健康経営とは従業員の健康増進に、経営上の課題として戦略的に取り組むことです。実際に取り組んでいる企業では、どのような施策や制度を実施しているのでしょうか?健康経営優良法人の認定を受けた中小企業の事例を紹介します。あわせて「チケットレストラン」の導入が従業員の健康増進につながった事例もチェックしましょう。
健康経営とは
健康経営とは、従業員の健康を経営上の課題と捉えて、健康増進に戦略的に取り組むことです。
単に健康に役立つ福利厚生を導入したり、健康診断やストレスチェックを実施したりするのではなく、健康支援の観点からなぜその制度が必要なのかを従業員に伝えていかなければいけません。
関連記事:【健康経営のメリット・デメリット】なぜ必要か?取り組み方も解説
人的資本経営にもつながる
人的資本経営とは、従業員をカネやモノ同様、企業成長や生産性を向上させる投資対象と捉え、企業価値を高める経営戦略のことです。経済産業省の「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」には「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」と記載されています。
従業員が能力を存分に発揮するには、健康でなければいけません。従業員の健康増進に戦略的に取り組む健康経営は、人的資本経営にもつながります。
関連記事:人的資本経営と福利厚生の関係性は?情報開示19項目一覧と施策例
参考:経済産業省|人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~
企業が健康経営に取り組むことで得られる効果
健康経営への取り組みは「ブランドイメージの向上」「人手不足対策」「多様な働き方の実現」「生産性の向上」につながります。それぞれの効果について見ていきましょう。
ブランドイメージの向上
従業員の健康増進に企業として取り組む姿勢は、「従業員を大切にする企業」というイメージを高めることで、社会的な評価や信頼度アップにつながります。
一定の基準を満たして健康経営に取り組んでいることの証明となる「健康経営優良法人」の認定を受けることも、企業のブランドイメージ向上につながるでしょう。
人手不足対策
「従業員を大切にする企業」というイメージは、人手不足対策に役立ちます。社会的な評価が高く信頼できる企業で「働きたい」と考える人は多く、採用がスムーズに進みやすくなるためです。人材採用強化に向けた取り組みのひとつにもなるでしょう。
また健康経営への取り組みにより心身ともに健康な従業員が増えれば、健康上の課題による退職者や休職者を減らせます。従業員の定着率アップにも有効です。
関連記事:【2025年最新】人手不足の日本の現状と中小企業の生き残り戦略
多様な働き方の実現
従業員が心身ともに健康な状態で働き続けるには、さまざまな変化に対応しやすい働き方が可能な制度の導入が役立ちます。例えばフレックスタイム制度・短時間勤務制度・テレワークなどです。
仕事と育児・介護の両立の負担や、通勤による負担が減ることで、従業員が働き続けやすくなる環境づくりにつながります。
生産性の向上
能力を十分に発揮するには、心身ともに健康でなければいけません。健康経営に取り組んだ結果、体調不良やストレスに悩む従業員が減れば、生産性の向上につながる可能性があります。
関連記事:仕事のパフォーマンスが低下するのはなぜ?向上を目指す5つのヒント
健康経営の5つの評価項目
「健康経営度調査」とは、企業の健康経営への取り組みを分析する調査のことです。「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定や、「健康経営銘柄」の選定に用いられます。
調査の評価項目をもとに、健康経営を目指すにあたって重要なポイントを解説します。
経営理念
健康経営に取り組むときに、まず必要なのは経営トップが関与することです。健康経営の取り組みを、どのように財務面での成果につなげていくのかを示す統合報告書を作成し、社内外へ発信しましょう。
あわせて健康経営に取り組むことを発信する健康宣言も行います。自社で独自に行うことも可能ですし、協会けんぽや健康保険組合連合会の各都道府県支部など、法人が加入している保険者の健康宣言事業へ参加してもよいでしょう。
組織体制
健康経営の取り組みを企業にとってプラスにするには、経営層が積極的に参加する組織体制の構築がポイントです。
経営層の関わりが重視されていることは「健康経営優良法人2026」の大規模法人部門で、経営層の関わりを問う設問が以下の通りより具体的な内容に変わった点からも分かります。
Q23.健康経営の推進にあたっては、経営層がリーダーシップを持ち推進することが重要です。Q17で回答した健康経営の推進方針などを、取締役会や経営会議などの会議体で議論・決定していますか。(1つだけ)
1 取締役会で議論し、意思決定している
2 経営会議などの執行側の会議体で議論・意思決定している
3 サステナビリティ委員会など、サステナビリティや健康経営に限定した会議体で議論・意思決定している
4 特に経営層で議論・意思決定していない
制度・施策実行
制度・施策実行では「計画の策定」「土台づくり」「施策の実施」に取り組みます。
例えば、自社の従業員は昼食にカップラーメンや丼ものなど栄養が偏りやすいメニューを選びがちだ、という健康課題を見つけたとします。
この場合、バランスの良い昼食を従業員が食べられるようにするために役立つ施策は何かを検討して、導入する制度を決めるのが「計画の策定」です。
バランスの良い食事の重要性を感じていない従業員が多いなら、なぜ食事が大切なのかを理解しやすい研修を実施したり、どのような組み合わせならバランスの良い食事になるのかを見えやすい場所に掲示したりするとよいでしょう。
節約意識から予算内に抑えるために偏った食事になりがちなら、食事補助の導入が効果的です。例えばエデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を利用すれば、従業員の食事代をサポートできます。
一定の条件下で導入すれば所得税の非課税枠を利用できるため、従業員の手取りアップにもつながるサービスです。「チケットレストラン」や非課税枠についての詳細はこちらの「資料請求」からお問い合わせください。
次に実施するのは「土台づくり」です。今回の例であれば、なぜバランスの良い食事が必要なのかを分かりやすく示したり、「チケットレストラン」を導入したなら使い方のルールや利用できる店舗などを周知したりします。
また「施策の実施」は、策定した計画を実際に実施する段階です。健康課題の解決に必要な取り組みの実施や制度の導入によって、課題の解決を目指しましょう。
評価・改善
取り組んだ施策や導入した制度は、効果の検証が必要です。どのくらい健康課題の解決に役立ったか評価しましょう。適切に評価するために、計画を策定する段階で、指標と目標を明確にします。
例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入で、従業員がバランスの良い食事をとれるようにする場合で考えてみましょう。指標の一例には、1食あたりの食事代・品数・野菜の入ったメニューの有無などが考えられます。
健康を意識して野菜を食べる従業員を増やしたいなら、導入の前後に「野菜を取り入れたメニューを1週間に何回昼食で食べましたか?」というアンケートを行い、1~5回の回答者の割合を計算する方法が有効です。
目標は「1週間に3回以上は野菜を取り入れた昼食を食べた人が80%以上になるようにする」というように設定できます。
指標と目標がはっきりしていれば、取り組みの良かった点や悪かった点が明確になります。悪かった点は改善して、次に生かしましょう。
法令遵守・リスクマネジメント
健康経営に必要な取り組みの中には、法律で実施が定められているものもあります。例えば労働基準法や労働安全衛生法に則って事業を行わなければいけません。
また定期健診やストレスチェックも、対象となる従業員や実施が義務付けられている企業が定められている取り組みです。ルール通りに実施した上で、自社ならではの健康課題に着手する必要があります。
関連記事:【社労士監修】ストレスチェック義務化の対象が拡大|概要から対応策まで解説
健康経営優良法人認定を受けた中小企業の事例
従業員の健康増進に向けて健康経営を取り入れている企業では、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。健康経営優良法人(中小企業法人部門)に認定された企業のうち「認定法人取り組み事例集2025」で取り上げられている事例を紹介します。
参考:ACTION!健康経営|認定法人取り組み事例集2025 中小規模法人部門
株式会社アイザック・トランスポート「働きやすい環境整備で低い離職率を実現」
産業廃棄物の収集・運搬を行っている株式会社アイザック・トランスポートは、健康上の課題による従業員の離職を防ぎたいという思いから、健康経営に取り組んでいる企業です。
長距離運転手が快適に働きやすいよう、会社負担の人間ドックを毎年行っている他、デジタル式運行記録計を用いた労働時間の管理・指導を実施しています。ファン付きの作業服やドリンクを支給しているのも特徴です。
加えて社内にはサイクリング機器・シャワールーム・男女別の休憩室を設置して過ごしやすい環境を整えています。
これらの取り組みにより、運転手不足が課題となっている業界でありながら、同社の運転手の離職率は非常に低く、おおむね3年に1人ほどだそうです。
オーエス株式会社「労働環境改善で仕事と育児・介護の両立支援」
生活関連サービス業を展開しているオーエス株式会社では、育休明けの働き方について「時短勤務で早く帰るのが申し訳ない」という声があがっていました。従業員に長く働き続けてほしいという思いから、人事部主導のボトムアップで健康経営が始まった事例です。
具体的な取り組みには、介護の基本情報や社内制度を整理したガイドブックの作成、AWB(アクティビティベースドワーキング)の導入による働きやすい職場環境の整備、などに取り組んでいます。
これらの労働環境改善が、従業員の健康意識向上と採用活動への好影響につながっているそうです。
株式会社シアーズホームグループHD「環境づくりで心身の健康を向上」
家づくりを中心とした事業を展開している株式会社シアーズホームグループHDは、従業員の心身の健康向上を目指し、環境づくりに注力しています。会長からのメッセージ発信で声をあげやすい雰囲気をつくっているのも特徴です。
社員食堂では管理栄養士監修のメニューやサラダバイキングを提供し、食生活の改善を支援しています。また、他部署交流を促す「集いカフェ」の設置で従業員の満足度向上に取り組んでいます。
加えて従業員の働く環境に合わせた健康への取り組みも実施中です。例えば夏場には、熱中症対策のドリンクや塩タブレット・ファン付きの作業服の配布を実施しています。
このような取り組みにより、従業員への健康意識も高まってきているそうです。
山八商事株式会社「従業員の声を反映した取り組みで健康意識を改善」
不動産業を行っている山八商事株式会社は、従業員との対話やアンケートから見えてきた従業員の声をもとに、健康経営に取り組んでいます。
例えば1年に1回実施している健康習慣アンケートでは、炭水化物中心の偏った食生活が課題と分かりました。野菜をとる習慣づくりのために、毎月8日にサラダランチデーを設けて、希望者にサラダを提供しています。
また女性従業員の声から女性専用休憩エリアを設置しました。安心して過ごせる空間が、心理的安全性の確保にもつながっているそうです。
このような取り組みを重ねることで、従業員の健康意識が向上しています。健康イベントやセミナーへの参加も積極的になってきているそうです。
株式会社セルヴァンスポーツ「メンタルヘルスが改善、エンゲージメントも向上」
株式会社セルヴァンスポーツは、従業員の「健やかな幸せ(健幸)」が重要であるとの気付きから、スポーツジムとして健康を体現するためにも健康経営を推進しています。
特にメンタルヘルス面では、精神科医や産業医といった第三者の専門家を健康経営推進部に迎え、ケアを高度化しました。
この取り組みにより、ストレスチェックのスコアが年々改善し、担当の精神科医からも高い評価を得ています。結果として、エンゲージメントを示す指標も毎年拡大中です。
「チケットレストラン」が健康経営につながった事例
企業が健康経営に取り組むときには、健康を考えたバランスの良い食事をとりやすくなる、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できるため、働く場所や休憩時間のタイミングによらず利用でき、対象となる従業員に公平に支給できるのもポイントといえます。
ここでは「チケットレストラン」の導入が、従業員の健康増進につながった事例を見ていきましょう。
鈴木商店
株式会社鈴木商店では以前から健康経営優良法人の認定を目指していました。認定の要件の中に「食生活の改善に向けた取り組み」が入っていたことから、フルリモートの従業員にも提供可能な「チケットレストラン」を導入したそうです。
これにより、2023年から3年連続で健康経営優良法人に認定されており、ブランド力向上や生産性向上につながっています。
また従業員を対象に行っている「健康習慣アンケート」で、健康増進に肯定的な回答の割合が56%から70%に高まったことから、健康習慣の改善につながっていることが分かります。
詳細な導入事例はこちら:株式会社鈴木商店
東海海運株式会社
港湾運送サービス業を営む「東海海運株式会社」では、「健康第一で、長く働いてほしい」という想いから、従業員の健康増進をサポートしたいと考えて健康経営につながる食事補助の導入を検討していました。
これまでも弁当の支給は行っていましたが、対象は早朝・深夜勤務の従業員のみです。対象となる全ての従業員が公平に利用できる点が決め手となり、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入しました。
「チケットレストラン」の導入前は「食事は安くお腹を満たせるものを」と考える従業員が多い様子でしたが、導入後は「健康を意識したものを」と考える従業員が増えています。
詳細な導入事例はこちら:東海海運株式会社
関西エアポートオペレーションサービス株式会社
「関西エアポートオペレーションサービス株式会社」では、従業員が3食しっかり食べられる環境づくりのために、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入しました。
職場である空港内にある店舗の大半で利用できるのも導入のポイントだそうです。24時間のシフト制で働く従業員が、雇用形態や勤務体系、勤務時間によらず活用でき、さまざまなメニューから好みのものを選んで食べられるようになりました。
「チケットレストラン」の導入後は、食事代のサポートがあることから、メインの食事にサラダをプラスするというような健康を意識した食事をとりやすくなり、健康経営につながっているそうです。
詳細な導入事例はこちら:関西エアポートオペレーションサービス株式会社
健康経営の取り組み事例を参考にしよう
健康経営とは従業員の健康を経営上の課題と考え、健康増進に戦略的に取り組むことです。中小企業が健康経営に取り組むときには、同様の規模の企業が実施している事例を参考にするとよいでしょう。
バランスの良い食事をとる習慣づくりにつながる、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入した企業の事例も役立ちます。中には健康経営優良法人認定を目指すために「チケットレストラン」を導入した企業もあります。その結果その企業は、2023年から3年連続で健康経営優良法人に認定されています。
健康経営の一環として、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。
当サイトにおけるニュース、データ及びその他の情報などのコンテンツは一般的な情報提供を目的にしており、特定のお客様のニーズへの対応もしくは特定のサービスの優遇的な措置を保証するものではありません。当コンテンツは信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社はその正確性、適時性、適切性または完全性を表明または保証するものではなく、お客様による当サイトのコンテンツの利用等に関して生じうるいかなる損害についても責任を負いません。
エデンレッドジャパンブログ編集部
福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!
