監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
福利厚生はすべての従業員が対象の非金銭的なサポートで、原則として非課税です。一方、手当は条件を満たす従業員に支払われる金銭的な報酬で、原則として課税対象になります。この違いを理解しないまま制度を導入すると、思わぬ課税や不公平感を招くことも。本記事では対象者・税金・法的義務の違いから実務上の注意点まで詳しく解説します。
福利厚生と手当の違いを一覧表で確認
福利厚生と手当は、どちらも企業が従業員に提供するものですが、内容や性質は異なります。両者の違いは、主に「対象者」「支給形態」「税金」「法的義務」の4つです。
まずは、下記の表で全体像を確認していきましょう。それぞれの詳しい内容は次章から順に解説します。
| 項目 | 福利厚生 | 手当 |
|---|---|---|
| 対象者 | すべての従業員 | 条件を満たす従業員のみ |
| 支給形態 | 非金銭(サービス・現物)が中心 | 金銭 |
| 税金 | 原則非課税(要件あり) | 原則課税 |
| 法的義務 | 法定福利厚生は義務、法定外は任意 | 法定手当は義務、任意手当は任意 |
【福利厚生】全従業員を対象にした非金銭的な報酬
福利厚生は、企業が給与や賞与とは別に、すべての従業員を対象として提供する非金銭的な報酬やサービスのことです。この福利厚生は、法律で実施が義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が独自に導入する「法定外福利厚生」の2種類に分けられます。ここではそれぞれの内容と、税務上の注意点について解説します。
法定福利厚生|法律で義務付けられた6つの制度
法定福利厚生とは、法律によって企業に実施が義務付けられている福利厚生のことです。従業員を雇用する企業であれば、原則としてすべて導入しなければなりません。具体的には、次の6種類があります。
- 健康保険:病気やケガの際の医療費負担を軽減する制度
- 厚生年金保険:老後の年金や障害・死亡時の給付を行う制度
- 介護保険:40歳以上が加入し、介護が必要になった際に給付を受けられる制度
- 雇用保険:失業時や育児休業中などに給付を受けられる制度
- 労災保険:業務中や通勤中のケガ・病気に対して給付を行う制度
- 子ども・子育て拠出金:児童手当などの財源にあてられる、企業が全額負担する拠出金
これらは保険料の一部、または全額を企業が負担する仕組みで、福利厚生の中でももっとも基本的な制度です。企業が負担する保険料分は、そもそも従業員個人への給与とはみなされないため、課税の対象にはなりません。
法定外福利厚生|企業が任意で導入する制度
法定外福利厚生は、法律上の義務がなく、企業が自社の方針や従業員のニーズに応じて独自に導入する制度です。代表的なものとして、住宅補助や食事補助、健康診断の費用補助、特別休暇制度、資格取得支援などが挙げられます。
企業の義務である法定福利厚生が「最低限の保障」であるのに対し、義務ではない法定外福利厚生は企業の個性や従業員への姿勢が表れやすい制度です。そのため導入する制度の種類や手厚さは企業によって大きく異なり、従業員満足度の向上や採用力強化、企業ブランディングの一環としても提供されるのが特徴です。
関連記事:【社労士監修】 福利厚生の種類を一覧解説|法定・法定外の違いやおすすめも
福利厚生費として認められる3つの要件
法定外福利厚生にかかる費用を、税務上「福利厚生費」として非課税で処理するためには、一般的に次の3つの条件を満たす必要があります。
- すべての従業員を対象としていること(役職や部署が限定されているなど、一部の従業員のみが利用できる制度は認められません)
- 金額が社会通念上妥当な範囲であること
- 現物支給であること(換金性がないこと)
たとえば、健康診断の費用を企業が負担する場合、すべての従業員が対象であり、金額が一般的な範囲であれば、原則福利厚生費として扱われます。一方、一部の社員のみが対象だったり、現金を直接支給したりする場合は、給与として課税対象になる可能性があります。
なお、これらの要件は明文化されているわけではありません。国税庁の個別の通達内容から実務上整理されているものである点も理解しておく必要があります。
【手当】条件を満たす従業員への金銭的な報酬
手当とは、企業が基本給とは別に、一定の条件を満たす従業員に対して支払う金銭的な報酬のことです。福利厚生と異なり、対象はすべての従業員ではなく条件を満たす人に限られます。以下、法律で支払いが義務付けられている「法定手当」と、企業が独自に設定する「任意手当」に分けて見ていきましょう。
法定手当|労働基準法で定められた割増賃金
法定手当とは、労働基準法によって支払いが義務付けられている手当のことです。代表的なものが、時間外労働・休日労働・深夜労働に対して支払われる割増賃金です。割増賃金率は次のように定められています。
- 時間外手当(残業手当):通常の賃金に25%以上を加算
- 休日手当:通常の賃金に35%以上を加算
- 深夜手当:通常の賃金に25%以上を加算
また、1カ月の時間外労働が60時間を超えた場合は、超えた時間について50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
この50%以上の規定は、以前は中小企業に適用が猶予されていましたが、2023年4月以降は企業規模を問わずすべての企業に適用されています。法定手当は従業員の長時間労働を防ぐ役割も担っており、必ず守らなければならない規定です。
参考:e-Gov 法令検索|労働基準法|第37条
参考:厚生労働省・東京労働局|しっかりマスター労働基準法 割増賃金編
任意手当|企業が独自に設定する手当の例
任意手当とは、法律上の義務がなく、企業が独自の判断で導入する手当のことです。代表的な例として、住宅手当、家族手当、役職手当、資格手当、通勤手当などがあります。
近年は、物価上昇に対応するインフレ手当や、在宅勤務にかかる費用を補助するテレワーク手当のように、社会情勢や働き方の変化に応じた新しい手当を導入する企業も増えています。
任意手当は企業が支給の有無や金額を自由に設定できるため、法定外福利厚生と同様に従業員の採用力や定着率を左右する要素のひとつになります。特定の役職や条件に応じたインセンティブとしての意味合いも持つ制度です。
手当は原則課税|非課税になる例外パターン
手当は基本給と同様に労働の対価とみなされるため、原則として所得税の課税対象になります。ただし、一部の手当には非課税となる例外が認められています。非課税となる代表的な例は次の通りです。
- 通勤手当:公共交通機関を利用する場合は月15万円まで非課税
- 出張手当:業務上必要かつ通常必要と認められる範囲の交通費・宿泊費・日当
- 宿日直手当:1回につき4,000円までの部分
- 在宅勤務手当:業務に必要な実費相当額として支給する部分
- 資格取得手当:業務に関係する資格取得のために必要な費用相当額
これらはあくまで一定の条件を満たした場合の非課税措置であり、条件を超える部分や条件を満たさない支給は課税対象になります。
残業手当や休日出勤手当など、労働の対価として支払われる一般的な手当は、ほとんどのケースで課税対象になる点に注意が必要です。
参考:国税庁|No.2508 給与所得となるもの
参考:国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
参考:国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
福利厚生と手当、何が違う?4つの視点で整理
ここまで、福利厚生と手当それぞれの内容を見てきました。ここからは、両者の違いを「対象者」「税金」「法的義務」という視点から改めて整理し、なぜそうした違いが生まれるのかを掘り下げていきます。
対象者の違い|「すべての従業員」か「条件を満たす人」か
福利厚生は、すべての従業員が平等に利用できることが前提となっている制度です。一部の従業員のみが対象となる場合は、福利厚生として認められず、税務上は給与として扱われてしまいます。
一方、手当は役職や勤務状況、家族構成など、一定の条件を満たした従業員のみが対象になる制度です。役職手当は管理職のみが対象であり、家族手当は扶養家族のいる従業員のみが対象になります。
福利厚生が公平性を前提とする制度であるのに対し、手当は条件に該当していることを前提とする制度です。
支給形態の違い|「非金銭」か「金銭」か
福利厚生は、現金を直接渡すのではなく、サービスの利用や費用の補助といった非金銭的な形で提供されることが基本です。社員食堂の運営や住宅の貸与、健康診断の費用負担などが典型例で、従業員はサービスや現物として利益を受け取ります。
一方、手当は基本給に上乗せする形で現金として支給されます。住宅手当や役職手当のように、毎月の給与と合わせて支払われるのが一般的です。
この支給形態の違いは、単なる支払い方法の違いではなく、後述する税金の取り扱いを左右する重要なポイントでもあります。
税金の違い|非課税の福利厚生、課税が原則の手当
福利厚生と手当で税金の取り扱いが異なるのは、支給される形と性質そのものが異なるためです。
福利厚生は原則として現金ではなくサービスや現物で提供され、一定の条件を満たせば従業員の生活支援を目的とした非課税の給付として扱われます。一方、手当は現金で支給されることが大半で、労働の対価という性質を持つため、所得税法上は基本給と同様に給与として課税対象とされます。
同じ従業員への支援という目的であっても、現金で直接渡すか、サービスや現物として提供するかによって、課税・非課税の判断が分かれる点を理解しておくことが重要です。
法的義務の違い|「やらないと違法」と「やるかどうかは自由」
福利厚生と手当には、それぞれ法律で義務付けられた部分と、企業の任意で導入する部分があります。
福利厚生では、健康保険や厚生年金保険などの法定福利厚生が義務であり、住宅補助や食事補助などの法定外福利厚生は企業の任意です。
手当では、時間外手当や休日手当などの法定手当が義務であり、住宅手当や役職手当などの任意手当は企業の判断に委ねられています。
つまり、福利厚生か手当かという区分とは別に、「法律で定められた最低限の制度」と「企業が独自に上乗せする制度」という2つの軸が存在しています。自社の制度を見直す際は、何が義務で何が任意か、両方の軸を踏まえることが重要です。
同じ目的でも税負担が変わる2つのケース
福利厚生と手当は、目的が同じでも制度設計によって税負担が変わることがあります。ここでは、住宅支援と通勤支援を例に、課税・非課税の分かれ方を確認していきます。
住宅支援|住宅手当(課税)と借り上げ社宅(非課税)の違い
住宅手当は、企業が従業員に現金を支給して家賃やローンの一部を補助する方法です。現金支給のため、原則として全額が課税対象になります。
一方、借り上げ社宅は、企業が物件を借り上げて従業員に貸与する方法です。この場合、従業員が賃貸料相当額の50%以上を負担していれば、企業負担分は非課税で処理できます。賃貸料相当額とは、建物や敷地の固定資産税の課税標準額などをもとに算出される税法上の金額であり、実際の市場家賃とは異なる数値になる点に注意が必要です。
同じ住居費の補助という目的であっても、現金で支給するか、企業が物件を貸与する形をとるかによって、税負担が大きく変わってきます。
参考:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
関連記事:【税理士監修】借り上げ社宅と家賃補助の違い|税負担・運用コスト・注意点を解説
通勤支援|「15万円の壁」と自動車通勤の非課税限度額
通勤手当は、公共交通機関を利用する場合、1カ月あたり15万円までであれば非課税です。この上限を超えた部分については、給与として課税対象になります。
一方、自動車や自転車で通勤する従業員に対しては、通勤距離に応じて非課税となる上限額が細かく定められています。特に注意したいのは、自宅から勤務先までの距離が片道2km未満の場合です。この場合、通勤手当を支給したとしても、その全額が課税対象になってしまいます。
これは、片道2km未満は徒歩でも通勤可能な距離とみなされ、非課税の対象から外れるためです。通勤手当の制度を見直す際は、こうした距離区分ごとの非課税限度額を正確に把握しておく必要があります。
参考:国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
参考:国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
関連記事:【税理士監修】交通費の現金支給!通勤手当との関係は?メリットも確認
【2026年4月施行】食事支援は「食事手当」と「食事補助」で税負担が変わる
食事に関する支援も、住宅や通勤と同様に、現金で支給するか現物で支給するかによって税負担が変わります。2026年4月には非課税の上限額も改正されており、現在の制度設計を見直す好機になっています。
食事手当(現金)はなぜ課税になるのか
食事手当は、企業が従業員に対して現金で食事代を補助する制度です。
住宅手当や通勤手当と同じく、現金で支給するものは労働の対価としての性質を持つため、所得税法上は原則として給与とみなされて課税対象になります。たとえ「食事のための支援」という目的であっても、支給の形が現金である以上、非課税の優遇措置は適用されません。
これに対して、社員食堂の運営や弁当の提供、食事用のICカードなど、現物(換金性がない形態)で食事を支給する形をとった場合は、一定の要件を満たすことで非課税として処理できる可能性があります。
つづいて、この非課税要件について確認していきます。
食事補助(現物)が非課税になる2つの要件
食事補助を非課税として扱うためには、次の2つの要件をどちらも満たす必要があります。
- 従業員が食事価額の50%以上を負担していること
- 企業の負担額が、月額の非課税限度額(7,500円)以下であること
この2つの要件は、どちらか一方だけを満たしていても非課税にはならず、両方を満たした場合にのみ、企業の負担分が非課税として処理されます。
たとえば、企業の負担額が限度額以下であっても、従業員の負担割合が50%未満であれば、その時点で企業負担分の全額が課税対象になります。
関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
2026年4月、非課税上限が月3,500円から7,500円に拡大
2026年4月1日、物価高を背景に、食事補助の非課税限度額が月額3,500円(税抜)から7,500円(税抜)へ引き上げられました。この上限額は1984年に定められたものであるため、実に42年ぶりの見直しです。
あわせて、深夜勤務者に対して現物の食事を支給できない場合に支給する夜食代の非課税限度額も、1回300円以下から650円以下へ引き上げられました。
非課税枠が広がったことで、年間最大9万円が非課税対象となり、従業員の実質的な手取りをより増やせるようになっています。
参考:国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
4000社以上が導入する食事補助「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、非課税枠を活用しつつ、全国25万店舗以上の加盟店での食事を半額で購入できるサービスです。
加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・カフェ・三大牛丼チェーンなど幅広く、使用する人の年代や好みを問いません。勤務時間中にとる食事であれば利用する時間や場所の制限もないため、内勤・外勤・リモートワーク・夜勤者など、すべての従業員が公平に利用できる点も魅力です。
食事補助として日本で約40年、世界6000万人に利用されてきた実績と安心のサポート体制が高く評価され、すでに 4000社以上が導入する人気サービスとなっています。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
同一労働同一賃金の観点も忘れずに
福利厚生や手当を設計する際は、税金の取り扱いだけでなく、雇用形態による待遇差にも注意が必要です。正社員のみを対象とする運用が、法的なリスクにつながることがあるためです。
パートタイム・有期雇用労働法では、正社員と非正規雇用労働者の間で、職務内容や責任の程度などが同じであるにもかかわらず、不合理な待遇差を設けることを禁止しています。
これは福利厚生や手当も例外ではありません。同じ業務を担っているにもかかわらず、正社員にだけ手当を支給したり、福利厚生の利用を正社員のみに限定したりする運用は、不合理な待遇差として見直しを求められる可能性があります。
制度を設計する際は、対象範囲を雇用形態だけで区切るのではなく、職務内容や責任の程度に応じて公平に検討することが必要です。
導入は簡単、廃止は難しい|不利益変更のリスクを理解する
福利厚生や手当は、導入する際には大きな障害がない一方で、一度導入した制度を廃止したり減額したりする場合には法的な手続きが必要になることがあります。ここでは、その仕組みと実務上の注意点を解説します。
不利益変更とは何か|労働契約法9条・10条の考え方
不利益変更とは、企業が就業規則を変更することによって、従業員にとって不利益となる労働条件の変更を行うことを指します。
労働契約法第9条では、企業が従業員と合意することなく、就業規則の変更によって従業員に不利益な労働条件の変更を行うことはできないと定められています。ただし、第10条では例外も認められており、変更後の就業規則を従業員に周知し、かつその変更が合理的なものであれば、就業規則の変更によって労働条件の変更が可能です。
つまり、手当や福利厚生を減額・廃止する場合、従業員の個別の同意を得るか、変更の合理性を示さなければなりません。つづいて、この合理性がどのように判断されるかを解説します。
不利益変更が認められるかの判断要素
労働契約法第10条では、就業規則の変更が合理的かどうかを判断する際の要素として、従業員が受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況などが挙げられています。
たとえば、経営状況の悪化を理由に手当を減額する場合でも、減額の程度が大きすぎたり、十分な説明や協議がなされていなかったりすると、合理性が認められない可能性があります。
なお、就業規則に明記された「手当」としての性質が強い制度の廃止は、こうした厳格な手続きが求められやすい一方で、福利厚生的な意味合いが強い「補助」の減額については、労働条件の変更ほど厳格な手続きを求められないのが一般的です。
導入時に決めておきたい規程のポイント
将来の不利益変更によるトラブルを避けるためには、制度を導入する段階であらかじめ規程を整えておくことが大切です。具体的には、次のような項目を明文化しておくことが望ましいでしょう。
- 制度の目的と趣旨
- 対象となる従業員の範囲
- 支給額や補助額の算定方法
- 制度を見直す場合の条件や手続き
こうした項目を最初から規程に盛り込んでおくことで、将来制度を見直す際にも、変更の必要性や合理性を説明しやすくなります。
【Q&A】福利厚生と手当の違いにまつわるよくある質問
ここでは、福利厚生と手当の違いについて、多く寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
Q. 通勤手当は福利厚生ですか、手当ですか?
【A. 名称は「手当」ですが、非課税限度額が設けられているなど福利厚生に近い性質も持っています。】
通勤手当は、名称としては「手当」ですが、税務上の扱いは一般的な手当とは異なります。時間外手当や役職手当などの手当は原則として課税対象ですが、通勤手当は公共交通機関を利用する場合に1カ月15万円までという非課税限度額が設けられています。支給形態は手当でありながら、非課税の範囲が定められているという点で、福利厚生的な性質も併せ持つ制度です。
Q. 食事手当と食事補助はどちらが従業員にとって有利ですか?
【A. 一定の要件を満たせば、食事補助の方が従業員の手取り増に寄与します。】
食事手当は現金支給のため原則として課税対象になり、所得税や社会保険料の算定対象に含まれます。一方、食事補助は従業員が食事価額の50%以上を負担し、企業の負担額が非課税限度額以下であれば、企業負担分について非課税として処理できます。同じ金額を企業が負担する場合でも、現金で支給するか現物で支給するかによって、従業員の手元に残る金額に差が生じます。
Q. パート・アルバイトにも手当や福利厚生は必要ですか?
【A. 同一労働同一賃金の原則から、職務内容が同じであれば待遇差を設けるべきではありません。】
パートタイム・有期雇用労働法では、正社員と非正規雇用労働者の間で、職務内容や責任の程度が同じであるにもかかわらず不合理な待遇差を設けることを禁止しています。そのため、手当や福利厚生についても、雇用形態だけを理由に対象から外すのではなく、職務内容や責任の程度に応じて公平に検討する必要があります。
Q. 手当を廃止すると違法になりますか?
【A. 一律に違法というわけではありませんが、不利益変更にあたる場合は手続きと合理性が必要です。】
手当の廃止や減額は、内容によって労働契約法上の不利益変更に該当する可能性があります。従業員の個別の同意を得る方法に加え、就業規則の変更によって行う場合は、変更の必要性や内容の相当性など、合理性が認められる事情が必要です。十分な説明や協議を行わずに一方的に廃止すると、トラブルにつながるリスクがあります。
福利厚生と手当は自社の課題に合わせて使い分けを
福利厚生と手当は、対象者・支給形態・税金・法的義務のいずれにおいても異なる性質を持つ制度です。
採用力や定着率を高めたい場合は、すべての従業員が公平に利用できる福利厚生が適しています。一方、特定の役職や条件に応じて報いたい場合は、対象を絞って支給できる手当が有効です。自社の課題に合わせて組み合わせ、それぞれの制度が持つ効果を最大限に引き出しましょう。
なお、従業員の満足度や採用力の強化を目指すなら、非課税限度額の引き上げで注目度を高める食事補助が効果的です。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の導入も、ぜひ検討されてはいかがでしょうか。
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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和
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