2026年の新卒採用動向を見ると、多くの企業が「厳しくなる」と予測しています。2025年6月時点の採用充足率が50%を超えている企業は42.0%と前年を超えていますが、就活生からの応募は十分に集まっておらず母集団が不足している企業が68.8%です。
このような状況の中、2026年卒の就活生は内定承諾の決め手として何を重視しているのでしょうか?調査をもとに見ていきましょう。
2026年卒新卒採用動向は「厳しくなる」
マイナビキャリアリサーチLabの実施した「2026年卒 企業新卒採用予定調査」によると、新卒採用は「厳しくなる」と回答した企業が78.1%でした。「2025年卒 企業新卒採用予定調査」では76.6%であったことから、昨年より1.5ポイント増加しています。
「厳しくなる」と予想する理由は以下の通りで、新卒の学生数が減っていることが67.7%と1位です。
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2026年新卒採用が厳しくなると予想する理由 |
回答した企業の割合 |
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新卒学生全体の数が減っていること |
67.7% |
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知名度が低いこと |
52.3% |
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業界・業種の人気が低いこと |
51.8% |
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新卒採用をする企業が増えていること |
48.4% |
|
給与が低いこと |
28.9% |
またキャリタスの「2026年卒・新卒採用に関する企業調査」でも、採用活動の見通しを厳しいと捉える企業の割合が86.2%と高くなっています。
2026年卒の新卒採用動向は、2025年2月時点では「厳しくなる」と予想されていました。
関連記事:新卒採用は人手不足が加速中!追加募集3割実施の現状と5つの対策
参考:
マイナビキャリアリサーチLab|2026年卒 企業新卒採用予定調査
マイナビキャリアリサーチLab|2025年卒 企業新卒採用予定調査
キャリタス|2026年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査 キャリタス 新卒採用に関する企業調査(2025年2月)
採用予定数は前年並み
厳しい新卒採用市場の中、企業の採用予定数は2025年卒と同程度という企業の割合が前年より増えました。一方、前年より増やすと回答した企業は減っています。
この傾向はマイナビキャリアリサーチLabの「2026年卒 企業新卒採用予定調査」でも、キャリタスの「2026年卒・新卒採用に関する企業調査」でも、以下の通り同じ傾向です。
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採用予定数 |
マイナビキャリアリサーチLab |
キャリタス |
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2025年卒 |
2026年卒 |
2025年卒 |
2026年卒 |
|
|
増やす |
25.1% |
23.2% |
29.7% |
26.5% |
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前年並み |
56.9% |
58.9% |
54.9% |
58.5% |
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減らす |
2.0% |
3.2% |
7.9% |
7.5% |
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未定 |
11.4% |
11.2% |
5.8% |
5.8% |
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なし |
3.9% |
3.3% |
1.8% |
1.7% |
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中止 |
0.7% |
0.2% |
ー |
ー |
採用予定数を増やす企業が減っているのは、採用充足率と関係していると考えられます。マイナビキャリアリサーチLabの「2025年卒企業新卒内定状況調査」によると、内定者数を募集人数で割った採用充足率は、3年連続で低下している状況です。
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年次 |
採用充足率 |
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2021年卒 |
82.3% |
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2022年卒 |
83.6% |
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2023年卒 |
81.3% |
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2024年卒 |
75.8% |
|
2025年卒 |
70.0% |
採用充足率が年々下がっていることから、採用予定数はこれ以上増やせない状況と判断して、前年並みとする企業が増えていると考えられます。
参考:
マイナビキャリアリサーチLab|2026年卒 企業新卒採用予定調査
キャリタス|2026年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査 キャリタス 新卒採用に関する企業調査(2025年2月)
マイナビキャリアリサーチLab|2025年卒企業新卒内定状況調査
2025年6月時点での採用充足率が50%を超えている企業は42.0%
マイナビキャリアリサーチLabの「2026年卒企業新卒採用活動調査」によると、2025年6月時点で2026卒の採用充足率(内定者数÷募集人数)が50%を超えている企業の割合は42.0%です。
前年の40.0%より採用充足率が上がっているのは、2026年卒の就活生がエントリー数も選考受験者数も増えていることと関係していると考えられます。
ただし68.8%の企業で母集団形成が不十分であることを課題として捉えており、十分なエントリー数がないのが現状です。
参考:マイナビキャリアリサーチLab|2026年卒企業新卒採用活動調査
2026年新卒学生の就職活動の状況
2026年卒の就活生の就職活動に関する調査を見ると、これまでよりも早いタイミングで就職活動に取り組み、早々に内定を獲得している状況が分かります。内定承諾の決め手となるポイントとともに、就職活動の状況を見ていきましょう。
就職活動時期は早期化
新卒採用は、3月に採用広報の解禁、6月に選考の解禁が原則です。ただし「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ」を、以下に示す一定の要件を満たして実施すると、新卒採用と連携できます。
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要件 |
要件の内容 |
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就業体験要件 |
実施期間の半分を超える日数を就業体験に充当すること |
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指導要件 |
職場の従業員が学生を指導して学生にフィードバックを行うこと |
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実施期間要件 |
汎用能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上の開催期間であること |
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実施時期要件 |
卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中に開催すること |
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情報開示要件 |
学生情報を活用することなどを募集要項に明示すること |
2026卒の就活生のインターンシップへの参加率は「2026年卒 大学生広報活動開始前の活動調査」によると85.3%です。参加者数は平均で5.2社となっており、多くの学生が複数企業のインターンシップに参加しています。
このような状況の中、採用活動の時期が早まっています。キャリタスの「2026年卒・新卒採用に関する企業調査」によると、26卒の面接開始時期と内定出しの時期の予定の割合は以下の通りです。
「早いタイミングで内定者を確保したい」と考える企業が多いと分かります。
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時期 |
面接開始 |
内定出し開始 |
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10月以前 |
7.3% |
3.1% |
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11月 |
8.5% |
3.5% |
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12月 |
12.1% |
11.0% |
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1月 |
13.0% |
8.9% |
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2月 |
12.4% |
13.0% |
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3月 |
22.5% |
19.2% |
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4月 |
15.5% |
18.4% |
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5月 |
4.2% |
11.5% |
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6月 |
2.0% |
7.3% |
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7月以降 |
2.3% |
4.2% |
またHRproの「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」によると、キャリアプランの有無が就職活動を始める時期に影響を与えているそうです。
学部3年生の5月までに就職活動を始める割合は、キャリアプランが明確な学生では57%、ぼんやりとしたイメージを持っている学生では43%、イメージがない学生では20%でした。
関連記事:インターンシップの企業側のメリットは?新卒採用につながるポイントも
参考:
厚生労働省|大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について
文部科学省|大学等におけるインターンシップの推進
キャリタス|2026年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査 キャリタス 新卒採用に関する企業調査(2025年2月)
HRpro|HR総研×就活会議:2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)結果報告
第2報
関連記事:インターンシップの企業側のメリットは?新卒採用につながるポイントも
3月時点での内定率は年々上昇
マイナビキャリアリサーチLabの「【8月更新】2026年卒就職内定率(内々定率)の状況」によると、2026年卒の就活生の2025年3月末時点での内定率は54.6%です。24年卒・25年卒と比べて高い割合となっています。
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年次 |
3月末時点の内定率 |
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2024年卒 |
30.0% |
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2025年卒 |
47.4% |
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2026年卒 |
54.6% |
またHRproの「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」によれば、2025年3月初旬に内定を獲得している就活生の割合は、キャリアプランの有無により以下のように差があるそうです。
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キャリアプランの有無 |
2025年3月初旬に内定を獲得している就活生の割合 |
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明確に持っている |
83% |
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ぼんやりとイメージしている |
76% |
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イメージを持っていない |
60% |
この結果から、キャリアプランが明確になっている学生は、早い段階で内定を獲得していることが分かります。
参考:
マイナビキャリアリサーチLab|【8月更新】2026年卒就職内定率(内々定率)の状況
HRpro|HR総研×就活会議:2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)結果報告
第2報
内定承諾の決め手
就活生が内定を承諾する決め手になるポイントについても、調査結果をもとに見ていきましょう。
「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」によると「仕事内容」「事業内容」「勤務地」「給与・待遇」「企業の雰囲気」「初任給」「福利厚生」などをあげる学生の割合が高くなっています。
特にキャリアプランが明確な学生では「仕事内容」や「事業内容」と回答する割合が高く、イメージがぼんやりしている学生は「勤務地」「給与・待遇」「福利厚生」などの条件面をより重視する傾向です。
またマイナビキャリアリサーチLabの「2026年卒 大学生キャリア意向調査7月<入社予定先の決定と不安>」によると、内定承諾の決め手として「福利厚生が充実している(37.9%)」「希望する勤務地で働ける(31.1%)」「給与や賞与が高い(29.1%)」「企業経営が安定している(26.6%)」「従業員の人間関係が良い(23.5%)」があがっています。
関連記事:内定者の意識調査でわかる若手の本音|内定辞退・早期離職を防ぐ取り組みとは
参考:
HRpro|HR総研×就活会議:2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)結果報告
第2報
マイナビキャリアリサーチLab|2026年卒 大学生キャリア意向調査7月<入社予定先の決定と不安>
新卒学生の人材確保に向けた取り組み
新卒学生の人材採用をスムーズに進めるには、内定の決め手としてあがっていたポイントを改善する取り組みを実施するとよいでしょう。具体的な取り組みを紹介します。
関連記事:新卒採用のメリットとは?採用成功から定着率向上までの完全ガイド
インターンシップを行う
就活生にとってインターンシップは、就職を希望している企業の理解を深めたり、実際の職場の雰囲気を体感したりできる場です。実際の仕事を体験することで、イメージではなく実感を持って職業選択をする機会にもなるでしょう。
学情の実施した「2026年卒学生の就職意識調査」によると、45.7%の学生が大学1・2年生でインターンシップの情報収集を開始しています。
さらに「実際に業務を体験できるインターンシップは満足度が高い」「インターンシップに参加したことで、視野に入れていなかった業界に興味を持てた」という声もあるそうです。
業務を体験できるインターンシップを実施することで、より多くの学生に自社をアピールし、仕事内容を正確に知ってもらうことにつながります。
職場見学を行う
仕事内容や職場の雰囲気が内定の決め手になるケースもあることから、職場見学を実施するのもよいでしょう。
実際の仕事を見ることで仕事への理解度が高まりますし、職場に入ることで自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
ミスマッチが発生しにくくなるため「イメージと違った」という理由による、内定辞退や早期離職を防ぎ、定着率アップにつながるでしょう。
事業内容やビジョンをアピールする
企業が取り組んでいる事業や掲げているビジョンを見て、就活生は「自分のキャリアのイメージをかなえられそうか」「将来的に安心して働き続けられそうか」などを判断しています。
「2026年卒大学生就職意識調査」では、安定していることを企業選びのポイントとしてあげている就活生の割合は51.9%で半数を超えていました。
また「【25・26卒】就活生が企業に求めるものに関する意識調査アンケート」でも41.5%が「安定した事業を続けている」企業に魅力を感じていると回答しています。
安心してキャリアを築いていける企業であることをアピールするために、就活生には事業内容やビジョンに加えて、業績についても説明しましょう。
現時点で安定している場合には今の業績を、今後の安定を目指す場合にはそれに向けたビジョンの説明を行います。
参考:
マイナビキャリアリサーチLab|2026年卒大学生就職意識調査
人事ZINE|【25・26卒】就活生が企業に求めるものに関する意識調査アンケート
勤務地を限定する制度を導入する
就活生にとって、勤務地も内定承諾の決め手になるポイントです。
将来的に結婚したら夫婦共働きで働きたいと希望する就活生の増加により、転勤の多い企業を避ける傾向が高まっています。
新卒採用を成功させて、採用した人材が長く働き続けられるようにするには「地域限定採用」といった、転勤なしで働ける勤務形態を導入するとよいでしょう。
あわせてリモートワークの導入や、リモートワークでキャリアを制限されない制度の導入も効果的です。
例えばJTでは「リモートキャリア制度」を導入しました。制度を利用すれば、介護や育児などを理由に本社の通勤圏外に住んでいても、定められた条件を満たせばリモートワークで本社勤務が可能となります。
本社勤務の従業員が遠方にある実家での介護のために転居したとしても、本社勤務を継続できますし、地方在住で介護を理由に本社勤務が難しい従業員も本社勤務のキャリアにチャレンジ可能です。
企業ごとに業務の性質に合う制度を設けることで、採用した人材が希望した勤務場所で働きやすくなります。「プライベートと両立しやすい企業に就職したい」という就活生の採用につながりやすくなるでしょう。
参考:
マイナビキャリアリサーチLab|2026年卒大学生就職意識調査
JT|働き方を進化させる「リモートキャリア制度」を新たに導入~多様な人財の更なる活躍推進~
給与アップに取り組む
JOB総研の行った「2025年 理想の就活実態調査」では、社会人を対象に「もう1度就活する際に重視すること」は何かという質問をしています。
賃金とスキルアップでは賃金を優先する人の割合が52.6%と若干高い結果でした。ただし年代別に見ると以下のように回答にばらつきがあります。特に20代は賃金を優先すると回答した人の割合が高くなっているのが特徴です。
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年代 |
賃金を優先すると回答した割合 |
|
20代 |
60.6% |
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30代 |
51.0% |
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40代 |
37.7% |
|
50代 |
50.5% |
また賃金を優先する理由として、物価高と関係していると回答した人は82.5%となっています。
「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」の調査結果でも、内定承諾の決め手として「給与・待遇」をあげる就活生の割合は50%前後と高い割合です。給与や初任給の見直しに取り組むことで、新卒採用をスムーズに進めやすくなります。
関連記事:新卒初任給の平均額は?学歴ごとの平均額や推移も確認
参考:
JOB総研|2025年 理想の就活実態調査
HRpro|HR総研×就活会議:2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)結果報告
第2報
福利厚生を充実させる
「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」でも「2026年卒 大学生キャリア意向調査7月<入社予定先の決定と不安>」でも、福利厚生は内定承諾の決め手としてあがっています。
福利厚生を拡充して働きやすい環境を整えることで、新卒採用による人材確保や、その後の離職率低下も期待できるでしょう。
ここではエデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」が、新卒採用にプラスに働いた事例として株式会社ほねごりを紹介します。
独自の人事施策の取り組みとあわせて「チケットレストラン」を導入した株式会社ほねごりでは、新卒採用時に食事補助をアピールしたところ、新卒採用者数の倍増につながりました。
食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、従業員の食事代をサポートすると同時に、一定の利用条件下で導入すると所得税の非課税枠が活用でき実質的な手取りアップにもつながります。
「チケットレストラン」のサービスや、実質的な手取りアップにつながる理由などの詳細は、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。
詳細な導入事例はこちら:株式会社ほねごり
参考:
HRpro|HR総研×就活会議:2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)結果報告
第2報
マイナビキャリアリサーチLab|2026年卒 大学生キャリア意向調査7月<入社予定先の決定と不安>
新卒採用には「チケットレストラン」の活用も検討を
新卒採用の動向をチェックすると、年々厳しい状況は増しているようです。このような中、就活生が活動を始める時期や、内定を獲得する時期は早まっています。
このような中で、企業が新卒採用を成功させるには、就活生が内定承諾の決め手としてあげているポイントを強化するとよいでしょう。例えば福利厚生であれば、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
食事代のサポートとともに、一定の条件下で導入すると所得税が非課税になり実質的な手取りアップにつながる仕組みは、就活生に対するアピールにも役立ちます。
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エデンレッドジャパンブログ編集部
福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!
