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氷河期世代の賃上げは進んでいない?現状把握と賃上げに向けて企業ができること

氷河期世代の賃上げは進んでいない?現状把握と賃上げに向けて企業ができること

2025.08.18

氷河期世代の賃上げは、他の世代と比べてなかなか進んでいないのが現状です。なぜ氷河期世代のみ、賃上げが進まない状況が生まれているのでしょうか?賃上げの現状を確認した上で、氷河期世代の賃上げのために企業ができることを見ていきましょう。

氷河期世代とは

氷河期世代とはバブル崩壊後の1993~2005年にかけて社会人になった世代のことです。また内閣府男女雇用参画局の「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書」では、1975~1984年までを「就職氷河期コア世代」と位置づけています。

2025年時点では、40~50代の世代です。

氷河期世代が就職活動を行う時期の経済状況は悪く、バブル崩壊前に2倍以上あった求人倍率は低下していきます。2000年には0.99倍と、就職を希望する新卒者の人数に対して、求人数が少ない状況でした。

このような状況を招いたのは、既存従業員の雇用を優先して、新卒採用を絞った企業が多かったためです。新卒時点での就職率が低い氷河期世代は、それ以前の世代と比べて、非正規雇用で社会人としてのキャリアをスタートした人材が増えました。

加えて、この時期は新卒一括採用で人材を採用する企業が一般的でした。中途採用がそこまで活発ではなかったため、非正規雇用でキャリアをスタートした人が正社員になることは難しい状況です。

非正規雇用では能力開発の機会が限られていることも、その後のキャリア形成の困難さにつながっています。

関連記事:氷河期世代とは?見捨てたツケとしての現状と、ハローワーク等の支援

参考:リクルートワークス研究所|第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)

氷河期世代は希望の働き方ができていない割合が高い

内閣府男女雇用参画局の「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書」によると、就職氷河期コア世代はそれより上の世代と比べて、非正規雇用で働く人の割合が増えました。

また給与・勤務形態や勤務時間・職場の雰囲気などに対して「希望通りではない」と回答した割合が高い傾向があります。

非正規雇用でキャリアをスタートした人の割合は、就職氷河期コア世代とそれ以降の世代でほぼ同じです。ただし非正規雇用での就職が「希望通りだったか」「魅力的だったか」の質問では、若い世代の方が「はい」と回答する割合が高くなっています。

氷河期世代の方が、希望にそぐわない雇用形態でキャリアをスタートさせている人が多いと分かる結果です。

このような不本意なキャリアは、氷河期世代の現在の働き方にも影響を及ぼしています。マイナビの「就職氷河期世代の実情と就労意識」によると、2018年にも氷河期世代は他の世代と比べて大企業で働く人が少ないそうです。

また「正社員の仕事がないから」という理由で、不本意ながら非正規雇用で働く人も50万人います。

参考:
内閣府男女雇用参画局|令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書
マイナビ|就職氷河期世代の実情と就労意識

氷河期世代は生活基盤ができていないケースもある

非正規雇用や無業のまま社会人になった氷河期世代の人の中には、現在も不安定な雇用のまま働いている人もいます。正社員として働くよりも収入が低い上、社会保険の保障も手薄な状態です。

今必要な生活費が不足している人や、将来的に必要になる資金を十分に備えられていない人が、一定以上存在しています。

健康に働き続けられているうちは生活を維持できますが、病気やけがなど万が一のことがあると対応しきれないケースもあるでしょう。

氷河期世代の賃上げ

日本労働組合総連合会の発表によると、賃上げ率は2022年まではほぼ横ばいで推移していました。

2023年の賃上げ率が前年を超えると、2024年には33年ぶりに5%を超える歴史的な賃上げ率を記録しています。2025年の賃上げ率はさらに上がって5.25%となり、賃上げの動きは企業規模を問わず広がっている状況です。

また厚生労働省の「毎月勤労統計」で、現金給与総額は2021年から3年連続で前年を上回る結果となっていることからも、日本国内で物価高やデフレ脱却の動きから、賃上げが広がっていることの現れです。

ただし賃上げには世代間格差が生じている、という指摘も見られます。氷河期世代の賃上げが進みにくい状況について見ていきましょう。

関連記事:賃上げ率の推移はどうなる?2025年春闘の結果と今後の予想

参考:
日本労働組合総連合会|労働・賃金・雇用 春季生活闘争
厚生労働省|毎月勤労統計

他の世代と比べて進みにくい賃上げ

賃上げは全ての世代に等しく行われているわけではありません。若手人材の確保や離職防止を目的に、若手従業員の賃上げや初任給の引き上げを手厚く行う一方、40~50代の氷河期世代の賃上げが手薄になっているケースがあります。

賃金構造基本統計調査」で年代別の1カ月あたりの賃金を、2020年と2024年で比較すると以下の通りです。30代前半以下の若い世代の上昇率が9%を超えているのに対して、30代後半から50代の上昇率は低く抑えられています。

氷河期世代の中でも50代前半は上昇率が3.3%と、特に賃上げが抑えられている状況です。

年代

2020年の賃金

2024年の賃金

上昇率

~19歳

17万9,600円

19万9,300円

10.9%

20~24歳

21万2,000円

23万2,500円

9.6%

25~29歳

24万4,600円

26万7,200円

9.2%

30~34歳

27万4,400円

29万9,500円

9.1%

35~39歳

30万5,200円

32万8,700円

7.6%

40~44歳

32万9,800円

35万1,400円

6.5%

45~49歳

34万7,400円

37万2,700円

7.2%

50~54歳

36万8,000円

38万400円

3.3%

55~59歳

36万8,600円

39万2,000円

6.3%

60~64歳

28万9,300円

31万7,700円

9.8%

65~69歳

25万7,400円

27万5,500円

7.0%

※上昇率は「(2024年の賃金-2020年の賃金)÷2020年の賃金×100」で算出。小数点第2位以下切り捨て

参考:厚生労働省|賃金構造基本統計調査

氷河期世代の賃上げが進まない理由

氷河期世代の賃上げが他の世代と比べて進まない理由は複数あります。それぞれの理由について見ていきましょう。

関連記事:【氷河期世代の賃上げ】賃金の課題と対策!食事補助の福利厚生の可能性

管理職のポストが限られているから

正社員としてキャリアを積んできた氷河期世代であっても、管理職のポストが空いていなければ昇進できません。上の世代が管理職に就いているため、思うように昇進できないことも、氷河期世代の賃上げが進みにくい理由の一つです。

十分なキャリア形成ができていないから

氷河期世代の賃上げが他の世代よりも進みにくいのは、キャリア形成が十分にできていないこととも関係しています。

非正規雇用として長年働き続けている人は、賃金アップやキャリア形成のために転職に取り組んでも、これまでの経験不足から賃金アップにつながりにくいのが現状です。

無業の期間が長い人も、年齢に対して経験やスキルが低いことから、安定した仕事に採用されにくい傾向があります。

転職に消極的と企業が考えているから

積極的に転職をしないだろうと企業が考えていることも、氷河期世代の賃上げが後回しになり進みにくい理由です。

氷河期世代である40代や50代は、家族を持っている人も多い世代といえます。住宅ローンや子どもの教育費など、多額の資金が必要な時期のため、転職よりも今の職場で働き続けることを選ぶケースも多いでしょう。

一方、若手従業員や就活生は、他者より低い給与ではつなぎとめるのが難しいため、賃上げや初任給の引き上げを実施する企業が多い傾向です。この結果、給与が安くても働き続けるだろうと考えられている氷河期世代の賃上げは、進みにくくなっています。

氷河期世代の賃上げのためにできること

賃上げの世代間格差を縮めていきたいと考えていても、これ以上の賃上げは難しい状況に置かれている企業もあります。

中小企業庁の「2024年版 中小企業白書」によると、中小企業の賃上げ実施予定は「業績の改善が見られないが賃上げを実施予定」が最も多く36.9%です。

業績が改善していないにもかかわらず、人材確保や物価上昇への対応を目的に実施する賃上げを「防衛的賃上げ」といいます。資金が増えているわけではないため、調査時点では賃上げを行ったけれど翌年や翌々年には実施できない、というケースもあるでしょう。

またエデンレッドジャパンの実施した「賃上げ疲れ実態調査2025」によると、77.0%の企業が賃上げによる企業経営への負担を感じています。68.7%の企業が「企業収益の圧迫」の、33.1%が「事業への投資抑制」の影響を実感している状況です。

このような状況の中、氷河期世代の賃上げを実現するために、企業にできることを紹介します。

関連記事:
防衛的賃上げの実態と中小企業の課題|人材確保のための厳しい選択
【2025年最新】賃上げ疲れとは?データで読み解く実態と対策

参考:
中小企業庁|2024年版 中小企業白書|第1部 令和5年度(2023年度)の中小企業の動向
エデンレッドジャパン|賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~

助成金を活用する

氷河期世代を採用したり、雇用形態を非正規から正社員へ転換したりすると、費用の一部に充てられる助成金を利用可能です。例えば以下の助成金を活用できます。

助成金

助成内容

トライアル雇用助成金

・ハローワークの紹介で雇用し、原則3カ月のトライアル雇用を行う場合が対象となる
・要件を満たしていると、雇い入れの日から最長で3カ月間にわたり、対象者ひとりにつき月4万円(母子家庭の母などか父子家庭の父は5万円)が支給される

特定求職者雇用開発助成金

(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

・以下の要件を満たす人材を、ハローワークなどを通して正規雇用労働者として新たに雇い入れる企業は60万円(大企業は50万円)の助成金を受け取れる
・1986年4月2日~1988年4月1日生まれ
・雇い入れの日の前日から過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間が通算で1年以下
・雇い入れの日の前日から過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
・ハローワークなどの紹介の時点で、失業しているか、非正規雇用などで安定した職業に就いていない
・正規雇用労働者としての雇用を希望している

人材開発支援助成金

(人材育成支援コース 有期実習型訓練)

・有期契約労働者等を正社員にした場合に利用できる
・経費助成率は75%で、要件を満たすと25%上乗せ
・賃金助成額は800円(大企業は400円)で、要件を満たすと200円(大企業は100円)上乗せ
・OJT助成額は10万円(大企業は9万円)で、要件を満たすと3万円上乗せ
・1事業所1年度あたりの助成限度額は1,000万円

関連記事:就職氷河期世代の支援策|拡充される支援プログラムと企業にできること

参考:
厚生労働省|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
厚生労働省|人材開発支援助成金|人材育成支援コース

※助成金支給対象に該当するか否かのご相談については事業所がある自治体窓口までお問い合わせください

福利厚生で待遇改善に取り組む

福利厚生の拡充は待遇改善につながる取り組みです。好待遇で働きやすい環境を整えれば、従業員が「ここで長く働き続けたい」と考え始めることが期待できます。

ただし福利厚生の数を増やせばよいというわけではありません。ポイントは従業員が「あったらうれしい」と思う福利厚生の導入です。

ベター・プレイスの実施した「福利厚生制度に関するアンケート」によると、30%以上が「導入してほしい」と回答した福利厚生には「社宅・住宅手当・家賃補助」「通勤手当」「長期休暇」「フレックスタイム制度、時短勤務制度」「社員食堂・食事補助」などがあります。

この結果を参考にしつつ、自社の従業員の意見を取り入れながら、導入する福利厚生を決めるとよいでしょう。

関連記事:福利厚生が良い会社ランキングを紹介!従業員が喜ぶ福利厚生もチェック

参考:ベター・プレイス|【福利厚生制度に関するアンケート】従業員数300名未満の企業で、導入率が低い福利厚生は「企業年金・iDeCo+」、「カフェテリアプラン」

福利厚生を活用する「第3の賃上げ」も検討を

実質的な手取りアップや家計負担の軽減につながる福利厚生を活用した賃上げのことを、エデンレッドジャパンでは「第1の賃上げ」である定期昇給や「第2の賃上げ」であるベースアップに対して、「第3の賃上げ」と定義しました。

例えばエデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、一定の利用条件下で導入すれば、所得税の非課税枠を活用できる仕組みです。

第3の賃上げ」の仕組みや「チケットレストラン」の制度について、詳細はこちらの「資料請求」からお問い合わせください。

関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

従業員満足度の高い「チケットレストラン」は人材確保にも有効

食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の従業員満足度は93%です。全国に25万店舗以上ある加盟店で食事を購入でき、勤務場所や休憩時間を取るタイミングによらず利用できる利便性の高さが評価されています。

加えて毎日の食事をサポートする仕組みが、従業員にも求職者にも好評となり、人材確保に有効に働いている企業も少なくありません。

例えば調剤薬局を運営しているM's ファーマ株式会社では、従業員満足度向上に向けた施策の一環として「チケットレストラン」を導入したことで、離職率の大幅な引き下げにつながりました。

また株式会社sumarchでは、賃上げや労働環境の改善に加えて、福利厚生の拡充に取り組んでいます。その一つとして導入したのが「チケットレストラン」です。従業員の待遇をより良いものにしていった結果、離職を検討していた従業員が「今より好待遇の企業がなかった」と転職を考え直した事例もありました。

詳細な導入事例はこちら:
M's ファーマ株式会社

株式会社sumarch

氷河期世代の賃上げには助成金や福利厚生の活用を

氷河期世代の賃上げは他の世代ほど進んでいません。

管理職のポストが空いておらず昇進が思うように進まないことや、そもそも非正規雇用や無業で十分なキャリア形成ができていないこと、転職よりも安定性を重視する世代であることなど、複数の理由から起こっている状況です。

また「これ以上の賃上げは難しい」と考えている企業もあるでしょう。このような中で氷河期世代の賃上げに取り組むには、助成金の活用や福利厚生の拡充による待遇改善に取り組むのが有効です。

福利厚生で待遇改善を行うなら、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか。

実質的な手取りアップがかなうのはもちろん、実際に人材確保につながった事例もある福利厚生サービスです。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

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