食事手当の相場は月3,000〜7,500円が目安です。所得税の非課税枠を活用している企業では、月3,500円(7,500円に引き上げ方針)以内で設計しています。本記事では、食事手当の相場に加えて、従業員の待遇改善につながる導入のポイントを見ていきましょう。
食事手当の概要
食事手当とは、従業員の食事代を補助することを目的として、給与とは別に支給する手当のことです。支給する食事は主に昼食となることから「昼食手当」と呼ばれることもあります。
食事補助を支給する・しないは企業の判断に委ねられており、義務ではありません。支給する場合には基本給と同じく、賃金扱いとなるため基本的には所得税の課税対象となります。
ただし、一定の条件を満たすことで所得税の非課税枠を活用でき、従業員の負担する所得税額を増やすことなく支給することが可能です。
食事手当の相場と企業規模別の平均額
食事手当の相場を見ていくにあたり、まずは企業規模別の平均額をチェックしましょう。厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査 」によると、食事に関する費用の平均額は以下の通りです。
| 企業規模 | 食事に関する費用の1人あたり1カ月の平均額 | 法定外福利費の1人あたり1カ月の平均額 |
| 全体 | 493円 | 4,882円 |
| 1,000人以上 | 174円 | 5,639円 |
| 300~999人 | 427円 | 4,567円 |
| 100~299人 | 690円 | 4,546円 |
| 30~99人 | 849円 | 4,414円 |
上記は、食事手当を導入していない企業も含まれている集計結果です。実際に食事手当を導入している企業では、所得税の非課税限度枠を目安に、月額3,500円ほどを支給しているケースが多いと考えられます。
企業が独自に定める制度である法定外福利厚生の費用は、企業規模が大きいほど金額も大きくなっていますが、食事に関する費用は企業規模が小さいほど金額が大きくなっています。
加えて、所得税の非課税枠を活用する場合の、食事手当の相場についても見ていきましょう。
参考:厚生労働省|令和3年就労条件総合調査 結果の概況|労働費用
福利厚生費として所得税の非課税枠を活用できる相場は月額3,500円以下
食事手当を支給するときには、月額3,500円の非課税限度枠を意識するケースが多いでしょう。そのため、食事手当の相場は月額3,500円以下といえます。
月3,500円の食事手当を支給するとき、出勤日数が20日間であれば、1日あたりの支給額は175円です。
食事手当を所得税非課税で支給する要件
以下の要件を満たすと、食事手当を支給するときに、所得税の非課税枠を活用できます。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
従業員の負担する所得税額を増やすことなく食事手当を支給できるため、実質的な手取りアップにつながる仕組みです。
なお、食事手当は現物支給が基本です。食事代を補助する形で食事手当を支給するためには、いったん企業側が費用を負担した上で、従業員の負担分を給与天引きなどにより徴収する必要があります。これは、食事手当を食事以外の目的に流用することを防ぐための措置です。
ただし、深夜勤務者に対しては、1日あたり300円以下までは現金による非課税での支給が認められています。これも「深夜勤務者に食事の現物提供が難しい」という、現物支給を前提とした考え方によるものです。
非課税で食事手当を導入する条件については、以下の関連記事もご覧ください。
関連記事:【税理士監修】食事補助を非課税にする条件は?給与にしないための非課税限度額
【2026年最新】所得税の非課税枠は7,500円に引き上げ
「令和8年度税制改正の大綱」には、食事補助の非課税限度額を7,500円(税別)へ引き上げる方針が記載されました。
国税庁によると、2026年4月1日以降に支給する食事手当については、所得税の非課税限度額が7,500円(税別) となる予定です。月額7,500円を食事手当として支給する場合、出勤日数が20日間であれば、1日あたりの支給額は375円となります。
また、深夜勤務者への現金での支給は、現行の300円以下から650円以下に引き上げられる予定です。
参考
:財務省|令和8年度税制改正の大綱」
:国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
食事手当を福利厚生として支給する場合の具体例
所得税の非課税枠を活用して、食事手当を支給できるケース・できないケースについて、以下の表で確認しましょう。
| ケース | 食事代 | 企業の負担額 | 従業員の負担額 | 所得税の非課税枠の活用可否 |
| ① | 6,000円 | 3,000円 | 3,000円 | 〇 |
| ② | 6,000円 | 3,500円 | 2,500円 | × |
| ③ | 1万5,000円 | 3,000円 | 1万2,000円 | 〇 |
| ④ | 1万5,000円 | 8,000円 | 7,000円 | × |
例えば、従業員数50人の企業で、ケース①と同様の食事手当を導入したとします。この場合、1カ月の食事手当対して企業が負担する金額は15万円、1年で180万円です。
企業は、法人税率をかける課税所得を「益金-損金」で計算するとき、この費用を損金に算入できるため、課税所得を圧縮できます。
【従業員の税負担】要件を満たさない食事手当は所得税の課税対象
食事手当として支給する金額が所得税の非課税上限枠を超える場合、従業員の負担する金額が企業の負担する金額より少ない場合のいずれか、もしくは両方の場合には、支給した食事手当は所得税の課税対象となります。
課税されるのは、非課税上限枠を超えた部分のみではなく、支給した食事手当全額です。例えばケース④では、従業員1人あたり8,000円が、全額所得税の課税対象となります。
【企業の税負担】要件を満たさない食事手当は給与として損金算入可能
従業員の給与は原則として全額が損金となります。そのため、所得税の非課税限度額を超えた食事手当を支給した場合でも、企業はその費用を損金として扱うことが可能です。
例えば、従業員数50人の企業で、ケース④の食事手当を導入した場合、1年間に480万円を損金にできます。
食事手当を支給するメリット
食事手当を支給する企業の従業員は、食費の負担が軽減される・栄養バランスのよい食事をとれるなどのメリットを享受できます。では、食事手当を支給することで企業が得られるメリットとはいったいどのようなものなのでしょうか?
従業員の満足度が向上する
前述のとおり、食事手当を導入した企業の従業員には、食費の負担が軽減されたり、栄養バランスのよい食事をとれたりといったメリットがあります。
こうしたメリットは、従業員が抱く企業への愛着や帰属意識の向上をうながします。「企業のために頑張ろう」といった前向きな気持ちが従業員満足度を高め、ひいては、業務上のモチベーションやパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上が、企業の業績向上に直結するものであることを踏まえると、食事手当が企業にもたらすメリットは非常に大きなものといえそうです。
関連記事:従業員満足度が向上する福利厚生は?高くなるメリットや取り組み事例も
従業員を経済的に支援できる
近年、インフレにともなう物価上昇の影響で、従業員の実質的な賃金は減少傾向にあります。
エデンレッドジャパンが行った「ビジネスパーソンのランチ実態調査2025 」によると、物価高の影響で「家計が苦しい」と感じる割合は85.6%で、多くのビジネスパーソンが値上げの影響を実感している結果です。
それにもかかわらず、勤務日に使えるランチ代は以下の通り前年から変わらない結果でした。2023年からは増えていますが、それでも物価上昇に追いついているとはいえません。
| 年 | 平均ランチ代 |
| 2025年 | 424円 |
| 2024年 | 424円 |
| 2023年 | 400円 |
食事手当を支給すれば、このような従業員の経済状況をサポートできます。節約優先で軽視されることもある食事のバランスを考慮して、健康に配慮した食事をとる従業員が増えることにもつながるでしょう。
参考:ビジネスパーソンのランチ実態調査2025~コメ高騰でランチの主食危機⁉ 7割近くが“影響あり”と回答~
採用市場での魅力アップで人材の獲得・定着が期待できる
日本の人口が減少の一途を辿るなか、人材の獲得・定着は企業において喫緊の課題です。将来的に安定した経営を続けるためには、安定した人材の獲得と定着が欠かせません。
その点において、充実した手当や福利厚生は、求職者への強力なアピールとなります。というのも、手当を通じて利益を従業員へ還元する企業は、従業員にとって働きやすい環境が整った企業である可能性が高いと考えられるからです。
つまり、食事手当をはじめとする手当の導入は、人材の獲得・定着にも有効な施策といえます。
企業ブランディングができる
インターネットが発達し、あらゆる人が情報の発信源となった現代社会では、企業イメージが業績を左右する重要な要素のひとつとなっています。「品質や値段が同じ商品なら、企業イメージがよいほうを選ぶ」という人は決して少なくありません。
その点、充実した手当によって「従業員を大切にする企業」としてのイメージを確立することは、企業ブランディングに好影響を与えます。そうすれば、取引先や消費者から選ばれやすい企業となり、業績向上にも期待できるでしょう。
また食事手当は、従業員の健康に経営の観点から取り組む健康経営にもつながります。企業の持続可能性と社会的責任を評価するESGにも関わっており、投資家の関心も高い項目です。
関連記事:【社労士監修】中小企業も実践!健康経営のユニークな取り組み事例
食事手当の種類
食事手当の中から、ここでは以下の4種類について紹介します。どれも要件を満たせば、所得税の非課税限度枠を活用可能です。
| 支給方法 | 導入コスト | リモートワーク対応可否 | |
| 社員食堂 | 現物 | 高 | 不可 |
| 設置型社食 | 現物 | 低 | 不可 |
| 仕出し弁当 | 現物 | 低 | 不可 |
| チケットサービス | チケット | 低 | 可 |
4種類の食事手当の特徴を見ていきましょう。
社員食堂
社内に食堂を設置し、食事を提供するタイプの食事手当です。社員食堂で提供される食事には、企業からの補助が入るため、一般的な外食よりも安価で利用できます。また、栄養バランスを考慮された温かい食事を食べられるのは、従業員にとって大きなメリットです。
一方で、社員食堂の設置には、調理場と飲食場所を含む広いスペースが必要です。導入コストに加えて、人件費や材料費などのランニングコストも必要になるため、一定の体力がある企業を除き、新規導入は現実的ではありません。
関連記事:福利厚生「社員食堂」は人気だがコストが課題:魅力と代替策
設置型社食
社内にカフェスペースなどを設け、専用の冷蔵庫を設置して、軽食やドリンクを提供するタイプの食事手当です。
設置型社食では、社員食堂のような広いスペースは必要ありません。設置はもちろん、在庫のチェックや補充などはすべて業者が行うため、企業側の負担が軽いのが大きなメリットです。
一方で、設置型社食はメニューのバリエーションや提供量が限られる傾向にあります。従業員数や従業員の年代によっては、事前に十分な検討が必要です。
関連記事:2026年版「設置型社食サービス」12種類を徹底比較!選び方・特徴まとめ
仕出し弁当
弁当の仕出しを行う業者から、弁当を配送してもらうタイプの食事手当です。特別なスペースを用意する必要はなく、必要量の弁当が毎日届けられるため、企業側の手間やコストがかかりません。
ただし、仕出し弁当は事前注文が基本であり、急なキャンセルへの対応は受け付けていない業者が大半です。また、配送時間が決められているために、夜勤の人などは利用できません。営業職などの予定が変わりやすい業務についている従業員や、夜勤業務が多い職場には不向きな手当といえそうです。
関連記事:オフィス宅配弁当比較10選!企業向けに選び方やメリット・デメリットを解説
チケットサービス
食事券などを提供することで、従業員が利用する提携飲食店での支払いの一部を企業が負担するタイプの食事手当です。
チケットサービスは、利用場所や時間帯の自由度が高く、業種や勤務形態にとらわれず利用しやすいという特徴があります。例えば、エデンレッドジャパンが提供するチケットサービス「チケットレストラン」の場合、全国の加盟店25万店舗以上で利用できます。勤務時間内であれば利用時間の制限はなく、出張中やテレワーク時も通常通り利用可能です。専用のICカードにチャージして支払う形なので、管理も手間もかかりません。
企業側・従業員側ともにメリットが多く、近年特に注目を集めている食事手当の支給方法です。
関連記事:福利厚生に迷ったら「チケット型食事補助」|仕組みやメリットを徹底解説!
食事手当の導入に失敗しない実務ポイント
食事手当を導入し、そのメリットを十分に実感するためには、あらかじめ押さえておきたいいくつかのポイントがあります。詳しく見ていきましょう。
食事にまつわる自社の課題を整理する
食事手当の導入や見直しをする際は、食事にまつわる自社の課題を整理することが大切です。
仮に、「現在導入している食事手当の満足度・利用率が共に高い」という場合、新たな導入や見直しを進める必要はありません。
一方、「自社内で食事を提供する設備がない」「食事手当はあるものの、利用率が低い」といった課題がある場合、新たな食事手当の導入や見直しが有効です。
リモートワークや現場で働く従業員も公平に利用しやすい支給方法を選ぶ
社員食堂・設置型社食・仕出し弁当といった食事手当の場合、特定の時間帯に社内にいる従業員しか利用できません。出張やリモートワークの従業員が多い職場では、利用できない従業員から不満の声が上がる可能性が考えられます。
こうした事態を防ぐためにも、食事手当は働き方や働く場所を問わず、従業員が利用しやすい方法で導入する必要があります。
コストや業務上の負荷について計算する
導入コストやランニングコストが高い食事手当は、企業にとって大きな負担となります。また、運用に複雑な事務作業や処理が必要な場合、業務に割かれる人的コストも無視できません。
食事手当を検討する際は、必要なコストや業務上の負荷まで事前に計算することが大切です。
食事手当に関するよくある質問
食事手当について、よくある質問についても解説します。
食事手当の平均額はいくらですか?
厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査 」によると、食事関する費用の平均額は1人あたり月493円です。ただし実際には、食事手当を導入している企業ばかりではありません。導入している企業では、所得税の非課税枠を活用できる月3,500円(税別)を目安としているケースが多いでしょう。
※所得税の非課税枠は月7,500円(税別)への引き上げが予定されています。
参考:厚生労働省|令和3年就労条件総合調査 結果の概況|労働費用
食事手当は非課税で支給できますか?
食事手当は、非課税限度額内であること、従業員の負担額が企業の負担額以上であること、という要件を満たしていれば、支給しても所得税がかかりません。
非課税限度額は2026年3月時点では月3,500円(税別)ですが、7,500円(税別)への引き上げが予定されています。
参考:国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
食事手当は在宅勤務の従業員やパートにも支給できますか?
食事手当は、在宅勤務で働く従業員や、常駐先で働く従業員、毎日異なる現場で働く従業員などにも支給できます。また、正規雇用の従業員やパートなどの雇用形態を問わずに支給することも可能です。
ただし、対象となる全ての従業員に公平に支給するには、支給の仕方を工夫しなければいけません。例えば社員食堂は、食事が提供される時間帯にオフィスにいなければ利用できないためです。
公平に利用しやすい食事補助にはチケットサービスがあります。チケットサービスの一種であるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入した企業の中には、雇用形態を問わずに導入することで、従業員満足度向上につながった事例もありました。
食事手当の導入時は非課税限度枠を活用した制度設計がポイント
食事手当(昼食手当)を支給する場合、一定の要件を満たすと所得税の非課税限度枠を活用できるため、従業員の実質的な手取りアップにつながります。この非課税限度枠を意識して制度設計するには、自社の食事手当が要件を満たしていることを確認しなければいけません。
ただし、所得税の非課税限度枠については、2026年に引き上げが予定されています。今後も変更がある度に対応しなければならず、自社で導入から運用まで全て行うには実務の負担が大きくなることもあるでしょう。
自社での制度設計が難しい場合には、食事手当の導入や運用をアウトソーシングできるサービスの活用がおすすめです。例えばエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、非課税限度枠の活用に必要な要件を満たして導入・運用できます。
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