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【税理士監修】178万の壁とは?社会保険加入との関係や手取りへの影響を解説

公開日: 2024.11.13

更新日: 2026.10.02

【税理士監修】178万の壁とは?社会保険加入との関係やメリット・デメリット

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

178万の壁とは、所得税の課税最低限が178万円に引き上げられたことをさします。2026年から、基礎控除と給与所得控除の見直しにより、従来の金額より引き上げられました。所得税の課税に関係する年収の壁引き上げによって、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?手取りへの影響とともに解説します。

年収の壁とは?

年収の壁とは、収入が増えているにもかかわらず、課税や社会保険への加入などによって手取り収入が減ることを避けるために、就労調整(働き控え)が起こりやすい年収のことです。

複数ある年収の壁について、どのような影響があるのかを見ていきましょう。

年収の壁

発生する負担

106万円の壁

社会保険への加入
※勤務先が従業員51人以上など条件を満たすとき

110万円の壁

住民税の課税

130万円の壁

国民健康保険・国民年金保険への加入
※勤務先が従業員50人以下のとき

160万円の壁

所得税の課税(2025年分に適用)
配偶者特別控除が減り始める

178万円の壁

所得税の課税(2026年分から適用)

201万円の壁

配偶者特別控除がなくなる

178万円の壁は、所得税の課税に関する基準であることがわかります。

関連記事:【税理士監修】年収の壁とは?2025年の最新動向と106万・160万の壁などをチェック

178万円の壁とは?2026年から所得税の負担開始水準が引き上げ

「令和8年度税制改正の大綱の概要」に盛り込まれ内容をもとに、基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、所得税の負担が始まる年収が、2026年から178万円になりました。これを178万円の壁といいます。

178万円の壁は年収665万円以下が対象で、企業で働く従業員の約80%が該当します。これにより、パートやアルバイトの働き方に影響するのはもちろん、正社員の所得税の負担軽減にもつながる施策です。

ここでは、所得税の課税に関する年収の壁が178万円に引き上げられた理由とともに、その背景を見ていきましょう。

関連記事:【税理士監修】103万円の壁撤廃はいつから?メリット・デメリットも解説

参考:財務省|税制改正の概要|税制改正の大綱

 178万円に引き上げられた理由

178万円に引き上げられた主な理由は、物価上昇への対応と、年収の壁を意識した就業調整への対応です。

近年は物価が上昇しており、以前と同じ年収でも実質的な負担が大きくなっています。そこで2026年度の税制改正では、物価上昇に合わせて所得税の基礎控除などを引き上げ、所得税がかかり始める水準を見直しました。

また、年収の壁を超えることで税負担が増えることを避けるため、働く時間を抑える「就業調整」も課題となっています。今回の改正では、こうした就業調整への対応に加え、中低所得者の負担を軽減することも考慮されています。

こうした見直しによって、2026年には178万円が所得税の課税最低限となりました。

178万円の根拠とは?

「178万円の壁」における金額の根拠は、1995年に設定された「103万円の壁」と最低賃金の上昇率にあります。

厚生労働省「地域別最低賃金に関するデータ(時間額)」、「地域別最低賃金の全国一覧」によると、1995年から2024年までに、最低賃金は611円から1,055円へと約1.73倍に上昇しました。この比率で「103万円の壁」を見直すと、178万円となります(103万円×1.73≒178万円)。

参考:厚生労働省|地域別最低賃金に関するデータ(時間額)、地域別最低賃金の全国一覧

 178万円の壁で手取りはどうなる?年収別にシミュレーション 

 178万円の壁によって所得税の負担開始水準は引き上げられましたが、実際の手取り額は社会保険の加入状況などによって異なります。ここでは、年収120万円と180万円の場合を例に見てみましょう。 

年収120万円の場合

年収120万円では、所得税よりも社会保険の加入条件が手取りに影響しやすくなります。2026年分の所得税では、178万円の水準を下回るため、給与収入以外の所得などがなければ所得税はかかりません。

一方、社会保険については、勤務先の加入条件などによって扱いが変わります。

  • 所得税:原則としてかからない

  • 社会保険:勤務先や労働時間などの条件によって加入対象となる

  • 配偶者の扶養に入っている場合:130万円など、社会保険上の基準も確認が必要

そのため、年収120万円で働く場合も、「178万円未満だから手取りがそのまま増える」とは限らない点に注意しましょう。

年収180万円の場合

年収180万円では178万円を超えるため、所得税の負担が発生する可能性があります。ただし、178万円を1円でも超えると、180万円全体に所得税がかかるわけではありません。所得控除などを差し引いた課税所得に対して所得税が計算されます。

  • 所得税:課税所得に応じて発生

  • 社会保険:加入条件を満たす場合は社会保険料の負担が発生

  • 手取り額:所得税と社会保険料の両方を考慮する必要がある

年収が178万円を超えるかどうかだけで手取り額を判断するのではなく、所得税と社会保険を分けて考えることが重要です。

「178万円の壁」で社会保険料はどうなる?

所得税の課税基準が178万円へ引き上げられましたが、社会保険に関係する年収の壁である「106万円の壁」と「130万円の壁」はなくなりません。

所得税に関する年収の壁が引き上げられても、社会保険料がかかり始める年収が変わらなければ、今後もパートやアルバイトの就業調整が続く可能性があります。

このような状況の中、社会保険に関する年収の壁は、今後どのように変化していく見込みなのでしょうか。ここでは「106万円の壁」と「130万円の壁」の詳細や今後の動向を見ていきましょう。

「106万円の壁」は撤廃予定

年収が106万円を超えると、パートやアルバイトで働く従業員が以下の要件を満たしていると、配偶者や親の扶養を抜けて自身の勤務先で厚生年金や健康保険へ加入する可能性があります。

  • 従業員51人以上の企業に勤務している
  • 年収106万円(月8万8,000円)を超えている
  • 週20時間以上勤務している
  • 2カ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

ただし2026年10月からは「年収106万円(月8万8,000円)を超えている」という要件がなくなります。これにより、社会保険への加入を判断するときに、年収106万円を基準とする考え方から変化します。

これは「週の所定労働時間が20時間以上」という労働時間の要件を満たせば、賃金要件も自動的に満たす地域が増えているためです。今後も企業規模要件の対象範囲は徐々に狭くなっていく予定となっています。

関連記事:【税理士監修】106万円の壁撤廃はいつから?撤廃でどうなるか影響を解説

参考:厚生労働省|社会保険適用拡大特設サイト|事業主のみなさま

「130万円の壁」は実質的な緩和

年収130万円を超えると、配偶者や親の加入している社会保険の扶養から外れる可能性があります。扶養から外れると、勤務先の社会保険や、国民年金・国民健康保険に加入することとなるため、130万円の壁とよばれています。

所得税の課税に関係する178万円の壁とは異なる、社会保険に関する年収の壁です。

ただし2026年4月からは、収入が給与のみなら残業代を含めずに年収を計算することとなりました。実質的な年収の壁引き上げにつながる施策です。

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:【税理士監修】年収106万の壁にはどう対応すべき?企業におすすめの施策とは
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【税理士監修】年収130万を超えたらどうなる?130万の壁を徹底解説!

「178万円の壁」に引き上げるメリット・デメリット

所得税に関する年収の壁が178万円に引き上げられると、私たちの働き方や収入にはどのような影響をもたらすのでしょうか。ここでは具体的な例を交えながら、そのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

178万円に引き上げるメリット

所得税に関する年収の壁を「178万円の壁」に引き上げるメリットを順番に解説します。

個人の働き方の自由度向上

最も大きなメリットは、働き方の自由度が広がることです。特に以下のような方に大きな影響を与えます。

  • パート・アルバイト従業員:より柔軟な労働時間の設定が可能になる
  • 学生アルバイト:長期休暇中の集中的な就労がしやすくなる

例えば、パート従業員のAさんの場合を考えてみましょう。所得税に関する年収の壁が103万円であった2024年までであれば、所得税の課税を避けるためにAさんは月8万円程度(年収96万円)に収入を抑えて働く必要がありました。

「就労時間を増やしたい」と思っていても、課税による手取り収入の減少を避けるために「103万円の壁」を意識して就労調整をしている状況です。

2026年からは所得税に関する年収の壁が「178万の壁」になるため、Aさんは所得税を気にせず柔軟な働き方を選択できます。ただし、社会保険に関する年収の壁は変わらず存在するため、手取り収入の減少を避けるには「106万円の壁」や「130万円の壁」も考慮しなければいけません。

企業・経済への好影響

経済全体への好影響も期待されています。厚生労働省「労働経済動向調査(令和7年11月)の概況」によると、パート・アルバイト従業員が不足している業種は「金融業、保険業」「不動産業、物品賃貸業」「医療、福祉」などです。

パートやアルバイトとして働く従業員が、今より長時間働けるようになれば、人材確保の課題が緩和される可能性があります。

参考:厚生労働省|労働経済動向調査(令和7年11月)の概況

社会保険加入で得られる手厚い保障

「178万円の壁」への引き上げにより「もっと働きたい」と考えていたパート・アルバイト従業員が、実際により多く働くようになると、「106万円の壁」を超えることとなります。

社会保険へ加入しなければならず、手取り収入が減少する可能性がある一方で、将来の年金受給額が増加したり、医療保険の充実度が上がったりする点はメリットです。

一時的には手取り年収の減少につながりますが、長期的には家計の安定性を向上につながります。

関連記事:【社労士監修】2024年10月から社会保険適用拡大!変更点と扶養・パート対応を解説

178万円に引き上げるデメリット

「178万円の壁」にはデメリットもあります。具体的なデメリットを見ていきましょう。

社会保険加入に加入する「106万円の壁」「130万円の壁」は残存

「178万円の壁」は所得税がかかりはじめる年収の壁です。これより低い年収で、所得税より負担額の大きい社会保険へ加入し始める年収の壁「106万円の壁」と「130万円の壁」があります。

例えば、従業員100人の企業で働くパート従業員が年収178万円まで働くと、勤務先で社会保険へ加入しなければいけません。将来的な家計の安定性向上や、医療保険の充実度アップにはつながりますが、手取り収入は減少する可能性があります。

このような事態を避けるために、社会保険に関する年収の壁を強く意識して、就業調整を行う従業員もいるでしょう。

税制控除との調整も不可欠

基礎控除以外の人的控除(配偶者控除、扶養控除など)も考慮が必要です。基礎控除の引き上げだけでなく、配偶者控除や配偶者特別控除などの関連制度も同時に見直す必要があります。調整が不十分だと、かえって家計の負担が増えるケースも考えられます。以下表が示す年収ごとの壁への調整が必要になるでしょう。

年収 住民税 所得税 社会保険料 配偶者控除 配偶者
特別控除

100万円以下

かからない 対象 ー
100万円 かかる かからない
106万円 かかる かかる場合あり ー 対象
130万円 かかる
160万円 段階的に減少

178万円
201万円 対象外

減税による財政負担

「178万円の壁」への引き上げの対象となるのは、年収655万円以下の中間層です。この結果、1年につき約6,500億円の減税となると試算されています。

給与所得者一律で引き上げた場合よりも、大幅に減税額は縮小していますが、それでも新たな財政負担であることには変わりません。

参考:日本経済新聞|年収の壁178万円へ引き上げ 年収665万円以下に基礎控除上乗せ

企業は178万円の壁をどう考えるべき?

178万円の壁の引き上げによって、パート・アルバイト従業員の働き方が変化する可能性があります。企業は、所得税だけでなく社会保険も含めて、従業員が働き方を選択しやすい環境を整えることが大切です。

企業が押さえておくべきポイントをチェックしましょう。

  • 従業員の働き方の変化を確認する

  • 所得税と社会保険を分けて考える

  • 従業員が働き方を選択しやすい制度を作る

企業が制度を整えて178万円の壁に対応するのと同時に、178万円の壁に関する詳細や、整備した制度について、従業員に説明する機会を設けることも重要です。

2026年から食事補助の非課税枠も見直し

103万円の壁が30年間据え置かれてきたように、企業の福利厚生制度にも長年見直されていない課題があります。食事補助の非課税枠もその1つです。

企業の従業員に対する「食事補助」は、以下の両方を満たすことで、所得税の非課税枠を活用できます。

  • 食事価額の50%以上を従業員が負担していること
  • 1ヶ月あたりの企業負担が7,500円(税別)以下であること

出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

2026年4月から非課税上限額が7,500円(税別)となるまで、1984年に設定された月額3,500円の非課税上限額は、40年間見直されていませんでした。

このような状況に対して、2024年6月19日、534の事業者で構成される「食事補助上限枠緩和を促進する会」は、上限額を引き上げる要望書を提出しています。このような動きが、2026年4月からの非課税上限額引き上げにつながりました。

会の代表を務めるエデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、一定の条件下で導入すると「年収の壁」への影響を少なくしつつ、アルバイトやパート従業員の実質的な手取りを増やせます。

関連ページ:食事補助を福利厚生で導入するならチケットレストラン

出典:株式会社エデンレッドジャパン|食事補助の上限枠緩和の要望書を自民党議員へ提出

快挙!月額7,500円と倍増へ!政府、食事補助非課税枠引き上げを閣議決定!

178万円の壁についてよくある質問

178万円の壁について、よくある質問とその回答も見ていきましょう。

Q1. 178万円の壁とは何ですか?

178万円の壁とは、所得税の負担が始まる水準が178万円以上に引き上げられたことを指します。基礎控除や給与所得控除の見直しによって、給与収入が一定以下の場合に所得税がかからない範囲が拡大しました。

Q2. 年収178万円までなら社会保険料もかかりませんか?

所得税と社会保険では、それぞれ異なる基準が設けられているため、所得税はかからなくても社会保険がかかる場合があります。

たとえば、勤務先で社会保険の加入条件を満たす場合や、勤務先の社会保険に加入していない人が年収130万円以上となる場合などには、社会保険料の負担が発生することがあります。

Q3. 178万円の壁はいつから適用されますか?

178万円の壁は、2026年分の所得税から適用されます。2026年の1月1日から12月31日までの所得が対象となり、2026年分の年末調整などで改正後の控除が反映されます。

178万円の壁のポイントを押さえよう

2026年から、所得税の課税に関する年収の壁は「178万円の壁」となりました。所得税の課税による手取り収入の減少を避けるために、就労調整をしてきたパート・アルバイト従業員の働き方の自由度アップが期待できる制度改正です。

ただし、社会保険へ加入し始める年収の壁は依然として残るため、社会保険への加入を避けるために就労調整を引き続き実施する従業員もいるでしょう。

このような中、年収の壁を意識した結果、従業員の待遇改善が思うようにできないといったケースも考えられます。年収の壁への影響を少なくしつつ、従業員の待遇を改善するには、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」が有効です。

対象となる従業員が公平に利用できる福利厚生サービスで、一定の条件下で導入すれば、所得税の非課税枠を活用して支給できます。年収の壁への対策として、「チケットレストラン」を検討してみませんか。

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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和

コンサルティング会社・通販会社など様々な業種で働いている中で、税理士を目指すことを決意。1級FP 、日商簿記1級や宅建資格などを取得しており、幅広い視野と知見でサポートしております。
舘野義和税理士事務所
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