企業が「健康経営」を目指す際に重要なのが「福利厚生」です。福利厚生には2つの種類があり、健康経営優良法人を目標とするのなら、法定外福利厚生の充実が欠かせません。今回は、健康経営や健康経営優良法人の定義、健康経営と福利厚生の違い、福利厚生の種類、おすすめの福利厚生サービスと選び方などを紹介します。福利厚生を整備して、健康経営を実現させるメリットに今一度立ち返ってみましょう。
健康経営とは
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する取り組みです。従業員の健康を維持・向上させることが、生産性向上や企業価値の向上につながるという考え方に基づいています。
1990年代にアメリカで経済心理学者のロバート・H・ローゼン氏によって提唱され始めた「健康な従業員こそが収益性の高い企業を作る」という主張が基礎となっています。つまり「企業は有効な経営戦略の一つとして従業員の健康管理に務めるべき」という考え方です。
ここでは、健康経営が今注目されている理由を解説します。
健康経営で福利厚生が重要視される理由
健康経営では、従業員が継続的に健康づくりに取り組める環境を整えることが重要です。一方、福利厚生は従業員の生活の質向上のために提供するサービスを指します。中には健康維持に役立つ施策も含まれており、健康経営を実践するうえで有効な施策の1つです。
例えば、食事補助・運動支援・メンタルヘルスケアなどの福利厚生は、従業員の健康意識の向上や生活習慣の改善につながることが期待できます。
そのため健康経営を推進する企業では、福利厚生の拡充を重要な健康投資として位置付け、取り組んでいるケースもあります。
健康経営と福利厚生の違い
「健康経営」は企業が目指すべき企業運営の在り方です。その実現方法の1つに福利厚生があります。
一方「福利厚生」は、企業が従業員に対して、給与の他に支給する金銭以外の報酬のことです。福利厚生には、労働法などで定められた「法定福利厚生」と企業が従業員のために独自に整備する「法定外福利厚生」があります。
関連記事:健康経営と福利厚生の違いとは?おすすめのサービスと成功事例一覧
健康経営が今注目される理由
日本では深刻な少子高齢化を受け、今後人材不足があらゆる企業を円滑に経営・成長していくための大きな課題になると考えられています。企業が従業員の健康に配慮することは、経営戦略の重要な要素の一つです。
これを受け、2006年にNPO法人健康経営研究会(以下、健康経営研究会)が発足されました。同研究会では「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」という考えを基盤に「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」が今後の経営戦略に必要だという主張を行っています。
近年、地球の環境維持や発展途上国をはじめとする各国の成長のために人類が取り組むべき活動としてSDGsが注目を集めています。SDGs活動は、企業経営や成長とは、切っても切れない関係にあるとされており、日本国内の企業にとって健康経営は、SDGsの観点からも重要な取り組みです。日本企業や日本全体が、世界から取り残されないようにするためにも、健康経営に着目した企業づくりが必要です。
参考:ACTION!健康経営
関連記事:健康経営とは?いつから?定義や取り組み方・施策例もわかりやすく解説
健康経営に役立つ福利厚生の種類
健康経営につながる福利厚生にはさまざまな種類があります。重要なのは、自社の課題や従業員のニーズに応じて選択することです。自社に合う福利厚生を選ぶには、まずどのような種類の福利厚生があるのかを把握しましょう。
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福利厚生の種類 |
主な取り組み例 |
健康経営に つながる効果 |
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食事支援 |
食事補助制度・社員食堂・設置型社食・弁当や惣菜の提供 |
栄養バランスの改善や食生活の見直しを促すことで、生活習慣病の予防や健康維持につながる |
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運動支援 |
スポーツジム法人契約・運動アプリ・ウォーキングイベント・ストレッチプログラム |
運動習慣の定着を支援することで、体力向上や生活習慣病の予防、運動不足の解消が期待できる |
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メンタルヘルス支援 |
ストレスチェック・EAP(従業員支援プログラム)・カウンセリング・リラクゼーションサービス |
メンタルヘルス不調の早期発見や相談しやすい環境づくりを行うことで、予防に努める |
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健康管理サービス |
健康診断・オンライン健康相談・保健指導・禁煙支援・女性の健康支援 |
従業員の健康課題を把握し、疾病の予防や重症化防止に取り組むことで、従業員の健康維持を支援する |
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休暇・働き方支援 |
リフレッシュ休暇・フレックスタイム制・テレワーク・副業制度 |
ワークライフバランスの向上や十分な休養の確保によって、心身の健康維持や働きやすい職場づくりにつながる |
健康経営につながる福利厚生にはさまざまな種類があります。企業が抱える健康課題や従業員のニーズに応じて、適切な制度を導入することが重要です。
健康経営の福利厚生を選ぶ3つのポイント
健康経営に役立つ福利厚生サービスを選ぶときには、以下のポイントを押さえておきましょう。
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自社の健康課題に合っている
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利用率が高い
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継続的に運用しやすい
このポイントに当てはまるサービスを導入すれば、健康経営を実現しやすくなります。
健康経営につながる人気の福利厚生サービス12選
健康経営につながる福利厚生を整えるときには、導入や運用をアウトソーシングできる福利厚生サービスの活用が便利です。企業にとって取り入れやすく、従業員にも人気の福利厚生サービスを紹介します。
関連記事:福利厚生アウトソーシングサービスを比較!活用するメリットも解説
食事支援に役立つ福利厚生サービス
企業が従業員の食事支援を実施すると、従業員はバランスの良い食事をとりやすくなります。健康の維持増進につながるため、病気や体調不良が原因の欠勤や休業(アブセンティーズム)や、病気や体調不良を抱えた状態での業務遂行(プレゼンティーズム)の予防にも有効です。
チケットレストラン|株式会社エデンレッドジャパン
先ほど紹介した「チケットレストラン」は、ICカード配布型の食の福利厚生サービスです。多様なワークスタイルの従業員が利用できるため、新型コロナウイルス感染症を発端としたリモートワークの普及により導入する企業が増えています。
特筆すべきなのは「チケットレストラン」の便利さです。従業員利用率98%、継続率99%、利用者30万人とサービスを使ってもらえる様子がうかがえます。「チケットレストラン」の加盟店は25万店舗以上です。さまざまな好みや食に関する特性がある人でも健康な食事を実現するために利用できます。
たとえば、普段の食事に「チケットレストラン」を利用して、コンビニやスーパーでプラス1品、健康食を取り入れるのもおすすめの利用方法です。さらに「チケットレストラン」には、ヘルシー志向のレストランやカフェも加盟しています。従業員の健康づくり、栄養管理に直結した食事補助サービスといえるでしょう。
「チケットレストラン」 の導入により認定項目を達成し、2023年から健康優良法人となった株式会社鈴木商店(導入事例) の事例もあります。
関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
オフィスおかん|株式会社OKAN
「オフィスおかん」は、オフィスに家庭的なお惣菜などのミールを常備する食事補助サービスです。企業に設置された専用の冷蔵庫や自動販売機から従業員が自分の好みや健康状態に合う商品を購入するシステムです。
メニューは全て、栄養管理士が監修し、可能なかぎり添加物を使わない新鮮なミールが揃っています。従業員が味に飽きないように、毎月複数の新メニューを考案するなどさまざまな工夫がされています。安いものだと1品100円から購入でき、主食・主菜から副菜まで幅広いバラエティが人気の理由といえるでしょう。
食事は健康に直結するものです。オフィスおかんのサービスを利用することで、簡単に健康的な食事が叶うと好評を得ています。また、オフィスおかんを提供する冷蔵庫、食事に必要なカトラリーは全て無料です。企業にとっても低コストで利用できる社食サービスとして認知が広がっています。
参考:株式会社OKAN
タニタカフェat OFFICE|株式会社タニタ食堂
「タニタカフェ at OFFICE」は2025年2月にサービスを開始したタニタの置き型社食サービスです。オフィス内に設置した冷凍庫からタニタカフェの健康的な食事を自由に選んで食べられます。導入に必要なのは電子レンジのみです。
食事メニューは6種類(ショートパスタ2種、カレー1種、スープ3種)、スイーツメニューは4種類で全10品です。タニタの管理栄養士による健康コラムやレシピの提供、健康ポイント制度など、食事以外の健康づくりサポートも充実しています。
一部地域を除き、2025年8月から全国で展開中です。
運動支援に役立つ福利厚生サービス
定期的に運動する習慣は、従業員の健康にプラスに働きます。生活習慣病やメンタルヘルス不調の予防につながるのはもちろん、高齢者となったときの自立度にも影響するポイントです。自力では運動を習慣化するのが難しい場合でも、企業のサポートにより習慣化につながることが期待できます。
chocoZAP法人会員|RIZAPグループ株式会社
RIZAPがつくった福利厚生サービス「chocoZAP法人会員」は、chocoZAPをはじめとするRIZAPの8ブランドを利用できるサービスです。主となるサービスは全国にある1,700店舗以上(2026年1月時点)のchocoZAPが利用できることで、通勤前後やアポイントの隙間時間を有効活用できます。chocoZAPのコンセプトは「簡単!便利!楽しい」です。コンビニ感覚で気軽に立ち寄ってもらうことで、従業員の健康増進を後押しできます。
嬉しいことに、運動のついでに、エステ・ネイル・ホワイトニングなど自分磨きとなるサービスも利用可能です。エッジの効いたサービスで、採用力や定着率アップの効果も期待できます。気軽に通いやすいため利用率は70%を超えており、健康経営のサポートとしての効果も高いでしょう。なお、企業の担当者向けサービスとして、データヘルスを活用した利用状況の報告があるので、導入効果が可視化できる点も好評です。
メンタルヘルス支援に役立つ福利厚生サービス
従業員の健康の維持増進には、メンタルヘルスのサポートも欠かせません。心身が健康な状態になるよう整えるには、日頃の疲れやストレスを癒やすサービスが役立ちます。
オフィスdeリラックス|株式会社イーヤス
株式会社イーヤスが提供する「オフィスdeリラックス」は、プロの施術師が企業の職場へ定期的に出張訪問し、従業員の心身の疲れやストレスを軽減・解消する、福利厚生サービスです。
現在は、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌と都市部でのみ提供されているサービスですが、導入企業では、利用率90%以上を誇ります。メンタルとフィジカル、両方のヘルスケアには「疲れ」の解消が欠かせないことは多くの人が実感しているでしょう。「オフィスdeリラックス」は従業員の身体に蓄積した疲れに施術師が直接アプローチして、健康促進を手助けする福利厚生サービスといえるでしょう。
また、「オフィスdeリラックス」の利用によりコミュニケーションをはじめとした職場の環境づくりに役立ったという声もあります。従業員のセルフケア意識向上にもつながっているという声もあるそうです。
参考:株式会社イーヤス
健康管理に役立つ福利厚生サービス
従業員が自分の健康に関心を持ち、自らより良い状態を作れるようにするには、健康管理に役立つ福利厚生サービスの導入が有効です。自分の健康状態を客観的に把握することで、従業員一人ひとりが健康上の課題と向き合えるようになります。
kickake(キッカケ)|avivo株式会社
「kickake(キッカケ)」は、健康意識を持つ「キッカケ」になるさまざまなコンテンツを提供している福利厚生アウトソーシングサービスです。
運動教室、健康セミナー、健康・体力チェック、糖尿病予防プログラムなどの他に、企業が健康経営優良法人認定を受けるサポートも行っています。自社に必要な取り組みを組み合わせて利用可能です。
HELPO|ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、発展・普及したものの一つにオンライン診療があります。「HELPO」はオンライン診療をはじめ、体調が悪くなり始めたときや、ちょっとした身体の不安があるときに医師・看護師・薬剤師の医療専門チームに気軽に相談できるヘルスケアアプリです。顔を合わせる機会が減った企業でも、HELPO導入により、従業員の健康に直接働きかけられる福利厚生サービスとして注目を集めています。
HELPOは、導入企業の従業員が受診を迷う程度の身体の不調やメンタルヘルスに関する相談や薬の飲み合わせについてなど、健康にまつわる相談に24時間365日、専門チームがチャットに応じるというサービスです。体調不良時の受診科の選定や健康診断の結果とも結びついた個人の健康相談などにも応じます。従業員本人だけでなく、家族の相談にも対応し、ホームドクターのような役割を果たします。
専用のECモールから、医薬品や日用品の買い物ができるサービスも利用可能です。リモートワークの際などに活用でき、大変心強いサービスといえるでしょう。
また、HELPOの導入は、企業にとっても健康経営優良法人認定の面で有効です。健康経営優良法人の認定を受けるには、毎年申請が必要ですが、HELPOを導入することで「食生活の改善に向けた取り組み」や「女性の健康保持・促進に向けた取り組み」といった要件に当てはまります。
けんさぽ|株式会社Personal Health Tech
ストレスチェックを実施するなら、健康管理業務を任せられる福利厚生アウトソーシングサービス「けんさぽ」が役立ちます。定期健康診断やストレスチェックを一元管理可能です。
健康診断の日程調整や受診勧奨などもできるため、担当者が個別に対応する必要がありません。産業医や保健師との連携サポートも受けられますし、オプションとして健康経営優良法人認定コンサルも利用可能です。
参考:けんさぽ
働き方支援に役立つ福利厚生サービス
健康の維持増進のためには、日々の暮らしに余裕を持てる環境づくりも重要です。従業員の暮らしの負担が減るようなサービスを提供することで、仕事とプライベートを両立しやすくなれば、心身の健康も維持しやすくなるでしょう。
家事代行の福利厚生|株式会社ベアーズ
ベアーズの「家事代行の福利厚生」は、850社以上が導入している福利厚生アウトソーシングサービスです。導入すると従業員がベアーズの生活支援サービスをお得な価格で利用できます。
料理代行・シッター・高齢者支援などの生活支援サービスを受けることで、従業員は時間に余裕を持てるようになります。家事にかかる時間が減り自由に使える時間が増えるため、育児や介護と仕事を両立しやすくなることが期待できる福利厚生サービスです。
参考:家事代行の福利厚生
従業員が自らに必要な支援を選べる福利厚生サービス
従業員の健康上の課題は一人ひとり異なります。従業員が自分に必要なサポートを選んで活用できる仕組みを作るには、多数の支援の中から自ら選んで利用できるサービスが有効です。
ベネフィット・ステーション|株式会社ベネフィット・ワン
「ベネフィット・ステーション」は、加入企業の従業員が映画やショッピング、観光など全国各地140万件以上の施設の割引優待を受けられる総合福利厚生サービスです。業界トップシェアを誇るサービスで導入企業法人は、18,000社(2026年1月時点)を超えています。
ベネフィット・ステーションはレジャー施設などでの利用が知られていますが、健康経営に向けたサービスも多く取り扱っています。たとえば、フィットネス施設や介護サービスの利用割引や健診データと結びつけて従業員の健康状態を可視化する健康支援サービスです。健康支援サービスは、従業員の生活スタイルによって独自の健康ポイントが貯まるシステムとなっており、貯まったポイントはクーポンや商品に交換できます。
また、従業員教育の面にも力を入れており、1講座5~10分、PCやスマートフォンで受講できるeラーニングサービスも提供しています。内定者や新規従業員、リーダー向け研修など多様な講座内容です。人事や労務担当者は、各章ごとに設けられた理解度チェックテストの結果を確認できるため、利用状況の把握もしやすいでしょう。従業員の健康増進だけでなく、エンゲージメントや自己啓発など活用の幅が広いのが魅力です。
参考:ベネフィット・ワン
WELBOX|株式会社イーウェル
株式会社イーウェルの「WELBOX」は、健康経営に着目した総合型福利厚生サービスです。サービスの内容は人間ドックの補助や訪問介護サービスの入会補助、フィットネス施設の利用料金補助などが代表的ですが、女性の社会進出や育児・介護による離職の回避に役立つサービスを多数、企画・提供しています。
ほかにも、総合福利厚生サービスとして、フィットネスやレジャー、買い物、エンタメ、自己啓発といった一般的な福利厚生サービスも利用可能です。健康だけでなく普段の生活や日常の楽しみなど、多様な面から従業員のエンゲージメントを高め、健康経営を実現したいと考えている企業にはおすすめのサービスです。
また、WELBOXはすでに所属している従業員だけでなく、内定者も同様のサービスを受けられます。早期退職の抑制や内定辞退を抑制し、採用活動にも一役買っています。
参考:株式会社イーウェル
ライフサポート倶楽部|リソルライフサポート株式会社
リソルライフサポートが提供する「ライフサポート倶楽部」は、「ウェルビーイング」を意識した健康支援福利厚生サービスに力を入れる、総合福利厚生代行サービスです。
健康支援サービスでは「従業員一人ひとりが、ライフイベントを経ても離職することなく仕事とプライベートの調和を図りながら定年まで元気に働き続けられる従業員を増やすこと」に重点を置きサービスの提供と充実を図っています。
とくに女性活躍支援に注力しており、出産・育児・介護にまつわるサービスを広く提供しています。保養やワーケーションに利用できる施設利用にまつわるサービスもあり、日々の健康管理や息抜きだけでなく、リフレッシュもサポート可能です。
健康経営に取り組むメリット
健康経営に取り組むことで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。代表的なメリットを見ていきましょう。
関連記事:健康経営優良法人とは?認定基準やメリットについてわかりやすく解説
パフォーマンスの向上や生産性アップ
健康経営の実現に向けて、福利厚生の拡充や働きやすい環境の整備に取り組むと、従業員が能力を発揮しやすい職場環境が整います。その結果、従業員のパフォーマンスが高まりやすくなり、生産性の向上が期待できます。
離職率の低下
働きやすい環境が整えば「長く働き続けたい」と考える従業員の割合が高まるため、離職率の低下も実現可能です。離職率が低いことや、その理由である働きやすい環境についてアピールすれば、スムーズな採用にもつながります。
企業イメージの向上
従業員の健康の維持増進に取り組んでいる企業であることは、取引先・顧客・地域社会などにプラスのイメージを与えます。高い企業イメージによる、競合他社との差別化が可能です。
医療費や保険にかかる費用の削減
従業員が心身ともに健康であれば、医療費や保険にかかる費用の削減につながります。企業運営にかかるコストを減らせる可能性がある点も、健康経営に取り組むメリットです。
ESG投資に注目している投資家からの評価の向上
ESG(Environment・Social・Governance)とは、企業の持続可能性と社会的責任を評価する重要な指標のことです。財務情報だけでなく、この指標を取り入れて投資を判断することをESG投資といいます。
近年、投資家のESG投資への注目が高まっていることから、ESGのSocialの1つである健康経営も注目されています。 健康経営に取り組むことで、資金調達の幅が広がりやすくなるかもしれません。
健康経営の取り組みを投資家に紹介するために、経済産業省と東京証券取引所では、「健康経営銘柄」 を共同で評価・選定しています。
関連記事:ESG経営とは?採用力強化と企業価値向上をかなえる新時代の経営戦略
健康経営優良法人とは?
2015年より、経済産業省が主体となり、優れた健康経営を行う企業を健康経営優良法人として表彰する取り組みが始まっています。健康経営優良法人とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む企業のことです。
健康経営優良法人の認定要件
健康経営優良法人の認定を受けるには毎年申請が必要です。大企業・中小企業ともに定められた要件をクリアしている必要があります。
企業の経営・成長戦略や人事・労務に関わる部署の人は健康経営優良法人認定に向けて、クリアできる評価項目と今後対応策を講じるべき評価項目をリストアップするところから始めましょう。
健康経営を進める手順は以下の通りです。
| 手順 | 内容 |
| 1.経営理念・方針発表 | 経営層が健康経営の意義と重要性を認識した上で、経営理念として社内外にアピールするために、文書化した「健康経営宣言」を示す。 |
| 2.組織体制づくり | 専門部署の設置や、人事・労務・総務などバックオフィスの部署への専門のポジション創設、産業医や保険組合などとの連携を行う。 |
| 3.制度・施策実行 | 現状を把握した上で目標を設定したら、作成した計画書に沿って施策を実行する。 |
| 4.評価・改善 | 定期的に結果を評価して、目標を達成していないときには改善策を検討し実施する。 |
| 5.法令遵守・リスクマネジメント | 保険組合や取引先などと連携して、法令遵守やリスクマネジメントに取り組む。 |
これから健康経営優良法人の認定を受ける場合には、1つずつ取り組んでいきましょう。
参考:ACTION!健康経営
関連記事
:健康経営優良法人2026!変更された要件・認定基準とスケジュール
:【2025年版】健康経営のメリット・デメリット|健康経営優良法人認定の手順もチェック
健康経営優良法人認定で評価される福利厚生の取り組み
健康経営優良法人認定では、福利厚生そのものが評価対象となるわけではありません。ただし従業員の健康の維持増進につながる取り組みは、福利厚生につながるものも複数あります。
例えば、食生活を支援する食事補助制度や、運動機会を提供するジムの費用補助などです。これらの福利厚生は、健康経営の実践を支える施策として位置付けられています。
認定取得を最終目的にするのではなく、自社の健康課題に応じた福利厚生の導入・運用が重要です。
健康経営につながる企業独自の福利厚生事例3選
前項で紹介したのは、福利厚生サービスを主幹事業とする企業のサービスです。しかし、中には独自の福利厚生制度を企画・運営することで、健康経営や従業員のワークエンゲージメントを高める企業もあります。健康経営につながる企業独自の福利厚生事例を3つ取り上げましょう。
関連記事:【社労士監修】中小企業も実践!健康経営のユニークな取り組み事例
ZOZO WORKSTYLE|株式会社ZOZO
ECモールZOZOTOWNを運営している株式会社ZOZOは、生産性とワークライフバランスを向上させる目的で働き方の選択肢などの福利厚生を充実させています。たとえば、毎月一律5万円の住宅リモート手当に加え、月額上限15万円の通勤手当(対象は正規・非正規従業員)があり、新幹線や飛行機での出社も可能です。
慶弔休暇(パートナーの性別によらず結婚と同等の手続き完了時に5日)、パートナーの出産時3日の休暇のほかに、子の看護休暇(中学校就学まで取得可)や介護休暇などもあり、ライフステージに応じて従業員のプライベート充実をサポートしています。
「1日の労働時間を6時間でもよい」とする制度「ろくじろう」制度は2019年に廃止されましたが、その後「コアタイムなしのフルフレックスタイム制度」としてパワーアップし、従業員の自由な働き方をより一層サポートしています。本業に影響がなければ、副業も可能です。
このような企業の全面的なサポートにより、従業員のワークライフバランスは向上し、それぞれが終業後はゆっくり休んだり、家族や自分のために思い思いの時間を過ごせたりしているようです。ワークライフバランスの調整や長時間労働の是正は、健康経営、ひいては日本のビジネスシーンにおいて重要な評価項目となっており、ZOZOの取り組みはさまざまな方面から称賛と注目を集めています。
親孝行支援補助金|大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業は、介護が必要な家族をもつ従業員のために、独自の福利厚生整備に注力しています。具体的には「親孝行支援補助金」として「年4回を上限とする帰省旅費の補助金」を支援します。さらに、要介護状態の家族の介護のため「無期限の介護休業」を取得したり、要介護状態にある家族の介護のため、無期限で所定労働時間を1〜2時間短縮したりも可能です。
とくに独自性の高い「親孝行支援補助金」は、従業員が介護にかける経済・体力・心理的なストレスの総合的な軽減につながります。従業員の介護離職を防げれば、人材確保の観点では企業にとっても大きな利益が見込めますが、企業の負担が大きく、今の日本ではなかなか耳にしない福利厚生です。この制度を企画・導入したことだけに着目しても、大和ハウス工業は従業員のワークエンゲージメントに対して、真摯に向き合う企業だといえるでしょう。
少子高齢化社会を見据え、介護に絡んだ福利厚生に取り組む企業は増えると見られています。大和ハウス工業の親孝行支援制度は、今後、健康経営や介護支援制度の観点からパイオニアとしての役割を果たすことになるでしょう。
参考:大和ハウス工業株式会社|生涯現役制度「アクティブ・エイジング制度」介護支援制度「親孝行支援制度」導入
参考:大和ハウス工業株式会社|福利厚生&キャリアパス
在宅勤務環境整備支援強化|株式会社はてな
株式会社はてなでは2020年から「フレキシブルワークスタイル制度」を導入し、従業員が在宅勤務と出社を自由に選択できる環境を整備してきました。多くの従業員が在宅勤務を選んでおり、はてなでは在宅勤務が一般的です。
そこではてなでは、業務効率や快適性に関わるPC、椅子、ディスプレイ、マウス、キーボード等の備品について、より自由に理想の勤務環境を作れるよう制度を見直しました。一定の基準を満たした品質の機種を推奨し、さらに従業員一人ひとりの好みに合わせた選択を可能にし、上限額内であれば支援する形に変更したのです。
入社時の一時金増額と制度変更に伴う準備として特別手当も支給するなど、環境設定支援も充実させ、フレキシブルな働き方を送りやすい環境づくりを後押ししています。
はてなは「働き方に捉われない企業」を目指し、今後も時代に合った柔軟な福利厚生の見直しを重ねていく方針です。フレキシブルワークを推進する先駆的な取り組みとして注目されています。
参考:Hatena|プレスリリース「はてな、在宅勤務環境構築に関わる福利厚生を更新」
健康経営の実現に向けた福利厚生の導入・運用ポイント
健康経営を実現させるためには、従業員の心身のケアに関連する福利厚生を設けることが大切です。健康診断や食事補助といった、健康に密接な福利厚生は健康経営に結びつくものとして想像しやすいですが、レジャーや買い物、旅行などのリフレッシュに使える福利厚生も広い意味では健康経営に役立ちます。
ここでは、健康経営のために福利厚生を導入・運用するポイントをチェックしましょう。
従業員の健康とニーズを把握する
まずは自社の従業員の健康や健康に役立つ制度について、現状を把握しましょう。このとき、制度を以下の3種類に分類すると、その後の整備をしやすくなります。
- 心身のケア目的
- 食生活の改善目的
- 運動不足の解消目的
導入済みの福利厚生が、3種類のうちどれかに偏っていたり、不十分な種類があったりする場合は、目的を満たすために新しい福利厚生を導入する方法が有効です。
例えば、2.食生活の改善目的であれば、初期費用や設備投資がかからず、リモートワークや出張が多い従業員でも平等に使える食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
関連記事:
【2025年版】福利厚生導入の目的とは?経営課題を解決する戦略と実例
健康経営に関するアンケートが示す効果と課題!ウェルビーイングとの関係も
導入後のKPI設定と効果測定
新たな福利厚生を導入するときには、それによってどのような成果を目指すのかあらかじめ決めておくこともポイントです。
例えば「従業員にバランスのよい食事を食べてほしい」という目的で食事補助を導入するなら、KPIには「従業員の平均ランチ代を〇円上げる」「従業員がランチに野菜を使ったメニューを食べる頻度を週〇回にする」などが考えられます。
KPIを設定したら、効果測定も行いましょう。
制度や取り組みの改善
設定したKPIを新たに導入した福利厚生で達成できていない場合には、制度や取り組みの改善が必要です。
例えば、従業員にとって使いにくい制度になっていることが原因でKPIを達成できていないと考えられるなら、制度を設計し直してより使いやすく改善します。
福利厚生の非課税メリット
福利厚生には、企業にも従業員にも非課税メリットがあります。健康経営の実現に向けて福利厚生を拡充するときには、このメリットについても押さえておくとよいでしょう。
【企業】法定外福利厚生のコストは損金算入できる
企業が独自に定める福利厚生である法定外福利厚生にかかる費用を福利厚生費として経費計上するには、以下の3つを満たしていなければいけません。
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全従業員が利用できること
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社会通念上妥当な金額であること
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現物支給であること
この3つを満たしていないばあいには、給与として扱います。福利厚生費も給与も損金に含まれるため、法人税率をかける課税所得を計算するときに、益金から差し引くことが可能です。法人税額がより少なくなる可能性があるでしょう。
関連記事:【税理士監修】福利厚生費は全て非課税?導入時には課税・非課税の要件をチェック
【従業員】要件を満たすと所得税の非課税枠を活用できる
福利厚生の中には、要件を満たしていると、従業員の負担する所得税を増やすことなく支給できるものがあります。例えば、食事補助・社宅・交通費などです。
例えば食事補助であれば、以下の要件を満たしている必要があります。
- 従業員が食事価額の50%以上を負担していること
- 企業負担が1ヶ月あたり7,500円(税別)以下であること
非課税枠を活用することで、同額の賃上げを行うよりも、従業員の実質的な手取り額を増やせる方法です。
健康経営と福利厚生のよくある質問
健康経営と、それに取り組むときに役立つ福利厚生について、よくある質問とその回答を紹介します。
健康経営優良法人の認定を受けるには何から始めればいいですか?
健康経営優良法人の認定を受けるには、まず経営層が健康経営の意義と重要性を認識する必要があります。文書で「健康経営宣言」示し、社内外へ自社の健康経営の取り組みをアピールしていくことも必要です。
その上で、認定を受けるために必要な要件を満たすための制度を整備しましょう。
2026年4月からの食事補助の非課税枠はいくらですか?
食事補助の非課税枠は2026年4月から月7,500円(税抜)に引き上げられました。非課税枠の範囲内かつ、従業員が同額以上の食事代を負担している場合、従業員の納める所得税額を増やすことなく食事補助を支給できます。
中小企業でも健康経営の福利厚生は導入できますか?
健康経営に役立つ福利厚生は、中小企業でも導入できます。手間やコストを抑えつつ導入するには、福利厚生サービスを活用したアウトソーシングが便利です。
福利厚生で健康経営を目指そう
健康経営は、今後あらゆる国内企業が成長・維持を続けるために必要な取り組みです。健康経営優良法人に認定されると、国や地方自治体からさまざまなインセンティブや補助金が受けられます。人材確保の観点からも健康経営優良法人はイメージが良く有利なため、多くの大企業や中小企業が認定を受けるために動き出しています。
健康経営には、従業員の心身のケアや運動機会創出に役立つ福利厚生を取り入れるのが早道です。自社の健康課題に合わせた福利厚生を導入するとよいでしょう。
バランスの良い食事の提供に課題がある場合には、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の導入が健康経営の実現に役立ちます。まずは資料請求でサービスの詳細を確認してみませんか。
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