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【社労士監修】暑さ手当の導入企業が増加中|広がる背景、相場感、公平性の課題を解説

公開日: 2026.06.25

更新日: 2026.06.25

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

暑さ手当は、夏場の高温環境で働く従業員に対して企業が支給する手当です。2025年6月1日の労働安全衛生規則改正により、熱中症対策として対象作業における体制整備や手順作成、周知が義務付けられました。本記事では、暑さ手当の定義・相場・課税の取り扱い・導入時の課題を解説します。

暑さ手当とは

夏場の熱中症リスクが高い環境下(屋外作業・倉庫・工場など)で働く従業員に対し、企業が独自に設ける手当です。任意の福利厚生であるため、金額・支給条件に決まりはなく、各社が自由に設定できます。

関連記事:【社労士監修】手当の種類一覧を紹介!ユニークな手当や非課税の手当もチェック

暑さ手当の導入が広がる背景

職場での熱中症による死亡者・休業4日以上の死傷者数は、近年高い水準で推移しています。

職場における熱中症による死傷者数の推移(2020~2025年)

死傷者数 うち死亡
2020年(令和2年) 959(22)
2021年(令和3年) 561(20)
2022年(令和4年) 827(30)
2023年(令和5年) 1,106(31)
2024年(令和6年) 1,257(31)
2025年(令和7年) 1,803(19)

出典:厚生労働省|職場でおこる熱中症|職場における熱中症による死傷者数の推移

2025年の死傷者数1,803人は、統計開始(2005年)以来の最多です。業種別では製造業365人、建設業292人の順で多く発生しています。

以下の気象庁によるデータでは、日最高気温35℃以上の猛暑日(緑の棒グラフ)は2020年以降に急増しており、職場での熱中症発生件数の増加と重なる傾向が見られます。

暑さ手当出典:気象庁 | 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化

一方、死亡者数は2022〜2024年の3年連続で30人台でしたが、2025年は19人に減少しました。2025年6月施行の労働安全衛生規則改正により事業者の対策の強化が進んだことも、背景にあると考えられています。

出典:厚生労働省|職場でおこる熱中症|職場における熱中症による死傷者数の推移

暑さ手当の導入メリット

従業員と企業のメリットをそれぞれ見ていきましょう。

従業員側のメリット

はじめに、働く側にとっての利点を確認しましょう。

熱中症リスクへの備えになる

支給された金額をスポーツドリンクや冷感グッズの購入に充て、自分に適した対策を選べます。

労働環境に応じた報酬が得られる

猛暑日に支給される金銭手当により、過酷な環境での労働が収入に直結します。「頑張りが正当に評価されている」という実感につながりやすいです。

モチベーションの向上

暑さ手当の存在のおかげで、暑くても頑張る励みができます。

企業側のメリット

次に、組織にとっての利点を確認していきましょう。

採用・定着への効果

暑さ手当があることを求人票に明記することで、競合他社との差別化を図れます。

義務化対応の姿勢を示せる

2025年6月施行の労働安全衛生規則改正により、熱中症の重篤化防止が事業者の義務になりました。暑さ手当の導入は法令対応そのものではありませんが、「企業として熱中症対策に取り組んでいる」という姿勢を従業員・求職者に示す手段になります。

現場の安定稼働につながる

熱中症による休業・離脱は現場の稼働に直接影響します。手当があることで企業全体で予防意識が醸成され、業務継続の安定性も高まります。

暑さ手当の相場

暑さ手当は、金銭で支給するケースと現物を支給するケースがあります。

金銭支給の場合

金銭支給では、客観的に測定できる基準を設定するケースが多い傾向です。

  • 30℃以上の場合、1日500円
  • 35℃以上の場合、1日1,000円
  • 月額2万円上限等

現物支給の事例

金銭支給に限らず、以下のような現物支給も「暑さ対策」として導入されています。

  • 塩飴・スポーツドリンク・水などの飲料配布
  • 空調服・ファン付き作業着の貸与・支給
  • 保冷剤・ネッククーラーなどの冷却グッズ配布

詳しくは後述しますが、現物支給は課税上の取り扱いが金銭支給と異なる場合があります。

出典:PR TIMES|XMile株式会社 現場職の熱中症対策進む。「暑さ手当て」導入300社超、月2万円支給も

暑さ手当は課税か・非課税か

暑さ手当は課税されるのか、非課税扱いとなる可能性があるのかを説明します。

金銭支給の場合

役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります。暑さ手当も同様で、現金で支給する場合は給与所得として課税対象になります。給与明細への加算と源泉徴収が必要です。

現物支給の場合

現物給与は原則として給与所得となりますが、職務上の必要性や換金性の有無など、その性質によって課税上の特別な取り扱いが定められている場合があります。

飲料・冷却グッズ等の暑さ対策向けの現物支給が特別な取り扱いに該当するかどうかは個別の事情によるため、税理士に確認のうえ、制度設計を進めてください。

出典:国税庁|No.2508 給与所得となるもの

関連記事:【2025年最新】福利厚生費の課税・非課税を完全解説|早見表+実務チェックリスト

導入時に押さえておきたい3つの課題

猛暑日は今後も増える可能性があります。公平性・コスト・制度の継続性について事前の検討が必要です。

対象者の公平性

屋外・現場職のみを対象にすると、内勤・テレワーク従業員との格差が生じやすくなります。別の施策で補完する設計にするなど、検討が求められます。

コストの試算

従業員数・稼働日数・気温条件の組み合わせで月次のコストが変動します。上限を設定しないと予算を上回る可能性があるため、月額・年額の上限を賃金規程に明示します。

制度の継続性

猛暑の常態化を見据え、一過性の施策に留めないことが肝要です。賃金規程や就業規則へ明確に定義し、企業の福利厚生として安定的に運用できる仕組みを整えます。

食事補助との組み合わせで公平性を高める

内勤・外勤・在宅勤務など勤務環境が異なる場合、暑さ手当だけでは全従業員をカバーしにくい面があります。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のように、全国で24時間使える食事補助の福利厚生サービスなら、勤務場所を問わず全従業員が利用可能です。暑さ手当と組み合わせることで、制度全体の公平性を高められます。

建設コンサルタント業のジビル調査設計株式会社は、現場従業員への夏季ドリンク支給と、現場以外でも使える「チケットレストラン」の導入を組み合わせることで、内勤・外勤の格差を解消しました。同社の従業員利用率は93%、継続率は100%を維持しています。

導入事例:ジビル調査設計株式会社

関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ

暑さ手当やその導入でよくある質問

暑さ手当の導入に関してよくある疑問とその答えをまとめました。

Q. 暑さ手当を支給する法律上の義務はある?

暑さ手当の支給自体は義務ではありません。ただし2025年6月施行の労働安全衛生規則改正により、対象作業での体制整備・手順作成・周知は事業者の法的義務になっています。

参考:厚生労働省|熱中症予防のための情報・資料サイト

Q. 現物支給(飲料・グッズ)も課税される?

現物支給は、その性質や支給方法によって課税・非課税の判断が異なります。個別に、税理士に確認してください。

Q. 暑さ手当の相場はいくら?

暑さ手当の一般的な支給額は、日給換算で500〜1,000円、月額固定の場合は1万〜2万円程度が相場とされています。過酷な屋外環境での労働が続く建設・物流業界などの現場職を中心に、近年導入する企業が増えています。

暑さ手当で安全で働きやすい職場環境へ

暑さ手当は法定外の手当で、日当500〜1,000円・月額2万円上限などの形が広く用いられています。現金支給は原則課税扱いとなり、制度設計や賃金規程の整備が必要です。

現場作業員と内勤者の格差が課題になる場合、全従業員が利用できる食の福利厚生サービスなどと組み合わせることで、公平性を実現できます。専用のICカードを使って、全国で食事を半額で購入できる「チケットレストラン」は、現場・外勤・内勤・在宅など、だれもが使える食の支援として機能します。

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関連ページ:食事補助を福利厚生で導入するならチケットレストラン

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社会保険労務士 吉川明日香

社労士と民間企業の人事部で働くハイブリッド型社労士。労働者、経営者、人事担当者それぞれの視点から、バランスのとれたサポートを心がけています。子育て世代の生活環境や就業環境の課題を探るために保育士の資格を取得し、特定の専門分野を作らず、給与計算、手続き業務、労務相談、助成金等、幅広く実践的なアドバイスを行っています。
吉川社会保険労務士事務所
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