春闘2026の賃上げ率は、4~5%の水準が現実的と考えられています。ただし中小企業では、賃上げ疲れから現金で支給する給与の賃上げが難しいのも現実。このような2026年春闘での賃上げに役立つ対策として、福利厚生と助成金の活用について見ていきましょう。
【要点まとめ】春闘2026年|中小企業の賃上げ率と対策
- 春闘2026の中小企業の賃上げ率は4~5%が現実的な水準
- 春闘2026で賃上げを行わない場合には、人材確保のリスクが高まる
- 春闘2026では、実質的な手取りアップや暮らしの負担を軽減するような福利厚生を活用した第3の賃上げが、現金で支給する給与の賃上げが難しいタイミングでの処遇改善に有効な選択肢となる
【春闘2026】中小企業の賃上げ率や人材確保への影響、対策をQ&Aで解説
2026年の春闘は、2025年並みの賃上げを実施する企業が多いと見込まれています。厳しい状況の中でも、同業他社と同程度の水準を維持するために、賃上げを実施するようです。このような中、中小企業ではどうすべきなのでしょうか。Q&A形式で見ていきましょう。
2026年春闘で中小企業はいくら賃上げすべき?
2026年春闘での賃上げ率は、多くの中小企業で2025年と同程度の4~5%が現実的な水準と見込まれています。
日本労働組合連合会は6%の賃上げを要求していますが、経済同友会の調査では「2025年並み」と回答する企業が70.9%と最多であるためです。
参考
:日本労働組合総連合会|2026年春闘|2026春季生活闘争 基本構想
:経済同友会|2025年9月(第154回)景気定点観測アンケート調査結果
2026年春闘で賃上げしない中小企業は人材確保できる?
賃上げを行わない場合、中小企業の人材確保は難しくなることが予想されます。
2025年の人手不足関連倒産は過去最多の397件でした。大企業と比べて賃上げ原資の少ない中小企業は、賃上げ疲れから十分な人材を確保できず倒産するケースや、人件費高騰によって倒産するケースが増加中です。
参考:東京商工リサーチ|2025年の「人手不足」倒産は過去最多の397件 「賃上げ疲れ」が顕在化、「従業員退職」が1.5倍増
中小企業は大企業と同水準の賃上げを目指すべき?
無理に大企業と同水準の賃上げを目指す必要はありません。実質的な手取り額アップや処遇改善につながる福利厚生の拡充とあわせて、検討するのが有効です。
春闘2026では、赤字の中小企業でも賃上げが必要?
業績が厳しい中小企業でも、人材確保のためには賃上げが必要です。定期昇給やベースアップといった、現金で支給する給与を上げる賃上げが難しい場合には、実質的な手取りアップや暮らしの負担を軽減するような福利厚生を活用した第3の賃上げに取り組むとよいでしょう。
関連記事:第3の賃上げとは?企業が押さえるべき仕組みと、メリット・デメリットを解説
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
中小企業が2026年春闘に向けて今から準備すべきことは?
賃上げに必要な資金の確保に向けて、「業務改善助成金」「キャリアアップ助成金」の申請や、「賃上げ促進税制」の活用に必要な準備に取り組むのが有効です。
関連記事:【社労士監修】福利厚生に使える助成金と補助金!種類や特徴とおすすめ施策を紹介
関連記事:【社労士監修】2025年8月最新!中小企業向け補助金・助成金|わかりやすい完全ガイド
中小企業と大企業の賃上げ率の推移
春闘における賃上げ率の推移を、企業規模ごとにチェックしましょう。ここではまず、2022~2025年の賃上げ率を、全体平均や大企業の平均と比較していきます。
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年 |
平均賃上げ率 |
従業員数1,000人以上の平均賃上げ率 |
従業員数300~999人の平均賃上げ率 |
従業員数100~299人の平均賃上げ率 |
従業員数~99人の平均賃上げ率 |
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2022年 |
2.07% |
2.12% |
2.00% |
1.98% |
1.96% |
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2023年 |
3.58% |
3.69% |
3.44% |
3.32% |
2.94% |
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2024年 |
5.10% |
5.24% |
4.98% |
4.62% |
3.98% |
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2025年 |
5.25% |
5.39% |
5.08% |
4.76% |
4.36% |
この表を見ると、4年間の賃上げ率は、従業員数が少ないほど低くなっています。全体平均の賃上げ率を超えているのは、どの年も従業員数が1,000人以上の大企業のみです。
5.25%と歴史的な賃上げとなった2024年春闘の賃上げ率を上回った2025も、この傾向は変わりません。ただし中小企業や小規模企業の賃上げ率が4%を超えており、格差改善の傾向が見られました。
関連記事:【最新】中小企業の賃上げ推移2025|成長持続のための施策とは
参考
:日本労働組合総連合会|多くの組合が賃金改善分獲得、なかでも中小組合が健闘~2022 春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~
:日本労働組合総連合会|「未来につながる転換点」となり得る高水準の回答~2023 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果について~
:日本労働組合総連合会|33年ぶりの 5%超え!~2024春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~
:日本労働組合総連合会|昨年を上回る賃上げ!~2025春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~
連合が示す2026年春闘の方針
日本労働組合総連合会は「2026春季生活闘争 基本構想」で、賃上げ率5%・実質賃金1%アップを目指す方針を発表しています。あわせて格差是正に取り組むことも盛り込んでおり、概要には以下のように記載がありました。
中小労組などは、この間の賃上げ結果や賃金水準を点検し、格差是正分を積極的に要求する。
賃金実態が把握できないなどの事情がある中小労組は、上記目標値に格差是正分 1%以上を加えた 6%以上・18,000 円以上を目安とする。
拡大傾向にある大企業と中小企業の格差解消に向けた方針といえます。
関連記事:<2025年>中小企業の賃上げ:原資獲得から福利厚生活用まで戦略化
経済同友会の2026年賃上げに関するアンケート調査
企業の賃上げ動向について、アンケート調査をもとにチェックしましょう。ここでは経済同友会の「景気定点観測アンケート調査結果」を紹介します。
経済同友会が9月に実施した「景気定点観測アンケート調査結果」によると、2026年に賃上げを実施予定と回答した企業は68.3%です。賃上げ率は2025年と同程度と回答した企業が70.9%と多く、上回ると回答した企業が12.7%でした。
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賃上げ率 |
回答した企業の割合 |
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1%未満 |
0% |
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1~2%未満 |
8.8% |
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2~3%未満 |
20.0% |
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3~4%未満 |
23.8% |
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4~5%未満 |
25.0% |
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5~6%未満 |
11.3% |
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6~7%未満 |
3.8% |
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7~8%未満 |
3.8% |
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8%以上 |
3.8% |
この表によると、賃上げを実施予定の企業の中では、4~5%未満の賃上げを実施する企業が最も多い結果です。
ただし、2025年の賃上げ率を下回る賃上げとなる予定の企業も16.5%あります。その理由に関する設問によると、企業全体では「同業他社の相場が相対的に低いため」が53.8%と高い割合です。
参考:経済同友会|2025年9月(第154回)景気定点観測アンケート調査結果
2026年春闘で中小企業が直面する賃上げ疲れ
厚生労働省の「令和7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、規模の小さな企業ほど、事業を取り巻く環境は悪く、販売数は減っていると回答しています。原材料費や経費が、企業規模によらず同程度の割合で増えている中、中小企業は賃上げに取り組むのが難しい状況といえるでしょう。
実際に「賃上げ疲れ」を意識している企業が増えている、という調査結果もあります。
参考:厚生労働省|令和7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
中小企業の賃上げ疲れに関する調査
格差是正に向けて賃上げに取り組む中小企業に、賃上げ疲れの影響が出始めています。人件費が増加して経営の圧迫につながっている、賃上げを継続するのが難しいといった、賃上げ疲れについて、調査結果を見ていきましょう。
関連記事:【2025年最新】賃上げ疲れとは?データで読み解く実態と対策
日本商工会議所の「中小企業の賃金改定に関する調査」
賃上げの中でも、業績が改善していないもしくは改善の見込みがないにもかかわらず、人材確保を目的として実施する賃上げを「防衛的賃上げ」といいます。
日本商工会議所の「中小企業の賃金改定に関する調査」に記載されている参考資料によると、賃上げを実施した企業のうち60.1%が防衛的賃上げを実施しているそうです。
同調査結果には「賃上げをせざるを得ないが、先行きが不透明でベースアップには不安がある」「価格へのコスト転嫁がしづらく賃上げは利益を圧迫している」などの中小企業の声も掲載されています。
人材確保に向けて賃上げは必要だけれど、継続して賃上げをし続けるのは難しいと感じている中小企業が多いといえるでしょう。
関連記事:防衛的賃上げの実態と中小企業の課題|人材確保のための厳しい選択
参考:日本商工会議所|「中小企業の賃金改定に関する調査」の集計結果について~中小企業の賃上げ率は正社員全体で4.03%、20人以下の小規模企業で3.54%~
東京商工リサーチの「人手不足」関連倒産に関する調査
東京商工リサーチによると、2025年の人手不足倒産は397件で、過去最多となりました。うち251件が資本金1,000万円未満の小規模企業や零細企業です。
大企業との賃金格差を埋めるために防衛的賃上げに取り組んでいるものの、賃上げ原資の不足から倒産の件数が増えていると考えられます。
関連記事:人手不足倒産を回避せよ!賃上げ難時代に"食事補助"という打開策
参考:東京商工リサーチ|2025年の「人手不足」倒産は過去最多の397件 「賃上げ疲れ」が顕在化、「従業員退職」が1.5倍増
【独自調査】エデンレッドジャパンが見る「中小企業の賃上げ疲れ」の実態
エデンレッドジャパンが実施した「賃上げ疲れ実態調査2025」によると、賃上げ疲れを感じている企業の割合は77.0%でした。そのうち「企業収益の圧迫」につながっていると回答した企業は68.7%です。
さらに「事業への投資抑制」につながっていると回答した企業は33.1%で、3社に1社は賃上げ疲れが経営判断に影響を及ぼしている状況であることが分かります。
参考:エデンレッドジャパン|賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~
中小企業が2026年春闘で賃上げを継続するためにできること
物価上昇が続く中、従業員の暮らしを守り、人材を確保するには、賃上げへの取り組みが欠かせません。ただし中小企業では、賃上げ原資が不足している企業も多いのが現状です。このような中、中小企業が2026年以降も賃上げを継続するには、何ができるのでしょうか?
ここでは助成金や税制、福利厚生の活用について解説します。
助成金や税制を活用する
助成金や税制を活用すれば、賃上げを継続しやすくなります。
例えば、生産性向上のために機械設備導入や人材育成などを行い事業場内最低賃金を一定額以上引き上げると「業務改善助成金」の対象となりますし、有期雇用労働者の賃上げに取り組めば「キャリアアップ助成金」を活用可能です。
また、一定以上の賃上げを実施した中小企業は「賃上げ促進税制」によって、法人税の控除を受けられます。
関連記事:【社労士監修】2025年4月最新|賃上げ関連の助成金・補助金まとめ
参考
:厚生労働省|業務改善助成金
:厚生労働省|キャリアアップ助成金
:中小企業庁|中小企業向け「賃上げ促進税制」
※助成金支給対象に該当するか否かのご相談については、事業所がある自治体窓口までお問い合わせください。
福利厚生を活用する
賃上げに加えて、暮らしの負担軽減につながる福利厚生の提供や、従業員の所得税の負担を増やすことなく支給できる福利厚生の活用によって、実質的な手取りアップに取り組む方法もあります。社宅や食事補助を一定の要件を満たして導入する方法です。
導入の手間やコストを抑えつつ制度を整えるには、福利厚生をアウトソーシングできる福利厚生サービスを活用するとよいでしょう。
例えばエデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を一定の利用条件下で導入すれば、所得税の非課税枠を活用できるため、同額の賃上げより実質的な手取り額を増やせます。
【結論】2026年春闘で賃上げに向けて中小企業が取るべき戦略
- 無理に高い賃上げ率を目指すのではなく、持続可能な水準での賃上げを検討する
- 助成金や税制を活用して賃上げ原資の確保に役立てる
- 実質的な手取りアップや暮らしの負担を軽減するような福利厚生を活用した第3の賃上げと、現金で支給する給与の賃上げを組み合わせた処遇改善を図る
春闘2026年での賃上げには助成金や福利厚生の活用を
春闘2026年では、2025年に引き続き高い賃上げ率を要求することを連合が発表しています。特に中小企業に対しては、大企業との格差を解消するために6%以上の賃上げ率を求めるそうです。
ただし全ての中小企業が、2025年を超える賃上げを実施できるとは限りません。業績の改善が見られないにもかかわらず賃上げを実施する「防衛的賃上げ」を実施する割合は半数を超えており、人手不足倒産は過去最多の状況です。
2026年は賃上げを予定しているとしても、先行きの不透明さに不安を感じている企業は少なくないでしょう。このような中で賃上げに取り組むには、助成金や税制を活用するのが有効です。
加えて、一定の条件下で非課税枠を活用できる福利厚生を利用してもよいでしょう。例えば従業員の食事代をサポートできる、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか。
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