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「同一労働同一賃金」の"おかしい"現状|日本と海外の違いから解説

2024.05.23

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広く浸透しつつある「同一労働同一賃金」の考え方ですが、その適用について「おかしい」と、不満の声も聞かれるのが実情です。その理由はいったいなぜなのか、「同一労働同一賃金」にまつわる日本と海外との考え方や、適用方法の違いをもとに解説します。「同一労働同一賃金」に対する従業員の不満を理解・解消し、企業価値を高めるヒントとしてぜひ参考にしてください。

「同一労働同一賃金」の"おかしい"現状|日本と海外の違いから解説同一労働同一賃金とは何か

「同一労働同一賃金」とは、正社員と非正規雇用の従業員の間にある、不合理な待遇差を解消することを目的とした考え方です。賃金だけでなく、福利厚生や教育訓練の機会なども対象となります。2020年4月から大企業に、2021年4月からは中小企業にも適用されました。

同一労働同一賃金の法的根拠は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)」です。厚生労働省は「同一労働同一賃金ガイドライン」を策定し、不合理な待遇差解消に向けた指針を示しています。ガイドラインに沿った対応を怠ると、行政による助言・指導・勧告・企業名公表の対象となる可能性がありますが、罰則規定はありません。

参考:厚生労働省|パートタイム・有期雇用労働法が施行されます
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドライン

関連記事:【社労士監修】働き方改革関連法とは?改正のポイントと企業が取るべき対策

正社員から見た同一労働同一賃金の"おかしさ"

同一労働同一賃金の導入により、非正規雇用労働者の待遇改善が進む一方で、正社員からは「おかしい」「ずるい」といった不満の声が上がっているという事実もあります。その背景には、正社員の働き方や負担に見合った処遇がなされていないという認識があるようです。詳しく見ていきましょう。

正社員の不満の原因1:仕事の質や責任の違いが考慮されていない

正社員は、非正規従業員と比べ、高度な専門性や管理責任が求められる傾向にあります。それにもかかわらず、同一労働同一賃金の適用により、その差が十分に反映されていないと感じる正社員は少なくないようです。この不満を解消するには、職務の内容や責任の違いに応じた明快な処遇のあり方が求められます。

正社員の不満の原因2:求められるスキルやリスクが考慮されていない

正社員は、非正規従業員と比べて将来のキャリアにまつわるチャンスが多く与えられるのが一般的です。しかし、それは同時に、幅広い業務経験やスキルの習得を求められるということでもあります。

特に待遇差の根拠が明確でない場合、転勤などのリスクも踏まえ「正社員特有の事情が待遇面で適切に評価されていない」との不満につながる傾向にあるようです。

同一労働同一賃金に関連する"おかしい"現状

同一労働同一賃金の導入は、一定の前進を見せつつも、"おかしな"現状が残されています。詳しく見ていきましょう。

中小企業限定の猶予期間

同一労働同一賃金は、大企業では2020年4月から適用されましたが、中小企業については2021年4月まで1年間の猶予期間が設けられました。同一労働同一賃金への対応には、職務分析や賃金制度の見直しなど、時間と労力を要する作業が必要なため、大企業と比べて人員や資金に制限のある中小企業に猶予が設けられたことは妥当といえます。

一方で、大企業と中小企業で適用時期に差を設けたことで、労働者の待遇改善時期について企業間でのバラつきが生じました。中小企業で働く非正規従業員は、待遇改善の恩恵を受けるまでに1年間の遅れが生じることになったのです。

性別ごとの雇用形態の違い

内閣府男女共同参画局の調査によると、2021年の非正規雇用労働者約2065万人のうち、男性は652万人(21.8%)・女性約1,413万人(53.6%)で、女性の割合が圧倒的に多い傾向にあります。また、女性一般労働者の給与水準は、男性一般労働者の約7.5割に過ぎません。

同一労働同一賃金の適用は、雇用形態の違いを原因とする不合理な待遇差を是正するものです。同一労働同一賃金が浸透する中で、男女間の待遇差も是正されることが期待されています。

参考:内閣府男女共同参画|2-7図 正規雇用労働者と非正規雇用労働者数の推移(男女別)
参考:内閣府男女共同参画局|男女間賃金格差(我が国の現状)

フルタイム無期雇用労働者は対象外

同一労働同一賃金の対象となるのは、有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者に該当する非正規従業員です。契約社員などから契約更新を重ねてフルタイム無期雇用労働者に転換した人材に、同一労働同一賃金は適用されません。

無期雇用への転換にあたっては、それまでの労働条件が引き継がれるのが一般的です。その時点での労働条件に、正社員の労働条件と比較して不合理な待遇差があったとしても、同一労働同一賃金からは除外されます。

つまり、フルタイム無期雇用労働者は、確かなスキルや実績によってフルタイム無期雇用労働者へ転換しているにもかかわらず、同一労働同一賃金の対象となっている非正規従業員よりも、悪条件で勤務し続けなければならない可能性があるのです。

再雇用者の賃金格差

定年退職後に元勤務先へ再雇用される場合、賃金の大幅な減少が慣例化しています。しかし、同一労働同一賃金は、定年後の再雇用にも適用されます。

ただし、正社員と再雇用者との賃金が同じである必要はありません。というのも、最高裁は、正社員と再雇用者とのあいだに仕事の幅や責任の違いがある可能性を踏まえ、ケースバイケースで対応するべきとの判断を下しているからです。

なお、賃金格差の合理性の判断について、最高裁は「仕事内容や責任の違い以外にも、基本給の性質や目的、労使交渉の経緯なども十分に考慮すべき」と述べています。賃金格差の合理性の説明が求められる場合、企業はこれらの点も踏まえる必要があるでしょう。

参考:裁判所 - Courts in Japan|裁判例結果詳細

【同一労働同一賃金】日本と海外との違い

同一労働同一賃金は、日本と海外とでは大きく異なる考え方や適用方法が取られています。その違いこそ、日本における同一労働同一賃金の"おかしな現状"の原因といっても大げさではありません。三つのポイントから解説します。

普及した経緯

欧米諸国の同一労働同一賃金は、性別・人種・障がい・宗教などによる差別を禁止する「人権保障」の原則と結びついて発展してきました。1944年にILO(国際労働機関)で採択されたフィラデルフィア宣言や、EU指令などを通じて広く普及してきた歴史があります。

一方、日本の同一労働同一賃金論は、正規・非正規間の格差是正が主眼であり、企業別に適用される点や、職能給・年功給といった属人基準賃金の上に成り立っている点で、欧米とは大きく異なります。

参考:International Labour Organization|ILO憲章、フィラデルフィア宣言
参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|「同一労働同一賃金の実現に向けて」

法的拘束力の違い

欧州では、EU指令により同一労働同一賃金が義務付けられています。また、アメリカでも差別的扱いへの立証責任が企業側に課されています。

一方、日本では、同一労働同一賃金は努力義務にしか過ぎません。法的拘束力の面でも、欧米との違いが際立っているのが現状です。

基準の違い

欧米では、職種別労働市場で同一労働同一賃金が適用され、職務基準賃金が前提となっています。職種別に明確な賃金の基準が存在するため、同一労働同一賃金の実践もスムーズです。

対照的に、日本では、同一労働同一賃金が企業別に適用され、職能給や年功給を前提に議論されています。職務基準に移行している欧米との違いが浮き彫りになっています。

【同一労働同一賃金】企業に求められる取り組み

日本企業が同一労働同一賃金の"おかしさ"を解消し、真の意味での公正な待遇を実現するためには、どのような取り組みが求められるのでしょうか。主なポイントを紹介します。

職務基準賃金への移行

日本企業の多くは、職能給や年功給といった属人基準の賃金制度を採用しています。同一労働同一賃金の実現には、職務の内容や責任に基づく職務基準賃金への移行が不可欠です。そのためには、各企業はもちろんのこと、社会全体での人事制度の抜本的な見直しが必要といえます。

非正規雇用のあり方の見直し

同一労働同一賃金の実践は、正社員と非正規従業員の待遇差を縮めることが目的です。しかし、それだけで十分とはいえません。非正規雇用のあり方そのものを見直し、雇用の安定性やキャリア形成の機会を高めていく必要があります。

専門家の支援を活用した着実な取り組み

同一労働同一賃金への対応は、法律の理解から、自社の雇用管理制度の見直しまで、幅広い知識と経験が必要です。社会保険労務士などの専門家や、行政の支援制度を有効に活用しながら、自社の体制に合わせて着実に取り組んでいくことが肝要です。

トータルな報酬設計の見直し

同一労働同一賃金への取り組みは、企業にコストの増加をもたらします。負担を最小限に抑えるには、賃金だけでなく、福利厚生を含めたトータルな報酬設計の視点が欠かせません。

例えば、福利厚生を拡充することで、非正規を含む従業員に非金銭的な報酬を提供し、従業員満足度を高めることができます。また、福利厚生費用は、一定の条件を満たせば損金算入が認められるため、税務面でのメリットも期待できます。賃金と福利厚生のバランスを最適化することで、総報酬コストの適正化を図ることが可能です。

非正規従業員も利用できる食事補助「チケットレストラン」

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チケットレストラン」は、専用のICカードを利用することにより、従業員の食事代を企業が半額負担するサービスで、全国25万店舗以上の加盟店で利用できます。勤務時間内であれば、場所や時間を問わず利用できるため、業種や職種も問いません。

非正規従業員へも正社員と同様に提供できる、非正規従業員の処遇改善を進める企業にぴったりのサービスです。

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同一労働同一賃金の実現に向けて

日本における同一労働同一賃金は、導入から3年が経過した現在も、"おかしな"運用の実態が残されており、海外とは異なる課題を抱えています。

同一労働同一賃金の本質は、単なる待遇差の解消ではなく、雇用形態にかかわらず公正な処遇を実現することにあります。そのためには、職務基準賃金への移行や、非正規雇用のあり方の見直しなど、雇用管理制度の抜本的な改革が必要です。

企業の人事労務担当者や経営層には、制度の理念を理解し、自社の実情に合った着実な取り組みを進めていくことが期待されています。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような福利厚生もじょうずに利用しつつ、同一労働同一賃金を実践しましょう。

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