「X世代」は、バブル崩壊や就職氷河期を経て現実的かつ安定志向を持ちながら、ワークライフバランスを重視する現場経験豊富な世代です。本記事では、そんなX世代の特徴と仕事観を掘り下げ、組織の中核としての生かし方や実務遂行力、さらに管理職としての価値を最大限に引き出す効果的なアプローチまで網羅的に紹介します。
X世代とは?
X世代は、日本の労働市場や組織を理解する上で欠かせない存在です。まずは、その定義や背景・他世代との違いから解説します。
X世代の定義
「X世代」とは一般的に1965年から1980年頃に生まれた人々を指します。2025年時点では、45歳から60歳前後にあたる世代です。
この世代は、高度経済成長期の終盤に子ども時代を送り、社会人になる頃にはバブル景気を体験しました。しかしその後、バブル崩壊と就職氷河期を経て、長期的な不況やリストラ、成果主義の導入など厳しい労働環境の変化を受け止めています。
さらに、アナログからデジタルへの転換が進んだ時代を働き盛りとして過ごしたことで、新旧の働き方やツールに柔軟に対応する力も培われました。
現在のX世代は、その多くが豊富な現場経験を背景に管理職や専門職として組織を支えています。安定と変化の双方に向き合ってきたことで独自の仕事観や価値観を持つ世代です。
X世代と他世代との違い
| 世代 | 生年範囲 | 現在の年齢(2025年時点) | 社会背景 | デジタル適応 | 仕事観・特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| X世代 | 1965〜1980年頃 | 45〜60歳 | バブル崩壊・就職氷河期 | アナログから後天的に習得 | 安定志向と現実主義・橋渡し役 |
| ミレニアル世代 (Y世代) |
1981〜1996年頃 | 29〜44歳 | IT普及・グローバル化 | デジタルを後天的に吸収 | 自己実現・キャリア志向・転職柔軟 |
| Z世代 | 1997〜2012年頃 | 13〜28歳 | SNS・スマホ、コロナ禍 | 生まれながらのデジタルネイティブ | 多様性・社会意義重視・柔軟な働き方 |
X世代の特徴を理解するには、前後の世代との比較が欠かせません。
ミレニアル世代はIT普及期に育ち、キャリア形成や自己実現を重視しながら柔軟な働き方を志向します。さらに若いZ世代は、生まれながらのデジタルネイティブとして多様性や社会的意義を大切にし、転職や副業も自然な選択肢と捉えています。
その中間にあるX世代は、アナログからデジタルへの転換を働き盛りとして経験してきたため、従来型の組織文化を理解しつつ、新しい制度やツールにも順応できる稀少な存在です。安定志向と変化対応力を併せ持ち、世代間の価値観を調整する橋渡し役を担いやすい点が、他世代との大きな違いです。
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X世代の価値観とライフスタイル
仕事で表れる行動の多くは、生活全体の価値観から生まれます。ここでは、家庭観や安定志向、健康・余暇への姿勢など、X世代の価値観とライフスタイルについて深掘りします。
安定志向と現実主義
X世代は、景気と雇用制度の急激な変化をリアルタイムで経験していることから、理想よりも実行可能性を優先する現実主義が根づいています。
キャリアでは「確実な選択」を好み、再現性のあるプロセスや説明可能な意思決定を重視します。組織への帰属意識も「納得できる評価・処遇」とセットで形成されやすく、職務内容や期待される役割が明確な環境で力を発揮するのが特徴です。
安定志向ながら保守一辺倒ではなく、効果検証や段階導入など、リスクを管理しながらの改善には前向きです。こうした特徴は、品質や安全性が重視される部門や、既存事業のブラッシュアップにおいて大きな強みになります。
ワークライフバランス重視
長時間労働の見直しや多様な働き方の浸透を目の当たりにしてきたX世代は、家庭・健康・仕事のバランスを重視する傾向にあります。
家族行事や介護との両立、体調管理のための通院など、個人としての生活を最優先しつつ、計画的に働こうとするのが特徴です。
「成果に直結するか」を考えながら時間を使うため、無駄な会議や形式的な残業には批判的です。また、勤務先への評価は、各種待遇の整備とともに、それが実際に運用されているか、利用のしやすさまで踏まえて行います。
X世代の仕事観の特徴
X世代の仕事観には、社会の変化を体感してきた経験が強く影響しています。ここでは、X世代の職場における具体的なスタンスを整理します。
組織への適応力と個人主義のバランス
新旧の価値観を持つ上司と部下との折衝役となりやすいX世代は、年功序列や上下関係を理解しつつも、過度な従属を嫌う傾向があります。
上司の指示には従いますが「自分の仕事は自分で守る」という意識が強く、結果として個人の裁量を重視します。この二面性は、組織文化を尊重しながらも、必要な場面では自分の考えを押し出すというスタイルにつながるものです。
協調性を欠くのではなく、むしろ状況に応じて調整力を発揮できる点は、X世代ならではの特徴であり強みでもあります。
チーム全体の成果に目を向けつつ、自分の専門性を磨く姿勢は、現在進むジョブ型人事制度やプロジェクト型の働き方とも親和性が高く、組織の多様化に適応しやすい世代といえます。
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成果主義を受け入れる現実感覚
X世代は、バブル崩壊後に広がったリストラや成果主義の導入を実体験してきました。そのため、年功だけに依存せず「結果に応じた評価」を比較的自然に受け止める傾向があります。
ただし、単なる数字の羅列や短期的な成果による評価には批判的で、プロセスや努力も評価に含めてほしいと考える点が特徴です。この現実感覚は、成果主義に戸惑う団塊世代や、即効性を重視しがちなZ世代の中間に位置するものといえます。
こうした背景から、納得感ある評価制度が整備された環境において、特に高いモチベーションを発揮するのがX世代です。
デジタルへの柔軟な適応力
X世代はデジタルネイティブではありませんが、業務の必要性から新しい技術を後天的に習得してきた世代です。
ワープロやFAXから始まり、メール・オフィスソフト・社内システムを経て、近年はリモート会議やチャットツールも使いこなします。この柔軟さは「不得意だから避ける」のではなく「必要だから学ぶ」という姿勢によるものです。
ただし習得のスピードには個人差があり、世代全体がデジタルに対する高い適応力を持つわけではありません。変化を受け入れながら業務を安定的に進める姿勢は、組織にとって貴重な資質です。
X世代の職場での役割
X世代はいまや企業の中核層であり、現場を支えるだけでなく組織運営や人材育成にも深く関与しています。ここでは、実務・橋渡し・管理職という、X世代が担う三つの役割を整理します。
中核人材としての実務遂行
X世代は、豊富な経験を背景に、部門やプロジェクトを安定的に回す存在です。長年培った知識やスキルを生かし、突発的な課題にも落ち着いて対応できる点が強みです。
現場に根ざした判断を行い、業務プロセスを改善して効率を高める能力も期待されています。また、若手とシニアの中間に位置するため、上からの方針を理解しつつ現場に浸透させる役割を自然に果たす傾向があります。
組織の実務遂行力を安定させる「支柱」として、日々の成果を着実に積み重ねるX世代は、企業の持続的成長に不可欠な存在です。
世代間の橋渡し役
X世代は、団塊世代やバブル世代の上司と、ミレニアル・Z世代の部下との間に立ち、価値観や働き方の違いを調整する役割を担っています。
従来型の上下関係を理解しつつ、新しい働き方やデジタルツールにも対応できるため、双方の言語や感覚を翻訳するように橋渡しできます。職場の摩擦を和らげるだけでなく、世代間の相互理解を促進する存在です。
若手が持つ最新知識や柔軟な発想を組織に取り入れつつ、シニア層の経験やノウハウを生かすハブとして機能するX世代は、組織の一体感を醸成し、円滑なコミュニケーションを実現する上で代替の利かない存在といえるでしょう。
管理職層としての組織運営
管理職としてのX世代には、部下の育成やチームマネジメントを通じて組織全体を安定させる役割が求められます。
豊富な現場経験を生かして具体的な指導ができる世代ではありますが、時代に即したマネジメント手法についての知識は不十分な可能性が否定できません。
また、X世代は介護や健康問題といったライフステージ特有の課題を抱える人も多いため、企業側の制度的支援も十分に機能させることが大切です。組織の安定を保ちながら変化を推進する「実務経験豊富なマネジャー」として、X世代の存在は欠かせません。
X世代の強みと課題
X世代への理解を深める上で、特に重要なのが「強み」と「課題」です。ここでは、人材活用のヒントとして、企業が理解しておきたいX世代の「強み」と「課題」を整理します。
X世代の強み
X世代は、変化の時代を乗り越えてきた人材ならではの強みを備えています。具体的には以下の通りです。
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経験に基づく判断力:バブル崩壊やリストラなど不安定な状況を経験してきたため、冷静にリスクを見極めて対応する力があります。危機対応や、不確実な環境での意思決定にも優れています。
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責任感と安定性:年功序列や組織文化を理解しつつ、与えられた業務を着実に遂行します。成果を積み上げる持続力があり、現場を安定的に支える存在です。
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世代間の橋渡し力:上の世代の価値観を理解しながら、ミレニアルやZ世代の柔軟性も取り入れられるため、双方をつなぐ調整役として活躍します。
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柔軟な学習姿勢:「必要なら学ぶ」という意識でデジタルツールを習得してきた経験があります。苦手意識はあっても回避せず、業務に必要なスキルを実務と両立しながら吸収できます。
こうした強みは、安定性と柔軟性を兼ね備えた「企業の屋台骨」として機能しやすく、組織の持続的成長を下支えします。
X世代の課題
多くの強みを持つX世代ですが、一方で、ライフステージや時代背景に起因する課題も抱えています。代表的なものは以下の通りです。
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デジタル適応の個人差:必要性から技術を学んできた一方、習得スピードやレベルには個人差があります。知識が不足している分野については、教育・サポート体制が不可欠です。
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ライフステージ課題:親世代の介護や子どもの独立支援など家庭責任が重なる世代のため、柔軟な働き方ができない環境では離職や生産性の低下につながるリスクがあります。
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評価制度への不満リスク:成果主義には慣れているものの、プロセスや努力を含めて公正に評価されない場合モチベーション低下を招きやすい傾向があります。
これらの課題は放置すると組織に負担となりますが、適切な研修・制度設計によって十分に克服可能です。強みを生かしつつ課題を補うことで、X世代を組織の推進力に変えることができます。
企業がX世代を生かすためのポイント
X世代の力を最大限に発揮させるには、キャリア形成・柔軟な働き方・福利厚生の三本柱を整えることが重要です。ここでは、企業が実践できる具体的な施策を紹介します。
キャリアパスを明確化する
X世代は、中堅から管理職への過渡期にあたる世代です。今後のキャリア設計が曖昧な場合に強い不安を抱きやすいことから、企業は管理職昇進ルート・専門職ルートなど、複数の明快な選択肢を提示することが求められます。
この施策は「役割の見えない中堅従業員」を減らし、従業員一人ひとりのモチベーションを高める上でも有効です。
本人の希望と組織の期待をすり合わせる人事の仕組みを整えることが、長期的なエンゲージメント維持のカギとなります。
柔軟な働き方を整備する
X世代は介護や家庭責任が重なる年代にあり、柔軟性の乏しい勤務体系では負担が大きくなりがちです。リモートワークやフレックス制度を導入することで、この世代の仕事と生活の両立を支援できます。
ただし、制度があっても現場で活用しにくいと機能しないため、上司の理解や利用促進策も不可欠です。「成果で評価する」仕組みづくりを平行して進めることで、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が実現可能になります。
安心して仕事に邁進できる環境が整備されることにより、X世代はもちろんのこと、他世代の離職の防止やパフォーマンス維持も期待でき、組織に安定感をもたらします。
充実した福利厚生を提供する
安定志向の強いX世代にとって、福利厚生の充実は大きな安心感につながります。特に、健康支援や、育児・介護サービスの利用補助などは、ライフステージ課題に直面する彼らにとって魅力的です。
また、食事補助をはじめとする日常的に活用できる福利厚生は、何かと物入りな世代の経済的な負担軽減に加えて、企業に対する愛着や帰属意識の向上にも寄与します。
なお、福利厚生は求職者が注目する要件のひとつでもあるため、充実させることにより優秀な人材の獲得や定着も期待できます。
「チケットレストラン」で支える職場環境
数ある福利厚生の中でも、近年、特に人気を集めているサービスが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。
「チケットレストラン」は、企業と従業員との折半により、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できるサービスです。
加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど幅広く、利用する人の年代や嗜好を問いません。また、勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用する場所や時間に制限がないのも大きな魅力です。
これらの魅力が高く評価され、継続率99%・利用率98%・社員満足度93%を誇る人気のサービスとなっています。
「チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
組織の中核を担うX世代の生かし方
X世代は、激動の時代を生き抜いた経験を背景に、現場を支える実務力と世代間の橋渡し役を担う世代です。管理職としてチームを安定させながら、新しい働き方やデジタル化にも柔軟に対応できる点は、他の世代にはない強みです。
一方で、家庭や介護といったライフステージ課題、デジタルスキルの個人差など、組織として支援すべき弱点も存在します。だからこそ、キャリアパスの提示や「チケットレストラン」をはじめとする福利厚生の充実などの施策を通じ、X世代の潜在力を引き出すことが重要です。
安定と変革を両立できるこの世代の能力を最大限に生かし、組織全体の持続的な成長を目指しましょう。
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