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【税理士監修】福利厚生による節税の仕組みとは?福利厚生費の要件や損金算入のポイントを解説

公開日: 2026.03.03

更新日: 2026.07.17

【税理士監修】福利厚生による節税の仕組みとは?法人税を適切に抑える実務ポイント

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

福利厚生を節税に活かすには、福利厚生費として損金算入できる制度を、税務上の要件を満たして導入・運用することが重要です。ただし、全ての福利厚生が対象となるわけではなく、制度ごとに満たすべき要件が定められています。本記事では、福利厚生が節税につながる仕組みや福利厚生費として認められる要件、導入時の注意点を解説します。

福利厚生費とは?福利厚生が節税につながる理由

福利厚生を整えると、従業員の働きやすさや満足度を高めると同時に、企業の税負担を軽減できる可能性があります。ただし、単に福利厚生を導入するだけでは、税負担の軽減にはつながらないかもしれません。

税負担の軽減を目指すには、福利厚生費としての経費計上が必要です。ここでは、福利厚生費の基本的な考え方と、節税につながる仕組みについて解説します。

福利厚生費とは

福利厚生費とは、企業が従業員の暮らし・健康・働きやすさの向上を目的として支出する費用のうち、一定の要件を満たしたものを経費計上するときに用いる勘定科目です。

福利厚生には、健康診断や社員食堂・食事補助・慶弔見舞金・社員旅行・社宅制度など、さまざまな制度があります。これらの支出が税務上「福利厚生費」と認められると、原則として損金に算入でき、法人税の課税所得を減らすことが可能です。

そのため、福利厚生による節税を実現するには、「どのような制度を導入するか」に加えて「税務上の要件を満たして運用すること」が重要です。

課税所得が減ると法人税額も減る可能性

法人税額を計算するときには、課税所得に法人税の税率をかけて算出します。このとき、まずは課税所得を「益金-損金」で計算します。

益金は売上や受取利息など、損金は売上原価や販売管理費などです。福利厚生費は損金に含まれます。益金が同額であれば、福利厚生費が増えると課税所得が減り、法人税額も減る仕組みです。

関連記事:福利厚生費とは?該当条件や要件、具体例を税理士が丁寧に解説

給与として支給する場合と比べて従業員にもプラス

企業が従業員へ還元する方法には、給与として支給する方法と、福利厚生として提供する方法があります。

比較する項目

給与

福利厚生
※非課税要件を満たす場合

法人の損金算入

可能

可能

従業員の所得税

課税

非課税

社会保険料への影響

あり

制度により異なる

従業員の手取り

福利厚生と比べて少なくなる

所得税非課税で大きくなりやすい

給与として支給した場合は、企業はかかった費用を人件費として損金算入できます。一方、従業員は所得税や住民税が課される他、社会保険料も算定対象です。額面に比べて支給額が少なくなることが多いでしょう。

同額を福利厚生として提供し、税務上の非課税要件を満たす場合には、従業員に所得税が課税されず、制度によっては社会保険料の算定対象にもならないケースがあります。その結果、企業負担が同額でも、従業員の手取りが増え実質的なメリットが大きくなるかもしれません。

例えば、一定の要件を満たす食事補助や通勤手当、健康診断などは、企業・従業員双方に税制上のメリットがある代表的な福利厚生です。

もちろん、全ての福利厚生が非課税になるわけではありません。制度ごとに定められた要件を満たすことが前提となるため、導入前には税務上の取り扱いを十分に確認することが大切です。

福利厚生費として損金算入できる条件

かかった費用を福利厚生費として損金算入するには、導入した福利厚生が以下の条件を満たしていなければいけません。

  • 福利厚生の対象が全従業員であること
  • 社会通念上妥当な金額であること
  • 賃金でないこと

例えば、利用できるのが一部の従業員のみに限られている人間ドックを福利厚生として導入した場合、その費用は福利厚生費としては認められません。一方40歳になると全従業員が人間ドックを利用できるといった制度設計であれば、福利厚生費として損金算入可能です。

福利厚生規程を整備しておく

福利厚生費として認められるためには、福利厚生規程を設けて、制度を適切に運用していることを客観的に説明できる状態にしておくことも重要です。

法令上、全ての福利厚生について規程の作成が義務付けられているわけではありませんが、規程が整備されていることで制度の公平性や継続性を示しやすくなります。

例えば食事補助制度であれば、利用対象者や企業・従業員の負担割合、提供方法などを規程に定めておくことで、制度設計が明確になります。

加えて申請書類・利用記録・領収書などの証憑を保管し、誰が見ても適切に運用されていることを説明できる状態にしておくことも意識しましょう。

関連ページ:【社労士監修】福利厚生規定とは?必要な理由・記載項目・制度別作成ポイントを解説

福利厚生費として認められないケース

福利厚生制度を導入していても、税務上の要件を満たしていなければ福利厚生費として認められない場合があります。その場合、給与や賞与として扱われ、所得税や社会保険料の対象となる可能性があるため注意が必要です。ここでは、福利厚生費として否認されやすい代表的なケースを紹介します。

福利厚生費が否認されるケースは?

福利厚生費の損金算入が否認されるのは、福利厚生の対象が役員のみの場合や、社会通念上高額すぎる場合、かかった費用を現金で支給する場合などです。これらのケースでは、福利厚生費として損金算入できなくなります。

関連記事:【税理士監修】福利厚生費は全て非課税?導入時には課税・非課税の要件をチェック

税務調査で損金算入を否認される福利厚生費の例

福利厚生費として計上すれば、どのようなケースでも損金算入できるわけではありません。以下のように条件を満たしていない制度では、福利厚生費として計上できず、損金算入を否認されてしまいます。

損金算入を否認される例

解説

具体例

役員のみが対象となる制度

全ての従業員が対象でなければ、福利厚生費とならず損金算入できません。

役員のみが対象の人間ドックや社宅など

高額すぎる食事や旅行

社会通念上妥当な金額でなければ、福利厚生費とならず損金算入できません。

1人につき1食10万円を超えるような高額の食事代

現金で支給する制度

現金で支給すると給与とみなされるため、福利厚生費としては損金算入できません。

※給与としては原則として損金算入可能です。

住宅手当や食事手当などを給与に上乗せして支給した場合

節税につながる福利厚生の種類と非課税要件

費用を福利厚生費として損金算入できる福利厚生には、どのような制度があるのでしょうか。一覧で福利厚生の具体例と非課税で支給するための要件をチェックしましょう。

福利厚生

特徴

非課税要件

食事補助

従業員のランチ代をサポートする

・従業員が食事の費用を半分以上負担していること
・「食事代-従業員が負担している金額」が1カ月につき7,500円(税抜)以下であること

社宅

従業員に住まいを提供する

・従業員から1カ月あたり賃貸料相当額の50%以上を受け取っていること

通勤手当

従業員の出勤にかかる交通費を負担する

・マイカーなどの場合は通勤距離によって設けられている限度額内であること
・公共交通機関での通勤は最も経済的で合理的な経路の通勤定期券の運賃であること
・1カ月あたりの最大限度額は15万円以下

健康診断や
人間ドック

従業員の健康診断や人間ドックの費用を負担する

・全ての従業員を対象とすること
・かかった費用を企業が負担すること

慶弔見舞金

慶事のお祝い金・弔事の香典・災害などの見舞金を支給する

・社会通念上妥当な金額であること

社員旅行・
レクリエーション

従業員を対象とした旅行・スポーツ大会・観劇会などを開催する

・4泊5日以内であること
・全体の人数の50%以上が参加していること

企業型DC

企業の拠出金を各従業員が運用する企業年金

・企業が拠出する掛金と運用益が非課税

参考
国税庁|No.2594 食事を支給したとき
国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
国税庁|人間ドックの費用負担
国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
厚生労働省|確定拠出年金制度の概要
国税庁|給与所得の範囲

節税だけで福利厚生を選ぶべきではない理由

福利厚生は、一定の要件を満たすことで節税効果が期待できます。しかし、節税だけを目的に制度を導入すると、従業員のニーズに合わず利用されなかったり、期待した採用・定着効果を得られなかったりする可能性があります。

福利厚生は、税務上のメリットとあわせて、企業経営や人材戦略への効果も踏まえて検討することが大切です。

福利厚生費を使った分だけ得をするわけではない

福利厚生費が増えると、法人税額が下がる可能性があります。ただし、福利厚生費を使えば使うほど得をするとは限りません。

従業員が「ほしい」と思う福利厚生を導入すれば、従業員の満足度アップや定着率向上などの福利厚生の本来の目的を達成しつつ、課税所得を減らせます。

一方、節税ばかりに目を向けてしまい、従業員にとって不要な福利厚生ばかり増やしてしまうと、福利厚生の本来の目的を達成できません。法人税額を減らせたとしても、効果の感じられない福利厚生では損失の方が大きくなることもあるでしょう。

効果的に福利厚生を導入するには、本来の目的を意識することが重要です。

採用・定着・エンゲージメント向上にもつながる

福利厚生は、企業が負担するコストではなく、人材への投資という側面も持っています。

近年は就職先を選ぶときに、福利厚生を重視する傾向が見られます。例えばベター・プレイスの「福利厚生制度に関するアンケート調査」によると、「転職するとしたら企業選びでは福利厚生を重視する」と回答した人は79.4%と高い割合でした。

また同調査で「福利厚生の充実度が高いと企業へのエンゲージメントが向上する」と回答した割合は77.9%であることから、福利厚生は企業への満足度やエンゲージメントを高める要素の1つでもあることが分かります。

これから福利厚生を検討する場合には「従業員にとって価値のある制度か」という視点も欠かせません。

 参考:ベター・プレイス|福利厚生制度に関するアンケート調査

「第3の賃上げ」という考え方

物価上昇や人材獲得競争の激化により、多くの企業が賃上げへの対応を迫られています。しかし給与を引き上げると、人件費だけでなく社会保険料の企業負担も増えるため、継続的な実施が難しいケースもあるでしょう。

そこで注目されているのが、福利厚生を活用して実質的な賃上げや暮らしの負担を軽減する「第3の賃上げ」です。

例えば食事補助は、企業の負担を抑えながら、従業員の食費負担を軽減できる福利厚生です。一定の要件を満たしていれば、従業員の課税所得を増やすことなく支給できるため、実質的な賃上げにつながります。

食事補助を活用した福利厚生制度を検討している企業には、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」がおすすめです。全国にある加盟店25万店舗以上で利用できるため、従業員が公平に利用しやすい点でも優れています。福利厚生による実質的な処遇改善を実現したい企業は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

関連ページ:食事補助を福利厚生で導入するならチケットレストラン

福利厚生で節税する際の注意

福利厚生は、適切に導入・運用することで節税効果が期待できます。一方で、制度設計や運用方法を誤ると、福利厚生費として認められず、想定外の税負担が発生しかねません。

導入前には、税務上の取り扱いに加えて、社会保険料や制度運用まで含めて確認しておくことが重要です。

福利厚生費と給与の違い

福利厚生と給与は、どちらも従業員への還元という点では共通していますが、税務上の取り扱いは異なります。

給与は、従業員への労働の対価として支払われるものであり、所得税や住民税、社会保険料の対象となります。

一方、福利厚生は、従業員の生活や健康、働きやすい環境づくりを目的として提供されるものです。一定の要件を満たせば福利厚生費として計上でき、制度によっては従業員の所得税も非課税となるものもあります。

ただし福利厚生という名目でも、実質的に給与と判断される場合は、給与課税の対象です。制度の名称ではなく、実態によって判断される点に注意しましょう。

社会保険料との関係

福利厚生を検討する際は、税金だけでなく社会保険料への影響も確認する必要があります。

給与として支給する場合は、原則として社会保険料の算定対象になります。

一方、福利厚生は制度によって取り扱いが異なる点に注意しましょう。例えば、通勤手当は社会保険料の算定対象となりますが、一定の要件を満たす食事補助は算定対象に含みません。

制度ごとに取り扱いが異なるため、社会保険制度についても確認が必要です。

税務調査で確認されるポイント

税務調査で福利厚生が適切に運用されているか確認するときには、以下のような点が重点的にチェックされます。

  • 福利厚生規程が整備されているか
  • 規程どおりに制度を運用しているか
  • 一部の役員や従業員だけが利用していないか
  • 領収書や申請書などの証憑を保管しているか
  • 福利厚生ではなく給与に該当する実態になっていないか

制度そのものが適切でも、運用実態が見合っていなければ福利厚生費として認められない可能性があります。

福利厚生は導入して終わりではありません。継続的に適切な運用を行い、必要な書類を保管することも重要です。

福利厚生による節税に関するよくある質問

福利厚生による節税について、企業の経営者や人事担当者から寄せられることの多い質問を紹介します。

福利厚生は全て損金になりますか?

いいえ。福利厚生として支出した費用であっても、税務上の要件を満たさなければ福利厚生費として認められません。

例えば、対象者が一部の役員や従業員に限定されている場合や、現金支給の場合は、給与や賞与として扱われる可能性があります。福利厚生による節税効果を得るには、運用の実態が重要です。

役員だけでも福利厚生を利用できますか?

役員が福利厚生制度を利用すること自体は可能です。ただし役員だけを対象とした制度や、一般の従業員が利用できない制度は、福利厚生費として認められない可能性があります。

福利厚生は、原則として全従業員を対象とした制度でなければいけません。公平性を意識した制度設計が必要です。

個人事業主でも福利厚生は導入できますか?

福利厚生は、従業員のために設ける制度です。従業員を雇用している個人事業主であれば、要件を満たす福利厚生制度を導入できる場合があります。

一方、従業員を雇用していない個人事業主の場合、自分自身の暮らしや健康の質向上のための支出を福利厚生費として計上することはできません。

福利厚生費に上限はありますか?

福利厚生費全体に定められている上限額はありません。

ただし食事補助や通勤手当など、一部の制度には非課税となるための金額要件や条件が定められています。

また金額が社会通念上著しく高額である場合は、福利厚生費として認められない可能性もあるため注意が必要です。

現金で支給しても福利厚生になりますか?

原則として、現金支給は福利厚生ではなく給与として取り扱われます。例えば、昼食代や健康診断の費用などを現金で支給すると、所得税や社会保険料の対象です。

福利厚生を節税に活かすには、各制度の要件を満たした方法で支給しなければいけません。

福利厚生は要件を満たして導入すると節税につながる

福利厚生にかかる費用は「全従業員が対象」「金額が社会通念上妥当」「現金支給でない」場合に、福利厚生費として経費計上できます。加えて人材確保や従業員満足度の向上にもつながる施策の1つです。

適切な制度設計により要件を満たした福利厚生を導入すれば、企業も従業員もメリットを得られるでしょう。

食事補助は、福利厚生による節税効果と従業員満足度の向上を両立しやすい制度の1つです。食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を提供しているエデンレッドジャパンでは、制度設計の相談から導入までサポートしています。

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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和

コンサルティング会社・通販会社など様々な業種で働いている中で、税理士を目指すことを決意。1級FP 、日商簿記1級や宅建資格などを取得しており、幅広い視野と知見でサポートしております。
舘野義和税理士事務所
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