「あると嬉しい福利厚生」とはどのようなものでしょうか?
従業員に喜ばれ、利用率の高い福利厚生を導入する際に欠かせないポイントを確認します。従業員が嬉しいと感じる福利厚生の種類、福利厚生の基礎知識や、知っておきたいポイントと併せて整理していきましょう。近年、導入数を伸ばしている人気の福利厚生サービスであるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」についても解説します。
福利厚生の基本:種類と内容
福利厚生とは、従業員の健康で安全な生活を支え、働きやすい環境を作ることを目的として企業が提供する給与以外の報酬のことで「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に分かれます。従業員に求められる福利厚生を提供するためのヒントとして、まずは両者の違いについて整理していきましょう。
法定福利厚生(法定福利)
「法定福利厚生」は、提供することが法律や法令によって定められた福利厚生です。法定福利厚生を従業員へ提供することは企業の義務であり、企業側が提供する・しないを決めることはできません。
法定福利厚生を提供しない場合、罰則の対象となります。仮に、未提供が原因で従業員が損害を被った場合には、損害賠償請求の対象ともなり得ます。
以下、法定福利厚生の具体的な項目を紹介します。
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 子ども・子育て拠出金
- 労災保険
なお、一般社団法人日本経済団体連合会が公開した「2019 年度福利厚生費調査結果の概要」によると、2019年度に企業が負担した法定福利費は、従業員1人あたりの月額平均で8万4,392円となっています。
参考:経団連|第64回 福利厚生費調査結果報告 (2020-12-18)
法定外福利厚生(法定外福利)
「法定外福利厚生」は、法律や法令に縛られず、企業独自の判断で提供する福利厚生です。法定福利厚生とは違い、企業側に提供の義務はありません。
提供する・しないはもちろんのこと、内容についても企業の判断に委ねられるため、企業独自のカラーが表れやすいのが特徴です。
以下、法定外福利厚生として提供されることの多い、一般的な福利厚生を紹介します。
- 住宅手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 特別休暇
- 食事補助
- 慰安旅行
- 懇親会費
- 慶弔見舞金
- 財形貯蓄制度
- レジャー
- 宿泊施設利用費の補助
- 健康診断補助
- 保育手当
- 資格取得費用補助
なお、前述の調査結果によると、2019年度に企業が負担した法定外福利費は、従業員1人あたりの月額平均で24,125 円となっています。
自由度が高いだけに、従業員の「もらって嬉しい」気持ちに直結しやすいのが、この法定外福利厚生です。従業員が求める法定外福利厚生を用意することで、従業員の「もらって嬉しい」気持ちを高め、企業に対する満足度の向上が期待できます。
従業員が喜ぶ福利厚生とは?
新たに福利厚生の導入を検討するにあたり「従業員に喜ばれ、利用率が高いものを提供したい」と望む経営層は少なくありません。従業員に喜ばれ、利用率の高い福利厚生にはどのようなものがあるのでしょうか。株式会社ビズヒッツの調査をもとに、ランキング形式で紹介します。
あったら嬉しい福利厚生10選
株式会社ビズヒッツが2021年に行ったアンケート調査によると「あったら嬉しい人気の福利厚生ランキング」は以下のようになっています。
順位 | あったら嬉しい福利厚生 |
1位 | 家賃補助・住宅手当 |
2位 | 特別休暇 |
3位 | 旅行・レジャーの優待 |
4位 | 社員食堂・食事補助 |
5位 | スポーツクラブの利用補助 |
6位 | 資格取得・教育支援 |
7位 | 保養所 |
8位 | 生理休暇 |
9位 | 慶弔金の支給 |
10位 | 通勤手当 |
それぞれの内容や、福利厚生費として経費計上するための要件について、以下順に解説していきます。
参考:あったら嬉しい人気の福利厚生ランキング【働く男女501人アンケート調査】
1位:家賃補助・住宅手当
家賃補助・住宅手当は、従業員が住んでいる住宅の家賃やローンの一部を、企業が補助する形で提供する福利厚生です。家賃補助・住宅手当を福利厚生費として経費計上するには、以下に挙げる条件を満たす必要があります。
- 給与天引きなどの方法で、企業が従業員から家賃を徴収する形をとっていること(企業が補助分を給与に上乗せするのはNG)
- 従業員が家賃の50%以上を負担していること
例えば、社宅として企業が借り上げている住宅やアパートについて、従業員負担分を企業が給与天引きする場合(家賃の50%以上)、福利厚生費として計上できます。しかし、従業員が契約している賃貸物件などに対し、家賃補助として現金で手当を支給する場合、福利厚生費にはなりません。
[社労士監修]住宅手当は課税・非課税どちら?それぞれのケースや課税額を解説
2位:特別休暇
特別休暇は、企業が独自に定める休暇制度です。法定外福利厚生のため、福利厚生として提供するかどうかや、具体的な日数などは企業が自由に決められます。また、特別休暇を有給にするか、無休にするかも、企業の判断に委ねられています。
具体的には「忌引き休暇」や「結婚休暇」をはじめ、「リフレッシュ休暇」「バースデー休暇」などが該当する制度です。
3位:旅行・レジャーの優待
ワークライフバランスが注目される中、プライベートの充実を求める声も高まっています。オンとオフとを明確に切り替え、オフを満喫するためにオンにも全力を尽くすというのが、現代のビジネスパーソンの一般的な姿といっても大げさではありません。
旅行・レジャーの優待は、オフの充実に貢献する制度です。遊園地やテーマパークなどの割引券の配布のほか、アウトソーシングの福利厚生サービスに含まれているプランを選択するケースもあります。
4位:社員食堂・食事補助
社内に社員食堂を設置したり、食事チケットなどを利用して食事補助を行う福利厚生です。
国税庁は、食事を福利厚生費として計上するための要件を以下のように定めています。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
なお、一部例外として認められているのが、深夜勤務者への食事補助です。深夜勤務者に対しては、1食あたり300円を上限に非課税での現金支給が認められています。また、残業や宿日直時に現物支給された食事は課税対象外となり、全額を福利厚生費として計上可能です。
5位:スポーツクラブの利用補助
企業がスポーツクラブと法人契約を結び、福利厚生として従業員の利用分の一部を負担する場合、福利厚生費として経費計上できます。
ただし、従業員が個人で契約しているスポーツクラブの費用を企業が負担した場合、お金の流れを証明できないため、福利厚生費としては認められない可能性が高くなります。
6位:資格取得・教育支援
資格取得・教育支援は、キャリアアップやリスキリングを希望する従業員からの需要が高い人気の福利厚生です。
しかし、どんなジャンルの資格や教育でも適用できるわけではありません。福利厚生費として計上できるのは、あくまでも業務に関わる資格や教育のため注意しましょう。
[社労士監修] 福利厚生費とは?該当条件や要件、具体例を説明
7位:保養所
特定の保養所を割安で従業員に貸し出す制度です。保養所には、企業が所有する物件を利用するケースと、契約を結んだ民間の施設を保養所として利用するケースとがあります。
8位:生理休暇
労働基準法第68条では、生理休暇について以下のように定めています。
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
つまり、生理休暇は法律で定められた法定休日です。該当する従業員が申請した場合、企業は申請を却下することはできません。
ただし、生理休暇を有給にするか無給にするかは法律で定められておらず、企業の判断次第です。生理休暇を福利厚生として望む声は、「有給休暇にしてほしい」との思いによるものなのかもしれません。
9位:慶弔金の支給
従業員の冠婚葬祭や、病気やケガの際の見舞金などを、会社として包む制度です。
慶弔金の支給範囲は、あくまでも従業員に関するものに限られており、協力会社や顧客などは含まれません。この場合、接待交際費の扱いになります。
10位:通勤手当
従業員の通勤にかかる費用を企業が補助する制度です。
電車やバスなど公共交通機関を利用して通勤している従業員の場合、1カ月あたりの限度額は最大15万円です。一方、自家用車や自転車などで通勤している人の場合、通勤距離によって限度額が変わります。
限度額を超える場合、超過分は給与として課税対象になります。
福利厚生費として計上するための要件は?
福利厚生費として経費計上するためには、いくつかの要件をクリアする必要があります。要件に沿わない場合、福利厚生費としては認められず、給与として課税対象となるため注意が必要です。以下、要件について詳しく見ていきましょう。
福利厚生費として内容や金額が妥当であること
前述のとおり、福利厚生費は「従業員の健康で安全な生活を支え、働きやすい環境を作ることを目的として企業が提供する給与以外の報酬」です。本来の目的に沿わないサービスを福利厚生として提供することはできません。
また、福利厚生費として妥当な金額であることも、経費計上するために必要なポイントです。
例えば、社内旅行で海外の高級ホテルに7泊8日といった角に豪華なプランは、親睦や慰安の目的を逸脱しているために福利厚生費としては認められません。あくまでも常識の範囲で提供する必要があります。
意外と間違いやすい!福利厚生費として経費計上できる・できないの境界線
現金ではない(換金性がない)こと
現金や換金性の高いもの(商品券など)を支給した場合、福利厚生費ではなく給与として課税対象となります。
例えば、福利厚生として従業員に健康診断を受けさせる場合、企業が直接施設へ費用を支払っていれば福利厚生費となりますが、従業員へ費用を渡して受けさせた場合は現金の支給となり、福利厚生の要件から外れます。
全員を対象としていること
福利厚生は、すべての従業員を対象とする必要があります。
「女性だけが対象」「管理職だけが対象」といった内容のサービスは、福利厚生費とは認められません。すべての従業員が利用する機会を平等に有していることが、福利厚生としての経費計上には必要不可欠です。
福利厚生を提供するメリット
内容にもよりますが、福利厚生の提供には一定のコストがかかります。それにもかかわらず、福利厚生が広く提供されているのはどういった理由からなのでしょうか。福利厚生を提供することで企業が得られるメリットを紹介します。
従業員満足度の向上
法定外福利厚生の提供は企業にとって義務ではありません。従業員やその家族のよりよい生活のために、企業がコストをかけて提供するものです。
このことから、充実した福利厚生の提供は、「従業員を大切にする企業の姿勢を形にしたもの」ともいえます。従業員を大切にする企業では、福利厚生以外にも従業員の働きやすさに配慮したさまざまな施策がなされている可能性が高く、従業員満足度も高いと考えられるでしょう。
なお、従業員満足度が高い企業の従業員は、仕事に対するモチベーションが高く、優れたパフォーマンスを発揮する傾向にあります。結果として、企業の業績向上も期待できるのです。
人材の獲得・定着
就職先を検討するにあたり、福利厚生に注目する求職者は少なくありません。これも、福利厚生の充実度が「従業員を大切にする企業」としての判断材料になっていること、また「働きやすさ」を見極める指標となっているからです。
福利厚生が充実した企業には、多くの求職者が集まることから、より優秀な人材を獲得しやすくなります。また、職場への満足度が高いため、離職者は少なくなります。優秀な人材が定着することから、企業としての成長も期待できるのです。
企業価値の向上
充実した福利厚生の提供は、「従業員を大切にする企業」「働きやすい企業」としての強力なアピールポイントになります。高いブランディング効果が期待できることから、企業価値の向上にも寄与するでしょう。
ブランディングによって他社との差別化が進めば、消費者や取引先からより選ばれやすい企業となります。顧客拡大も期待でき、企業価値も高まっていくことが予想されます。
節税効果
福利厚生の提供に費やした費用は、基本的に経費として計上可能です。経費は損金算入できるため、法人税の節税に大きな効果を発揮します。
物価高の今だからこそ提供したい福利厚生「チケットレストラン」
新たな福利厚生を検討する企業の中で、近年特に注目度を高めているのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。サービスの内容や魅力をチェックしていきましょう。
日本一の実績を誇る食事補助の福利厚生
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、ICカードやアプリを使い提供する福利厚生の食事補助サービスです。
専用のICカードで支払いをすることにより、サービスを利用している企業の従業員は、全国約25万店の加盟店での食事を半額で利用できます。
提携店舗はカフェ・ファミレス・有名チェーン店・コンビニなど幅広く、ランチでの利用はもちろんのこと、おやつの購入やお弁当への1品追加など、各従業員のライフスタイルに合わせて利用可能です。
利便性が高いため、例えば周囲に適当な飲食店がない企業や、営業職のような外出先で食事をとる機会が多い職種でも不便がありません。これは、従来の社員食堂のような形態の食事補助では得られない大きなメリットです。
「チケットレストラン」が選ばれる理由とは
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、労働者の働き方は一変しました。リモートワークや時差出勤が一般的なものとなる中で、社員食堂を中心とする従来型の食事補助を事実上利用できなくなった企業も少なくありません。
しかし、全国に約25万店の加盟店を持つ「チケットレストラン」の場合、勤務地が自宅でも、コワーキングスペースであったとしても、普段通りに食事補助を利用できます。
なお、「チケットレストラン」は国税庁の確認のもと運用されているサービスです。正しく利用しさえすれば、福利厚生費として認められないといった心配はいりません。
こうしたたくさんのメリットにより、「チケットレストラン」は、導入企業2,000社以上・利用率98%・継続率99%・従業員満足率93%を誇る食事補助サービスとなったのです。
従業員目線で「あると嬉しい」福利厚生を提供しよう
企業が独自に提供できる「法定外福利厚生」は、企業ごとに内容が大きく変わるため、企業独自のカラーが出やすい施策です。
この福利厚生が充実している企業は「従業員を大切にする企業」「働きやすい企業」としてのブランディングができるため、他社との差別化ができるのはもちろんのこと、優秀な人材の獲得・定着も期待できます。
多様化する働き方に対応するエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」もひとつの参考に、従業員が「あると嬉しい」と感じる福利厚生の提供を目指しましょう。