【同一労働同一賃金ガイドライン】食事手当の基本ルール
同一労働同一賃金ガイドライン上、食事手当は、正社員・非正規社員を問わず同じ条件での支給が原則です。労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者であれば、雇用形態にかかわらず同一の支給が求められます。まずは、具体的な支給条件と、対応を誤った場合のリスクについて解説します。
食事手当を同一支給しなければならないのはどんなとき?
食事手当の同一支給が求められるのは、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者です。
本来、均衡待遇(パートタイム・有期雇用労働法第8条)の考え方では、正社員と非正規社員の職務内容や配置転換の範囲に違いがあれば、その違いに応じた差が認められる余地があります。
しかし、休憩時間中に食事をとる必要性は職務内容や転勤の有無によって変わらないため、ガイドライン上は例外的に、こうした違いにかかわらず同一支給が求められます。
休憩時間のない短時間勤務者に支給しないことは、条件を満たしていないため問題になりません。
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドラインの概要
参考:e-Gov 法令検索|短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|第8条
関連記事:【社労士監修】同一労働同一賃金とは?企業が知っておくべき基本と取り組み手順
食事手当の待遇差は違法になる?【ハマキョウレックス事件】
平成30年6月1日、物流会社の契約社員が正社員との待遇差を争った「ハマキョウレックス事件」において、最高裁は食事手当を含む複数の手当について判断を示しています。
同社では、正社員に給食手当を支給する一方、契約社員には支給していませんでした。これに対し最高裁は、食費の負担を補助するという趣旨の手当は、勤務中に食事をとる必要性が雇用形態によって変わらない以上、契約社員に支給しないことは不合理であると判断しました。
この判断は当時の労働契約法20条に基づくもので、同条は現在パートタイム・有期雇用労働法(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第8条に統合されています。
「違法」という行政上の措置ではなく、民事上「不合理」と判断された事案です。
参考:労働基準判例検索-全情報|ハマキョウレックス(差戻審)事件
参考:e-Gov 法令検索|短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|第8条
2026年10月の法改正で、食事手当への対応はどう変わる?
食事手当そのものの支給ルールは、2026年10月の改正で変わりません。変わるのは「説明義務」の運用で、違反した場合は10万円以下の過料の対象になります。食事手当のように差の理由を説明しにくい手当ほど、速やかな対応が求められます。
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雇入れ時の明示義務(第6条)
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求めに応じた説明義務 (第14条2項)
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何
を
伝
え
る
か
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制度の「有無」(昇給・退職手当・賞与、相談窓口) ※2026年10月〜:+「説明を求められる旨」
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制度の「中身・理由」(待遇差の内容・理由)
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い
つ
発
生
す
る
か
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雇入れ時に必ず
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求めがあったときに
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方
法
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書面(労働条件通知書等)
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口頭+資料、または資料の交付
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違
反
時
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10万円以下の過料
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過料なし (行政指導・企業名公表)
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※第6条・第14条はいずれもパートタイム・有期雇用労働法(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の条文
参考:厚生労働省|パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)
関連記事:【社労士監修】同一労働同一賃金の見直し完全ガイド|2026年10月改正で何が変わる?
【2026年10月改正】雇入れ時の「明示義務」が新設
2026年10月1日から、パート・有期社員を雇い入れる際や契約を更新する際に、「待遇差について説明を求めることができる旨」を労働条件通知書等の書面で明示することが義務付けられます。
これまでは非正規社員から求められて初めて説明する仕組みでしたが、今後は権利の存在自体を企業側から先に知らせなければなりません。明示を怠り、行政指導を受けても改善が見られない場合には、10万円以下の過料の対象になります。
参考:厚生労働省|パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)
説明が不十分の場合は「不合理性」の判断材料に
均衡待遇(パートタイム・有期雇用労働法第8条)では、待遇差が不合理かどうかを、職務内容・配置転換の範囲・その他の事情という3つの要素から判断します。
2026年10月改正のガイドラインでは、事業主が待遇差について十分な説明を行わなかった事実自体が、この「その他の事情」に含まれることが明記されました。
食事手当は、勤務中の食事という必要性が雇用形態を問わず共通するため、もともと客観的な理由で差を説明しにくい手当です。説明を後回しにしたまま待遇差を放置すると、その事実自体が不合理性を裏付ける材料として扱われるリスクが一段と高まります。
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドラインの概要
食事手当を「現金」で支給する企業が抱えるコスト増リスク
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【食事手当を現金で支給する場合の3つのリスク】
・所得税が全額課税される ・社会保険料の算定基礎(標準報酬月額)に含まれる ・割増賃金(残業代)の算定基礎にも含まれる
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食事手当を給与に上乗せして現金で支給すると、税務・社会保険・労務の3点で企業の負担が増えます。
所得税は非課税枠を使えず全額が課税対象になり、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額にも含まれます。さらに、割増賃金は1時間あたりの基礎賃金に割増率と残業時間を掛けて計算しますが、この基礎賃金から除外できる手当は労働基準法で家族手当や住宅手当など7項目に限定されており、食事手当は対象外です。
つまり、食事手当の分だけ基礎賃金が底上げされ、残業のたびにその上乗せ分にも割増率がかかるため、時間外労働が多い職種ほど人件費への影響が大きくなります。
参考:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
参考:e-Gov 法令検索|労働基準法|第37条
参考:e-Gov 法令検索|労働基準法施行規則|第21条
食事手当の待遇差を解消するには
食事手当の待遇差を解消する方法は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、非正規社員にも正社員と同じ条件で食事手当を支給する方法。もうひとつは、現金の手当を廃止し、雇用形態を問わず全員が同一条件で利用できる食事補助サービスに切り替える方法です。
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比較項目
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一律適用(現金のまま)
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食事補助サービス への切替
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導入スピード
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早い
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制度設計にやや時間がかかる
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コスト
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対象人数分そのまま増加
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非課税枠を活用でき抑えやすい
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リモート 夜勤者への対応
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支給条件次第で不公平が残りやすい
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勤務形態を問わず一律提供しやすい
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既存の食事手当を一律適用する場合
既存の食事手当をそのまま非正規社員に適用する方法は、制度変更の手間が少なく、短期間で待遇差を解消できる点がメリットです。ただし、対象人数が増える分、人件費の総額は確実に膨らみます。
なお、コストを抑えるために正社員側の手当を廃止・減額する対応は避けましょう。労働条件の不利益変更にあたるため、合理的な理由と適正な手続きがなければ従業員との間でトラブルに発展するおそれがあるためです。
さらに、現金支給のまま対象を広げても、所得税や社会保険料、割増賃金への影響は解消されないため、根本的なコスト負担は残る点に注意が必要です。
関連記事:【同一労働同一賃金】福利厚生の不合理な差とは?リスクと対処法を完全解説
現物支給の食事補助サービスへ切り替える場合
食事手当の待遇差を解消するふたつ目の方法が、現金の手当を廃止し、雇用形態にかかわらず同一条件で使える食事補助サービスに切り替えるというものです。
一定の要件を満たす食事補助は、所得税の非課税枠を活用できます。2026年4月には、非課税上限額が月額3,500円から7,500円に引き上げられました。あわせて、深夜勤務者への夜食代についても、非課税上限が1食300円から650円へ拡大されています。
非課税枠の拡大によって、従業員1人あたり年間最大9万円の食事補助が非課税対象となりました。食事手当の待遇差の解消を図る企業にとって、有効な選択肢のひとつとなっています。
参考:国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
非課税枠のより詳しい要件については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
食事手当の待遇差解消に役立つ「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、全国25万店舗以上の加盟店での食事を半額で購入できる食事補助の福利厚生サービスです。
加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・カフェ・三大牛丼チェーンなど幅広く、使用する人の年代や好みを問いません。勤務時間中にとる食事の購入であれば利用する時間や場所の制限もないため、内勤・外勤・リモートワーク・非正規社員・夜勤者など、すべての従業員が公平に利用できる点も魅力です。
食事補助として日本で約40年、世界6,000万人に利用されてきた実績と安心のサポート体制が高く評価され、すでに 4000社以上が導入する人気サービスとなっています。
実際に、雇用形態に関わらずに利用できる平等な食事補助として「チケットレストラン」が導入された関西エアポートオペレーションサービスでは、公平性を保ち、健康経営の実現や従業員満足度の向上に貢献しているそうです。(詳しい導入事例はこちら)
関連ページ:食事補助を福利厚生で導入するならチケットレストラン
【Q&A】同一労働同一賃金の食事手当にまつわるよくある質問
ここでは、同一労働同一賃金の食事手当について、とくに多く寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
食事手当は2026年10月の改正で新しく対象になったのですか?
【A. いいえ、対象になったのではありません】
食事手当の規定自体は2018年のガイドライン策定時から存在しており、2026年10月の改正で新設されたものではありません。改正で変わるのは、雇入れ時に説明を求められる権利を明示する義務や、説明が不十分な場合の扱いです。
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドラインの概要
休憩時間のない短時間勤務のパートにも食事手当は必要ですか?
【A. 必要ありません】
食事手当の同一支給が求められるのは、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に限られます。休憩時間のない勤務形態であれば、支給しなくても待遇差の問題にはなりません。
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドラインの概要
食事手当を非課税で支給するにはどうすればいいですか?
【A. 現物支給かつ2つの要件を満たす必要があります】
企業が食事代の半額以上を負担すること、月額7,500円以下であることの2要件を満たす必要があります。現金で上乗せ支給する場合は、この非課税措置の対象になりません。
参考:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
食事手当は「差を残す」より「差をなくす」ほうが現実的
食事手当は、勤務中に食事をとる必要性が雇用形態を問わず共通するため、客観的な理由で差を正当化しにくい手当です。2026年10月の説明義務強化を機に、待遇差を放置するリスクは一段と高まることが予想されます。
非正規社員への一律適用が難しい場合は、現物支給の食事補助サービスへの切り替えも選択肢のひとつです。
「チケットレストラン」のような、雇用形態を問わず公平に利用できるサービスの導入も検討し、同一労働同一賃金の食事手当への速やかな対応を進めましょう。
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
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