物価上昇や人材獲得競争の激化を背景に、企業は毎年のように賃上げを求められる時代に突入しました。しかし、その裏で静かに広がるのが「賃上げ疲れ」という企業の本音です。限られた財源と高まる圧力の狭間で、経営と採用のバランスをどう取るべきか、悩む担当者も少なくありません。本記事では、最新の調査データを交えながら「賃上げ疲れ」の実態と、その打開策として注目される福利厚生の活用について解説します。
「賃上げ疲れ」とは?企業が感じる「見えない疲弊」
毎年のように繰り返される賃上げ要請と物価上昇を背景に、多くの企業が人事戦略に頭を悩ませています。そんな中で、近年「賃上げ疲れ」という言葉が広く聞かれるようになりました。まずは「賃上げ疲れ」という言葉の概要から解説します。
賃上げ疲れとは「続く賃上げにともなう企業の疲れ」のこと
「賃上げ疲れ」とは、賃金の引き上げを繰り返すことによって企業が感じるプレッシャーや経営上の負担を指す言葉です。
たとえば「もうこれ以上は上げられない」「でも上げなければ人が採れない」「賃上げばかりで他に手が回らない」といった声に象徴されるように、賃上げ要求と現実とのあいだで企業は板挟みの状態にあるのが実情です。
実際に、帝国データバンクが行った「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」調査によると、2025年度に正社員の賃上げを予定している企業は全体の半数を越える61.9%でした。人手不足を感じている企業に限ると、その割合は68.1%とさらに高まります。
この事実からは、企業が「やらざるを得ない賃上げ」に直面している実態が浮き彫りになっています。
参考:株式会社 帝国データバンク[TDB]|2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査(2025年2月20日)
賃上げが負担になるのはなぜ?
近年、物価高騰にともなう実質賃金の低下に対し、政府や業界団体からの賃上げ要請は年々強まっています。とりわけ春闘では、大手企業を中心に高水準の賃上げが相次ぎ、それが社会全体の「賃上げ圧力」として中小企業にも波及しています。
加えて無視できないのが、競合他社との採用競争の激戦化です。これにより、多くの企業では「賃金を上げなければ人材が確保できない」という状況が続いています。
特に中小企業では、予算上の制約により、賃上げのための原資を確保するのが難しいのが実情です。利益の増加にともなう従業員への還元策としての賃上げではなく、物価高騰や人手不足を背景にした「外的要因による賃上げ」が求められている現状では、企業が賃上げを負担に感じるのもやむを得ない状況といえるでしょう。
関連記事:春闘2025年はどうなる?今後の賃上げの予想や企業の動向をチェック
エデンレッドジャパンの調査に見る「賃上げ疲れ」の実態
賃上げへの取り組みが続く中、企業現場ではどのような本音が語られているのでしょうか。食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を運営する株式会社エデンレッドジャパンでは、2025年4月に賃上げ疲れにまつわる実態調査「賃上げ疲れ実態調査2025」を実施しました。以下、同調査結果をもとに、リアルな「賃上げ疲れ」の実態をひもといていきます。
参考:エデンレッドジャパン|賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~
7割以上の企業が「賃上げ圧力」を実感
出典:エデンレッドジャパン|賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~
エデンレッドジャパンの調査によると、2024年・2025年の春闘の結果を受け、72.5%の企業が賃上げ圧力を「とても感じた/やや感じた」と回答しました。このうち88.2%が、実際に自社の賃上げ率に影響があったと答えており、各企業が賃上げについて具体的な対応を迫られている現状が浮き彫りになっています。
こうした圧力の背景には、政府や社会からの期待に加え、従業員側の要望や採用競争の激化など、さまざまな要因が複雑に絡んでいます。特に、大企業が先行して高水準の賃上げを実施する中で、中小企業も「追随せざるを得ない」状況に陥っていることが、企業の負担感を強めているのが実情です。
「賃上げ疲れ」を感じている企業は約8割
出典:エデンレッドジャパン|賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~
同調査にて、継続的な賃上げにより、企業経営への負担(賃上げ疲れ)をどの程度感じているか尋ねたところ、約8割(77.0%)の企業が負担を「とても感じている/やや感じている」と回答しました。
また、賃上げ疲れが企業に与えている影響についての設問では、「企業収益の圧迫」(68.7%)や「事業への投資抑制」(33.1%)といった、企業の長期的な成長にとって深刻な影響を挙げています。
加えて、業務の集中が難しくなったり、管理職層への負担が増すなど、見えにくい組織的な課題も懸念されています。
それでも初任給は上げざるを得ない現実
出典:エデンレッドジャパン|賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~
同調査では、「賃上げ疲れ」を感じている企業のうち、新卒採用を行っている企業に対し、2025年度の初任給水準を引き上げたかを尋ねました。その結果、約8割(79.6%)の企業が初任給の引き上げを行っている事実が明らかになりました。大企業では86.1%・中小企業でも73.8%にのぼります。
この理由としては「応募数の確保・辞退防止(79.6%)」「同業他社との競争力強化(44.8%)」などの声が挙がっています。
厳しい採用市場を勝ち抜くには、何よりもまず求職者の目に留まらなければなりません。初任給の引き上げは、多くの企業にとって経営判断上のぎりぎりの対応です。
一方で、初任給を上げたにもかかわらず応募が集まらない、あるいは定着率が改善しないといった声も決して少なくありません。こうした「投資に見合わない成果」こそが、賃上げ疲れの根本的な要因といえそうです。
限界を迎えた賃上げ、企業が次にとるべき選択とは
人件費の上昇が企業体力を徐々に奪う中、賃上げだけに頼った施策には限界が見えてきました。今後は、給与以外の手段を通じて従業員の満足度やエンゲージメントを高める戦略が求められます。詳しく見ていきましょう。
非金銭的インセンティブで「疲れ」を乗り越える
賃上げによる短期的な満足度向上には限界があります。ましてや、大企業と比較して予算に制約がありがちな中小企業では、賃上げ自体がそもそも困難なケースも珍しくありません。
そんな中、近年注目度を高めているのが「給与以外の価値提供=非金銭的インセンティブ」です。たとえば、働きやすい環境の整備やキャリア支援制度、福利厚生の充実といった取り組みがその一例です。
これらは必ずしも大きなコストを要するものではありませんが、賃上げと同様に、従業員の定着やモチベーション維持に対して長期的に効果をもたらす可能性があります。
経営負担を抑えつつ従業員満足度を高められる、中小企業にとっても現実的な一手です。
3,000社以上が導入|食の福利厚生「チケットレストラン」
非金銭的インセンティブとなりうる福利厚生にはさまざまなものがありますが、中でも近年、特に注目度を高めているのが、エデンレッドジャパンが提供する食の福利厚生サービス「チケットレストラン」です。
「チケットレストラン」は、一定の利用条件を満たすことにより、所得税の非課税枠運用が活用でき、全国25万店舗以上の加盟店での食事を実質半額で利用できる、食事補助の福利厚生サービスです。
加盟店の種類は、有名ファミレスやカフェ・コンビニ・三大牛丼チェーン店など多種多様で、勤務時間内にとる飲食物の購入であれば、時間や場所の制限もありません。
愛知県で地域密着型の住まいに関するサービスを展開する「株式会社sumarch(以下:sumarch)」では、賃上げよりも従業員の実質的な手取りを増やせる施策として「チケットレストラン」を導入しました。
導入後、同社では「自社より好待遇の企業がなかった」と、転職を考え直した従業員も出たとのことでした。
詳細な導入事例はこちら:株式会社sumarch
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
「賃上げ疲れ」を乗り越えて人材確保と経営安定の両立を
繰り返される賃上げ対応に疲弊する企業が増える中、人材確保と経営の安定を両立するには、賃上げ一辺倒の施策から脱却する必要があります。
中でも、導入しやすく実感しやすい施策として支持を集めているのが「チケットレストラン」のような福利厚生の充実です。コストを抑えつつ従業員の実質的な賃上げを目指せる施策として、多くの企業が導入を進めています。
賃上げ疲れを感じている企業こそ、ぜひ今ある制度の見直しを進めてみましょう。自社にぴったりな施策を取り入れることで、採用力と定着率を高めつつ、健全な経営の維持の実現が可能となります。
参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
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