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氷河期世代とは?見捨てたツケとしての現状と、ハローワーク等の支援

氷河期世代とは?見捨てたツケとしての現状と、ハローワーク等の支援

2024.09.18

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氷河期世代とは1993~2005年にかけて社会人になった世代のことです。また内閣府の資料によると、1975~1984年まれの人を就職氷河期コア世代と位置づけています。2024年時点で40代にあたる氷河期世代には、どのような特徴があるのでしょうか?氷河期世代向けの支援や、氷河期世代の雇用を行う企業が利用できる助成金を紹介します。

氷河期世代とは?特徴を解説

バブル崩壊後の1993~2005年にかけて社会人になったのが氷河期世代です。内閣府の資料では、1975~1984年まれを「就職氷河期コア世代」と位置づけています。概ね2024年時点で40~50代の世代です。

氷河期世代が就職活動を行う時期の経済状況は悪く、バブル崩壊前に2倍以上あった求人倍率は低下していきます。2000年には0.99倍と、就職を希望する新卒者の人数に対して、求人数が少ない状況でした。

氷河期世代_1出典:リクルートワークス研究所|第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)

新卒時点での就職率が低く、氷河期世代以前の世代と比べて、非正規雇用で社会人としてのキャリアをスタートした人材が多い世代です。

氷河期世代の現状

氷河期世代の現状も確認しましょう。新卒で就職活動を行う時期に経済状況が悪く、思うような結果に結びつかなかったことが、その後のキャリアや生活基盤にも影響を及ぼしていることが分かります。

不本意な雇用

令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書」によると、就職氷河期コア世代はそれより上の世代と比べて、非正規雇用で働く割合が増えました。

また給与・勤務形態や勤務時間・職場の雰囲気などに対して「希望通りではない」と回答した割合が高い傾向があります。

社会人としてのキャリアを非正規雇用でスタートさせた人の割合は、就職氷河期コア世代とそれ以降の若い世代に大きな違いはありません。ただし非正規雇用で就職した仕事が「希望通りだったか」「魅力的だったか」の質問に対して「はい」と回答した割合は、若い世代の方が高くなっています。

このことから、氷河期世代は不本意な雇用でキャリアをスタートさせていることが分かります。

加えて希望にそぐわない形でスタートして氷河期世代のキャリアは、現在の働き方にも影響を及ぼしています。マイナビの「就職氷河期世代の実情と就労意識」によると、2018年にも氷河期世代は他の世代と比べて大企業で働く人が少ないそうです。

また「正社員の仕事がないから」という理由で、不本意ながら非正規雇用で働く人も50万人と少なくありません。

参考:
内閣府男女雇用参画局|令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書
マイナビ|就職氷河期世代の実情と就労意識

進まない賃上げ

日本国内では物価高やデフレ脱却の動きから、賃上げが広がっています。厚生労働省の「毎月勤労統計」によると、現金給与総額は2021年から3年連続で前年を上回る結果です。

ただし賃上げは全ての世代に等しく行われているわけではありません。若手人材の確保や離職防止のを目的に、若手従業員の賃上げを手厚く行う一方、40~50代の氷河期世代の賃上げが手薄になっているケースがあります。

また正規雇用の従業員としてキャリアを積んできた氷河期世代であっても、上の世代が管理職に就いていることから、思うように昇進できず昇給が遅れていることも、進まない賃上げの原因です。

氷河期世代の中には、非正規雇用として長年働き続けている人もいます。賃金アップやキャリア形成のために転職に取り組んでも、これまでの経験不足から賃金アップにつながりにくいのが現状です。

複数の要因から、氷河期世代の賃上げは、他の世代と比べると進んでいません。

参考:厚生労働省|毎月勤労統計

関連記事:【氷河期世代の賃上げ】賃金の課題と対策!食事補助の福利厚生の可能性

脆弱な生活基盤

氷河期世代の中には、非正規雇用や無業のまま社会人になった人も少なくありません。希望する就労が実現しなかった人の中には、現在も雇用が不安定な状態で働いている人もいます。

正規雇用の従業員として働くよりも収入が低く、社会保険も手薄なため、今必要な生活費が不足している人や、将来必要になる老後資金の備えが不十分な人が一定以上存在している状況です。

生活基盤が脆弱であることから、病気やけがなど万が一の事態に対応するのが難しいこともあるでしょう。

氷河期世代を対象とした支援

氷河期世代を取り巻く現状は厳しく、大きな課題といえます。「自己責任ではないか」という声がある一方、経済状況の悪化により就職がままならず、評価につながるキャリアを形成しにくかった世代であることは確かです。

このような現状に置かれている氷河期世代をサポートするための支援が始まっています。「就職氷河期世代の方々への支援のご案内」を元に、各機関が実施している支援について詳しい内容を見ていきましょう。

参考:厚生労働省|就職氷河期世代の方々への支援のご案内

ハローワーク

非正規雇用の不安定なキャリアの見直しを支援しているのはハローワークです。例えば以下のような支援を、全国のハローワークで無料にて受けられます。

支援

支援内容

就職氷河期世代専門窓口

一人ひとりの状況に合わせた相談やサポート

ハロートレーニング

希望の仕事に就くためのスキル習得

就職氷河期世代限定・歓迎求人

業務経験不問で応募しやすい求人の紹介

就職氷河期世代向けセミナー

効果的なセミナーの実施

応募書類の作成支援や面接指導

就職に向けたきめ細かい支援

定着支援

就職後に継続して働き続けられるようにするためのサポート

「今すぐ仕事を探したい」「スキルを身につけてキャリアアップを目指したい」という人向きの支援を受けられるのが特徴です。

地域若者サポートステーション(サポステ)

地域若者サポートステーション(サポステ)では、現時点で仕事をしていない人が就職を目指すために、以下の支援を行っています。

支援

支援内容

専門的な個別相談支援

一人ひとりの状況に合わせた相談と支援

コミュニケーション講座

人と関わることが苦手な人のための講座

ジョブトレ(就業体験)

自分に合う仕事探しに役立つ体験

ビジネスマナー講座

社会人としてのマナーを身につけるための講座

就活セミナー(面接等指導)

就職を目指す人への指導

定着支援

就職後に継続して働き続けられるようにするためのサポート

サポステではキャリアコンサルタントやカウンセラーといった専門家の支援を受けながら、一人ひとりに合う就職を目指せます。

ひきこもり地域支援センターや自立相談支援機関の各種支援機関

現在仕事に就いていない場合には、ひきこもり地域支援センターや自立相談支援機関が実施している以下の支援を受けられます。

支援

支援内容

社会参加への準備支援

関係する各機関と連携しながら行われる支援

家庭への訪問支援

外出が難しく来所できない場合の支援

居場所づくり

家以外の安心できる環境を提供

自立相談支援事業

一人ひとりに合わせた支援プランの作成

住居確保給付金

住まいを失う恐れのある人に対する支援

家族支援

仕事に就いていない本人の家族が抱える悩みに寄り添う支援

各機関に在籍している専門家により、関係する各機関と連携を取りながら支援を受けられる仕組みです。

氷河期世代の雇用に利用できる助成金

少子高齢化が進み生産年齢人口が減り続けている中、氷河期世代は人手不足解消のために重要な人材と考えられています。氷河期世代の雇用は、要件を満たすことで助成金の対象となるかもしれません。

氷河期世代の活用を検討している企業に役立つよう、代表的な助成金について紹介します。

関連記事:【社労士監修】人材採用に役立つ助成金の支給要件や支給額は?活用の注意点も解説

トライアル雇用助成金「一般トライアルコース」

常用雇用のきっかけとして、原則3カ月の試行雇用を行うことで、最大4万円を最長3カ月受け取れるのが、トライアル雇用助成金の「一般トライアルコース」です。

助成金を申請するには、対象となる人材の試行雇用が開始いてから2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」を、対象者を企業へ紹介したハローワークへ提出します。助成金の支給申請期間は、試行雇用した人材と期間の定めのない無期雇用契約を締結してから2カ月以内です。

トライアル雇用は、以下のいずれかの要件を満たしており、トライアル雇用を希望した人材が対象となります。

  • 紹介日の前日から過去2年以内に2回以上の離職や転職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で離職期間が1年間を超えており、この間にパートやアルバイトなども含めて就労していない
  • 妊娠・出産・育児を理由に離職しており、紹介日の前日時点で期間の定めのない労働契約による安定した職業に就いていない
  • 1968年4月2日以降に生まれた人でハローワークなどで個別支援を受けている
  • 就職の援助を行うにあたり特別な配慮を必要とする、生活保護受給者・母子家庭の母・父子家庭の父などである

参考:厚生労働省|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内

特定求職者雇用開発助成金「就職氷河期世代安定雇用実現コース」

特定求職者雇用開発助成金「就職氷河期世代安定雇用実現コース」では、要件を満たす企業が、同じく要件を満たす氷河期世代の人材を正規雇用すると、60万円(大企業は50万円)の助成金を受け取れます。

必要な要件を満たしていることを確認したら、対象労働者の雇い入れ後に支給申請を行いましょう。助成金は2度に分けて支給されるため、第1期支給申請・第2期支給申請の2回申請が必要です。

参考:厚生労働省|「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」のご案内

人材開発支援助成金「人材育成支援コース」

10時間以上のOFF-JT、新卒者などのために行うOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練、有期契約労働者を正社員転換する目的で行うOJTとOFF-JTの実施により、助成金を受けられるのが人材開発支援助成金「人材育成支援コース」です。

有期契約労働者を対象に、要件を満たす訓練を実施すると、訓練にかかる経費の70%と、訓練中の賃金について1人あたり1時間760円(大企業は380円)の助成金を受けられます。

非正規雇用で働く氷河期世代の人材に対して、正規雇用へ転換するときに必要な知識・スキルを習得させるときに役立つ助成金です。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内

関連記事:【社労士監修】人材開発支援助成金の条件は?活用事例をチェック

キャリアアップ助成金「正社員化コース」

キャリアアップ助成金「正社員化コース」を申請すると、有期雇用労働者などを正社員にした場合に助成金を受け取れます。助成額は正社員にする前の雇用形態によって異なり、以下のように定められています。

企業規模

有期雇用労働者から正社員

無期雇用労働者から正社員

中小企業

80万円(40万円×2期)

40万円(20万円×2期)

大企業

60万円(30万円×2期)

30万円(15万円×2期)

また人材開発支援助成金の訓練を受けてから正社員にした場合や、派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合などには、助成額が加算される仕組みです。

支給申請に必要な書類は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局へ、期限内に提出しましょう。

参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金のご 案 内(令和6年度版)

関連記事:【社労士監修】キャリアアップ助成金正社員化コースが拡充!改正ポイントと注意点

氷河期世代の人材活用は企業にもメリット

バブル崩壊後の1993~2005年にかけて社会人になった世代を氷河期世代といいます。経済状況が悪く、希望の就職がかなわない人材も多かった氷河期世代は、今なお他の世代と比べて待遇が悪いのが現状です。

このような状態の改善に向けて、氷河期世代を対象とした支援が行われています。トライアル雇用助成金やキャリアアップ助成金など、氷河期世代の雇用や正社員化を行うことで受け取れる助成金も複数あるため、活用するとよいでしょう。

氷河期世代の雇用を進めることで、人手不足の解消にもつながることが期待できます。

また氷河期世代の賃上げが進みにくい状況を改善するには、食の福利厚生サービス「チケットレストラン」の活用もおすすめです。要件を満たすと従業員の税負担を増やすことなく食事代をサポートできるため、同額の賃上げを行うより、従業員は手取り額アップを実感しやすくなるでしょう。

氷河期世代の待遇改善に向けて、導入を検討してみませんか。

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