少子高齢化や人手不足が進むなか、中小企業では「若手をどう育て、定着させるか」が経営の重要課題となっています。採用の質に加え、入社後の育成とエンゲージメントを高める仕組みづくりが欠かせません。本記事では、最新調査データをもとに中小企業の若手育成の現状と課題を整理し、効果的な施策や福利厚生を通じたモチベーション向上の方法まで詳しく解説します。
中小企業における若手育成が注目される背景
少子高齢化と人手不足が進むいま、若手社員の採用や定着は中小企業の将来を左右するテーマになっています。まずは、中小企業の若手育成の現状と課題を見ていきましょう。
8割の企業が課題を抱える若手育成の実態
出典:株式会社CRAYONZのプレスリリース|中小企業経営者の約8割が若手社員の育成に課題を感じている!株式会社CRAYONZが「中小企業における若手社員育成に関する調査」を実施!
株式会社CRAYONZが2025年8月に公開した「中小企業における若手社員育成に関する調査」によると、若手社員の育成に「課題を感じている」と回答した企業は77.8%にのぼります。

出典:同上
主な課題について尋ねると、「指示待ちで、主体性が見られない」(45.4%)、「価値観が異なり、コミュニケーションが難しい」(35.5%)、「成長意欲や目標意識が低い」(34.9%)が上位に上がりました。
この背景には、業務多忙で育成に時間を割けない環境や、世代間で仕事観が異なることが挙げられます。こうした状況では、若手側も「明確なキャリアビジョンが描けない」と感じやすく、離職の原因となるケースも珍しくありません。
安定した人材戦略のためにも、体系的な育成制度の整備が求められます。
関連記事:若手育成の鍵はエンゲージメント!データが示す離職防止に効く定着施策
少子高齢化・採用難が課題に

出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)|1 高齢化の現状と将来像
「令和4年版高齢社会白書」によると、日本では少子高齢化の進行により、労働力の中心となる生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が減少を続けています。1995年のピーク時には約8700万人だった生産年齢人口が、2021年には約7400万人まで減少しました。
若手を採用できない企業は、教育・引き継ぎが成立せず、企業独自のスキルや知識が断絶するリスクが高まります。社内の中核層に業務が集中し、若手が育ちにくい環境が固定化することにもなりかねません。
採用と同様、育成にも十分なリソースを振り向けることが、中小企業が持続的に成長するための現実的な道筋といえます。
若手育成がうまくいかない中小企業の共通点
多くの中小企業が若手育成に取り組んでいるにもかかわらず、成果を実感できないとの悩みを抱えています。ここでは、若手育成が停滞する企業に共通する主な要因を見ていきます。
OJTと属人的育成への偏重
多くの中小企業では、若手育成の中心がOJT(職場内での実務訓練)に置かれています。実務を通じて学ぶスタイルは実践的で効果的な一方、教育内容が上司や先輩社員の経験や感覚に依存しやすい点が課題です。
体系的な教育設計がないまま属人的に進められると、教える人によって指導レベルに差が生じ、育成効果が安定しません。結果として、若手が十分な成長実感を得られず、離職やモチベーション低下につながるケースもあります。
OJTの効果を最大化するには、評価基準や学習目標を明確化し、計画的な育成フローとして仕組み化することが欠かせません。
関連記事:若手社員の離職はなぜ起きる?よくある理由と効果的な対策まとめ
コミュニケーションと価値観のズレ
CRAYONZの調査では、若手育成の課題として「価値観の違い」(35.5%)が2位に挙げられています。多くの場合、上司世代が「努力や忍耐」を重視する一方で、若手は「効率」や「ワークライフバランス」を大切にする傾向があり、ここに認識のギャップが生まれます。
また、上司が日常的に対話する時間を確保できず、若手が悩みを誰にも打ち明けられないまま離職するケースも少なくありません。
育成の前提として、まずは「価値観をすり合わせるコミュニケーション」が重要です。業務指導の前に信頼関係を築くためのメンター制度等を導入し、若手社員の心理的安全性を担保することが、世代間ギャップを埋める第一歩となります。
参考:株式会社CRAYONZのプレスリリース|中小企業経営者の約8割が若手社員の育成に課題を感じている!株式会社CRAYONZが「中小企業における若手社員育成に関する調査」を実施!
中小企業が実践すべき若手育成の施策
「人手が足りない」「時間も予算も限られている」そんな中小企業に多く見られる制約の中でも、若手を着実に育てる仕組みを築くことは可能です。ここでは、若手育成の成果を上げている中小企業の代表的な手法を紹介します。
「OJT+1on1ミーティング」で日常的な成長支援を

出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)|1 高齢化の現状と将来像
CRAYONZの調査によると、若手育成の施策として、もっとも多く実施されているのが「1on1ミーティング」(49.3%)と「OJT」(39.8%)です。
1on1は、短時間・高頻度で行うことで若手が抱える課題を早期に把握し、解決や成長をサポートできます。一方、OJTは現場スキルを学ぶ絶好の機会ですが、属人化しやすいため計画的な運用が必要です。
両者を組み合わせ、上司と若手の対話を定例化することで、現場に「学びの習慣」が定着します。忙しい中小企業ほど、日常的なフィードバックの仕組みが成果を左右します。
オンライン研修とメンター制度のハイブリッド化
前述のCRAYONZの調査によると、若手育成施策の中で「オンライン研修」を導入している企業も33.0%にのぼります。
オンライン研修は、時間や場所に制約のある中小企業にとって効率的な手法です。録画配信型やオンデマンド形式を活用すれば、忙しい時期でも学びを止めずに継続できます。さらに、外部講師や他社事例を取り入れることで、社内では得られない刺激や視野の拡大も期待できます。
加えて、現場のフォローを担うメンター制度を組み合わせることで、研修内容を日常業務に落とし込むことが可能です。オンラインとリアルのハイブリッド設計は、学びを一過性で終わらせず、「行動変容」につなげる有効な手段です。
キャリアパスと評価制度を連動させる
中小企業では、若手が自分の将来像を描ける環境を整えることが、定着の大きな鍵になります。役割やスキル習得のステップを明確にし、日々の成長が評価や報酬に反映される仕組みを整えることが重要です。
多くの若手社員が離職を考える背景には、「努力が正当に評価されない」「キャリアの見通しが立たない」といった不安があります。こうした課題を解消するには、キャリアパスと評価制度を一体的に設計し、成果やスキルの進捗を「見える化」することが効果的です。
成長の過程が評価に直結する環境をつくれば、社員は努力の手応えを感じやすくなり、モチベーションの維持や長期的な定着にもつながります。
若手育成を支える「福利厚生」という戦略
若手育成を成功させるには、教育制度だけでなく、働く意欲を高める施策との連動が欠かせません。福利厚生を「モチベーションアップの鍵」として活用する新たなアプローチを紹介します。
福利厚生が若手育成のモチベーションに効く理由
福利厚生は、自由度が高い制度だけに「従業員を大切にする企業姿勢の表れ」として受け取られる傾向にあります。つまり、福利厚生を充実させることにより、従業員は「会社に大切にされている」実感を得られ、企業に対する帰属意識や貢献意欲が高まるのです。
特に若手従業員は、可処分所得が限られる中で「日常の支援」を重視しがちなため、福利厚生を通じて得られる経済的・心理的な安心感が「働きがい」の土台になります。
福利厚生は、単なる金銭的な補助にとどまらず、若手育成を支える重要な施策なのです。
関連記事:【2025年版】福利厚生導入の目的とは?経営課題を解決する戦略と実例
「ランチ学習×食事補助」で育成文化をつくる
中小企業でも取り入れやすいのが、ランチタイムを活用した「食事×学び」の仕組みです。
企業が福利厚生として食事補助を提供し、オフィスにて月1回のランチ勉強会を実施する形式にすれば、短時間・低コストで知識共有の機会を増やせます。テーマを若手従業員自身が選び、発表や意見交換をすることで主体性とプレゼン力を同時に鍛えることも可能です。
この制度を実践することで、部署や職種を越えた交流が生まれ、日常業務では得られない気づきや視点が共有されます。さらに、実施後にアンケートや参加率を記録し、定着率や満足度の変化をモニタリングすれば、効果を「見える化」することも可能です。
この「ランチ学習×食事補助」を実施するには、テイクアウトや Uber Eats の利用もできる食事補助の導入がおすすめです。
若手育成にもフィット|食の福利厚生「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、企業と従業員との折半により、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できる食事補助の福利厚生サービスです。
加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど幅広く、利用する人の年代や嗜好を問いません。テイクアウトはもちろん、 Uber Eats も利用可能なため、「ランチ学習×食事補助」の仕組みにもフィットします。
内勤の従業員はもちろんのこと、出張中やリモートワークの従業員も平等に利用できる柔軟性や、コスパの良さが高く評価され、すでに3,000社を超える企業に導入されている人気サービスです。
関連記事:「チケットレストラン」は勤務時間外・休日も利用できる?導入メリットも解説
中小企業の若手育成にまつわるよくある質問
若手育成を進める際、中小企業の担当者が悩みやすいのが「どこから始めればいいか」「何を基準に成果を見ればいいか」という点です。ここでは、導入時に特に多い2つの質問を回答とともに紹介します。
Q. 中小企業でも若手育成はできる?
A.十分に可能です。重要なのは、規模ではなく「継続性」と「見える化」です。
たとえばOJTや1on1の実施率、若手の離職率などをKPIとして追えば、成果を定量的に把握できます。従業員の離職による損失は大きいため、早期離職の抑制だけでも大きな投資対効果があります。
限られたリソースでも、育成を仕組み化して定期的に振り返る体制を整備すれば、若手が安心して成長できる職場づくりは実現可能です。
Q. 1on1や研修を現場で継続させるコツは?
A.ポイントは「小さく始めて続ける」ことです。最初から完璧な制度を目指すと定着しません。
まず月1回・15分などの短時間1on1から始め、効果を感じた部分を横展開する形が現実的です。現場上司が負担を感じないよう、人事が質問例や記録フォーマットを用意するのもよいでしょう。
また、成果共有会や報告シートを通じて成功事例を可視化すれば、組織内に「続ける価値」が広がり、習慣として根づきやすくなります。
効果的な若手育成施策で「人が育つ企業」へ
若手育成は、単なる教育施策ではなく、企業文化と組織力を高める重要な施策です。限られた人材をどう成長させ、定着させるかが、将来の中小企業の競争力を左右します。
制度を形だけ導入しても、日常の中に「学び」が根づかなければ成果は続きません。OJTや1on1などの仕組みに加え、「チケットレストラン」のような福利厚生を通じたモチベーションアップの施策を導入することで、若手社員の成長と生活の両面を支えることが可能となります。
従業員が安心して挑戦できる文化を育み、「人が育つ企業」の基盤づくりを進めてみてはいかがでしょうか。
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エデンレッドジャパンブログ編集部
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