福利厚生で提供する食事補助。従来型の社員食堂だけでなく、全国のコンビニで利用できるチケット型サービス、オフィス内に設置するオフィスコンビニ型サービスなど、多様なサービスが登場しています。
リモートワークと出社が混在する職場環境では、コンビニ対応の食事補助が人気です。本記事では、福利厚生として導入できる外部・内部コンビニ対応の食事補助サービス6選を比較し、それぞれの特徴や導入のポイントをわかりやすく解説します。
福利厚生における食事補助とは?
福利厚生としての食事補助は、企業が従業員の食事費用の一部を負担する制度です。従来は社員食堂が一般的でしたが、近年では食事チケットや電子マネーを活用したサービスが普及し、コンビニでの利用も含め、従業員が自由に選択できる形態が増加しています。
2025年、物価高騰が続く中で、食事補助は「第3の賃上げ」(株式会社エデンレッドジャパンが定義)として再び注目を集めています。「第3の賃上げ」は、従来の昇給やベースアップとは異なる形で、福利厚生サービスを通じて従業員の実質的な手取り収入を増やす手段のことです。賃上げが難しい中、導入を検討する企業が増えています。
2025年の食事補助事情
時代によって、働く人々のニーズは変化します。食事補助において押さえておきたい変化を説明します。
コロナ後の働き方変化への対応
2025年現在、多くの企業がリモートワークから職場回帰の流れを経験しています。オフィス出社とリモートワークが混在する「ハイブリッドワーク」が定着しつつある中で、従業員は日によって異なる場所で勤務することが増えました。
こうした背景から、場所を選ばずに利用できるコンビニ対応の食事補助サービスへのニーズが急速に高まっています。従業員が外部のコンビニ店舗で利用できるサービスと、オフィス内にコンビニのような環境を構築するサービス、両方の需要が拡大しています。
物価高騰と生活支援の重要性
総務省の消費者物価指数によると、食料品の価格は前年同月比で上昇を続けており、特に日本人の主食となる米類については価格高騰が深刻化しています。実際、エデンレッドジャパンの「ビジネスパーソンのランチ実態調査2025」では、7割近く(64.7%)のビジネスパーソンがコメ価格高騰の影響を感じていると回答しており、従業員にとって「食費をどうにか安くしたい」という悩みは深刻です。
主要な食事補助の種類
従業員の食事負担を福利厚生で軽減するには、どのような方法があるのでしょうか。具体的な食事補助のタイプを紹介します。
食事チケット・電子マネー(外部コンビニを利用)
| 内容 | |
| 特徴 |
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| 代表例 | チケットレストラン、びずめし、まる得ランチ |
コンビニやレストランで利用できるチケットや電子マネーを提供するサービスです。従業員は全国のコンビニで食事補助を受けられるため、勤務場所や時間に制限されない柔軟性が最大の魅力です。
置き社食(オフィスをコンビニとして利用)
| 内容 | |
| 特徴 |
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| 代表例 | オフィスおかん、OFFICE DE YASAI、セブン自販機 |
オフィス内に冷蔵庫、自動販売機、商品ラックなどを設置し、コンビニのような環境を社内に構築するサービスです。24時間いつでも利用でき、外出する手間なく食事や軽食を購入できます。
社員食堂
| 内容 | |
| 主な特徴 |
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| 代表例(企業) | Google、タニタ、花王 |
自社施設や社食業者が運営する、従来型の食事補助スタイルが社員食堂です。厚生労働省の「令和5年度衛生行政報告例」では、近年は数が減少傾向ですが(※)、自社の従業員のリクエストを反映しつつ、栄養バランスの取れた食事を低コストで提供できる点は利点です。
※以下表のとおり、給食施設数の年次推移からは「事業所」の給食施設が減少傾向とわかります。
デリバリー型(お弁当配送サービス)
| 内容 | |
| 主な特徴 |
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| 代表例(企業) | シャショクラブ、ごちくるNow、社食DELI |
事前注文で、弁当の宅配をオフィスに届けるタイプです。温かい食事と栄養管理の両立ができます。ただし、内勤者のみが対象です。
関連記事:2025年度版おすすめの食事補助サービス22選!食事補助制度の注意点もチェック
コンビニ対応の福利厚生×食事補助サービス6選
福利厚生としてコンビニに対応した食事補助を提供するパターンは、コンビニ実店舗の利用とオフィスにコンビニ設置の2タイプです。コンビニに対応する主流のサービスを以下に一覧化します。
| サービス名 | タイプ | コンビニ対応 | 特徴 |
| チケットレストラン | コンビニ利用型 | 主要コンビニ対応 | 全国25万店舗超、食事補助非課税枠活用で手取り増。 |
| まる得ランチ | コンビニ利用型 | 主要コンビニ対応、au PAY利用可能な地方コンビニ対応 | au PAY利用。スーパー・自販機も対応。 |
| びずめし | コンビニ利用型 | 主要コンビニ加盟店 | アプリでレシート精算。地域飲食店も可。 |
| OFFICE DE YASAI | オフィスにコンビニ設置型 | × | 冷蔵庫・冷凍庫設置。健康志向、野菜・フルーツ中心。 |
| オフィスおかん | オフィスにコンビニ設置型 | × | 冷蔵庫設置、惣菜中心。 |
| セブン自販機 | オフィスにコンビニ設置型 | セブン-イレブン | 約65種商品、24時間利用可。 |
チケットレストラン(コンビニ利用型)
エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、全国25万店舗以上の加盟店で利用できる食事補助の福利厚生サービスです。従業員は専用ICカードを使用して、食事補助非課税の枠内で実質半額でランチを楽しむことができます。
コンビニは大手3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)をはじめ、駅中のNew Daysにも対応。吉野家、Uber Eats等、24時間営業のチェーンから街角の定食屋まで幅広くカバーしています。専用アプリからは利用可能店舗や残高を確認できます。「いつでも、どこでも」使える柔軟性が好評です。
主な特徴:
- 利用率98%、継続率99%、導入企業の従業員満足度は93%
- 導入実績3,000社以上、現在約20万人以上が日常的に利用
- 食事補助の非課税枠活用により、企業負担分は福利厚生費計上により負担減、従業員は給与上乗せより実質手取り増加
- 食費負担を下げるためのインフレ手当・賃上げ代替に有効
- 初期導入後は月1回のチャージのみという簡単な運用
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
まる得ランチ(コンビニ利用型)
KDDIまとめてオフィスの食事補助サービス「まる得ランチ」は、通信インフラ大手KDDIグループが提供する食の福利厚生サービスです。従業員は「まる得ランチ」専用アプリをインストールし、クーポン残高や利用店舗をスマホで確認。決済はau PAYによるバーコード決済またはQR決済のため、スマホのみで利用が完結します。
サービスは全国120万店舗以上ある飲食店、コンビニ、スーパー、自動販売機で飲食料品の購入で利用できます。セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートはもちろんのこと、セイコーマートなど地域密着のコンビニにも対応。全国どこでも従業員が平等に利用できる環境を提供できます。
ただし、サービスは「au PAY」の利用が前提となるため、企業の方針や従業員の意向を確かめる必要があるでしょう。なお、企業の判断により飲食料品以外にもサービス利用対象を拡大することも可能です。
出典:KDDI まとめてオフィス|まる得ランチ | 法人向け
びずめし(コンビニ利用型)
びずめしは、Gigi株式会社が運営する「地域の飲食店を社員食堂として利用できる」福利厚生型の食事補助サービスです。全国20万店舗以上(飲食店・コンビニ等)が加盟しており、企業が希望する金額・ルールで電子チケットを発行できます。
コンビニでの利用は、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンなどの中で「びずめし加盟店」として登録された店舗が対象です。多くの場合はレシートを専用アプリからアップロードして精算します(店舗によってはその場でコード読み取りが可能な場合もあります)。
元々は「行きつけの飲食店が社員食堂になる」というコンセプトでスタートし、利便性向上のためコンビニ対応へ拡大されました。従業員は専用アプリで利用・清算が完結し、企業側は非課税枠内での福利厚生運用が可能です。
オフィスおかん(オフィスコンビニ型)
株式会社OKANが運営する「オフィスおかん」は、累計3,000拠点以上に導入されている、オフィスコンビニの代わりになる置き社食サービスです。管理栄養士監修・国内製造の食品添加物レスに配慮した惣菜を冷蔵(または自動販売機)で常備し、1品100円(税込)で提供。月約20種類の主食・主菜・副菜を揃え、朝昼晩の多様な利用シーンに対応します。
賞味期限は30日以上で輪番での出社にも対応可能です。全国で展開し、首都圏は専任スタッフ配送、その他はクール便を利用します。出社率の高い企業や近隣にコンビニがない事業所に適しており、冷蔵庫設置スペースと在庫管理が必要です。2024年度グッドデザイン賞も受賞し、健康経営や社内交流促進にも役立つサービスです。ただし、福利厚生として価格を抑えて食事を提供する形であり、食事補助の非課税枠運用を利用したい場合は、適切な制度設計が求められます。
OFFICE DE YASAI(オフィスコンビニ型)
OFFICE DE YASAIは、株式会社 KOMPEITO(コンペイトウ)が運営するオフィス設置型の食事補助サービスです。オフィス内に専用冷蔵庫を設置し、従業員は新鮮な野菜やフルーツ、サラダを中心とした健康志向の商品をオフィスにいながら24時間食べられます。価格は100円からと手頃なのが魅力です。
商品は冷蔵・冷凍合わせて月間約140種類の商品があり、季節に応じてメニューが変わるため旬の味わいが楽しめます。導入実績は2万拠点で従業員満足度は90.8%、サービス継続率は99.2%と高い水準です。
野菜やフルーツを食べられる環境をオフィスコンビニとして設置することで、健康的な食事支援、健康経営の推進が実現します。
2か月間のトライアル期間があり、「ヘルシーな野菜は従業員に受け入れられるか」「サービスが喜ばれるのか」など導入前に従業員の反応を確認できるのもポイントです。
セブン自販機(オフィスコンビニ型)
セブン-イレブンの商品を24時間いつでも購入できる自動販売機を社内に設置するサービスです。コンビニの利便性をオフィス内で実現し、特に夜勤のある製造業、医療機関、24時間体制の業種で補給食や軽食対策に有効です。
商品はセブン-イレブンで販売されている弁当、おにぎり、サンドイッチ、飲料などを含む約65種類の幅広いラインナップ。最低1日1回以上の定期的な商品入れ替えにより、飽きることなく利用できます。
運営面では、「設置費用なし、メンテナンス費用なし、運用の手間なし」など、企業負担が少ないのがメリットです。
ただし、設置の条件を満たす必要があります。
- 近隣にセブン-イレブンがある地域
- 300人以上の利用者
- 1年以上の契約
- 屋内に約2.2m×2mの設置スペース確保
- 設置スペースにコンセントあり(100V15A 接地極付×2)
また、運営維持費として月額1万円(別途消費税)の負担と電気代が発生します。
商品は利用者が直接支払う方式であることから、食事補助の非課税枠運用にはあまり向いていません。非課税枠運用ができる他の食事補助サービスと組み合わせることで、より充実した食環境を提供できます。
食事補助を非課税運用するためのポイント
食事補助を非課税として提供するためには、以下の条件を満たす必要があります。
現物支給であること
現金支給の食事手当は給与となり課税対象です。食事専用のチケットや電子バウチャー(利用券)は、用途が食事に限られるため現物支給として認められます。一方給与に上乗せしたり、立替払いしたりしてしまうと、現物支給とは認められません。
従業員が食事代の50%以上を自己負担すること
企業負担と従業員負担の比率が重要なポイントです。50%以上を自己負担する必要があります。
企業負担額の上限を遵守すること
月額3,500円(税抜)が企業負担の上限です。この金額を超えた場合、超過分だけでなく企業負担分全額が課税対象となります。
これについて、国税庁のホームページでは以下のとおり説明されています。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
コンビニで使える食の福利厚生サービスでよくある質問
ここでは、食事補助の福利厚生をコンビニ利用形式で提供する場合に、よくある質問を紹介します。
Q1:コンビニで何でも買える?
A:サービスにより異なりますが、一般的に食品・飲料が対象で、アルコール・タバコ・日用品は除外されます。また、家庭用食材の購入には使用できません。
なお「チケットレストラン」では、食事や飲み物に加えてお菓子やコーヒーなども利用可能です。
Q2. リモートワークでも利用できる?
A:食事チケット型(電子マネー決済)なら、リモートワーク中でも近くのコンビニで利用できます。一方、オフィス設置型は出社時のみの利用となります。
Q3. コンビニ利用できる食事補助、小規模企業でも導入メリットはある?
A:小規模企業でも十分にメリットがあります。「チケットレストラン」のように従業員1名・少額から始められるサービスもあり、費用対効果は十分見込めます。食事補助による福利厚生の充実は、企業規模に関係なく人材採用・定着に効果的です。
Q4. 導入後の変更(利用人数や限度額)は可能?
A:多くのサービスで利用者数の増減や利用限度額の調整に柔軟に対応しています。ただし、変更時期や条件はサービスごとに異なるため、導入前に確認しておくとよいでしょう。
Q5. 非課税運用について、税務調査で指摘されることはある?
A:食事補助を非課税で運用するには、適切な制度設計と運用が必要です。「チケットレストラン」は国税庁の確認を受けながら運営されており、定められた非課税要件に沿って運用すれば、税務調査が入っても適切に対応できます。導入実績3,000社以上の豊富な実績があり、多くの企業で活用されているサービスです。
全国のコンビニで使える食事補助は便利
全国に店舗があるコンビニは、好きな商品を自由に選べるため老若男女問わず利用されています。この利便性をそのまま福利厚生として提供できるサービスの一つが「チケットレストラン」です。
食事に関する福利厚生で日本一の導入実績を誇り、主要なコンビニで利用できます。食事補助の非課税枠を活用できるため、従業員の手取りアップにもつながります。オフィス勤務、リモートワーク、出張先でも使える柔軟さが魅力です。
一方、オフィスコンビニ型は社内で手軽に購入できるため、外出が難しい職場や夜勤のある環境に最適です。健康的な商品が揃い健康経営にも寄与しますが、リモートワーク対応は限定的で、非課税枠運用では専門家への確認が欠かせません。
企業のニーズに応じて両者の併用も可能です。「チケットレストラン」はコンビニ以外にもファミレスやカフェチェーンなど豊富な店舗で利用できるため、まずは幅広いニーズに対応できる「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。
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エデンレッドジャパンブログ編集部
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