要件は何か
- 正社員・パート・有期雇用労働者で違いがあるか
- 違いがある場合、その理由を説明できるか
また職務の内容や配置の変更の範囲なども考慮が必要です。雇用形態が異なっていても、職務内容や配置の変更の範囲などが同じであれば、手当の性質・目的によっては同一の待遇とする必要がある場合があります。
雇用形態だけを理由に手当の支給対象を分けている場合は、制度の合理性について確認しましょう。
【2026年10月改正】同一労働同一賃金の手当に関する変更点
2026年10月1日から、改正された同一労働同一賃金ガイドラインが適用されます。今回の改正では、これまで具体的な記載がなかった待遇について、最高裁判決などを踏まえた考え方が追加されました。手当に関して追加された主な内容は、以下の4つです。
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手当
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2026年10月から適用されるガイドラインへの追加内容
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退職手当
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性質・目的や職務内容などの違いに応じ、均衡のとれた待遇とする
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無事故手当
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業務の内容が同一の場合、同一の手当を支給する
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家族手当
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相応に継続的な勤務が見込まれる場合、同一の手当を支給する
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住宅手当
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正社員と同一の転居を伴う配置変更がある場合、同一の手当を支給する
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それぞれの詳細を解説します。
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドライン等が改正されます!
退職手当は「性質・目的」がポイント
退職手当は、正社員・パート・有期雇用労働者の職務の内容などに応じて、均衡のとれた待遇とする考え方がガイドラインに追加されました。退職手当には、労務の対価の後払い、功労報償などの性質・目的があります。
パート・有期雇用労働者については、パートタイム・有期雇用労働法第8条により、基本給・賞与その他の待遇について不合理な待遇差を設けることが、これまでも禁止されています。
今回の改正では、「その他の待遇」に含まれる退職手当について、待遇差を判断する具体的な考え方がガイドラインに示されました。
ただし、パート・有期雇用労働者に退職手当を一律に支給することが求められるわけではありません。企業では、退職手当の性質・目的を確認し、正社員との職務の内容などの違いに応じた待遇になっているかを確認するとよいでしょう。
参考:e-Gov 法令検索|短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
無事故手当は「業務の内容」がポイント
無事故手当は、業務の内容が同一のパートや有期雇用労働者には、正社員と同一の無事故手当を支給する考え方がガイドラインに追加されています。
事故を起こさないことなど、業務上の安全への貢献に対して支給されるのが無事故手当です。雇用形態だけを理由に支給要件を定めると、正社員と非正規雇用労働者の業務内容が同じ場合に待遇に不合理な差が生じてしまいかねません。
企業では、無事故手当の支給要件とあわせて、正社員と非正規雇用労働者の業務内容について、どのような違いがあるかを確認する必要があります。
家族手当は「継続的な勤務の見込み」がポイント
労働契約の更新を繰り返しているなど、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者には、正社員と同一の家族手当を支給する考え方がガイドラインに追加されました。
この改正により、2026年10月からは「有期契約だから家族手当の対象外」とする対応について、見直しが必要になるケースもあるでしょう。
有期契約であっても、契約更新を繰り返しているなど、相応に継続的な勤務が見込まれる場合には、正社員と同一の家族手当を支給する考え方が示されています。
住宅手当は「転居を伴う配置変更」がポイント
正社員と同一の転居を伴う配置変更がある非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の住宅手当を支給する考え方もガイドラインで明確に示されました。
例えば、全国転勤など転居を伴う配置変更への負担を補助する目的で住宅手当を設けている場合、正社員と非正規雇用労働者で配置変更の範囲に違いがあるかが、待遇差が不合理かどうかを判断するポイントとなります。
企業では、住宅手当の支給目的や要件を確認したうえで、正社員と非正規雇用労働者の配置変更の範囲に応じた待遇になっているか確認するとよいでしょう。
2026年10月改正では手当以外も見直される
今回のガイドライン改正では、手当以外にも夏季・冬季休暇、病気休職・休暇、褒賞などについて記載が追加・充実されています。手当だけを確認して終えるのではなく、正社員とパート・有期雇用労働者の待遇全体を点検する機会として活用するとよいでしょう。
関連記事:同一労働同一賃金ガイドラインとは?2026年改正のポイントをわかりやすく解説
同一労働同一賃金で確認したい主な手当
2026年10月に記載が追加される手当だけでなく、以前からガイドラインに具体的な考え方が示されている手当もあります。
自社の手当を見直すときの参考になるよう、代表的な手当をチェックしましょう。
通勤手当・出張旅費
通勤手当や出張旅費は、通勤や出張に必要な費用を支給する制度です。ガイドラインでは、同一の支給要件を満たす場合、正社員と非正規雇用労働者に同一の支給を行う考え方が示されています。
精皆勤手当
精皆勤手当は、所定の勤務日に出勤することなどを奨励する目的で支給される手当です。
業務の内容が同一の場合は、正社員と非正規雇用労働者に同一の精皆勤手当を支給する考え方が示されています。
食事手当
食事手当は、勤務中の食事にかかる費用を補助するための手当です。ガイドラインでは、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある場合、正社員と非正規雇用労働者に同一の食事手当を支給する考え方が示されています。
関連記事:食事手当の相場は?非課税での運用方法や導入メリットを解説!
役職手当・特殊作業手当など
役職手当は役職の内容が同じであれば同一の支給を行い、役職の内容に違いがあればその違いに応じて支給するのが基本です。
また、特殊作業手当、特殊勤務手当、時間外・深夜・休日労働に対する手当、単身赴任手当、地域手当などについても、それぞれの支給目的や要件に応じて待遇差を判断します。
企業が同一労働同一賃金の手当を見直す4つのポイント
手当の待遇差を見直すときは、単に正社員と非正規雇用労働者の支給額を比較するだけでは不十分です。手当の目的と実際の働き方を照らし合わせる必要があります。
これから手当を見直すときには、ここで紹介する4つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
1.自社の手当を一覧にする
まずは、賃金規程や就業規則などを確認し、自社で支給している手当を以下の項目で一覧にします。
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確認項目
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確認内容
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手当の名称
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どのような手当があるか
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支給目的
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何に対して支給しているか
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支給対象
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誰に支給しているか
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支給要件
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どのような条件で支給するか
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待遇差
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雇用形態による違いがあるか
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手当全体を比較できるようにすることで、待遇差を把握しやすくなります。
2.手当の性質・目的を確認する
次に、各手当が何のために設けられているのかを確認します。例えば通勤にかかる費用の補助を目的とする手当と、役職の責任に対して支給する手当では、待遇差を判断する際の基準が異なるためです。
支給目的が賃金規程などに明確に記載されていない場合は、実際の運用も確認する必要があります。
3.職務内容や配置変更の範囲を確認する
待遇差がある場合は、正社員とパート・有期雇用労働者の職務内容、責任、配置変更の範囲などを確認します。ただし、すべての手当で同じ事情を比較するわけではありません。
通勤の費用は職務内容と関係なくかかるため、役職に照らし合わせる必要はないでしょう。一方、役職手当はその役職として担う責任に対して支給する手当のため、役職が異なれば支給されないことや金額が異なることがあります。
手当の性質・目的に応じて、適切な事情を考慮しなければいけません。
4.待遇差の理由を説明できる状態にする
最後に、待遇差がある場合、その理由を説明できる状態にしておきます。
例えば住宅手当を「正社員だから支給する」とするのではなく、「転居を伴う配置変更がある従業員の住宅費を補助する目的で支給している」といったように、支給目的と待遇差の関係を整理し明確にしましょう。
なお、2026年10月からは、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件明示事項に、正社員との待遇差の内容・理由について説明を求められる旨が追加されます。
そのため、待遇差について説明できるよう整理しておきましょう。
同一労働同一賃金の手当に関するよくある質問
同一労働同一賃金について、よくある質問とその回答も紹介します。
同一労働同一賃金では手当をすべて同じにする必要がありますか?
いいえ、すべての手当を一律に同じにする必要はありません。手当ごとの性質や目的、職務内容などを踏まえて、不合理な待遇差に当たるかを判断します。
合理的な理由がある場合には、待遇に差があっても同一労働同一賃金には反しません。
2026年10月から何が変わりますか?
改正されたガイドラインが2026年10月1日から適用されます。退職手当・無事故手当・家族手当・住宅手当について、待遇差を判断する具体的な考え方がガイドラインに追加されました。
パートに家族手当を支給しないことはできますか?
一律に判断することはできません。労働契約の更新を繰り返しているなど、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者には、正社員同様に家族手当を支給する考え方が、改正されたガイドラインに示されています。
住宅手当は正社員だけに支給できますか?
手当の性質・目的によって判断が異なります。転居を伴う配置変更に応じて支給する住宅手当の場合、正社員と同一の転居を伴う配置変更がある非正規雇用労働者には、同一の支給を行う考え方が、改正されたガイドラインに示されています。
2026年10月改正を機に手当の待遇差を確認しましょう
同一労働同一賃金では、給与だけでなく手当も不合理な待遇差がないか確認が必要です。手当を見直す際は、正社員とパート・有期雇用労働者の支給額だけを比較するのではなく、手当の性質・目的や支給要件、職務内容などを確認することが重要です。
2026年10月から適用される改正ガイドラインでは、退職手当・無事故手当・家族手当・住宅手当について記載が追加されます。今回の改正を機に、自社の手当を一覧にして、待遇差とその理由を確認するとよいでしょう。
従業員に公平な待遇を用意したいけれど、制度設計が難しくなかなか実行できないという場合には、福利厚生サービスを活用して従業員の待遇を整える方法もあります。
例えばエデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、雇用形態や勤務場所などを問わず、対象となる従業員に公平に支給可能です。まずは資料請求で、自社のニーズに合うサービスであるか、確認してみてはいかがでしょうか。
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