カフェテリアプランのポイントは、健康増進・育児介護・食事補助など7カテゴリーから自由に選べます。なかでも毎日使いやすい「食事補助」は注目度が高まっています。
一方、運用する総務・人事担当者の悩みは「消化率が上がらない」「使い道に困るという声がある」ことです。本記事では、おすすめの使い道と消化率を高める運用のコツを解説します。
カフェテリアプランとは?ポイントの仕組み
カフェテリアポイントとは、企業が福利厚生費として従業員に付与するポイント型の福利厚生制度のことです。従業員はあらかじめ用意されたメニューの中から、自分の好きなメニューにポイントを使って、サービスや商品と交換します。
ポイントの単価は「1ポイント=1円」または「1ポイント=100円」とする企業が多く、年間の付与額は企業規模や制度設計によって数千円から数万円程度まで幅があります。
運用は、自社で専用サイトを設けるか、ベネフィット・ワンやイーウェルといった大手福利厚生代行会社が提供するパッケージ型のカフェテリアプランを利用するパターンが一般的です。代行サービスの場合、メニューの選定や利用実績の集計など運用負担を一部外部に任せられるため、人的コストが限られる企業でも始めやすいメリットがあります。
カフェテリアプランが注目される背景
終身雇用や年功序列を前提にした画一的な福利厚生では、単身者・子育て世帯・シニア層など、ライフステージの異なる従業員全員のニーズを満たすことが難しくなっています。カフェテリアプランであれば、あらかじめ用意された予算(ポイント)の範囲内で従業員が自分に必要な福利厚生を選べます。多様な働き方や価値観に対応しやすく、幅広い世代や価値観の人材が活躍する大手企業を中心に導入が広がっています。
運用面では「ポイント消化率」を意識
カフェテリアプランを運用するうえで、企業側が意識しておきたいのが「ポイント消化率」です。これは、従業員に付与した総ポイントのうち実際に申請・利用された割合を指します。
ポイントは付与された時点では費用が発生するわけではなく、従業員が実際にメニューを申請・利用して初めて福利厚生費として計上される仕組みです。つまり、ポイントが使われないまま失効すると、制度にかけた予算が本来の目的(従業員満足度の向上)に活かされないまま終わってしまいます。消化率はメニューの設計や周知の工夫次第で変動するため、定期的に適切な利用があるか、チェックが必要です。
カフェテリアプランのメリット・デメリット
選択できる自由度の高さは魅力ですが、人によっては使い損ねてしまう点を押さえましょう。
カフェテリアプランのメリット
企業のメリットは、従業員の年齢や家族構成にかかわらず、限られた予算内で公平に福利厚生を提供できる点です。画一的な制度と違って個々のニーズに応えやすいため、従業員満足度やエンゲージメントの向上にもつながりやすいとされています。
従業員側から見ても、自分のライフステージに合わせてメニューを選べる自由度の高さは魅力です。
カフェテリアプランのデメリット
デメリットは、付与されたポイントが少ないと希望のメニューを利用しきれないことがあり、計画的に使わなければ失効してしまいます。また、旅行券のように換金性・自由度の高いメニューを利用すると課税対象になり、従業員の手取りが減ってしまうケースもあります。
企業側にとっても、メニューの選定や利用実績の管理、税務処理といった運用の事務負担が発生する点はあらかじめ考慮しておきたいポイントです。
関連記事:カフェテリアプランとは?メリット・デメリットと費用をわかりやすく説明
カフェテリアポイントの利用の流れ
実際の利用手順は運営会社によって多少異なりますが、一般的には次のような流れになります。
- 年度の初めなどに企業から従業員へ一定のポイントが付与される
- 従業員が専用のWebサイトやアプリにログイン。用意されたメニュー一覧から利用したいサービスを選んで利用申請する
- メニューによっては領収書のアップロードや利用実績の報告。運営企業側で内容を確認した後、申請分のポイントが消化され、企業に対して費用の精算が行われる
給与明細やアプリなどで現在のポイント利用状況を確認できると、従業員自身が残高を把握しやすくなります。
カフェテリアポイントの主な使い道一覧
一般的なカフェテリアプランで用意されているメニューは、次の7カテゴリーに整理できます。
| カテゴリー | 具体的な使い道の例 |
| 健康増進 | 人間ドック・オプション検査、フィットネスクラブ利用料、メンタルヘルスケア |
| 育児・介護 | 保育料補助、ベビーシッター利用料、介護サービス利用料 |
| 自己啓発 | 資格取得講座、通信教育、語学スクール、書籍購入費 |
| 住宅関連 | 家賃補助、住宅ローン利子補給、引っ越し費用補助 |
| 食事補助 | 社員食堂、宅配弁当、食事補助サービス |
| 旅行・レジャー | 宿泊施設・旅行券、テーマパークチケット、社内クラブ活動費 |
| 財産形成 | 財形貯蓄、確定拠出年金の掛金補助、団体保険料補助 |
どのメニューを用意するかは企業ごとに異なり、多くの制度は「使いやすさ」と「公平性」を両立できるメニュー構成を意識して設計されています。
データで見るメニューの使われ方(経団連調査)
実際の利用状況は、経団連「第64回福利厚生費調査結果報告」(2019年度実績)から確認できます。カフェテリアプランの1人1か月あたりの消化額とその内訳は次の通りです。
| メニューカテゴリー | 消化額(1人1か月あたり) | 構成比 |
| ライフサポート | 2,520円 | 54.1% |
| 文化・体育・レクリエーション | 1,305円 | 28.0% |
| 住宅 | 552円 | 11.8% |
| 医療・健康 | 182円 | 3.9% |
| その他 | 101円 | 2.2% |
| 合計 | 4,660円 | 100.0% |
出典:日本経済団体連合会|「第64回福利厚生費調査結果報告」(2019年度実績)
個別メニューで見ると、財産形成(690円・14.8%)やレクリエーション活動費(1,141円・24.5%)、保険(518円・11.1%)が上位を占め、食事手当・給食補助(408円・8.8%)もそれに続く水準で利用されています。
一方、寮・社宅・賃貸物件入居補助は302円(6.5%)、持家援助は250円(5.4%)にとどまり、対象となる従業員が限られるメニューほど消化額が伸びにくい傾向がうかがえます。
【おすすめ】カフェテリアポイントの使い道に選ばれるメニュー
利用対象者が多く、毎日使えるという観点から、消化率を底上げしやすいおすすめの使い道を紹介します。
1. 食事補助:日常的に使えるからこそ消化率が高い
旅行やレジャーのように「まとまったポイントを貯めてから使う」メニューと違い、食事補助は毎日の昼食代として少額から使えるため、ポイントを無理なく使い切りやすいのが利点です。
さらに全国のコンビニや飲食店で使えるアウトソーシング型の食事補助サービスであれば、勤務地やテレワークの有無にかかわらず公平に利用でき、多様な働き方が広がる今の時代にマッチします。独身者から子育て世帯まで、ほぼすべての従業員が恩恵を実感しやすいメニューでもあり、前述の経団連調査でも食事手当・給食補助は個別メニューの中で一定の消化額を占めていました。
関連記事:カフェテリアプランで食事補助を導入するメリットとは?制度設計や注意点を解説
2. 健康増進:人間ドックやフィットネス利用料の補助
人間ドックのオプション検査費用や、フィットネスクラブの会費補助も人気の高いメニューです。健康経営の観点からも推奨されやすく、ストレスチェック後のカウンセリング費用やメンタルヘルス関連のサービス利用料を対象にする企業も増えています。
3. 自己啓発:資格取得やスキルアップ費用
資格取得講座や語学スクールの受講料に充てられるメニューは、キャリアアップを目指す従業員から支持されています。企業によっては自己啓発メニューだけ還元率を優遇する「優遇単価方式」を採用しているケースもあり、リスキリングを後押しする福利厚生として注目度が高まっています。
4. 育児・介護支援:ライフイベントに合わせた活用
保育料やベビーシッター利用料、介護サービス費用の補助は、子育てや介護を担う従業員にとって心強いメニューです。ライフイベントのタイミングによって利用有無が分かれるメニューだからこそ、対象者への丁寧な周知が消化率アップの鍵になります。
5. 旅行・レジャー:リフレッシュ目的での利用
宿泊施設やテーマパークのチケット購入に使えるメニューは、リフレッシュ目的での利用が中心です。社内のクラブ活動費補助として使えるケースもありますが、換金性が高いとみなされると課税対象になりやすい点には注意が必要です。
6. 住宅・財産形成、ニッチなメニューで拾いきれないニーズに対応
家賃補助や住宅ローンの利子補給、財形貯蓄や確定拠出年金の掛金補助、持ち株会や各種保険料の補助といったメニューは、従業員の長期的な生活基盤を支える使い道です。利用額は大きくなりやすい一方、対象となる従業員が限られる傾向もあります。
加えて、奨学金の返済補助や家事代行サービス、自家用車通勤者向けのタイヤ交換・修理費用補助など、従業員アンケートをもとにしたニッチなメニューを一部取り入れておくと、「使いたいメニューがない」という理由での未消化を減らすことができます。
消化率が伸び悩む企業が見直したいポイント
総務・人事担当者からよく聞かれるのが「メニューは用意しているのに使われない」という悩みです。原因の多くは、次の3つのいずれかに当てはまります。
一つ目は、利用のハードルが高いメニューに偏っていることです。旅行券や育児・介護用品購入など「まとまった機会がないと使わない」メニューだけでは、日常的にポイントを消化する動機が生まれにくくなります。
二つ目は、申請手続きが煩雑であることです。専用サイトへのログインや領収書などの書類提
出が必要な制度は、手間を理由に利用を止めてしまうことがあります。
三つ目は、未使用ポイントの「翌年度繰り越し」を認めているケースです。「今使わなくても後で使えばいい」という心理が働きやすく、結果として単年度の消化率がかえって伸び悩む要因になることがあります。
解決策のひとつは「毎日使える」食事補助メニュー
消化率の課題に共通して効きやすいのが、食事補助メニューの拡充です。食事は毎日発生する支出です。利用のハードルが低く、申請の手間がなく、貯め込む必要もない(=日常的に使い切れる)メニューを用意するだけで、消化率は改善しやすくなります。
具体例としては、エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、全国25万店舗以上の加盟店(飲食店・コンビニ・ファミレスなど)で使える食事補助の福利厚生サービスがあります。サービス単体での専用的な利用はもちろんのこと、ベネフィット・ワン、イーウェルの「カフェテリアプラン」を利用する企業も該当サービスを通して「チケットレストラン」を提供できます。
カフェテリアポイントを食事補助メニューとして申請する場合、専用のICカードにポイントがチャージされ、店舗利用時に事前申請や請求処理は不要です。管理する企業側も、店舗で支払う従業員側も手間がかからないため、上で挙げた3つの課題いずれにも対応しやすいメニューといえます。
導入事例:25年以上定着したカフェテリアプランの"最重要メニュー"
三菱鉛筆株式会社(従業員570名)は2000年、群馬工場にしか社員食堂がないという拠点間の格差を解消するため「チケットレストラン」を導入しました。以来25年、約20項目あるカフェテリアプランの中でも最も重要な福利厚生と位置づけ、担当者自身も自分のポイントの全てを「チケットレストラン」に充てているといいます。従業員からは「すべての従業員の健康を考えてくれている」という企業からのメッセージとして受け止めている、との声も上がっており、公平な食事補助が生み出すポジティブな効果が示されています。
導入事例:三菱鉛筆株式会社
導入を検討するなら、今が好機
1984年から据え置かれていた食事補助の非課税限度額が、2026年4月1日から月額3,500円から7,500円に引き上げられ、42年ぶりの制度改正となりました。これを機にエデンレッドジャパンはベネフィット・ワンやイーウェルとの連携を強化し、2026年4月より両社のカフェテリアプラン利用企業が、「チケットレストラン」をサービスの一つとして提供できるようになっています。ベネフィット・ワンやイーウェル利用のメニューとして、新しい選択肢を増やす良い機会と言えるでしょう。
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
未消化・失効を防ぐための運用のコツ
カフェテリアポイントの多くは、付与から一定期間が経過すると失効します。従業員が「気づいたら使えなくなっていた」となる事態を避けるために、企業側では次のような工夫ができます。
- 定期的にリマインドを実施:四半期に一度など決まったタイミングで通知する、あるいは給与明細の確認画面に残ポイント数を表示できる制度にしておく
- 手続きの簡素化:特に領収書の添付作業は負担になりやすく、ポイント分だけ自動的に差し引かれる「差額決済」「振替決済」のような仕組みがあると便利
- 日常系と非日常系のメニューを織り交ぜる:サービスの種類はバランスをとる
- 利用方法や存在の周知:従業員だけでなく、育児や介護など家族利用にも使えるメニューがあり、従業員の家族への周知も行う
カフェテリアプランの使い道でよくある質問
よくある質問とその答えを参考に紹介します。
Q. カフェテリアポイントを現金化・換金することはできますか?
A. 原則としてできません。カフェテリアポイントに換金性を持たせてしまうと、税務上「給与」とみなされ、従業員側に課税されるリスクが生じます。企業側はメニュー設計の段階で換金性の高いメニューを避けるのが一般的です。
関連記事:【税理士監修】カフェテリアプランの課税・非課税を正しく理解|仕組みと実務上の注意点
Q. 期間内にカフェテリアポイントを使わないとどうなりますか?
A. 多くの制度では、一定期間内に使わなかったポイントは失効します。在籍中の従業員に付与される福利厚生であるため、退職時にも未使用分は同様に失効する制度がほとんどです。失効を防ぐためにも、残高や有効期限は定期的に周知しましょう。
Q. カフェテリアポイントの利用は課税対象になりますか?
A. 課税対象になる場合と、ならない場合があり判断は慎重に行う必要があります。国税庁の見解では、「従業員が実際にポイントを利用してサービスを受けた時点で、その内容に応じて課税・非課税を判断する」とされています。ただし、職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合や、ポイントの換金性がある場合は、カフェテリアプラン全体が課税対象です。
人間ドックの受診費用補助など、社会通念上妥当な範囲の福利厚生とみなされるメニューは非課税になりやすく、商品券や宿泊施設のチケットのように換金性・自由度が高いメニューは課税対象となる場合があります。制度設計や運用では、税理士や社会保険労務士に確認するとよいでしょう。
出典:国税庁|カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合
使い道が必ず見つかる魅力的なメニューを提供しよう
カフェテリアポイントの使い道は、健康増進・育児介護・自己啓発・住宅・食事補助・旅行レジャー・財産形成の7つに大きく分けられ、なかでも日常的に使いやすい食事補助メニューは満足度と消化率の両方を高めやすいおすすめの使い道です。
制度そのものは魅力的でも、メニュー構成や周知の仕方次第で消化率は大きく変わります。すでにカフェテリアプランを運用している企業が消化率の改善を目指すなら、既存の制度に食事補助メニューを追加する方法も選択肢の一つです。
「チケットレストラン」のように主要なカフェテリアプランへメニューとして追加できるサービスもあるため、自社の制度と従業員のニーズに合わせて、無理なく使い切れるメニュー構成を検討してみてください。
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