資料請求 (無料)
English

同一労働同一賃金、パート同士の待遇差は対象外?根拠と企業の実務対応

公開日: 2026.08.18

更新日: 2026.08.18

同一労働同一賃金、パート同士の待遇差は対象外?根拠と企業の実務対応

「同じ業務をしているはずのAさんとBさん。なぜ時給が違うのか」。パート同士の待遇差について、現場から質問を受けて頭を抱えた経験はありませんか。結論から言えば、同一労働同一賃金のルールは「正社員と非正規社員」を比較対象としており、パート同士は対象外です。しかし、法律の対象外だからと放置すると、離職やモチベーション低下という別のリスクが顕在化します。この記事では、法的な根拠と、現場の納得感を醸成する実務対応について解説します。

同一労働同一賃金の比較対象は「正社員と非正規社員」に固定されている

同一労働同一賃金の法的根拠は、パートタイム・有期雇用労働法8条(不合理な待遇の禁止)と9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)です。

  • 8条は、職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の間に不合理な待遇差を設けることを禁止します。
  • 9条は、職務内容および配置変更の範囲が正社員と同じパートタイム労働者・有期雇用労働者について、パートタイム労働者・有期雇用労働者であることを理由とした差別的な取扱いそのものを禁止します。

この2つの条文に共通するのは、比較の一方が常に「通常の労働者」(無期雇用のフルタイム正社員)に固定されている点です。条文が想定しているのは「正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者」という組み合わせであり、両者がいずれもパートタイム労働者・有期雇用労働者にあたる組み合わせ、つまりパート同士やアルバイト同士の関係は、そもそも条文が定める比較の型に当てはまりません

適用時期は大企業が2020年4月、中小企業が2021年4月からで、現在はすべての企業規模が対象です。派遣労働者についても、企業規模を問わず2020年4月から労働者派遣法にもとづく同様のルールが適用されています。

出典:厚生労働省|パートタイム・有期雇用労働法

パート同士でも問題になり得る「差」を確認

パートタイム・有期雇用労働法の適用対象外であることと、あらゆる待遇差が問題にならないことはイコールではありません。次の2つは根拠となる法律が別に存在します。

性別を理由にした差

パート同士であっても、性別を理由に賃金や配置に差をつければ、男女雇用機会均等法第6条に触れるおそれがあります。業務内容そのものに男女で違いを設けることの是非とは別に、その業務差にともなう待遇差が性別のみを根拠にしていると判断された場合は違法です。

たとえば「女性パートには早番のみ、男性パートには夜勤手当のつく遅番も任せる」といった運用が、実質的に性別だけを理由にした処遇差になっていないかチェックが必要です。

出典:e-Gov 法令検索|雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

国籍・信条・社会的身分を理由にした差

労働基準法第3条は、国籍、信条、社会的身分を理由とした賃金・労働時間その他労働条件の差別的取扱いを禁止しています。この規定は雇用形態を問わずすべての労働者に適用されるため、パート同士の関係でも例外にはなりません。

出典:e-Gov 法令検索|労働基準法

関連記事:「同一労働同一賃金」の"おかしい"現状|日本と海外の違いから解説

【注目】2026年10月、同一労働同一賃金のルールがさらに強化される

厚生労働省は2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働法にもとづく同一労働同一賃金のルールを見直します。今回の改正はあくまで正社員とパートタイム・有期雇用労働者の間の待遇差解消を目的としたもので、パート同士の関係を直接対象にするものではありません。ただし、パート従業員が「待遇差の理由を問うケース」は増えていくことが予想され、改正点の理解が必要です。主な変更点は3つです。

ポイント①雇い入れ時の労働条件明示事項への追加

パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたとき、これまでの「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」の4項目に加え、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨を明示することが義務づけられます。

ポイント②「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正

今回の改正で、賞与・退職手当・各種手当・福利厚生の記載が見直され、その考え方がより明確化されました。家族手当は相応に継続的な勤務が見込まれるパートタイム・有期雇用労働者にも正社員と同一の支給が必要とされ、住宅手当は正社員と同一の転居をともなう配置転換があるパートタイム・有期雇用労働者にも同一の支給が必要とされました。夏季冬季休暇についても、パートタイム・有期雇用労働者に正社員と同一の付与が求められます。

新たに追加された待遇 記載が充実された待遇
  • 退職手当
  • 無事故手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 夏季冬季休暇
  • 賞与
  • 賞与
  • 福利厚生施設
  • 病気休暇

ポイント③企業に求められる雇用管理上の措置の見直し

待遇差の説明は「資料を使った口頭説明」または「説明すべき事項を網羅した資料の交付」のいずれかの方法によることが必要になります。賃金決定においても職務内容や成果、意欲、能力、経験などを公正に評価して昇給に反映することが求められます。正社員等への転換制度の内容や転換実績をウェブサイトで定期的に公表することも望ましいとされました。

出典:厚生労働省|同一労働同一賃金特集ページ
出典:厚生労働省 Webマガジン|2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります―3つの改正ポイント

関連記事:【社労士監修】同一労働同一賃金の見直し完全ガイド|2026年10月改正で何が変わる?

「パート同士」は法律の適用外でも配慮は必要

パート同士の待遇差が法律違反に直結しないとしても、現場への影響は無視できません。同じ業務、同じ責任を負っているのに時給や手当に差があると感じれば、当事者の働く意欲は下がり、不満は周囲にも伝わります

人手不足が続くなかで、パート・アルバイト層の定着は採用コストに直結する課題です。法律上の義務がないことを理由に待遇差の点検を後回しにすると、離職や労使トラブルという形で問題が表面化する可能性があります。

パート同士の待遇差を是正する実務ステップ

ここでは、待遇差を見直すステップを説明します。

ステップ1. 待遇差の基準を明文化する

時給・手当・賞与の有無について、勤続年数、担当業務の範囲、保有資格、シフトの柔軟性など、差をつける根拠となる要素を洗い出し、文書化します。誰もが納得できる明確な基準があれば、パート同士の待遇差について筋の通った説明ができます。

ステップ2. 就業規則・賃金規程に反映する

整理した基準は口頭での運用にとどめず、就業規則や賃金規程に落とし込みます。個人の主観は排除して、将来担当者が変わっても一貫した運用ができる状態を作ります。

ステップ3. 定期的に見直す

業務内容や責任の範囲は時間とともに変化します。厚生労働省の「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」や「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」を使いながら、実態と基準にズレが生じていないか定期的に点検しましょう

参考:厚生労働省|非正規雇用(有期・パート・派遣労働)

雇用形態を問わず公平に届けられる福利厚生という選択肢

時給差そのものは、勤続年数や責任の違いを踏まえれば自然に生まれるもので、なくすことを目指す必要はありません。大事なのは、待遇に違いがあっても、「自分も同じように大切にされている」と感じられる仕組みを整えることではないでしょうか。

食の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わず、直接雇用の従業員に同じ条件で食事補助を提供できます加盟店は24時間営業の大手コンビニを含む全国25万店舗以上。固定費0円、契約から最短2週間で始められます。2026年4月1日以後に支給する、一定の条件を満たした食事補助は非課税上限が月額7,500円へ引き上げられ、従業員の手取りを底上げしやすくなりました

関連ページ:食事補助を福利厚生で導入するならチケットレストラン

資料請求はこちら

同一労働同一賃金に関してのFAQ

よくある質問をまとめました。

Q. パート同士で時給が違うのは違法?

A. 同一労働同一賃金のルールは「正社員と非正規社員」の比較を前提としているため、パート同士の待遇差は条文上の適用対象外です。勤続年数や担当業務、責任の範囲などに応じた差であれば、直ちに違法にもなりません。ただし性別や国籍を理由にした差は、男女雇用機会均等法や労働基準法3条に触れる可能性があります。

Q. 同一労働同一賃金ガイドラインはパート同士の待遇差にも参考になる?

A. 参考になります。厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」は、正社員と非正規社員の待遇差を判断するための指針であり、パート同士の関係を直接の対象とはしていません。もっとも、基本給や賞与をどのような基準で決めるべきかという考え方自体は、雇用区分を問わず社内の待遇基準を整理する際の助けになります。

Q. もしパート従業員から「なぜあの人と時給に差があるのか」と聞かれたら、どう答えるべき?

A. 本人の時給を決めている基準そのもの(勤続年数・業務内容・能力・経験・成果など)を説明して「合理的な理由」を伝えます。説明しようとしたときにうまく伝えられないことがあれば、時給の決め方など制度自体を見直すサインです。

公平性を正しく理解し、適切に処遇を整えよう

パートタイム・有期雇用労働法8条・9条は比較対象を「正社員と非正規社員」に固定した条文であり、パート同士の待遇差は条文上の適用対象に含まれません。一方、2026年10月には同法のルール自体も改正され、正社員との待遇差についてパート従業員が説明を求めやすくなり、不平等な処遇が見直される流れは定着していくでしょう。

待遇差の基準を明文化し、必要に応じて雇用形態を問わない福利厚生も組み合わせるなど、納得感のある処遇を整えることが今以上に求められています。正社員にもパートタイマーにも、同じ条件で提供できる食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、公平な処遇改善の一環としてご活用いただけます。

関連ページ:食事補助を福利厚生で導入するならチケットレストラン

資料請求はこちら

当サイトにおけるニュース、データ及びその他の情報などのコンテンツは一般的な情報提供を目的にしており、特定のお客様のニーズへの対応もしくは特定のサービスの優遇的な措置を保証するものではありません。当コンテンツは信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社はその正確性、適時性、適切性または完全性を表明または保証するものではなく、お客様による当サイトのコンテンツの利用等に関して生じうるいかなる損害についても責任を負いません。

エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

最新記事はSNSから確認していただけます
blog_bottom_260721_jirei
トップへ戻る