「ピアボーナス」は、従業員同士が感謝を伝え合い、インセンティブを贈り合う福利厚生の一種です。リモートワークの普及や従業員エンゲージメントの重要性が増す中、上司からの評価だけに依存しない新しい評価制度として導入が進んでいます。本記事では、ピアボーナスの概要や導入メリット・デメリット、さらには他の福利厚生との併用による活用例まで、企業が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
「ピアボーナス」とは
ピアボーナスとは、従業員同士が互いに感謝や称賛を伝え合い、インセンティブとして報酬を贈り合う制度です。まずは、その詳細から解説します。
仲間同士で感謝を可視化する仕組み
「ピアボーナス(Peer Bonus)」は、Peer=仲間、Bonus=報酬を組み合わせた言葉で、同僚に対して感謝の気持ちを伝えるとともに、金銭やポイントなどのインセンティブを贈る仕組みです。
従業員間で気軽に「ありがとう」を可視化できることが特徴で、部署や職位を超えたつながりを生むきっかけにもなります。
このインセンティブ(報酬部分)は、一部の例外を除き、企業があらかじめ用意したポイントや予算の範囲内で付与される福利厚生として整備されているのが一般的で、従業員が自費を負担するものではありません。感謝を贈った側にもポイントが付与される仕組みも多く、双方向の評価制度として活用されています。
近年、社内コミュニケーションの活性化や従業員エンゲージメント向上の観点から、広く注目を集めている制度です。
日本で導入が進む背景
ピアボーナスが注目されている背景には、コロナ禍をきっかけとしたリモートワークの普及や、世代交代による価値観の変化があります。
近年、リモートワークやハイブリッドワークが浸透するにつれ、従業員同士のちょっとした声かけや感謝の共有が難しくなりました。組織内コミュニケーションの希薄化が課題とされる中で、ピアボーナスは心理的安全性やエンゲージメント向上につながる仕組みとして支持されています。
チームワークへの献身など、従来の上司からの評価だけではカバーしきれない、日常的な貢献が可視化できる点も導入の後押しとなっています。
関連記事:第3の給与・賃上げ|福利厚生やピアボーナスで手取りが増える仕組みを解説
ピアボーナスを導入するメリット
ピアボーナスは、単なる報酬制度にとどまらず、職場の文化や人間関係に多くのポジティブな変化を与える制度です。ここでは、ピアボーナスを導入することで企業が得られるメリットを3つ紹介します。
従業員同士の関係性が強化される
ピアボーナスを導入するメリットとして、第一に挙げられるのが、職種や部署を超えた横のつながりが生まれやすくなる点です。
特にリモートワーク下では、偶発的なコミュニケーションが減少するため、ピアボーナスのような制度が信頼関係の構築に与える影響が無視できません。また、互いの貢献を認識し合う風土が育つことで、チーム全体の一体感やコラボレーションの質も向上します。
制度を通じて感謝が可視化されることにより、孤立感の軽減やメンタルヘルス不調の予防にもつながります。
モチベーションが向上する
上司からの評価だけでは見えにくい日々の小さな貢献に対しても、仲間からの感謝が届く仕組みは、従業員のやりがいや誇りを支える重要な要素です。
誰かの役に立ったという実感が得られた従業員は、承認欲求を自然に満たすことができます。特に、新卒をはじめとする若手の従業員にとっては、日常の中でポジティブなフィードバックを受け取れることが、自信や成長意欲の向上につながります。
自発的な貢献行動が促されることから、結果としてパフォーマンスや生産性も向上する好循環を生み出すことができるのです。
優秀な人材の獲得・定着が期待できる
近年は、給与や福利厚生と同様に「人間関係」や「職場文化」が求職者の企業選びにおいて重視される傾向にあります。
その点、ピアボーナス制度が根付いている職場は、従業員同士が互いに感謝し合う風土があることが明確です。心理的安全性が高いと認識されやすいため、内定辞退の防止や早期離職の抑制といった定着面での効果が期待できます。
さらに、企業の採用活動においても、ピアボーナスの存在は求職者にとって魅力的なアピール材料となります。
関連記事:「第三の報酬」とは?|給与・賞与に代わる従業員満足の新常識を徹底解説
ピアボーナスを導入するデメリット
ピアボーナスには多くのメリットがありますが、一方で、制度設計や運用を誤ると逆効果になることもあります。ここでは、想定される主なデメリットを3つ紹介します。
感謝が義務化されてしまうリスクがある
ピアボーナスは、本来、自然な感謝の気持ちを促す仕組みですが、制度が定着しすぎると「感謝をしないといけない」というプレッシャーに変わることもあります。
上司から「もっと感謝を送るように」と指導されたり、月ごとのノルマのようになってしまうと、従業員のストレスや不満の原因となる可能性が否定できません。やらされ感が強まることで制度本来の目的が損なわれ、形式的なやりとりに陥ってしまうリスクがあります。
評価の偏りやマンネリ化も
ピアボーナスが形骸化しやすいポイントとして「特定の人ばかりが評価される」「やりとりが固定化する」といった傾向が挙げられます。感謝のやりとりが一部の人気者や発言力のある従業員に偏ることで、不公平感を生んでしまうのです。
また「いつも同じ人に贈っている」「決まったタイミングで惰性で贈る」といったマンネリ化も、制度の価値を下げる要因です。ピアボーナスを導入する際は、評価の分散や定期的な見直しが求められます。
不正利用や人間関係悪化のリスクがある
ピアボーナス制度では、親しい同僚同士で融通し合う、いわゆる「なれ合い」や不正利用のリスクを排除できません。
いったんこうした事態が生じると、過去すべてのピアボーナスに関する公平性が疑われ、制度の信頼性が損なわれるリスクがあります。また、評価されない人の不満が高まれば、組織全体の人間関係が悪化する可能性も考えられます。
制度の健全性をどう担保するかは、企業にとって大きな課題です。
ピアボーナスと併用したい「福利厚生」
ピアボーナスは従業員の内面的な満足感を高める優れた福利厚生制度ですが、さらなる効果を求めるなら、実利的なメリットをもたらす他の福利厚生との組み合わせが重要です。詳しく見ていきましょう。
心身の両面から従業員をサポート
現代の人材戦略において、ひとつの福利厚生制度だけで従業員の多様なニーズに応えることは困難です。ピアボーナスは心理的安全性や承認欲求の充足といった「心の満足」を支える制度ですが、同時に、日常生活の質を向上させる実利的な福利厚生を提供することで、より効果的に従業員のエンゲージメントを高めることができます。
具体的には、食事補助や住宅手当のような、生活に密着した福利厚生が挙げられます。従業員の心身を両面からサポートすることで、総合的なエンゲージメントを高め、ひいては従業員一人ひとりのモチベーションやパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
日常を支える食事補助の福利厚生「チケットレストラン」
ピアボーナスと相性の良い実利的な福利厚生として、近年注目度を高めているのが、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」です。
「チケットレストラン」を導入した企業の従業員は、全国25万店以上の加盟店での食事を実質半額で利用できます。
加盟店のジャンルは、ファミレス・コンビニ・三大牛丼チェーンなど幅広く、勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用時間や場所の制限もありません。
また、一定の条件を満たす福利厚生は所得税の非課税枠を活用できることから、給与として同額を支給するよりも従業員の実質的な手取りを増やす効果が期待できます。
従業員へのアピール度の高い福利厚生として、すでに3,000社を超える企業に導入され、継続率99%を誇る人気のサービスとなっています。
「チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
感謝の可視化から組織力の強化へ
ピアボーナスは、感謝や称賛を可視化する仕組みとして、エンゲージメントや心理的安全性の向上に貢献する福利厚生の一種です。
導入には制度の形骸化や不公平感といった注意点もありますが、運用次第で組織力や定着率を高める有効な人事施策となります。また、「チケットレストラン」のような実利的な福利厚生と組み合わせることで、従業員のエンゲージメントの向上にもつながります。
今後さらに注目度が高まることが予想されるピアボーナス制度。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
:「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!
当サイトにおけるニュース、データ及びその他の情報などのコンテンツは一般的な情報提供を目的にしており、特定のお客様のニーズへの対応もしくは特定のサービスの優遇的な措置を保証するものではありません。当コンテンツは信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社はその正確性、適時性、適切性または完全性を表明または保証するものではなく、お客様による当サイトのコンテンツの利用等に関して生じうるいかなる損害についても責任を負いません。
エデンレッドジャパンブログ編集部
福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!
