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【社労士監修】初任給引き上げの理由は?既存社員との逆転減少による影響を解説

【社労士監修】初任給引き上げの理由は?既存社員との逆転減少による影響を解説

2025.04.18

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

初任給を引き上げる企業が続出しています。なぜ今初任給を引き上げる企業が増えているのかを調査を元に見ていきましょう。併せて初任給引き上げによる、既存社員の給与との逆転現象についても確認していきます。逆転現象による初任給引き上げのデメリットを回避するための対策も見ていきましょう。

初任給の現状

初任給の現状を知るために、まずは2024年の新規学卒者の平均賃金を紹介します。「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、学歴によらず新規学卒者の平均賃金は2023年より増えていることが分かります。

学歴

新規学卒者の平均賃金

対2023年増減率

大学院

28万7,400円

4.1%

大学

24万8,300円

4.6%

高専・短大

22万3,900円

4.3%

専門学校

22万2,800円

3.9%

高校

19万7,500円

5.7%

参考:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査

初任給引き上げを実施する企業は71.0%

帝国データバンクが2025年2月に実施した「初任給に関する企業の動向アンケート」によると、2025年4月入社の新入社員に支給する初任給を引き上げる企業は71.0%でした。

初任給の引き上げ額は平均で9,114円です。初任給の金額は以下のように分布しており、20万~25万円を支給する企業が62.1%と過半数となっています。

初任給額

割合

15万円未満

0.2%

15万~20万円未満

24.6%

20万~25万円未満

62.1%

25万~30万円未満

11.4%

30万円以上

1.7%

参考:帝国データバンク|初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)

初任給引き上げの理由

多くの企業が初任給の引き上げを行っている理由も見ていきましょう。マイナビ キャリアリサーチLabの「2026年卒 企業新卒採用予定調査」によると、初任給の引き上げの理由として回答した企業の割合が高いものは以下の通りです。

初任給の引き上げの理由

回答した企業の割合

求職者へのアピールのため

57.1%

他企業が引き上げをしているため

51.2%

既存社員のモチベーションアップのため

46.0%

定着率を高める・離職を防ぐため

45.9%

給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため

34.6%

参考:マイナビ キャリアリサーチLab|2026年卒 企業新卒採用予定調査

背景にある人材不足

「求職者へのアピールのため」「定着率を高める・離職を防ぐため」など理由で初任給を引き上げる企業が多いのは、人材不足が背景にあると考えられます。

マイナビ キャリアリサーチLabの「2025年卒企業新卒内定状況調査」によると、2025年卒の採用充足率は70.0%と3年連続で減少しました。さらに46.5%の企業が「採用活動が前年より厳しかった」と考えており、特に母集団形成に課題を感じているようです。

また2026年卒の採用への見通しについて「厳しくなる」と回答した企業の割合は81.6%で、新卒採用はますます難しくなると考えている企業が大多数と分かります。

少子高齢化の影響で、業界を問わず人材不足が進行している中、新卒採用の厳しさが増している状況です。このような中で、自社をアピールして就活生を集めるために、初任給を引き上げている企業が増えていると考えられます。

参考:マイナビ キャリアリサーチLab|2025年卒企業新卒内定状況調査

関連記事:【2025年最新】人手不足の日本の現状と中小企業の生き残り戦略

物価上昇も要因の1つ

物価上昇も初任給を引き上げる企業が増えている要因の1つです。物価が上がっているにもかかわらず初任給が上がらなければ、就職しても生活にかかる費用を賄いきれません。自社に就職した人材が生活を維持できるよう、初任給を引き上げる企業が増えているといえるでしょう。

関連記事:日本の物価高騰いつまで?なぜ?原因と2024年以降の経済展望

初任給引き上げの効果

初任給を引き上げると「若手人材の確保」や「企業イメージの向上」につながるといわれています。それぞれの効果について見ていきましょう。

若手人材の確保

初任給の引き上げは若手人材の確保につながります。マイナビ キャリアリサーチLabの実施した「2025年卒大学生就職意識調査」によると、企業選択のポイント上位3項目は「安定している会社」「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」「給料の良い会社」です。

このうち「給料の良い会社」を企業選択のポイントとしたのは23.6%で、この割合は3年連続で増加しています。他社より高い初任給を提示できれば、その分就活生からの応募を集めやすくなることが期待できます。

参考:マイナビ キャリアリサーチLab|2025年卒大学生就職意識調査

企業イメージの向上

初任給アップは企業イメージの向上にもつながります。「従業員を大切にしている企業」というメッセージを、就活生はもちろん、顧客や取引先などにも伝えられるでしょう。

初任給引き上げによる既存社員との逆転現象とは?

人材不足が進行している中、若手人材の確保を目的に初任給の引き上げを行うと、初任給が既存社員の給与より高くなる逆転現象が起こる可能性があります。

新入社員の初任給が自分の給与よりも高いと知った既存社員は、待遇に不公平感を覚えるでしょう。勤務先の企業から「軽く見られている」「頑張りが評価されていない」「認められていない」と感じることで、モチベーションが低下する恐れもあります。

努力しても評価されず新入社員より給与が低いままなら「もっと良い待遇で働ける企業へ転職しよう」と考える既存社員も出てくるかもしれません。

既存社員との逆転現象への対策

逆転現象によりモチベーションの低下や離職を考える既存社員が出ると、スキルを持つ人材が流出してしまいます。場合によっては、事業の継続が難しくなるかもしれません。

そのような事態を避けるには、新入社員の初任給引き上げと併せて、既存社員の給与や報酬制度などを見直しましょう。具体的な対策を紹介します。

既存社員のベースアップ

初任給を引き上げると同時に、既存社員の給与のベースアップも実施しましょう。ベースアップとは基本給の底上げのことです。

企業の業績や社会情勢などによって行われる一律の賃上げで、経験年数や業務上の成果によって給与が上がる定期昇給とは異なります。

ベースアップの実施によって、新入社員の初任給が既存社員の給与より高くなる逆転現象を回避可能です。

関連記事:【社労士監修】定期昇給とベースアップの違いとは?負担少の賃上げ法

報酬制度の見直し

報酬制度の見直しによって、初任給を上げる方法もあります。例えば年収に占める月給の割合を上げれば、年収額を大きく変えることなく初任給の引き上げを実施可能です。

月給は支給のタイミングも金額も決まっていますが、ボーナスは業績に連動するため支給額は変動する可能性があります。毎月決まった金額が支給される月給が上がるため、新入社員にも既存社員にもメリットのある見直しです。

福利厚生をはじめとする待遇の充実度アップ

ベースアップや報酬制度の見直しとともに、福利厚生をはじめとする待遇を充実させることも、就活生へのアピールにつながります。

マイナビ キャリアリサーチLabの「2026年卒 企業新卒採用予定調査」によると、初任給の引き上げ以外に、企業がアピールしている割合が20%を超えている待遇面の取り組みは以下の通りです。

待遇

企業がアピールしている割合

住宅手当や借り上げ社宅

46.4%

諸手当(営業手当・資格者手当など)

45.5%

休暇制度

44.9%

勤務地に関する制度(リモートワーク・転勤なし・勤務地限定制度など)

27.1%

各種補助(食事補助など)

21.6%

育児サポート

20.8%

待遇面を充実させるには、従業員が公平に利用しやすい制度を導入するとよいでしょう。例えばエデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」であれば、勤務形態や勤務場所を問わず利用可能です。

加えて一定の利用条件下であれば所得税が非課税で活用できるため、実質的な手取り額アップにもつながります。この実質的な手取り額アップを、エデンレッドジャパンでは「第3の賃上げ」と定義しました。

第3の賃上げ」や「チケットレストラン」の詳しい内容については、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。

参考:マイナビ キャリアリサーチLab|2026年卒 企業新卒採用予定調査

初任給引き上げの事例

2025年4月に入社した新入社員の初任給について、引き上げを発表した企業の事例として、ファーストリテイリングとカプコンを紹介します。どちらも、初任給の引き上げとともに既存社員の給与アップにも取り組んでいる事例です。

ユニクロのファーストリテイリングは33万円に

ユニクロを展開しているファーストリテイリングは、世界基準での競争力と成長力の強化を目的とした新報酬体系の導入により、初任給を30万円から33万円に引き上げました。

また入社1~2年目の新人店長は月収39万円を41万円に、その他の全従業員もグレードごとの報酬水準を4~40%上げています。

参考:ファーストリテイリング|ファーストリテイリンググループ 日本の報酬を再強化 グローバル水準の人材の抜擢を推進

カプコンは6万5,000円の初任給引き上げで30万円に

カプコンでは初任給を23万5,000円から30万円に引き上げました。同時に実施したのが、既存社員への特別一時金の支給と、平均5%を超える昇給です。

「世界最高品質のゲームを生み出す開発力・技術力の強化」に重点を置いている同社では、新卒社員の初任給や既存社員の給与を引き上げることで、優秀な人材の獲得と人的資本への投資を進めています。

参考:カプコン|新卒初任給引き上げのお知らせ

初任給の引き上げを実施時には既存社員の給与見直しも

若手人材の獲得に向けて、初任給を引き上げる企業が増えています。ただし初任給だけ引き上げると、初任給が既存社員の給与を超える逆転現象につながりかねません。

逆転現象による不公平感から、既存社員のモチベーション低下や離職を招くことを避けるには、既存社員の給与も同時に見直しましょう。ベースアップの実施や報酬制度の見直しが有効です。

また福利厚生をはじめとする待遇面の充実度アップに取り組むのもよいでしょう。例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を一定の条件下で導入すれば、従業員の食事をサポートしつつ、実質的な手取り額アップにもつながります。

人材確保を目的とした初任給引き上げと同時に「チケットレストラン」の導入も検討してみませんか。

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