職場のメンタルヘルスケアとは、働く人の心の健康を保つ目的で行う、具体的な施策のことです。メンタルヘルスやメンタルヘルスケアの意味について確認した上で、職場のメンタルヘルスケアについて見ていきましょう。仕事で感じるストレスの原因と、その対策についても紹介します。
職場のメンタルヘルスケアとは
職場のメンタルヘルスケアについて知るために、まずはメンタルヘルス・メンタルヘルスケア・メンタルヘルス対策の意味を確認していきます。
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは心の健康状態のことです。心が健康な状態であれば、仕事に前向きに取り組みやすくなりますし、ストレスを感じてもそこまで大きな負担にはなりません。
一方、気分が落ち込みストレスを強く感じる状態をメンタルヘルス不調といいます。うつ病といった診断を受けていなくても、悩みやストレスがあり気分の落ち込みが続いているようであれば、メンタル不調に陥っている状態です。
メンタルヘルスケアとは
メンタルヘルスケアについて、厚生労働省では以下のように定義しています。
メンタルヘルスケアとは、全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすること、およびそのような活動が円滑に実践されるような仕組みを作り、実践することをいいます。
自社で働く全ての従業員がメンタルヘルス不調を抱えることなく、健康な状態で働けるように行うケアのことです。
メンタルヘルスが健康な人はその状態を維持できるよう、メンタルヘルス不調を感じている人には早い段階で対策できるよう、不調で休職している人にはスムーズな復帰が可能となるよう、制度や仕組みを整えていきます。
関連記事:【健康経営とメンタルヘルス】従業員のメンタルヘルスケアの成功事例や効果的な福利厚生とは?
職場のメンタルヘルス対策とは
メンタルヘルスケアとして行われる個々の施策を総合して、職場のメンタルヘルス対策とよびます。メンタルヘルス対策として実施するメンタルヘルスケアは、目的と実施主体によって以下のように分類可能です。
目的による分類 |
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一次予防 |
メンタルヘルス不調の未然防止 |
二次予防 |
メンタルヘルス不調の早期発見 |
三次予防 |
メンタルヘルス不調になった従業員の職場復帰支援 |
実施主体による分類 |
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セルフケア |
従業員自身が行う |
ラインによるケア |
管理監督者が行う |
事業場内産業保健スタッフなどによるケア |
産業医・衛生管理者・保健師などが行う |
事業場外資源によるケア |
事業場外の機関・専門家などが行う |
関連記事:【社労士監修】従業員のメンタルヘルス対策「何から取り組んだらいい?」「中小企業の取り組み事例と具体例」
目的で分ける職場のメンタルヘルスケア
メンタルヘルスケアを目的で分類すると「一次予防」「二次予防」「三次予防」の3種類です。それぞれの段階で行うメンタルヘルスケアの具体例を紹介します。
メンタルヘルス不調を予防する「一次予防」
一次予防では、メンタルヘルス不調の未然防止を目指します。従業員が現時点での自分自身のストレス度合いを客観的に把握して、休養を取ったり、カウンセリングを受けたり、状態に合わせて対策に生かせるようにするのが目的です。
具体的な取り組みにストレスチェックがあります。「仕事について」「自分自身の状態について」「自分の周りにいる人について」などの質問に回答することで、ストレスの度合いを確認できるテストです。
2025年4月時点では、常時雇用の従業員が50人以上の企業が義務化の対象となっているストレスチェックですが、今後は従業員数によらず義務となる方針が決まっています。
関連記事:【社労士監修】ストレスチェック義務化の対象が拡大|概要から対応策まで解説
メンタルヘルス不調を早期発見する「二次予防」
二次予防は、メンタルヘルス不調に陥っている従業員の早期発見を目的としています。メンタルヘルス不調を悪化させることのないよう、できるだけ早いタイミングでの支援が重要です。
具体的には、産業医と連携して適切なアドバイスを実施したり、働きやすいよう業務調整や配置転換などを行います。
メンタルヘルス不調からの復帰支援を行う「三次予防」
三次予防で行うのは、メンタルヘルス不調が原因で休職した従業員の復帰支援です。従業員の主治医とも連携して、無理のないように進めるのがポイントです。
治療の進み具合に合わせて復帰への相談を行います。再発防止に向けて社内の体制を整備する必要もあるでしょう。また指導にあたる管理職に対する、職場復帰時の対応に関する研修の実施も有効です。
実施主体で分ける職場のメンタルヘルスケア
メンタルヘルスケアは誰が行うかによっても分類できます。「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」について見ていきましょう。
セルフケア
メンタルヘルス不調に対して、不調を感じている従業員が自ら行うのがセルフケアです。例えば企業が実施するストレスチェックを受けて、自分自身のストレス度合いを正しく把握することもセルフケアの一環です。
またストレスの度合いに応じて、運動する、質のよい睡眠を取る、趣味に取り組む、などストレス解消につながる取り組みを行うことも、セルフケアにあたります。
ラインによるケア
ラインによるケアで重要なのは、管理監督者が従業員の違いにいち早く気付くことです。遅刻や早退が増える、仕事の能率が落ちる、報告や相談がなくなる、などの違いはメンタルヘルス不調のサインかもしれません。
「部下がいつもと違う」と感じたときには話を聞きましょう。このとき管理監督者は、従業員に対して、産業医や心理カウンセラーなどの相談窓口を案内できるようにしておきます。
管理監督者が仲介の役割を果たすことで、従業員は適切な治療やケアを受けやすくなるでしょう。
事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場内産業保健スタッフとは、企業で勤務している産業医等・衛生管理者・保健師・心理職・精神科医等医師などのことです。人事労務を担当する従業員が担っている場合もあるでしょう。
自社で従業員がメンタルヘルス不調に陥ったときや、メンタルヘルス不調による休職から復帰するときにスムーズな対応が可能になるよう、フローチャートを作成しておくのも有効です。
事業場外資源によるケア
社外の専門機関を活用して従業員のメンタルヘルス不調に対応するのが、事業外資源によるケアです。具体的には、メンタルヘルスについての相談・カウンセリング・診断・復職指導などを受けます。
事業場外の病院や地域保健機関などを利用するため、従業員が企業に相談内容を知られたくないといった場合に利用しやすいでしょう。
職場で受けるメンタルヘルス不調の原因
メンタルヘルス不調の原因はさまざまで、人によって異なります。ただし従事している仕事の種類によって、注意すべきポイントがあります。厚生労働省の「事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集」を参考に、職種や業種ごとの傾向を見ていきましょう。
参考:厚生労働省|事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集
ドライバー
ドライバーは「仕事での精神的な緊張・ストレス」がメンタルヘルス不調につながっているケースが多いそうです。ストレスに無自覚なことで、知らず知らずのうちに不調に陥ることもあるため、メンタルヘルスに関する研修を実施するとよいでしょう。
「長時間労働の多さ」がストレスにつながっているケースも多いため、適切な労働時間で働けるよう労務管理の徹底や業務効率化なども必要です。
また乗客とのやり取りが発生するタクシー運転者やバス運転者は「利用客からの苦情等」がストレスにつながることもあります。暴力・暴言の被害に遭う可能性もあるため、防止策として社内カメラを搭載したり、万が一被害があった場合のケア体制を整備したりするとよいでしょう。
外食産業
外食産業では、ストレスの原因として「休日・休暇の少なさ」や「職場の人間関係」についてあげる割合が高くなっています。
勤怠管理システムで労働時間や有給休暇の取得状況を把握して、適切な勤務となるよう調整しましょう。加えてハラスメントに関する研修の実施や、ハラスメントが発生したときの相談窓口の設置と周知も実施します。
医療従事者
医師は「個別患者の様子」「休日・休暇の少なさ」「患者(家族)からのクレーム対応・
訴訟リスク」を、看護師は「職場の人間関係」「夜勤(宿直勤務含む)の負担の大きさ」「時間外労働の長さ」を、ストレスの原因としてあげる割合が高くなっています。
相談しやすい体制の整備や、整備した体制の周知を行うとよいでしょう。
またメンタルヘルス不調に陥る医療関係者のうち、勤務中の事故や暴力があったケースでは、約半数が深夜帯に起こっています。深夜帯の事故や暴力を予防する取り組みも重要です。
仕事で感じるストレスの要因は「給与・賞与」が1位
チューリッヒ生命の行った「ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査」を見ていきましょう。この調査によると、仕事をする上で最もストレスを感じる要因についての回答は、以下の通りです。
仕事で感じるストレスの要因 |
最もストレスを感じると回答した割合 |
給与・賞与(金銭面) |
21.7% |
仕事内容 |
17.8% |
上司・部下以外の社内の人間関係 |
15.4% |
上司との関係 |
13.6% |
仕事環境 |
7.4% |
取引先等の社外の人間関係 |
6.7% |
家族との関係 |
5.0% |
会社の制度 |
4.9% |
部下との関係 |
3.3% |
その他 |
4.2% |
経済面での不安や不満がストレスにつながっていると感じているビジネスパーソンが最も多く、次いで仕事内容や社内の人間関係・仕事環境という結果でした。
トップ5の順位は、2021・2023年に行われた調査から変わっていないことから、ビジネスパーソンにとって深刻な悩みであると考えられます。
参考:チューヒッリ生命|2024年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査
経済的不安・不満がストレスの原因になる理由
経済的不安・不満がストレスにつながる理由について、ここでは「物価高が続いているため」「節約のために我慢が続いているため」の2点について解説します。
物価高が続いているため
国内では物価高が続いています。エネルギー価格の高騰や円安の進行によって、原材料の価格が上がっていることから、さまざまな商品が値上がりしています。
2024年春闘では歴史的な賃上げが行われました。2025年春闘でも高水準の回答が続いており、2025年4月1日に発表された「2025春季生活闘争 第3回 回答集計結果」によると、賃上げ率は5.42%です。
ただし厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2025年2月分結果速報では、実質賃金が2カ月連続でマイナスとなっています。物価の上がり方に賃上げが追いついていない状況です。
参考:
日本労働組合総連合会|高水準の回答が続く!中小組合も 5%!~2025春季生活闘争 第3回 回答集計結果について~
厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報
関連記事:日本の物価高騰いつまで?なぜ?原因と2024年以降の経済展望
節約のために我慢が続いているため
エデンレッドジャパンが実施した「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」によると、賃上げが行われているにもかかわらず「家計が苦しい」と感じている人は79.3%です。
このような状況であるため、節約を意識している人は84.9%と高い割合になっています。中でも食費の節約を意識している人は73.1%と、他の支出の節約を意識している人より高い割合です。
その結果、物価高の状況で、3人に1人がランチ代を減らしています。さらに4人に1人はランチを欠食することがあると回答しており、この割合は過去最高です。
支給される給与・賞与が物価高に追いついておらず、節約が続いている結果、ストレスにつながっていると考えられます。
関連記事:歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」
経済的不安・不満によるストレスへの対策
従業員の抱く経済的不安・不満によるストレスに対して、企業ではどのような対策ができるのでしょうか?賃上げに加えて実施できる対策として、福利厚生の充実度アップについて解説します。
賃上げとともに福利厚生を充実させる
日本銀行の「経済・物価情勢の展望(2025年1月)」によると、消費者物価指数の上昇率は2%前後で推移すると予測されています。
今後も物価が上がっていく中、従業員の経済的不安・不満によるストレスへの対策を行うには、賃上げの実施に加えて福利厚生を充実させることが有効です。
エデンレッドジャパンでは福利厚生を使った賃上げを「第3の賃上げ」と定義しました。待遇改善と実質的な手取りアップの実現に加えて、従業員に感謝や健康への気遣いなどのメッセージも伝えられる方法です。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
福利厚生は「チケットレストラン」がおすすめ
物価高への対策として、日々の食費の節約を意識している人は73.1%です。ランチ代を減らしたり、ドリンクやデザートを我慢したりしている人は少なくないでしょう。
エデンレッドジャパンが提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、従業員の食事代をサポートできるサービスです。
コンビニ・カフェ・ファミレスなどの加盟店で利用できるため、同僚と連れ立ってランチに行く、休憩時間にコーヒーを買う、部下にドリンクをおごる、といったことを気軽にしやすくなります。
例えば株式会社ハートコーポレーションでは「チケットレストラン」を導入することで、「普段よりも少し豪華なお弁当を購入した」「自宅から持ってきたお弁当にプラス一品してみた」など、プチ贅沢がストレス発散につながっているという声があがっています。
詳細な導入事例はこちら:株式会社ハートコーポレーション
「チケットレストラン」でモチベーションアップ
節約への意識から我慢していたプチ贅沢を、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」でできるようになると、従業員のモチベーションアップにつながることも期待できます。
株式会社sumarchに勤務するマーケティング部の河津氏によると、「チケットレストラン」の導入で「お弁当を作らなくても大丈夫」「我慢しなくてよい」と考えられるようになり、心理的な負担が減ったそうです。
少し高めのお店でランチを食べたり、息抜きにコーヒーを買ったり、ご褒美に好きなスイーツを楽しんだりして、ストレスを解消して午後の仕事のモチベーションにつなげている従業員も以前より増えています。
詳細な導入事例はこちら:株式会社sumarch
職場のメンタルヘルスケアに「チケットレストラン」の活用を
メンタルヘルスケアは従業員が心の健康を保ちながら働き続けるために重要な取り組みです。
仕事で感じるストレスの要因として「給与・賞与」への不安や不満をあげる割合が高いことから、職場のメンタルヘルスケアに取り組むには、経済的不安・不満を取り除くとよいでしょう。
賃上げとともに、実質的な手取り額アップにつながる福利厚生を充実させれば、従業員の経済的不安・不満の軽減につながります。
実際に導入した企業から「ストレス解消につながっている」という声があがっている、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。実質的な手取りアップの仕組みや、サービスの詳細について問い合わせをお待ちしております。
新キャンペーンのお知らせ:中小企業の賃上げを応援!「#第3の賃上げ 大阪アクション」始動!~3社横断 大阪府限定キャンペーンも発表~
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