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【社労士監修】定期昇給とは?昇給の種類や中小企業の平均額を確認

【社労士監修】定期昇給とは?昇給の種類や中小企業の平均額を確認

2024.02.08

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

定期昇給とは定期的に賃金を上げる制度のことです。中小企業で定期昇給を行う場合、平均額はいくらなのでしょうか?全体の平均を知ることで、自社で行う昇給の目安になります。昇給が難しい状況で、従業員の経済的な負担をサポートできる制度についても見ていきましょう。

定期昇給とは?

企業が決めた任意のタイミングで定期的に昇給を行うことを定期昇給といいます。例えば「1年に1回、4月に昇給あり」「1年に2回、4・10月に昇給あり」といった制度を設けている場合は定期昇給です。

必ず昇給するわけではない点に注意

定期昇給は企業の規定により設けられている昇給の機会です。年齢や勤続年数に応じて定期昇給を実施すれば、年功序列制度となります。ただし定期昇給の制度があるからといって、在籍している全従業員に対して、毎回昇給しなければいけないわけではありません。

賃金を業務の成果や個々の従業員のスキルに基づいて決定する規定があれば、基準に達しておらず昇給しないということもあり得ます。昇給率や昇給額も個々の従業員によってさまざまです。

従業員の納得を得ながら制度を運用するには、就業規則で昇給の基準を明確にして、あらかじめ周知しておくと良いでしょう。

定期昇給のメリット

定期昇給のメリットは実施の仕方によって異なります。

年齢や勤続年数に応じて自動的に昇給できる制度として運用している場合、人件費を一定に保ちやすくなるのがメリットです。定年退職で昇給額の大きな従業員が退職し、若手の人材が入社することで、人件費全体の金額に大きな変動が出にくい仕組みといえます。

毎年どのくらい昇給していくかが明確になっていることで、従業員は先の見通しが立てやすくなり、安心して仕事に取り組めるでしょう。

個々の能力や成績に応じて昇給する仕組みを取り入れているなら、従業員のモチベーションアップにつながります。頑張りに対する正当な評価が得られる環境には優秀な人材が集まりやすくなるのもメリットです。その結果、業績アップしていくことも期待できます。

定期昇給のデメリット

仕事の成果によらず、年齢や勤続年数に応じて定期昇給する場合、生産性が上がりにくいかもしれません。仕事ぶりが評価されにくいことから、不満が出てくることも考えられます。

能力や成績で昇給額や昇給率を決定する仕組みの場合には、個別に評価をする必要があるため、その分手間がかかるのがデメリットです。また評価のルールが公平で客観的なものになっていない場合には、従業員の不平不満につながることもあります。

定期昇給の平均額

定期昇給を実施している企業では、昇給の平均額はいくらなのでしょうか?日本労働組合総連合会の「2023 春季生活闘争まとめ」で集計されたうち、賃上げ総額のうちベースアップ分が明確な集計結果を用いて、定期昇給の平均額を紹介します。

集計した全ての企業の定期昇給を含む賃上げは1万995円で、そのうちベースアップによる賃上げ分は5,983円でした。差額を計算し求めた定期昇給の平均額は5,012円です。

同じように企業の規模別に、定期昇給の平均額を計算します。

参考:日本労働組合総連合会|2023 春季生活闘争まとめ

中小企業の定期昇給の平均額

日本労働組合総連合会の「2023 春季生活闘争まとめ」の集計結果をもとに計算した、定期昇給額の加重平均を見ていきましょう。ここで紹介するのは、従業員数が300人未満の企業の定期昇給の平均額です。

従業員数

①定期昇給額を含む賃上げ

②うち賃上げ分

定期昇給額(①-②)

99人以下

8,333円

4,433円

3,900円

100~299人

9,387円

5,124円

4,263円

300人未満合計

9,169円

4,982円

4,187円

従業員数が多いほど、定期昇給額が高くなる傾向があると分かります。

規模の大きな企業の定期昇給の平均額

従業員数が300人以上の規模の大きな企業の定期昇給の平均額もチェックしましょう。

従業員数

①定期昇給額を含む賃上げ

②うち賃上げ分

定期昇給額(①-②)

300~999人

1万139円

5,698円

4,441円

1,000人以上

1万1,502円

6,198円

5,304円

300人以上合計

1万1,222円

6,098円

5,124円

規模の大きな企業でも、従業員数が多くなるほど定期昇給額が大きくなる傾向があるのは、中小企業と同様です。

定期昇給以外の昇給

昇給制度には定期昇給以外にも「臨時昇給」「考課昇給」「普通昇給」「特別昇給」があります。それぞれの昇給の特徴を見ていきましょう。

臨時昇給

昇給の時期が決まっている定期昇給に対して、時期が定められていない昇給を臨時昇給といいます。業績が好調なときや、従業員が仕事で素晴らしい成果を上げたとき、業務の負担が増えるときなどに実施される昇給です。

自動昇給

年齢や勤続年数によって自動的に給与が上がることを自動昇給といいます。日ごろの仕事ぶりとは関係なく必ず昇給するため、従業員のモチベーションアップにはつながりにくい制度です。定期昇給を自動昇給で実施している企業もあります。

考課昇給

従業員のこれまでの実績やスキルを評価して行われる昇給は考課昇給です。定期昇給を考課昇給として行っている企業もあります。

仕事ぶりが評価されることで、従業員のモチベーションアップが期待できる制度です。ただし評価には時間がかかるため、評価者の業務負担の増加を考慮しなければいけません。

普通昇給

「不備なく書類作成ができる」「1人で全ての顧客対応ができる」「業務に必要な資格を取得した」など、企業が定めている要件を満たすと給与が上がることを普通昇給といいます。従業員がスキルアップしたときに実施される昇給です。

特別昇給

普通昇給に対する昇給として特別昇給があります。従業員の知識やスキルのレベルが変わらなくても、任せる業務が特殊な場合や、他にはない特別な働きをした場合には、昇給が必要です。普通昇給ではカバーしきれないけれど昇給が必要なときには、特別昇給が実施される企業もあります。

定期昇給とベースアップ(ベア)の違い

ベースアップとは基本給を一律で上げることです。個々の従業員の成績や能力とは関係なく、物価上昇によって相対的に下がった給与水準を元に戻すために行われます。

給与が上がる点は定期昇給と同じですが、昇給の対象者と給与の上がり方が異なるため解説します。

対象者の違い

定期昇給の場合、昇給の有無や昇給率は従業員ごとに異なります。従業員Aは成績優秀だったため10%の昇給が行われたけれど、従業員Bは成績が振るわなかったため勤続年数による1%の昇給のみだった、ということもある制度です。

一方ベースアップは全体の基本給が上がるため、成績や貢献度にかかわらず、全従業員が同じだけ昇給します。例えば2%のベースアップが実現すると、月給20万円を受け取っている従業員の給与は、全員一律で20万4,000円に上がります。

給与の上がり方の違い

定期昇給では毎年給与が上がっていくのに対し、ベースアップでは「1%」「2%」というように一律で基本給が上がります。

昇給率が1%の場合、基本給が20万円なら2,000円、30万円なら3,000円の昇給額です。基本給が高いほど昇給額が大きくなります。

関連記事:【社労士監修】ベア(ベースアップ)とは?定期昇給との違いや実施状況を解説

ベースアップの注意点

ベースアップは従業員の生活を守るために必要です。物価上昇が続いている局面で基本給を上げないでいると、従業員の給与は相対的に下がってしまいます。

仕事が変わらないにもかかわらず、実質的な減給となれば、モチベーションが下がる従業員が出てきてもおかしくありません。これまで通りの生活が難しくなり、健康に支障をきたす従業員が出てくることも考えられます。

経済状況によってはベースアップは必須といえますが、実施するときには注意点もあります。企業の存続に影響を与えることも考えられるため、よく検討しなければいけません。

賃金表の改定が必要

基本給を上げるベースアップを実施すると、勤続年数や等級などで基本給を定めている賃金表の改定が必要です。賃金表の内容は就業規則の賃金規定や、労働協約の規範的部分に記載されているため、就業規則や労働協約の内容を変更しなければいけません。

就業規則を変更するときの手順を紹介します。

  1. 代表取締役社長や取締役会などで決済する
  2. 労働者の過半数が加入している労働組織や労働者の過半数を代表する人に意見を聞く
  3. 変更内容について意見書をまとめてもらう
  4. 意見書・変更後就業規則・就業規則変更届を管轄の労働基準監督署長に提出する

ベースダウンは難しい点に注意

物価上昇に合わせてベースアップしたとしても、その後の企業の業績によってはベースダウンしなければいけない事態も起こり得ます。ただしベースダウンは簡単にはできません。実施する場合には原則として全従業員の同意を得る必要があるためです。

仮にベースダウンできたとしても、基本給の減額をきっかけに、退職者が増える可能性もあります。人件費を抑え経営を継続できる状態になったとしても、人材不足によって経営の継続が難しくなるかもしれません。

ベースアップ実施の有無や昇給率を決めるときには、1度上げると固定費がずっと上がることを念頭において、慎重に検討する必要があります。

参考記事:労働契約法 | e-Gov法令検索

昇給以外に従業員をサポートする方法

物価の上昇に合わせて従業員の生活をサポートしたいけれど、昇給が難しいという場合もあるでしょう。そのようなとき役立つのが、福利厚生の充実度アップです。

昇給の代わりに福利厚生を充実させるなら、生活費の負担を下げられる「家賃補助・住宅手当」「通勤手当」「食事補助」が向いています。

いずれもビズヒッツが、働く男女501人を対象に実施した「あったら嬉しい福利厚生に関する意識調査」で10位以内にランクインしている福利厚生です。3種類の福利厚生の特徴を紹介します。

参考:ビズヒッツ|あったら嬉しい福利厚生に関する意識調査

家賃補助・住宅手当

家賃補助・住宅手当は、従業員の住宅費をサポートするために支給される手当です。手当が支給される基準は企業ごとに異なります。

従業員本人が世帯主の場合にのみ支給するルールにもできますし、従業員本人が世帯主でなくても支給できるルールにしても構いません。対象も賃貸住宅の家賃のみにすることも、持ち家の住宅ローンに適用することも可能です。

他にも「自宅から勤務先までの距離が〇km以内の場合に支給する」「入社10年目まで支給する」といったルールでの支給もできます。

通勤手当

勤務先への交通費は通勤していれば必ずかかる費用です。通勤にかかる交通費の負担が減れば、昇給することなく従業員が自由に使える給与を増やせます。全額支給することも、上限額を決めてその範囲内で支給することも可能です。

従業員が納める所得税に影響を与えないようにするには、国税庁の「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」に記載されている非課税限度額の範囲内で支給しなければいけません。

非課税限度額を超える通勤手当を支給する場合、限度額を超えた部分には所得税がかかるため、源泉徴収が必要です。

参考:国税庁|通勤手当の非課税限度額の引上げについて

食事補助

食事補助を提供すると、従業員の食事に関する負担を減らせます。物価高が続く中、支出を抑えるために食費を節約している従業員は少なくありません。食事にかかる費用をサポートすることで、従業員の健康にもつながります。

一定の要件を満たしていると、食事補助にかかった費用を福利厚生費として計上できるのもポイントです。福利厚生費は法人税額を計算するときに損金として益金から差し引けるため、企業にもメリットのある福利厚生といえます。

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関連記事:福利厚生が充実した会社になるメリットを完全解説!方法と成功事例も紹介

定期昇給や福利厚生で従業員をサポート

物価高が続くと、同じ1万円を持っていても、以前より買えるものの数は少なくなります。従業員の給与が相対的に少なくなることのないよう企業にできるのは、定期昇給を始めとする給与アップです。

昇給による従業員のサポートが難しい状況なら、福利厚生の充実度を上げるのも良いでしょう。家賃補助・住宅手当、通勤手当、食事補助といった、従業員の負担を減らす福利厚生の導入で、従業員が自由に使える給与を増やせます。

食事補助の導入を考えているなら、手間を最小限に抑えつつ、全従業員が公平に利用できるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を検討してみませんか。

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