役員も食事補助の対象にできる
役員も従業員と同様に、福利厚生の対象になります。食事補助についても、一定の条件を満たせば福利厚生費として処理でき、給与課税を避けることが可能です。
ただし注意したいのが、役員だけが優遇される制度です。福利厚生として認められるには、全ての従業員を対象に公平に運用していなければいけません。
例えば、社長のみ企業負担で高級弁当を利用している場合や、役員のみ食事代を全額補助している場合などには、福利厚生費ではなく役員報酬として所得税の課税対象となる可能性があります。
関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
役員の食事補助を福利厚生費にするための条件
役員向けの食事補助を福利厚生費として適切に運用するには、福利厚生費として認められる要件と、国税庁が示す食事補助の非課税要件を満たす必要があります。ここでは、これらの要件について見ていきましょう。
福利厚生費として認められるための3つの要件
食事補助の費用が福利厚生費として認められるためには、以下の3つの要件を満たしていなければいけません。
- 全ての従業員が利用できること
- 社会通念上妥当な金額であること
- 給与ではなく換金性のない現物支給であること
福利厚生は「従業員のために広く提供される制度」であることが前提です。そのため、役員限定の食事補助は、福利厚生ではなく役員報酬とみなされるリスクがあります。
税務調査では、制度内容だけでなく実際の運用実態が確認されます。形式的に「全ての従業員が対象」と記載していても、実際には役員しか利用していない場合は、福利厚生費とならない可能性が高まります。
関連記事:福利厚生費とは?該当条件や要件、具体例を税理士が丁寧に解説
役員本人が食事代の半額以上を負担していること
食事補助を所得税非課税で支給するには、役員本人が食事代の50%以上を負担していることも必要です。
例えば、1食1,000円のランチを提供する場合、役員本人が500円以上支払っていなければなりません。企業の負担割合が大きすぎると、給与課税の対象になります。
制度上は自己負担ありとなっていても、実際の運用で「後から企業が補填している」「実際には徴収していない」「名目だけ自己負担になっている」場合には、福利厚生ではなく役員報酬として扱われ、給与課税の対象となります。
利用履歴や給与天引き記録など、実際に本人負担が発生していることを証明できるよう、書類を保管しておきましょう。
参考:No.2594 食事を支給したとき
企業の負担額が月7,500円以下であること
食事補助を支給するとき、企業の負担額が月7,500円以下(税抜)であることも、所得税が非課税となる要件の1つです。
2026年4月から、食事補助の非課税上限額が月3,500円(税抜)から月7,500円(税抜)へ引き上げられました。この引き上げにより、40年以上変化がなかった食事補助の非課税上限額は倍増しています。
なお、非課税限度額は消費税を除いた金額である点に注意が必要です。食事は購入方法によって、軽減税率と標準税率のどちらも適用される可能性があります。計算時には税率をよく確認して計算しましょう。
また、企業の負担額が月7,500円を超える場合、超過分だけではなく、企業の負担分全額が給与課税対象となります。食事補助の非課税限度額を活用する場合には、月額上限を超えない運用設計が重要です。
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
参考:No.2594 食事を支給したとき
役員の食事補助が給与課税になるケース
役員向けの食事補助は、制度設計を誤ると福利厚生費ではなく給与として扱われる可能性があります。ここでは、特に注意したい代表的なケースをチェックしましょう。
関連記事:福利厚生の非課税・課税ルールを徹底解説【税理士監修・2026年版】
役員だけを対象にしている
役員のみが利用できる制度は、福利厚生として認められないかもしれません。福利厚生として支給しても給与として扱われる可能性があります。福利厚生費は、従業員全体の暮らしの維持向上を目的としているため、役員だけが優遇される制度は認められません。
特にオーナー企業では、実質的な役員報酬になっていないか、利益調整として使われていないか、といった観点で確認されることがあります。
役員も利用できる制度にすることは問題ありませんが、役員だけが利用できる制度には注意が必要です。
高額すぎる食事を企業が負担している
食事補助として認められるのは、一般的な価格の食事です。毎日の高級レストラン利用や、社会通念上妥当と判断される金額以上の飲食費は、福利厚生費として扱われない可能性があります。
また、取引先との会食にかかる費用は、福利厚生費ではなく交際費に該当するかもしれません。福利厚生費と交際費は税務上の扱いが異なるため、目的を明確に区分することが重要です。
現金支給している
現金で食事代を支給する場合、原則として給与課税の対象になります。例えば「ランチ代として毎月1万円支給」「昼食手当を現金で支給」といったケースは、給与とみなされ所得税の課税対象です。
所得税の非課税枠を活用した運用を目指す場合は、食事そのものや、食事を購入できるカードなどを提供します。
利用実態や証憑が残っていない
適切に設計された制度があっても、利用実態を確認できない場合には、給与として課税される可能性があります。福利厚生費であるかどうかは、制度が整備されていることではなく、利用実態で判断されるためです。
税務調査時に利用実態を確認できるよう、証憑を保管しておきましょう。
食事補助のおすすめ導入方法
食事補助を導入する場合は「公平性」「管理のしやすさ」「利用率」を踏まえて制度設計することが重要です。ここでは代表的な導入方法を紹介します。
食事補助サービス
食事補助サービスとは、加盟店で食事を購入できる補助券やカードを従業員へ提供する食事補助です。企業が従業員の食事代の一部をサポートします。
ICカードやアプリを利用して、コンビニ・飲食店などで食事補助を受けられる仕組みが一般的で、リモートワークとの相性も良い点が特徴です。利用範囲の自由度が高いため、従業員満足度向上にもつながりやすいでしょう。
また、食事補助サービスを運営している企業へアウトソーシングすることで、利用履歴を管理しやすくなるのも特徴です。このことから、税務管理の観点でもプラスに働く仕組みといえます。
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食事補助サービスのメリット
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食事補助サービスのデメリット
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働く時間や場所を限定せずに利用できる 導入や運用に手間がかからない 一定の条件下で導入すれば実質的な賃上げができる
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食事を加盟店まで購入しにいく必要がある 加盟店が近隣になければ利用できない
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代表的な食事補助サービスとしては、全国にある加盟店25万店舗以上で利用できる「チケットレストラン」などがあります。
関連記事:2026年度版おすすめの食事補助サービス25選!食事補助制度の注意点もチェック
社員食堂
社員食堂とは、社内に食堂と厨房を作り、そこで従業員に食事を提供する福利厚生のことです。近年では、自社で調理設備を持つケースだけでなく、外部業者へ運営委託する企業も増えています。
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社員食堂のメリット
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社員食堂のデメリット
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外食より安い バランスの良い食事を提供できる 作りたての食事を提供できる 移動時間を節約できる 社内コミュニケーションのきっかけになる
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食堂の設置に初期費用がかかる 高い運営維持費がかかる 昼食時にオフィスにいない従業員は利用できない メニューが固定されやすい
利用できる時間が短い
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関連記事:【福利厚生の社員食堂:まとめ】意義やメリット・デメリットを一挙に紹介
設置型社食
設置型社食とは、オフィスにおかずや弁当などの入った冷蔵庫や冷凍庫を設置して、従業員が自由に選んで食べられる制度です。省スペースで導入しやすいことや、出社人数が変動しやすい企業とも相性が良いため、中小企業やサテライトオフィスでも導入が進んでいます。
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設置型社食のメリット
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設置型社食のデメリット
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好きなタイミングで利用できる 比較的安価に利用できる 栄養バランスに配慮したサービスが多い 在庫の管理を業者に任せられる
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人気のおかずや弁当は売り切れる可能性がある 冷蔵庫や冷凍庫の設置スペースを確保する必要がある 利用できるのがオフィスに出社する従業員に限られる
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関連記事:2026年版「設置型社食サービス」12種類を徹底比較!選び方・特徴まとめ
食事補助を導入するメリット
食事補助は、単なる昼食支援ではなく、人材戦略や組織づくりにも活用できる福利厚生です。ここでは、役員・従業員双方にとってどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
健康経営につながる
食事補助があると、役員や従業員はバランスの良い食事をとりやすくなるため、健康の維持増進に役立ちます。従業員の健康に戦略的に取り組む健康経営の実現にもつながる取り組みです。
なお、健康経営優良法人の認定要件には、従業員の健康増進に向けた具体的な施策の実施が含まれています。食事補助の導入はその要件を満たすことにもなるため、健康経営優良法人を目指している企業にとっても役立つ施策です。
関連記事:【健康経営を叶える福利厚生12選】福利厚生の種類や健康経営に役立つ福利厚生サービスとは?
公平感を保ちやすい
食事に関する福利厚生は、誰にとっても使いやすいのが特徴です。役員も従業員も同じように利用できるため、福利厚生の透明性を高めやすく、不公平感につながりにくいのもメリットの1つといえます。
採用・定着施策として活用できる
ベター・プレイスの「福利厚生制度に関するアンケート」によると、同調査で「導入してほしい、注力してほしい福利厚生」と回答した社会人の割合が30%を超えている制度の中に食事補助があります。
ニーズの高い福利厚生は、採用や定着などの人材確保にプラスに働くことが期待できるのもメリットです。
関連記事:【2026年版】優秀な人材の採用・定着完全ガイド 特徴・見極め方・確保策を解説
参考:ベター・プレイス|【福利厚生制度に関するアンケート】従業員数300名未満の企業で、導入率が低い福利厚生は「企業年金・iDeCo+」、「カフェテリアプラン」
実質的な手取りアップにつながる
食事補助は実質的な手取りアップが可能な施策でもあります。食事代をサポートできることに加えて、一定の要件を満たして導入すると所得税の非課税枠を活用できるためです。同額の賃上げを行うよりも、手取りアップを実感しやすい施策といえます。
食事補助制度を適切に設計し、役員・従業員双方の満足度向上へ
役員も食事補助の対象になります。ただし、費用を福利厚生費として計上するには「全従業員を対象にする」「本人が半額以上負担する」「企業負担額を月7,500円以下にする」といった条件を満たさなければいけません。
特にオーナー企業や中小企業では「役員だけを優遇していないか」が重視されやすいため、公平性を意識した制度設計が重要です。
その点、食事補助サービスは利用履歴を管理しやすく、役員・従業員へ公平に提供しやすいため、導入しやすい施策といえます。
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