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「同一労働同一賃金」の"おかしい"現状|日本と海外の違いから解説

公開日: 2024.05.23

更新日: 2026.05.20

「同一労働同一賃金」の

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
広く浸透しつつある「同一労働同一賃金」の考え方ですが、その適用について「おかしい」と、不満の声も聞かれるのが実情です。本記事では、「同一労働同一賃金」にまつわる日本と海外との考え方や、適用方法の違いをもとに解説。「同一労働同一賃金」に対する従業員の不満を理解・解消し、企業価値を高めるヒントとしてぜひ参考にしてください。

同一労働同一賃金とは何か

「同一労働同一賃金」とは、正社員と非正規雇用の従業員の間にある、不合理な待遇差を解消することを目的とした考え方です。賃金だけでなく、福利厚生や教育訓練の機会なども対象となります。2020年4月から大企業に、2021年4月からは中小企業にも適用され、現在(2026年5月)はすべての企業が対応義務を負っています。

同一労働同一賃金の法的根拠は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)」です。厚生労働省は「同一労働同一賃金ガイドライン」を策定し、不合理な待遇差解消に向けた指針を示しています。ガイドラインに沿った対応を怠ると、行政による助言・指導・勧告・企業名公表の対象となる可能性がありますが、罰則規定はありません。

なお、施行から5年が経過したことを踏まえ、2026年4月に同ガイドラインが初めて改正されました。家族手当・住宅手当など新たな待遇項目の基準が追加され、同年10月1日から適用される予定です。

参考:厚生労働省|パートタイム・有期雇用労働法が施行されます
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドライン
参考:同一労働同一賃金特集ページ 
参考:厚生労働省|パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)

関連記事:【社労士監修】働き方改革関連法とは?改正のポイントと企業が取るべき対策

正社員から見た同一労働同一賃金の"おかしさ"

同一労働同一賃金の導入により、非正規雇用労働者の待遇改善が進む一方で、正社員からは「おかしい」「ずるい」といった不満の声が上がっているという事実もあります。その背景には、正社員の働き方や負担に見合った処遇がなされていないという認識があるようです。詳しく見ていきましょう。

正社員の不満の原因1:仕事の質や責任の違いが考慮されていない

正社員は、非正規従業員と比べ、高度な専門性や管理責任が求められる傾向にあります。それにもかかわらず、同一労働同一賃金の適用により、その差が十分に反映されていないと感じる正社員は少なくないようです。

この不満を解消するには、職務の内容や責任の違いに応じた明快な処遇のあり方が求められます。

関連記事:【社労士監修】同一労働同一賃金とは?企業が知っておくべき基本と取り組み手順

正社員の不満の原因2:求められるスキルやリスクが考慮されていない

正社員は、非正規従業員と比べて将来のキャリアにまつわるチャンスが多く与えられるのが一般的です。しかし、それは同時に、幅広い業務経験やスキルの習得を求められるということでもあります。

特に待遇差の根拠が明確でない場合、転勤などのリスクも踏まえ「正社員特有の事情が待遇面で適切に評価されていない」との不満につながる傾向にあるようです。

同一労働同一賃金に関連する"おかしい"現状

同一労働同一賃金の施行から5年以上が経過した現在、一定の前進を見せつつも、いまだおかしな現状は残されています。詳しく見ていきましょう。

2026年10月改正のポイント

施行から5年が経過したことを踏まえ、2026年4月28日に同一労働同一賃金ガイドラインが初めて改正されました(2026年10月1日適用)。

これにより、これまでガイドラインに記載がなかった待遇について、新たに判断基準が示されています。

例えば、継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者への家族手当の支給、転居を伴う配置変更がある場合の住宅手当の支給、業務内容等が同一であれば無事故手当・夏季冬季休暇・褒賞も同一に付与することが明示されました。

また、「正社員の採用・定着を図る目的があるから」というだけでは、待遇差が合理的と認められないことも明記されました。さらに、不合理な待遇差を解消する手段として正社員の待遇を引き下げることは望ましくない旨も強調されています。

参考:厚生労働省|同一労働同一賃金特集ページ

フルタイム無期雇用労働者は原則対象外

フルタイム無期雇用労働者は、パート・有期法の直接の対象ではありませんが、完全に無関係とも言い切れないケースがあります。

同一労働同一賃金の対象となるのは、有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者です。そのため、契約更新を重ねてフルタイム無期雇用に転換した労働者は、直接の適用対象とはされていません。

これは転換時点の労働条件が引き継がれることによるもので、正社員との不合理な待遇差が残っていても、同様の保護が及ばない場合があります。

ただし、2026年10月施行の改正ガイドラインでは、無期雇用フルタイム労働者についても「ガイドラインの趣旨が考慮されるべき」と明記されました。法の対象外であっても、均衡のとれた待遇が求められる方向に流れは変わっています。

関連記事:【社労士監修】無期労働契約とは?無期転換ルールにまつわる基礎知識を徹底解説

再雇用者の賃金格差

定年退職後に元勤務先へ再雇用される場合、賃金の大幅な減少が慣例化しています。しかし、同一労働同一賃金は定年後の再雇用にも適用されます。

正社員と再雇用者との賃金が完全に同じである必要はありませんが、改正ガイドラインは「定年後に継続雇用された者であることのみをもって、直ちに待遇差が不合理ではないと認められるものではない」と明記しています。

仕事の内容・責任の程度・配置変更の範囲などに基づいた合理的な説明が求められます。

関連記事:【社労士監修】定年後再雇用制度とは|2025年法改正は?65歳以上の雇用はどうなる?

【同一労働同一賃金】日本と海外との違い

同一労働同一賃金は、日本と海外とでは大きく異なる考え方や適用方法が取られています。その違いこそ、日本における同一労働同一賃金の"おかしな現状"の原因といっても大げさではありません。三つのポイントから解説します。

普及した経緯

欧米諸国の同一労働同一賃金は、性別・人種・障がい・宗教などによる差別を禁止する「人権保障」の原則と結びついて発展してきました。1944年にILO(国際労働機関)で採択されたフィラデルフィア宣言や、EU指令などを通じて広く普及してきた歴史があります。

一方、日本の同一労働同一賃金論は、正規・非正規間の格差是正が主眼であり、企業別に適用される点や、職能給・年功給といった属人基準賃金の上に成り立っている点で、欧米とは大きく異なります。

参考:International Labour Organization|ILO憲章、フィラデルフィア宣言
参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|「同一労働同一賃金の実現に向けて」

法的拘束力の違い

欧州では、EU指令により同一労働同一賃金が義務付けられています。また、アメリカでも差別的扱いへの立証責任が企業側に課されています。

一方、日本では、法令上、不合理な待遇差は禁止されている一方で、その具体的な判断基準はガイドラインに委ねられています。法的拘束力の面でも、欧米との違いが際立っているのが現状です。

基準の違い

欧米では、職種別労働市場で同一労働同一賃金が適用され、職務基準賃金が前提となっています。職種別に明確な賃金の基準が存在するため、同一労働同一賃金の実践もスムーズです。

対照的に、日本では、同一労働同一賃金が企業別に適用され、職能給や年功給を前提に議論されています。職務基準に移行している欧米との違いが浮き彫りになっています。

【同一労働同一賃金】企業に求められる取り組み

日本企業が同一労働同一賃金の"おかしさ"を解消し、真の意味での公正な待遇を実現するためには、どのような取り組みが求められるのでしょうか。主なポイントを紹介します。

職務基準賃金への移行

日本企業の多くは、職能給や年功給といった属人基準の賃金制度を採用しています。

同一労働同一賃金の実現には、職務の内容や責任に基づく職務基準賃金への移行が不可欠です。そのためには、各企業はもちろんのこと、社会全体での人事制度の抜本的な見直しが求められます。

関連記事:【社労士監修】ジョブ型人事制度とは。給与の仕組みやメリットを解説

非正規雇用のあり方の見直し

同一労働同一賃金の実践は、正社員と非正規従業員の待遇差を縮めることが目的です。しかし、それだけで十分とはいえません。非正規雇用のあり方そのものを見直し、雇用の安定性やキャリア形成の機会を高めていく必要があります。

2026年の改正では「継続的な勤務が見込まれる非正規労働者」への待遇改善について判断基準が明確化されており、長期雇用の実態に応じた制度整備がより重要になっています。

専門家の支援を活用した着実な取り組み

同一労働同一賃金への対応は、法律の理解から、自社の雇用管理制度の見直しまで、幅広い知識と経験が必要です。社会保険労務士などの専門家や、行政の支援制度を有効に活用しながら、自社の体制に合わせて着実に取り組んでいくことが肝要です。

トータルな報酬設計の見直し

同一労働同一賃金への対応において、賃金の直接引き上げだけが手段ではありません。福利厚生の拡充は、雇用形態を問わず公平に付与できるうえ、一定の条件を満たせば損金算入が認められるため、賃金引き上げと比べてコスト効率の高い選択肢です。

例えばガイドラインでは、慶弔休暇や食事手当など各種福利厚生についても、同一の付与・支給が求められています。こうした観点からも、福利厚生の整備は待遇差解消の「最初の一手」として有効です。

非正規従業員も利用できる食事補助「チケットレストラン」

新たな福利厚生を検討する企業の多くに選ばれているのが、食事補助の福利厚生として日本一の実績を持つ、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、専用のICカードを利用することにより、従業員の食事代を企業が半額負担するサービスで、全国25万店舗以上の加盟店で利用できます。

勤務時間内にとる食事の購入であれば、利用する場所や時間も問いません。正社員・パートタイム・有期雇用を問わず、すべての従業員に完全に同一の条件で提供可能です。

「正規と非正規で待遇が違う」という現場の"おかしさ"を解消する第一歩として、まず福利厚生から着手したい企業に選ばれているサービスです。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
関連記事:【社労士監修】福利厚生の見直しはどう進める?ポイントを徹底解説!
関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ

同一労働同一賃金の実現に向けて

日本における同一労働同一賃金は、施行から5年以上が経過した現在も、"おかしな"運用の実態が残されており、海外とは異なる課題を抱えています。さらに2026年10月には指針が初めて改正され、家族手当・住宅手当など新たな待遇項目の基準が明示されました。一度対応済みの企業も、改めて自社の状況を確認する必要があります。

同一労働同一賃金の本質は、単なる待遇差の解消ではなく、雇用形態にかかわらず公正な処遇を実現することにあります。そのためには、職務基準賃金への移行や、非正規雇用のあり方の見直しなど、雇用管理制度の抜本的な改革が必要です。

企業の人事労務担当者や経営層には、制度の理念を理解し、自社の実情に合った着実な取り組みを進めていくことが期待されています。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような福利厚生もじょうずに利用しつつ、同一労働同一賃金を実践しましょう。

関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も

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社会保険労務士 吉川明日香

社労士と民間企業の人事部で働くハイブリッド型社労士。労働者、経営者、人事担当者それぞれの視点から、バランスのとれたサポートを心がけています。子育て世代の生活環境や就業環境の課題を探るために保育士の資格を取得し、特定の専門分野を作らず、給与計算、手続き業務、労務相談、助成金等、幅広く実践的なアドバイスを行っています。
吉川社会保険労務士事務所
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