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<2025年>中小企業の賃上げ:原資獲得から福利厚生活用まで戦略化

<2025年>中小企業の賃上げ:原資獲得から福利厚生活用まで戦略化

2025.05.15

物価高騰や人材確保の課題に直面する中小企業にとって、2025年の賃上げは経営戦略の核心と言えるかもしれません。本記事では、最新の調査結果から見える中小企業の賃上げ実態、活用できる支援制度、持続可能な賃上げ実現に向けた戦略まで、人事担当者向けの情報を解説します。

2025年中小企業賃上げ動向

2025年における中小企業の賃上げについて、春闘への対応と実際の春闘の回答結果から動向をさぐります。

春闘までの動向

2025年の賃上げ動向は中小企業にとって大きな転換点と予測されていました。東京商工リサーチの調査で詳細を見ていきましょう。2月に実施した5,467社へのアンケートでは、2025年度に賃上げを予定している企業は85.2%に達し、2016年度以降で最高水準となりました。

大企業と中小企業で賃上げ実施予定に8.2ポイント差

大企業(資本金1億円以上)の賃上げ実施予定は約92.8%に達する一方、中小企業(資本金1億円未満)は約84.6%にとどまり、8.2ポイントの差が生じていました。中小企業での賃上げも着実に進む一方で、大企業との差は埋まっていません。

中小 企業 賃上げ 2025 01

出典:東京商工リサーチ|2025年2月「賃上げ」に関する企業アンケート調査

連合が掲げる「6%以上」は9割の中小企業で難しい

連合が掲げる「中小企業6%以上」という賃上げ目標に対して、実際に6%以上の賃上げを予定している中小企業はわずか9.1%にとどまりました。多くの中小企業が目標達成に苦戦していることを示します。

出典:東京商工リサーチ|2025年2月「賃上げ」に関する企業アンケート調査

2025年春闘:好調な賃上げ傾向も6%には及ばず

連合の2025年春闘集計結果では、賃上げが順調に進んでいます。4月15日時点の第4回集計で、加重平均は17,015円(5.37%)と前年同時期比1,228円増となりました。中小企業も13,283円(4.97%)と前年比1,113円増を実現していますが、連合の掲げる中小企業の賃上げ目標である6%には届いていません。

出典:連合|~2025 春季生活闘争 第 4 回回答集計結果について~

中小企業賃上げの背景:連合方針と中小企業へ与えるプレッシャー

2025年の春闘方針は、中小企業の賃上げへの圧力にもなったようです。詳しく見ていきましょう。

連合の高い賃上げ目標設定

連合は2025年春闘において、全体の賃上げ目標を5%以上とする一方で、中小企業については格差是正分として1%を上乗せした6%以上という高い目標を設定しています。背景にあるのは、2024年春闘で表面化した大企業と中小企業の賃上げ格差拡大です。

賃上げ推移に見る高い賃上げ目標の背景

2024年春闘では、大企業の多くが5%を超える賃上げを実現した一方、「賃上げ率(全規模)」で5.1%、「賃上げ率(中小)」では4.45%となり、企業規模による格差は大きく広がりました。これに対して、連合の芳野友子会長は「特に地方の中小は人手不足が問題で、賃金の底上げが重要だ」と強調しています。

中小 企業 賃上げ 2025 02

出典:中小企業庁|2025年版「中小企業白書」全文

出典:連合|2025 春季生活闘争基本構想
出典:日本経済新聞|賃上げ目標、全体5%中小6%を決定 連合の25年春闘方針

「賃上げ疲れ」の実態

高い目標設定は中小企業に大きなプレッシャーをかけています。賃金の引き上げを繰り返すことによって企業が感じるプレッシャーや経営上の負担が増しているためです。特に、連続して賃上げを実施してきた企業では、こうした「賃上げ疲れ」の兆候も見られ、持続的な賃上げへの懸念が広がっています。

東京商工リサーチの調査では、持続的な賃上げの見通しが立っていない企業が34.6%に達するなど、多くの中小企業が長期的な賃上げ戦略構築に苦慮しています。

出典:東京商工リサーチ|2025年2月「賃上げ」に関する企業アンケート調査

関連記事:【2025年最新】賃上げ疲れとは?データで読み解く実態と対策

中小企業「苦しい賃上げ」の理由

賃上げが難しい中小企業が抱える課題について、東京商工リサーチの「2025年2月「賃上げ」に関するアンケート調査」から、詳しく見ていきましょう。

原材料の高騰

賃上げを「実施しない」理由として最も多かったのは「原材料価格・電気代・燃料費などの高騰」で49.5%を占めています。原資がなければ賃上げは難しいのは当然です。

価格転嫁の困難さ

賃上げを実施しない企業では「価格転嫁できていない」企業が36.4%に達し、賃上げを実施する企業の17.3%を大きく上回っています。この19.1ポイント差は、適切な価格転嫁が賃上げ実施のカギとなっていることを示しています。

離職防止による賃上げ

人手不足対策や従業員の離職防止を理由とした賃上げが増加し、賃上げの理由として「従業員の離職防止」を挙げた中小企業は77.5%に達しています。特に「2024年問題」などでドライバーが深刻に不足している運輸業では87.2%と突出して高い結果となりました。

中小 企業 賃上げ 2025 05

出典:東京商工リサーチ|2025年2月「賃上げ」に関する企業アンケート調査

関連記事:初任給を引き上げる4つのメリットとは?|2025初任給最新相場も

2025年度に活用できる中小企業の賃上げ支援制度(補助金・助成金)

政府は中小企業の賃上げを後押しするために、2025年度予算で約1,500億円の支援パッケージを編成するなど、活用価値の高い支援制度を充実させています。ここでは、代表的な支援制度を4つ紹介します。

賃上げ促進税制

青色申告書を提出している中小企業が前年度より給与等支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税から控除できる制度です。令和6年度税制改正により、中小企業は税額控除率が45%(改正前40%)に引き上げられました。さらに、赤字企業などの賃上げ後押しのため、前例のない長期となる5年間の繰越控除措置が創設されています。

出典:中小企業庁|中小企業向け「賃上げ促進税制」

業務改善助成金

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた上で、生産性向上のための設備投資等を行う中小企業に対して、その設備投資等に要した費用の一部を助成する制度です。毎年10月1日に地域別最低賃金の基準値が改定されるため、そのタイミングを意識して助成金を申請するといった活用ができます。

出典:厚生労働省|業務改善助成金

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)

地域の雇用を支える中堅・中小企業の大規模投資を促進する補助金です。人手不足などの課題に対応しながら成長を目指す企業を支援し、地方における持続的な賃上げの実現を目的としています。最大50億円と規模が大きく、生産性向上や事業拡大を通じて持続可能な賃上げを実現したい企業に適しています。

出典:経済産業省|中堅・中小成長投資補助金

キャリアアップ助成金

非正規雇用から正規雇用への転換や賃上げによる処遇改善を支援するための助成金です。職務評価を行った上で賃金規定等を改定した場合は、助成額の加算を受けられます。

正社員化支援として2コース(※1)処遇改善支援として4コース(※2)があり、働き方の見直しによる賃上げにも活用できるのが特徴です。

(※1)正社員化コース、障害者正社員化コース
(※2)賃金規定等改定コース 、賃金規定等共通化コース 、賞与・退職金制度導入コース 、社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月31日まで)

厚生労働省:キャリアアップ助成金

関連記事:【社労士監修】2025年4月最新|賃上げ関連の助成金・補助金まとめ

賃上げ原資を確保するためのアプローチ

賃上げの必要性を感じつつも、その原資確保に苦慮している中小企業は少なくありません。2025年版「中小企業白書」によれば、賃上げの原資確保のために行った取り組みとして以下のような企業の事例が挙げられています。

  • 競争力を高める取り組みでサービスへの「価格転嫁」を実現
  • 原価管理の強化、適正価格の算出、価格設定の見直しなど「人件費以外のコスト削減」
  • AI活用で若手職人への技術継承を効率化し「生産性向上」

ここでは、賃上げ原資確保に欠かせないアプローチを3つ解説します。

価格転嫁の推進

価格転嫁は賃上げ原資確保の最重要策の一つです。価格転嫁の進展度合いと賃上げ実施率には明確な相関関係が見られます。中小企業庁の「価格交渉月間(2024年9月)フォローアップ調査」でも、価格転嫁ができている割合が高いほど、受注側(中小企業)の賃上げ率も高い傾向が見られました。

コスト構造の可視化や取引先との長期的な信頼関係構築を通じて、適切な価格設定・価格転嫁を推進することが不可欠です。

中小 企業 賃上げ 2025 03出典:中小企業庁|価格交渉促進月間(2024年9月) フォローアップ調査結果

業務効率化による人件費最適化

賃上げは「一人あたりの賃金を上げる」ことですが、その原資確保には「総人件費の最適化」という視点も必要です。不要な残業の削減や業務プロセスの見直し、デジタル化による効率化を通じて、総人件費を抑えながら一人当たりの賃金を上げる取り組みが有効です。

生産性向上への投資

2025年版中小企業白書では、コストカット戦略は限界を迎えているとされています。物価、金利、人件費の上昇と構造的な人手不足に直面する今、設備投資・デジタル化により、付加価値や労働生産性を高める経営への転換が必要です。各種助成金や補助金など政府支援制度を活用しながら、「同じ人数でより多くの価値を生み出す」生産性向上に向けた戦略的投資が重要です。

出典:経済産業省|2025年版中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定されました

福利厚生を活用した賃上げ代替策

直接的な賃上げが難しい場合、福利厚生の充実を通じた「実質的な手取り増」も有効な選択肢です。東京商工リサーチの「2025年2月「賃上げ」に関するアンケート調査」を参考として、賃上げ以外の還元方法についても注目します。

1. 食事補助の創設・増額

非課税枠が使えるケースがあるなど、食事補助は企業にとってコストを抑えつつ、従業員の実質手取りを増やせる効果的な方法です。東京商工リサーチの調査によると、2024年または2025年に「食事補助の創設・増額」を実施(予定)している中小企業は10.85%(511社)あります。

たとえば、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を活用すれば、企業負担を抑えながら従業員の実質手取りを増やせるため、比較的企業が取り組みやすい施策です。

関連記事:人手不足倒産を回避せよ!賃上げ難時代に"食事補助"という打開策

「チケットレストラン」導入事例:株式会社sumarch

株式会社sumarchでは、「賃上げよりも従業員の実質手取りアップを実現できる」点に着目し「チケットレストラン」を導入しました。食事補助の非課税枠を使える福利厚生サービスが、人材採用施策、満足度向上、心の健康増進など、組織課題から個人ニーズまで実質的な成果をもたらしました。

導入事例:株式会社sumarch様

ご参考:名古屋テレビ「ドデスカ+」で実質手取りを増やす福利厚生としてチケットレストランが紹介されました

NHK東海エリアニュースにて#第3の賃上げ 愛知アクション発表会とエデンレッドジャパンが紹介されました

中部経済新聞で「#第3の賃上げ 愛知アクション」とエデンレッドジャパンが紹介されました

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

2. 所定労働時間の短縮

ワークライフバランスを重視する価値観が広がる中、所定労働時間の短縮は金銭的価値に換算すると大きな還元となります。東京商工リサーチのアンケート調査でも、「所定労働日数・時間の短縮」に35.2%(1,788社)が取り組みます。福利厚生としての労働時間の短縮は、中小企業で特に普及している施策であり、採用率アップや定着率アップにも有効です。

3. その他の福利厚生施策

「子育て支援制度の拡充」、「物価高騰に応じた手当支給」、「人間ドック費用の補助」、「社員旅行の実施」なども、企業の状況に応じて検討できる福利厚生施策です。中でも生活支援や健康支援など、従業員の具体的なニーズに応える福利厚生は満足度向上に役立ちます。

中小 企業 賃上げ 2025 04出典:東京商工リサーチ|2025年2月「賃上げ」に関するアンケート調査

2025年以降も見据えた長期的賃上げ戦略

2025年の中小企業の賃上げ状況を見ると、春闘では「約5%」の賃上げが実現しつつありますが、大企業と比べるとまだ差があります。多くの企業が賃上げそのものに苦戦している現実もあります。

中小企業の多くが「離職防止」を目的とした受け身の賃上げから脱却できるかが今後の重要課題となるでしょう。持続可能な賃上げには、価格転嫁の推進、生産性向上への投資、業務効率化による人件費の最適化を通じた原資確保が不可欠です。

直接的な賃上げが難しい場合であっても、食事補助や労働時間短縮などの福利厚生の活用なら現実的です。たとえば「チケットレストラン」のような非課税枠を活用できる食事補助の福利厚生サービスは、企業負担を抑えながら従業員の実質手取りを増やせる方法として注目されています。

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※本記事は2025年5月時点のものです。最新の情報は、各制度の公式ホームページでご確認ください。また、助成金の支給対象に該当するか否かのご相談については、事業所がある自治体窓口までお問い合わせください。

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