心理的安全性とは、従業員が安心して発言したり能力を発揮したりできる状態のことです。心理的安全性の低い職場では、どのようなことが起こり得るのでしょうか?自社の心理的安全性の状態を知るために役立つアンケートについても紹介します。
心理的安全性とは
心理的安全性とは、従業員一人ひとりが、社内で不安なく発言したり能力を発揮したりできる状態のことです。
自分らしく率直に発言・行動しても、周りの従業員から否定される、ばかにされる、といったことがなく、安心して働ける環境といえます。
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心理的安全性はGoogleのプロジェクトをきっかけに注目された
心理的安全性が注目されるようになったのは、Googleの行った「効果的なチームとは何か」を知るためのプロジェクトがきっかけです。同プロジェクトによると、効果的なチームづくりに、強く影響する要因は心理的安全性だと分かりました。
まずは分からないことを質問する、新しいアイデアを発表する、ミスを認める、などを安心してできる環境であることが重要です。
心理的安全性がある上で、チームに所属する従業員同士が信頼し合っており、達成可能で具体的な目標が示され、従業員一人ひとりが仕事に意味を見出しており、自分の仕事がチーム全体に役立っていることを実感できることが、効果的なチームづくりにつながります。
心理的安全性と「ぬるま湯」との違い
心理的安全性は、単に居心地が良い状態ではありません。良好な人間関係を保とうと間違っていることを指摘せずにやり過ごしたり、相手を立てるために自分の意見を言わなかったりするのは、心理的安全性ではなく「ぬるま湯」の状態です。
自社の環境が「ぬるま湯」の場合、従業員の意識や人間関係には、どのような特徴が表れるのでしょうか。ここでは3つの特徴を紹介します。
仕事への意識が低い
「ぬるま湯」の状態に陥っている職場では、携わっている仕事で目標を達成しようという意識よりも、衝突を避けようとする意識が働きがちです。目標達成に必要な議論が行われないこともあるでしょう。
成長への意欲が低い
個々の成長意欲が低くなりがちなのも「ぬるま湯」の職場の特徴です。能力を高めてより良い成果につなげるよりも、周りとのバランスを考慮して、現状維持を選ぶ傾向があります。
人間関係が薄い
必要な議論を避けて、波風が立たないように振る舞うため、職場の人間関係はなかなか深まりません。自分の率直な意見を安心して言えるような関係性は築きにくいでしょう。
心理的安全性を測定するエドモンドソンのアンケート
自社の心理的安全性を測定するときには、アンケート調査を実施する方法があります。例えば「チームの心理的安全性」という言葉を生み出したエイミー・C・エドモンドソンが開発した、7項目からなる簡単なアンケートが有効です。
心理的安全性が十分確保されている職場では、以下の7項目に対してポジティブな回答が多くなります。
- このチームでは、ミスをしても責められない
- このチームのメンバーは、問題点や課題を指摘し合える
- このチームでは、人と違うことを受け入れられる
- このチームでは、リスクのある行動をしても安全である
- このチームでは、他のメンバーに助けを求められる
- このチームでは、努力が正当に評価される
- このチームのメンバーとの仕事では、自分のスキルや才能が評価され活かされる
心理的安全性が低い職場で起こること
心理的安全性が低い職場では「無知だと思われたくない」「無能だと思われたくない」「邪魔していると思われたくない」「ネガティブだと思われたくない」という4つの意識が働いています。
この意識は業務に悪影響を及ぼす可能性があるものです。それぞれの意識が、業務にどのような悪影響を及ぼすのかを見ていきましょう。
無知だと思われたくない
無知だと思われることに不安を抱いていると、質問や相談ができません。必要な質問や相談をしないことで、業務の効率や質が落ちる可能性があります。
無能だと思われたくない
無能だと思われることに不安を抱いていると、失敗や欠点を認められません。ミスを隠したり、人のせいにしたりすることがトラブルにつながることがあります。
邪魔していると思われたくない
邪魔していると思われることに不安を抱いていると、自発的な発言ができません。的確で役立つ意見であっても発言を控えるため、役立つ意見が出てこなくなります。
ネガティブだと思われたくない
ネガティブだと思われることに不安を抱いていると、相手の誤りを指摘できません。否定的な意見を含むアドバイスができず、チームの機能不全を招く可能性があります。
心理的安全性を高めるメリット
職場の心理的安全性を高めると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか?代表的なメリット4つについて解説します。
良好なコミュニケーションが生まれやすくなる
十分な心理的安全性のある職場であれば、批判を受けたり怒られたりする不安を感じることなく、従業員は自分の考えを伝えられます。必要だと思う発言を躊躇することなくできるため、活発な議論が生まれやすくなるでしょう。
日常的な業務においても、オープンなやり取りを通じて円滑に作業を進めやすくなります。
参考記事:職場コミュニケーションの成功法則!活性化させる具体的な方法と事例
イノベーションが生まれやすくなる
積極的な意見交換を通じて、新しい発想やイノベーションが生まれる効果も期待できます。それぞれの従業員が保有する専門知識や経験などが、対話によって融合することで、これまでにないアイデアが生まれる可能性があるからです。
新たな商品やサービスの開発、現行の商品やサービスの新たな活用法、業務プロセスの改善案などが誕生するかもしれません。
エンゲージメントや従業員満足度が高まる
心理的安全性が確保され、円滑な対話が可能な職場環境では、エンゲージメントや従業員満足度が向上する傾向があります。エンゲージメントとは従業員が組織に抱く愛着心のこと、従業員満足度とは組織に対する満足度のことです。
エンゲージメントや従業員満足度の高い職場では、従業員が「退職したい」「他社に移りたい」と感じる可能性は低くなります。結果として人材定着率向上につながるでしょう。
高いモチベーションを維持しながら、長く働き続ける従業員の増加が期待できます。
参考記事:従業員エンゲージメントとは?向上に役立つ施策や取り組むメリット
生産性向上につながる
心理的安全性のある職場では、積極的な意見のやりとりから新たなアイデアが生まれたり、優れたエンゲージメントや従業員満足度によって意欲的な人材が増加したりすることで、組織全体の生産性が高まる効果が見込まれます。
顧客に対してより質の高い商品やサービスを効率良く届けられるようになるため、売上向上や業績改善といった成果も期待できるでしょう。
心理的安全性を高める方法
職場の心理的安全性を高めるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか?従業員が安心して仕事に取り組める環境をつくるために「あなたの組織は対応できている?「心理的安全性」を低下させる3つの問題」を参考に、6つの方法を紹介します。
関連記事:心理的安全性を高める方法|人間関係のストレスがない職場づくりのメリット
参考:「ProFuture株式会社/HR総研」 |あなたの組織は対応できている?「心理的安全性」を低下させる3つの問題
意見をポジティブに受け取る
従業員の発言に対して批判的な態度を取ったり、軽視したり、厳しく注意したりといったネガティブな対応が習慣化してしまうと、メンバーは次第に発言しなくなります。意見を求めても、なかなか声が上がらないことが予想されます。
従業員が気兼ねなく自分の考えを発表できる職場環境づくりには、発言に対してポジティブな反応を心がけることが重要です。「意見を聞けて役立ったよ、ありがとう」といった形で、発言してくれたことへの感謝を伝えるとよいでしょう。
議論への参加を促す
会議や打ち合わせの際には、参加者全員が意見を述べ、議論に参加できるよう働きかけることが大切です。従業員一人ひとりが発言の機会を持てるよう、会議や打ち合わせの運営を工夫しましょう。
議論への参加を通じて、従業員は「自分はこの場に必要な存在である」という存在意義を実感しやすくなります。回数を重ねるごとに、自発的な発言が多くなっていく効果も見込まれます。
共通の目標を設ける
組織やチーム全体で統一された目標を設定することも、心理的安全性を高める効果があります。従業員一人ひとりが異なる方向を向いている状況では、意見の共有が困難になり、連携した取り組みも実現しにくくなってしまいます。
共通の目標に向けて歩んでいるという認識を従業員が共有できるような目標設定を行うことで、チームとしての一体感が醸成されます。
仕事の進捗を共有する
従業員一人ひとりの担当業務や作業の進行状況を明確にし、チーム内で情報を共有することも大切です。従業員同士がお互いの業務内容を把握できている環境では、協力する意識が高まりやすくなります。
業務が円滑に進むための情報のやり取りや、進行が遅れているときのサポート体制などが生まれることも期待できるでしょう。
公平公正な評価方法を導入する
評価の判断基準が曖昧で、評価する側の個人的な判断に委ねられている状況では「こんな発言をしたら評価を下げられるかもしれない」「こんなことをしても評価向上には結びつかないだろう」といった懸念から、従業員が積極的な発言や行動を控える可能性があります。
従業員が不安を感じることなく、必要な発言をしたり業務に取り組んだりするためには、公正な評価制度が欠かせません。客観性のある明確な評価基準を整え、その内容を従業員に対しても明確に示すことが重要です。
どのような点をどう改善すれば評価向上につながるかが分かるようになるため、従業員は効果的な努力を行えるようになります。
また評価対象は売上などの数値で測定可能な目標の達成状況だけでは不十分です。業務への取り組み姿勢が組織の理念と一致していることや、個人が設定した目標の達成状況なども、評価の要素として組み込むとよいでしょう。
従業員同士のコミュニケーションを促す施策に取り組む
コミュニケーションが促進されるような取り組みの導入も、心理的安全性を高める上で効果的です。社内での親睦会や懇親会を開催すれば、業務を離れて従業員が交流する機会をつくれます。
オフィス内にドリンクコーナーのあるリラックススペースを配置することも有用です。従業員が集まれる場所を用意することで、日常的なコミュニケーションが活発になりやすいでしょう。
新しく加わったメンバーを同世代の先輩従業員がサポートするメンター制度の導入も効果的です。相談しやすい人間関係を構築する仕組みが生まれます。
また上司との信頼関係を深めるためには、1対1での面談である「1on1」を継続的に行うのも有効です。
関連記事:1on1ミーティングの目的は?期待できる効果や実施のポイントをチェック
心理的安全性の向上はメンタルヘルスやエンゲージメントの向上にもつながる
東京大学の発表によると、中央省庁の職員を対象としたアンケートでは、リーダーの謙虚さが心理的安全性につながっているそうです。加えて心理的安全性が確保されることで、メンタルヘルスやエンゲージメントの向上にもつながっています。
これは民間企業でも同様の傾向です。メンタルヘルスやエンゲージメントの向上は、従業員の定着率アップにもつながるため、人材確保にもつながるポイントといえます。
関連記事:職場のメンタルヘルスケアとは?ストレスの原因や対策のポイント
参考:東京大学 先端科学技術研究センター|謙虚なリーダーがもたらす心理的に安全な環境はメンタルヘルスと働きがいの向上につながる―中央省庁においてリーダーの謙虚さと心理的安全性が果たす役割―
エンゲージメントの向上には「チケットレストラン」も活用を
職場でのストレス軽減やエンゲージメント向上には、エデンレッドジャパンが提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入もおすすめです。
全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できる仕組みのため、対象となる従業員であれば、勤務場所や休憩時間を取るタイミングなどに左右されることなく利用できます。
また一定の条件下で導入すれば所得税の非課税枠が活用できるため、従業員の実質的な手取りアップにもつながります。「チケットレストラン」の仕組みや、実質的な手取りアップに関する詳細は、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。
「チケットレストラン」の導入が、従業員のストレス軽減や、人材定着につながっている事例もあります。
例えば株式会社sumarchでは、労働環境の改善や「チケットレストラン」を含む福利厚生の改善などにより、転職意向を示していた従業員が同社で働き続ける選択をしました。
また息抜きに「チケットレストラン」を使ってカフェやコンビニでコーヒーやスイーツを楽しみ、午後からのモチベーションアップにつなげている従業員も見られるようになったそうです。
詳細な導入事例はこちら:株式会社sumarch
心理的安全性について知ろう
心理的安全性のある企業では、従業員は自身の率直な意見を伝えられますし、自分の携わっている仕事に自信を持って取り組めます。
心理的安全性の向上に役立つ取り組みを実施すれば、メンタルヘルスやエンゲージメントの向上にもつながるため、人材定着にも役立つでしょう。
メンタルヘルスやエンゲージメントの向上に取り組むなら、エデンレッドジャパンが提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」もおすすめです。ストレス軽減や人材定着につながった事例もある福利厚生サービスの導入を検討してみませんか。
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