監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
食事代は仕事のためのものであれば経費として計上できます。ただし目的や相手によって計上できる勘定科目が異なる点に注意しましょう。2026年4月からは食事補助の非課税上限も引き上げられています。どの勘定科目に分類すべきかをスムーズに判断できるよう、最新情報を踏まえてポイントを解説します。
食事代は仕事に関係するものなら経費にできる
食事代は仕事に関連するものであれば経費にできます。食事代を経費として計上するときに用いる勘定科目は「会議費」「交際費」「福利厚生費」などです。
客観的に見て必要性があいまいな場合には、経費として認められない可能性があります。
業務と関連のある支出であることを証明できるよう、受け取った領収書とともに、会議や接待の目的、参加者の氏名や役職などを記録を残しておくとよいでしょう。
仕事をする上で必要な食事代かどうかは、一緒に食事をした相手のみで決まるわけではありません。取引先の人物との食事であってもプライベートな食事であれば経費にはできませんし、友人との食事であっても仕事に関係する食事であれば経費にできます。
食事代の勘定科目は目的に応じて使い分ける
食事代を経費として計上するときには、目的に合う勘定科目を用いるのがポイントです。
ここでは、食事代を計上するときに使う代表的な4つの勘定科目を一覧にまとめました。
| 勘定科目 | 主な目的 | 対象者 | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 会議費 | 商談・打ち合わせ | 社内外問わず | 業務上の会議や打ち合わせに伴う飲食であること |
| 交際費 | 接待・交際 | 取引先など社外 | 取引先などとの飲食を通じた接待・交際を目的としていること |
| 福利厚生費 | 従業員の生活支援 | 全従業員 | 従業員のための支出で、社会通念上妥当と認められること |
| 旅費交通費 | 出張などに伴う費用補助 | 出張する役員や従業員 | 出張旅費規程などに基づく日当や、出張に伴う費用として処理する場合 |
ここでは、適切な勘定科目を選択できるよう、それぞれの特徴を解説します。
関連記事:【税理士監修】福利厚生費の飲食における上限は?会議費や交際費との違いも
会議費
「会議費」とは、会議を開催するときにかかる会場代・資料代などの費用を計上する勘定科目です。取引先との商談や打ち合わせを目的とした食事をしたときには、食事代を会議費として計上するケースもあります。
食事代などの費用を会議費として計上するには、会議の実態を証明する書類を保存しておかなければなりません。具体的には、議事録や、会議の参加人数、参加者氏名をメモした領収書などが該当します。
アルコールを含む飲食や、会場が居酒屋であるケースは、仕事との明確な関連がある場合に限り会議費として認められるでしょう。
関連記事:食事補助とは?福利厚生に導入するメリットや種類・支給の流れを解説
交際費
「交際費」は取引先など社外への接待や懇親を通じて、ビジネスを円滑に進めるための支出を計上する勘定科目です。接待のための飲食にかかった費用はもちろん、お中元やお歳暮などの贈答品にかかった費用なども交際費に含まれます。
法人税法上、原則として交際費は損金に計上できません。ただし適切な会計処理をしていても、ある程度の交際費は発生するのが一般的であることから、国税庁は企業規模ごとに以下のように一定の損金算入を認めています。
|
資本金額 |
損金算入限度額 |
|
1億円以下 |
以下いずれかを適用 |
|
1億円超100億円以下 |
・接待飲食費×50%まで |
|
100億円超 |
・なし(全額損金不算入) |
関連記事:【税理士監修】交際費等の損金不算入制度の延長・拡充を解説【令和6年度税制改正】
福利厚生費
「福利厚生費」は、従業員の生活向上や働きやすい環境作りを目的とした支出を計上する勘定科目です。福利厚生費として認められるには、以下の条件を満たしていなければいけません。
- 全ての従業員が対象
- 社会通念上妥当な金額
- 現金による支給ではない
要件を満たしていれば、従業員に提供する食事代にかかる費用を、福利厚生費として計上可能です。
旅費交通費になるケース
出張に伴って発生する食事代は「旅費交通費」として計上できるケースがあります。企業が出張旅費規程などに基づいて支給する日当に食事代が含まれている場合などです。
一方、出張先で従業員が個人的に食事をしたからといって、その食事代をそのまま「旅費交通費」として計上できるわけではありません。
会社が実費精算するのか、規程に基づいて日当を支給するのかなど、自社の出張旅費の取り扱いルールに応じて判断する必要があります。
交際費の1万円ルールを確認
取引先などとの飲食にかかった費用は、目的や実態によって交際費に該当する場合があります。ただし、一定の要件を満たす飲食費については、1人あたり1万円以下(2024年3月31日以前の食事代であれば5,000円以下)であれば交際費から除外できます。
なお、1万円以下であることだけを理由に「会議費」になるわけではありません。実際の支出目的に応じて、会議費や福利厚生費など適切な勘定科目を判断します。
1万円ルールの判定は「税込」「税抜」どちらの金額?
「ひとりあたり1万円以下」の判定は、自社の経理方式によって基準となる金額が変わります。
- 税抜経理方式を採用している場合:税抜1万円(消費税を含めると11,000円)までが基準
- 税込経理方式を採用している場合:消費税を含めた1万円までが基準
同じ飲食代でも、経理方式によって基準が異なるため、自社がどちらの経理方式を採用しているかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
参考:国税庁|No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理
1万円ルールの適用を受けるためには書類の保管が必要
交際費の1万円ルールを適用するには、以下の必要項目を明記した書類を保管していなければいけません。
(1)飲食等のあった年月日
(2)飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
(3)飲食等に参加した者の数
(4)その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
(5)その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項
出典:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁
1万円ルールの対象となる飲食費については、必要項目を記した書類を保存したうえで、支出の目的や実態に応じて適切に会計処理します。
事例で解説!この食事代は経費にできる?できない?
仕事に関係する食事代が発生したとき、経費にできるのかできないのか、できるとしたらどの勘定科目を使うべきかなどは、判断に迷うこともあります。ここでは判断の参考になるよう、具体的な事例をチェックしましょう。
社内のランチミーティング
社内会議を兼ねているランチミーティングであれば、「会議費」として計上できます。経費計上の根拠として、日時・参加者などが分かるメモや領収書などを保管しておきましょう。
社内のメンバーでとるアルコールを含む昼食
アルコールを含む昼食は、事業上の打ち合わせに必要な場合など、仕事との関連性が明確で社会通念上適切な範囲の金額であれば「会議費」として計上できます。
仕事との関連が明確でない場合、アルコールを含む昼食は通常の食事や親睦を目的とした飲食として扱う必要があるでしょう。福利厚生費として計上できるかどうかは、対象者や支出の目的、金額などを踏まえて判断します。
社内の親睦会としての食事
全ての従業員を対象とした親睦会など、従業員の慰安を目的とした食事は、費用を「福利厚生費」と計上できます。一部の従業員を対象としている場合には、福利厚生費として認められるか確認が必要です。
社内のメンバーで行うオンライン会議中の食事
オンライン会議中の食事も「会議費」で計上できます。会議の議事録や、開催日時・参加者一覧が分かる資料も併せて保管しておくと、税務調査の際にも安心です。
取引先との会議での食事
取引先との会議に伴う飲食費は、会議や打ち合わせの実態があり、その支出が業務上必要なものであれば、会議費として処理するケースがあります。
会議費にはひとりあたりの食事代の上限は決められていません。会議の実態があり、必要と認められる範囲内であれば、ひとりあたり1万円を超えていても計上できます。
取引先との接待での食事
取引先との接待を目的とした食事代は、原則として「交際費」に該当します。取引先など社外の関係者との飲食を通じて、親睦を深めたり、取引を円滑に進めたりするための支出だからです。
ただし、一定の要件を満たす飲食費については、1人あたり1万円以下であれば、交際費から除外できる制度があります。この交際費から除外された食事代は、支出目的に応じて適切な勘定科目で計上しましょう。
ひとりで食べる食事
勤務中の食事をひとりで食べる場合、食事代は仕事に必要な経費ではなく、個人の食費と捉えられます。「会議費」「交際費」「福利厚生費」のいずれにもあたらず、経費として計上できません。
出張先でひとりで食べる食事
出張中にひとりで食べる食事は、通常の食事として経費にならない場合と、旅費規程にもとづいて旅費交通費になる場合があります。
出張中の食事代を一律に「経費にならない」と考えるのではなく、自社の旅費規程や精算方法を確認する必要があります。
残業したときの食事
会社が残業中の従業員に対して、食事を現物で支給する場合は、無料で支給しても給与として課税されません。弁当やケータリングなどを用意するケースです。
コンビニで購入した食事やドリンク
勤務中に従業員がコンビニで食事やドリンクを購入した場合、原則として個人の食費として捉えられるため、経費として計上できません。
仕事で利用したカフェでのドリンク代
取引先との打ち合わせなど、業務上の会議・商談のために利用したカフェのドリンク代は、「会議費」として処理するケースがあります。
一方、単に仕事をするために一人で利用したカフェの飲食代は、業務との関連性を説明できるかどうかを含めて個別に判断する必要があります。
従業員の食事代を福利厚生費にするには?
従業員が仕事中にとる食事の費用は、福利厚生の一環として食事補助を導入すると、福利厚生費として経費計上できます。
また食事補助は、一定の要件を満たして導入すると、所得税の非課税枠を活用可能です。ここでは食事補助を非課税で従業員に支給するための要件についても見ていきましょう。
食事補助を非課税にするための条件
食事補助は以下の2つの要件を満たしていれば、給与として扱われず所得税が課税されません。
- 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担している
- 「(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)」の金額が1カ月当たり消費税別7,500円以下である
この非課税上限額は、2026年4月1日支給分の食事より、従来の月額3,500円(税別)から7,500円(税別)へと引き上げられています。
では、具体例を見ていきましょう。1カ月あたり12,000円の食事代のうち、企業と従業員が6,000円ずつ負担している場合、必要な要件を満たしているため、従業員に支給しても所得税は課税されません。
ただし1カ月あたり12,000円の食事代でも、企業が7,000円、従業員が5,000円を負担している場合には、「役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担している」という要件を満たしておらず給与として扱われて課税対象となります。
なお、現金で食事代を支給する場合、原則として福利厚生費にはできません。深夜勤務で夜食を支給できない場合に限り、1回あたり消費税別650円以下(改正前:300円以下)の食事補助は、所得税の課税対象外です。こちらも2026年4月1日以後に支給する分から適用されています。
参考:No.2594 食事を支給したとき|国税庁
参考:国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
深夜勤務者への食事代の現金支給を所得税非課税にする条件
食事補助は原則として、現金で支給すると所得税非課税になりません。
ただし正規の勤務時間が午後10時から翌日午前5時までにかかる深夜勤務者へ支給する場合、食事の現物支給が難しいこともあるため、1回あたり消費税別650円以下(2026年4月1日以降。改正前:300円以下)の現金支給であれば非課税です。
単に残業が22時を超えただけの通常勤務者には、この現金支給の特例は適用されない点に注意しましょう。
従業員の食事代を福利厚生費にできる「チケットレストラン」
従業員の食事代を福利厚生費として計上するには、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
導入した企業の従業員は、全国にある25万店舗以上の加盟店で、食事やドリンクなどを購入できます。
例えば株式会社sumarch(導入事例)では「チケットレストラン」を導入したことで、サラダやスープなど健康を意識した食事を購入する従業員が増えた他、息抜きにカフェやコンビニでコーヒーやスイーツを購入する機会が増えたそうです。
食事補助として日本で約40年、世界6,000万人に利用されてきた実績と安心のサポート体制が高く評価され、すでに 4000社以上が導入する人気サービスとなっています。
関連ページ:食事補助を福利厚生で導入するならチケットレストラン
食事代を経費にするときの注意点
食事代を経費にするときにはいくつかの注意点があります。正しく計上するために確認しておきましょう。
「雑費」への丸投げに注意
どの勘定科目に当てはまるか判断に迷った食事代を、安易に「雑費」としてまとめて処理するのは避けたい対応です。会議費・交際費・福利厚生費など他の勘定科目にあたるかを都度整理し、判断に迷う場合は税理士に確認するとよいでしょう。
なお、飲食店経営者やグルメライターなどがメニュー開発や記事執筆を目的として行う飲食は、内容によって「取材費」や「研究費」といった勘定科目で計上できる場合もあります。自社の業種に特有の計上方法がないか、あわせて確認しておくと安心です。
個人事業主は家事費と区別する
個人事業主の場合には、仕事に関連する食事代と、プライベートの食事代を明確に分けることも重要です。
例えば領収書に、一緒に食事をした相手や、食事の目的などを記載しておけば、プライベートの食事と区別をつけやすくなります。
食事代と経費に関するよくある質問
食事代を経費として計上するときに、よくある質問もチェックしましょう。
食事代は経費として計上できますか?
仕事に関連する食事代であれば、経費として計上できます。どの勘定科目を用いるかは、目的によって異なるため、ケースごとに判断が必要です。
食事代の勘定科目は何にすればよいですか?
食事代を経費計上するときの勘定科目には、会議費・交際費・福利厚生費などがあります。
取引先との打ち合わせや社内会議を目的とした食事であれば「会議費」、接待を目的とした食事であれば「交際費」として計上するのが一般的です。
従業員の昼食代を福利厚生費にできますか?
食事補助などの方法で従業員に食事を提供する場合、食事代を福利厚生費として計上できます。一定の要件を満たして導入すれば、所得税非課税での支給も可能です。
食事代を経費にするときは目的や支出の内容を確認しよう
仕事に関連する食事代は経費として、主に「会議費」「交際費」「福利厚生費」などで計上できます。勘定科目の特徴を把握して正しく処理しましょう。
従業員へ支給する食事代を福利厚生費として計上するなら、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。一定の利用条件下であれば所得税が非課税になるため、従業員の実質的な手取り額アップにもつながります。
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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和
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