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【最新】中小企業の賃上げ推移2025|成長持続のための施策とは

【最新】中小企業の賃上げ推移2025|成長持続のための施策とは

2025.05.13

物価上昇と深刻な人手不足が続く今、中小企業の経営では、賃上げという難題に直面しています。本記事では、最新データから中小企業の賃上げ状況と、持続的な賃上げを実現するための対応策を解説します。

春闘における中小企業の賃上げ推移(2021~2025年)

過去4年間の中小企業における賃上げ率は、明確な上昇傾向を示しています。春闘における推移(最終集計結果、ただし2025年は第4回回答集計結果)は以下のとおりです。

  • 2021年:1.73%
  • 2022年:1.96%
  • 2023年:3.23%
  • 2024年:4.45%
  • 2025年:4.97%

2023年以降は物価上昇や人手不足を背景に過去最高水準を記録し、2025年度では4.97%と高い水準が続いています。2023年以降は3%を超える水準で推移しています。

賃上げ 推移 中小企業01出典:連合|2024 春季生活闘争 まとめ ~評価と課題~

調査に見る中小企業の賃上げ推移(2024〜2025年)

2024年から2025年にかけての中小企業賃上げ動向について、主要調査データをチェックします。

東京商工リサーチ調査|2025年「6%超え」は厳しい現実

連合は2025年の春闘方針で、全体「5%以上」、中小企業「6%以上」の賃上げ目標を掲げました。しかし現実は厳しく、東京商工リサーチの調査では中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業はわずか9.1%にとどまっています。

一方で明るい兆しもあり、2025年度に賃上げを実施すると回答した中小企業は84.6%と、大多数の企業が何らかの賃上げを予定しています。目標値には届かないものの、賃上げの流れ自体は確実に広がっていると言えるでしょう。

出典:東京商工リサーチ|2025年2月「賃上げ」に関するアンケート調査

商工中金調査|中小企業の賃上げ動向(2024~2025年)

商工中金の2024年11月の「中小企業の賃上げの動向について」(対象は商工中金の取引先中小・中堅企業2,197社)から、中小企業の賃上げ動向を見ていきます。

賃上げ実施企業の割合が過去最高に

2024年に定例給与・時給の引き上げ(全従業員を対象としたものと、一部の従業員を対象としたものの合計)の実施を見込んだ企業は84.9%に達しました。過去3年分と比較すると着実な上昇を示しています。

【定例給与・時給の引き上げの実績見込み】

  • 2022年:69.2%
  • 2023年:80.3%
  • 2024年:84.9%

2025年の賃上げ計画も過去最高水準

2025年については、調査時点(2024年11月)で69.8%の企業が賃上げを計画しており、過年度の賃上げ計画と比較するとさらに高い賃上げ意欲が明確です。

【定例給与・時給の引き上げの計画】

  • 2023年:56.4%
  • 2024年:63.9%
  • 2025年:69.8%

賃上げ率も高水準を維持

同調査によると、定期昇給を除く定例給与・時給の平均引き上げ率は高水準を維持しています。2024年実績見込みは3.33%、2025年計画は2.90%となっており、前年同時期の調査結果(2023年実績見込み2.92%、2024年計画2.58%)をいずれも上回っています。

賃上げ 推移 中小企業02出典:商工中金|【詳細版】中小企業の賃上げの動向について

赤字でも人手不足から賃上げに踏み切る現実

2024年の賃上げ率について、経常利益率別に見ると、経常利益率が高いほど賃上げ率も高い傾向がありました。

  • 経常利益率5%以上の企業:3.74%
  • 経常利益率2%以上5%未満の企業:3.57%

一方で、経常赤字の企業でも約3%という高い賃上げ率を実現していることも判明しました。雇用状況では、「不足」と回答した企業が賃上げ率が高い傾向にあり、人手不足を補うための賃上げに踏み切ったと分析できます。

賃上げ 推移 中小企業03出典:商工中金|【詳細版】中小企業の賃上げの動向について

厚生労働省調査が示す中小企業の賃上げ推移(〜2024年)

次に示す厚生労働省の定例調査では、全国の中小企業における賃上げ推移がより長いスパンで確認できます。

賃金引き上げ等に関する調査|中小企業の賃上げ実施割合の推移(2019〜2024年)

厚生労働省の「賃金引き上げ等に関する調査」によると、中小企業(従業員数100人以上〜299人未満)の賃上げ実施状況は以下のように推移しています。

年度 賃金の改定を実施、または予定 賃金の改定を実施しない
2019年(令和元年) 89.1% 5.8%
2020年(令和2年) 81.6% 10.5%
2021年(令和3年) 80.0% 10.3%
2022年(令和4年) 84.6% 7.1%
2023年(令和5年) 87.6% 6.7%
2024年(令和6年) 90.3% 2.1%

コロナ禍で一時的に低下した賃上げ実施率は2022年以降回復し、2024年には約9割の企業が賃金改定を実施・予定、実施しない企業は2.1%まで減少しました。中小企業の賃上げはコロナ禍前の水準を超えています。

出典:厚生労働省|賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要

賃金引き上げ等に関する調査|中小企業の賃上げ改定額の推移(2019〜2024年)

厚生労働省の「賃金引き上げ等に関する調査」において、中小企業(従業員数100人以上〜299人未満)の賃上げ改定額を具体的な数字で見てみましょう。

2024年度は約1万円の賃上げとなり、改定率も3.7%と高い水準です。2019年から2022年までは4,000円台で推移していることと比較すると、急激な賃上げが実現していることがわかります。

年度 1人平均賃金の改定額 1人平均賃金の改定率
2019年(令和元年) 4,997円 1.9%
2020年(令和2年) 4,315円 1.6%
2021年(令和3年) 4,112円 1.6%
2022年(令和4年) 4,738円 1.9%
2023年(令和5年) 7,420円 2.9%
2024年(令和6年) 10,228円 3.7%

出典:厚生労働省|賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要

賃金構造基本統計調査|中小企業の平均月額賃金推移(2021〜2024年)

企業規模別で平均月額賃金の推移もチェックします。厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」を年代別にまとめました。当調査では、中企業を従業員数100〜999人、小企業を従業員数10〜99人と定義しています。

年度 中企業(100~999人) 小企業(10〜99人)
2021年(令和3年) 299,800円(0.9%減) 279,900円(0.7%増)
2022年(令和4年) 303,000円(1.1%増) 284,500円(1.6%増)
2023年(令和5年) 311,400円(2.8%増) 294,000円(3.3%増)
2024年(令和6年) 323,100円(3.8%増) 299,300円(1.8%増)

※対前年増減率を括弧として記載

中小企業の賃上げ傾向は企業規模によって明確な差が見られます。小企業(10〜99人)は2023年に3.3%という大幅な賃上げを実現したものの、2024年には1.8%と上昇幅が縮小。対照的に中企業(100〜999人)では賃上げ率が継続的に拡大し、2024年には3.8%に達しました。持続的な賃上げには、企業規模が関係している可能性があります。

出典:厚生労働省|賃金構造基本統計調査

中小企業の賃上げ推移に関係するデータもチェック

企業の賃上げ動向を探る上で、最低賃金や実質賃金の推移は重要な指標です。推移を把握していきます。

最低賃金の推移(2015〜2024年)

厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」によると、平成27年度(2015年度)の798円から令和5年度(2024年度)の1,054円まで、10年間で256円もの上昇が見られました。大幅な引き上げは、中小企業の人件費管理や採用計画にも影響を与えます。

年度 最低賃金(全国加重平均額) 引き上げ額(率)
2015年(平成27年) 798円 18円増(2.3%)
2016年(平成28年) 823円 25円増(3.1%)
2017年(平成29年) 848円 25円増(3.0%)
2018年(平成30年) 874円 26円増(3.1%)
2019年(令和元年) 901円 27円増(3.1%)
2020年(令和2年) 902円 1円増(0.1%)
2021年(令和3年) 930円 28円増(3.1%)
2022年(令和4年) 961円 31円増(3.3%)
2023年(令和5年) 1,004円 43円増(4.5%)
2024年(令和6年) 1,054円 50円増(5%)

出典:厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧

実質賃金の推移(2019〜2024年)

実質賃金は名目賃金を消費者物価指数で割って算出され、物価上昇を考慮した実際の購買力を示します。収入増加を実感できるかどうかを左右する指標です。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和6年分結果各報」から最新動向を確認しましょう。主な傾向として、賃金が上がっても(現金給与総額が増加)物価が上がっている(消費者物価指数がプラス)ため実質賃金は2021年を除きマイナスで、収入が増えていない状況が見えてきます。

年度 現金給与総額 実質賃金 消費者物価指数
2019年(令和元年) -0.4 -1.0 0.6
2020年(令和2年) -1.2 -1.2 0.0
2021年(令和3年) 0.3 0.6 -0.3
2022年(令和4年) 2.0 -1.0 3.0
2023年(令和5年) 1.2 -2.5 3.8
2024年(令和6年) 2.8 -0.3 3.0

※前年比(%)、前年差(ポイント)の推移

出典:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和6年分結果各報

中小企業が賃上げを「実施する」理由と「実施しない」理由

2023年より、特に賃上げ機運が高まりを見せているデータを紹介してきました。ここからは、中小企業が賃上げを実施する理由を、東京商工リサーチによる「2025年2月「賃上げ」に関するアンケート調査」で見ていきましょう。2025年度に賃上げを実施する理由としては、以下が上位に挙げられています。

賃上げを「実施する」理由

最も多い理由は従業員の離職防止(77.50%)で、次いで物価高への対応(71.81%)が挙げられています。また、新卒採用のための初任給引き上げ(48.31%)に取り組んだ企業も約半数に上ります。

  1. 従業員の離職防止:77.50%(特に運輸業で突出)
  2. 物価高への対応:71.81%
  3. 新規採用を円滑にするため:48.31%
  4. 業務向上分の還元:33.53%
  5. 業績見通しの好転:7.89%

ただし「業績向上分の還元」(33.3%)や「業績見通しの好転」(7.6%)が低い割合にとどまりました。多くの中小企業において、賃上げは業績改善によるものではなく、人材確保や物価対応といった「防衛的」な理由によるものだとわかります。

賃上げを「実施しない」理由

一方、賃上げを実施しない中小企業の理由としては、次のような点が挙げられています。

  1. 原材料価格・電気代・燃料費などの高騰:49.5%
  2. コスト増加分を十分に価格転嫁できていない:48.4%
  3. 受注の先行きに不安:45.6%
  4. 金利引き上げを想定:18.88%
  5. 2024年度の賃上げが負担:14.78%

原材料や電気などの価格が高騰(49.5%)し、その分を価格転嫁できていない(48.4%)という課題が示されています。受注状況や金利引き上げなど先行き不安を見据えた企業も見られました。

また、賃上げを「実施しない」企業では「価格転嫁できていない」と36.4%が回答しています。賃上げを「実施する」企業では「価格転嫁できていない」の回答が17.3%となっており、19.1ポイントの差がありました。価格転嫁の成否が賃上げ実現の成否に影響していると考えられています。

出典:東京商工リサーチ|2025年2月「賃上げ」に関するアンケート調査

持続的賃上げに向けた対応策

東京商工リサーチの調査では、2025年度に賃上げを「実施する」企業の34.6%が持続的な賃上げの見通しが立っていないと回答しました。また、賃金構造基本統計調査によると、小企業(10〜99人)では2024年の賃上げ幅に縮小が見られます。このように、持続可能な賃上げの実現は中小企業にとって重要な課題となっています。

価格転嫁の推進

調査結果からは、賃上げに成功している企業は価格転嫁にも成功している傾向が見られます。多くの中小企業が価格交渉に苦労する中、成功につなげるためには「適切な時期の選択」が方法の一つです。中小企業庁が設定する毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」は、大企業側も交渉に応じやすい時期となっています。この機会を活用し、準備を整えて交渉に臨みましょう。

出典:中小企業庁|価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果

生産性向上

「賃上げしたいけれど、その原資がない」という悩みを抱える経営者は多いでしょう。この課題を解決する糸口となるのが「生産性向上」です。2025年版中小企業白書でも指摘されているように、コストカット戦略には限界があります。

具体的には、設備投資やデジタル化による業務効率化に取り組みましょう。次に紹介する政府の支援制度を活用すれば、費用面での負担を軽減できます。

出典:経済産業省|2025年版中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定されました

政府支援制度の活用

賃上げ支援制度には、賃上げ促進税制や固定資産税の特例などがあり、内容や申請タイミングも多様です。税制上の措置のほか、厚生労働省による助成金や経済産業省・中小企業庁による補助金も活用できます。

中小企業庁のホームページでは詳細なガイドブック(2025年度版中小企業施策利用ガイドブック)や解説が提供されています。厚生労働省の「「賃上げ」支援助成金パッケージ」も参考にし、積極的な活用を検討してみてください。

<参考>
中小企業庁|税制
中小企業庁|補助金等公募案内
厚生労働省|「賃上げ」支援助成金パッケージ

関連記事:【社労士監修】2025年4月最新|賃上げ関連の助成金・補助金まとめ

福利厚生の活用

福利厚生は給与そのものを増やすものではありませんが、「実質的な賃上げ」ができます。食事補助や住宅補助など一部の福利厚生は、一定の利用条件を満たせば所得税を非課税枠運用ができるため実質手取りを増やす効果があります。同じコストでも、従業員の手取りが増え、企業側も経費として税負担を抑えられる仕組みです。福利厚生を適切に提供することで、効率的な実質賃上げが可能になります。

食事補助の非課税枠を使える「チケットレストラン」

食事補助の福利厚生を非課税扱いにできると人気なのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。非課税にするための要件を、サービスの導入で満たすことができます。企業は月に1度、ICカードにチャージし、従業員はそのICカードでコンビニやファミレスなど幅広い店舗で食事や飲み物の支払いができます。

株式会社ほねごりでは、従業員からの熱心なリクエストをきっかけに導入を決定し、わずか1か月後には利用が始まりました。導入から開始までもスムーズです。

導入事例:株式会社ほねごり様

2025年以降の中小企業賃上げは「持続可能な成長」の実現が課題

コロナ禍からの回復と物価上昇の波を受け、中小企業の賃上げは着実に進んできました。2025年春闘では中小企業の平均賃上げ率も5%近くまで上昇し、長らく続いていた大企業との格差も徐々に縮まっています。

しかし本当の課題は、どのように流れを持続させるかです。一時的な賃上げではなく、将来にわたって続けられる持続可能な賃上げの仕組みをどう作るかが、経営課題となるでしょう。

給与アップ以外の方法として、福利厚生の充実も実質的な手取り増加につながります。「チケットレストラン」のような一定の利用条件を満たすと非課税の活用ができる福利厚生を戦略的に組み合わせることで、コスト以上の高いパフォーマンスを実現し、従業員満足度も高まります。

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