物価高騰がいつまで続くかを知るには、現状の把握が重要です。まずは物価高騰の現状と理由を確認した上で、日本銀行の発表している「経済・物価情勢の展望」をチェックしましょう。物価高騰対策として、企業ができる取り組みについても紹介します。
物価高騰の現状
まず、日本の物価高騰の現状から見ていきましょう。2020年基準「消費者物価指数 全国 2025年2月分」によると、以下のとおり3つすべての指数で上昇(基準として2020年を100とする)しています。
- 総合指数:110.8(前年同月比は3.7%の上昇)
- 生鮮食品を除く総合指数:109.7(前年同月比は3.0%の上昇)
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数:は108.7(前年同月比は2.6%の上昇)
とくに、食料(124.1)や光熱・水道(114.2)が主な要因となり、総合指数を押し上げています。
出典:総務省|2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)2月分
関連記事:【2024年】10月に値上げする商品一覧|値上げの原因や企業ができる対策を紹介
物価高騰が家計に与える影響
物価高騰は家計に広範囲の影響を及ぼします。総務省の「家計調査報告(2025年2月分)」によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり29万511円です。前年同月比の名目増加率は3.8%となっています。
消費支出の主な増加項目(対前年同月増減)は、高熱・水道(14.4%)、交通・通信(7.1%)、教養娯楽(4.8%)です。
一方、収入は57万1,993円となっており、前年同月比の名目増加率は1.9%です。支出の名目増加率に対して収入の名目増加率が低くなっています。
収入は上がっているけれど支出も増えていることから「家計が苦しい」状況と考えられます。
出典:総務省|家計調査報告-2025年(令和7年)2月分-
物価高騰につながる原材料費上昇の要因
原材料費が上昇すれば、モノやサービスの価格が上がります。
日本銀行の「企業物価指数」(2025年3月速報)によると、2020年の輸入物価指数の平均を100%とした場合、2025年3月は円ベースで160.7%となりました。
日本は多くの原材料を輸入に頼っています。例えば小麦は約80%以上を輸入していますし、原油は約99.7%が輸入です。輸入している原材料の価格が上昇すると、企業はコスト増を価格に転嫁せざるを得なくなり、結果として物価が上昇します。
また国内の賃金上昇も物価高騰に影響する要因の1つです。ここでは原材料の輸入価格が上がっている理由や、賃金上昇などについて見ていきましょう。
参考:
日本銀行調査統計局|企業物価指数(2024年9月速報)
農林水産省|令和5年4月期の輸入小麦の政府売渡価格について
経済産業省|石油統計
ロシアのウクライナ侵攻
原材料費の高騰に関連するのがロシアのウクライナ侵攻です。これが世界のエネルギー市場と食糧市場に甚大な影響を与えたため、世界的な物価上昇の要因となっています。
ロシアとウクライナは、小麦、大麦、トウモロコシなどの主要な穀物輸出国です。戦争により両国の穀物生産と輸出が大幅に減少し、世界的な穀物の価格が高騰しました。この影響は、パンや麺類などの穀物を原料とする食品の価格上昇につながっています。さらに、穀物は家畜の飼料としても使用されるため、肉や乳製品の価格にも影響を与えます。
エネルギー価格の高騰
ロシアは世界有数の原油と天然ガスの産出国でもあります。経済制裁の影響で、エネルギー供給が不安定となり、原油や天然ガスの国際価格が急騰しました。
その結果、ガソリン、電気、暖房費など、消費者が直接負担するエネルギーコストが上昇しています。エネルギーコストが増大することで、企業の生産コストも上昇し、さまざまなモノやサービスの価格に転嫁されます。
為替レートの変動(円安)
三菱UFJ銀行によると、もっとも大きな山と谷として2020年12月に103.24だった米ドル(終値)為替レートは、2024年6月には160.86となるなど、円安傾向が見られます。
2025年4月には1ドル=144円台まで戻す動きも見られましたが、2020年の水準と比べると円安傾向です。
1ドル=100円であれば、ドルへ両替して1万ドルを用意するのに必要なのは100万円ですが、1ドル=150円で1万円を用意するには150万円なければいけません。円安の状態では輸入価格が上昇し、国内の物価を押し上げる要因となります。
出典:MUFG|外国為替相場チャート表
賃金上昇
2024春闘では記録的な数値が話題となったように、賃金の上昇が実施されつつあります。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(令和7年2月分結果速報)によると、2025年2月の現金給与総額は前年同月比で3.1%増加しています。
賃金が上昇すると、企業のコストが増加し、それがサービスやモノの価格に反映されることで物価が上昇します。
出典:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等
物価高騰はいつまで?2024年以降の物価情勢の展望
日本銀行の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)は、今後の物価高騰がいつまで続くかを考える上で重要な資料です。展望レポートは、年4回(通常1月、4月、7月、10月)公表される経済政策文書であり、政策委員会・金融政策決定会合で決定され、以下の内容を含みます。
- 先行きの経済・物価見通し
- 上振れ・下振れ要因の分析
- 金融政策運営の考え方
このように展望レポートは日本経済の将来動向を予測し、金融政策の方向性を示唆する役割を果たします。ここでは、2024年以降の物価情勢の展望を同レポートに沿って確認していきましょう。
参考:日本銀行|経済・物価情勢の展望(2025年1月)
2025年度:2%台半ばの物価上昇率と予測
2025年度は、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率が2%台半ばになると予想されています。これは、現在の経済状況から見て比較的高い水準と言えるでしょう。
また米の価格が高水準で推移していく見込みであることから、高めの水準での推移が見込まれます。
関連記事:米の値上げはいつからいつまで?米不足の理由、米価格高騰の実態、企業の対策も
2026年度:概ね2%程度の物価上昇率と予測
2026年度に入ると、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は概ね2%程度で推移すると予測されています。
輸入価格上昇による価格転嫁の影響による価格高騰が落ち着く一方で、賃金と物価の好循環の強まりによる物価上昇が見込まれます。見通し期間の後半には、物価安定の目標として日本銀行が掲げている、前年比上昇率2%の水準で推移していく予測です。
物価高騰下で課題となるのは賃金の上昇
日本銀行の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では、2026年以降も2%程度で消費者物価指数が推移するとの見解が示されています。物価の上昇の勢いは弱まると考えられますが、物価が上がった分の賃金が増えなければ、消費者の生活は苦しくなるばかりです。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」では、現金給与総額指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除して算出している実質賃金が確認できます。2025年2月分結果速報では、実質賃金が2カ月連続でマイナスとなっています。
また、実質賃金の動きを見ると、賃金が物価上昇に追いついていないことがわかります。
出典:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報
企業の対応策は賃上げや福利厚生の拡充による従業員支援
2025年春闘は高水準の回答が続いています。2025年4月1日に発表された連合の「2025春季生活闘争 第3回 回答集計結果」によると、賃上げ率は5.42%です。従業員数300人未満の企業のみで見ても、賃上げ率は5.00%となっています。
一方、東京商工リサーチ「賃上げに関するアンケート」によると、2024年度の中小企業の賃上げ実施率は82.9%と前年より1.3ポイント下回っており、人件費の負担増による賃上げ疲れがうかがえます。
このような状況下で注目されているのが、福利厚生の拡充です。福利厚生の拡充は、直接的な賃上げが難しい企業にとって、従業員をサポートする有効な手段となります。
参考:
日本労働組合総連合会|高水準の回答が続く!中小組合も 5%!~2025春季生活闘争 第3回 回答集計結果について~
東京商工リサーチ|2024年度「賃上げに関するアンケート」調査
物価高騰下の福利厚生拡充に「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、物価高騰が続く今、企業にも従業員にも嬉しいメリットが豊富です。
- 税制上の優遇
- 小規模での導入可能
- エンゲージメント向上
- 採用力アップ
「チケットレストラン」は、一定の条件下で導入すると所得税の非課税運用ができるため、実質的な手取り額を増やせます。また福利厚生費として経費扱いとなることから、企業の税負担も抑えることが可能です。
「チケットレストラン」は企業規模を問わず導入できます。少額からでも負担の少ない形で始められるため、多くの企業にとって取り入れやすいでしょう。
毎日使える「チケットレストラン」は、従業員のエンゲージメント向上にも貢献します。企業からの具体的な支援として従業員に強く認識されるため、従業員が満足するのです。
魅力的な食の福利厚生は求人でも注目を集めやすく、新たな人材の確保や既存の従業員の定着率向上にも効果が期待できます。
「チケットレストラン」の概要
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全国25万店以上の加盟店で利用可能な食事補助の福利厚生サービスです。リモートワークや地方勤務、不規則な勤務時間の従業員にも同じように食事補助が提供できるという特徴があります。
多様な働き方に対応可能な理由は、全国にあるコンビニで利用でき、ランチのみならず、朝食や夕食・休憩時のおやつなども購入対象になるためです。
自社で食堂を用意したり、専用の冷凍庫を設置したりするスペースは必要ありません。勤務前のカフェや「 Uber Eats 」での注文が可能な「チケットレストラン」は、スペースを気にせず気軽にスタートできます。導入実績3,000社以上、導入後の継続率99%、利用率98%、従業員満足度93%と高い実績と効果が報告されています。
物価高騰が続く今こそ従業員へのサポートを
日本の物価高騰は、不安定な世界情勢の影響や、円安、賃金上昇など、複数の要因による原材料費の上昇によって生じています。
日本銀行によると、2025年度以降も物価上昇傾向は続くと予想されますが、そのペースは物価安定の目標として日本銀行が掲げている年2%に収束していく予測です。
ただし物価上昇に賃金上昇が十分追いついていないのが現状といえます。
食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すると、一定の利用条件下で所得税の非課税運用ができるため、従業員の実質的な手取り額を増やせます。物価高騰が続く今、食事補助の福利厚生という形で従業員をサポートしませんか。
新キャンペーンのお知らせ:中小企業の賃上げを応援!「#第3の賃上げ 大阪アクション」始動!~3社横断 大阪府限定キャンペーンも発表~
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