社員旅行は福利厚生費として経費計上できる
社員旅行にかかる費用は、条件を満たせば「福利厚生費」として経費として計上できます。福利厚生費とは、給与とは別に企業が従業員向けに支出する費用のことです。社員旅行のほか、健康診断や住宅補助なども該当します。
国税庁の基準では、一般的な従業員レクリエーション旅行で「少額不追求」の範囲内であれば、非課税扱いとなります。ただし、どんな社員旅行でも経費として認められるわけではなく、いくつかの要件を満たす必要があります。
国税庁の基準を確認!社員旅行を経費計上するための3つの条件
社員旅行を福利厚生費として経費計上するには、次の3要件を満たす必要があります。
条件1.参加者は全従業員の50%以上
全体の人数の50%以上が参加することが条件です。事業所単位で実施する場合、各拠点で50%以上の参加が求められます。
参加率の算出では、正規雇用者に加え、アルバイトやパート従業員もカウントします。対象者を限定した場合や、役員のみの旅行は福利厚生費として認められません。
ただし、特殊な事情がある場合は例外もあります。国税庁の事例では、全従業員を対象に募集したものの、従業員の都合で参加割合が38%になったケースでも経費として認められています(旅行期間3泊4日、旅行費用15万円、うち使用者負担7万円)。
出典:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
条件2.旅行の期間が4泊5日以内
国税庁は、旅行期間が4泊5日以内であることを条件の一つとしています。海外旅行の場合、現地滞在が4泊5日以内であれば認められます。移動中の機内泊はカウント対象外です。
4泊5日を超える旅行は経費計上できません。旅行の一部だけを経費として計上することもできないため、計画段階で期間を確認するようにしましょう。
出典:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
条件3.企業の負担額は社会通念上妥当な範囲
過度に豪華な旅行は、福利厚生費として認められません。実務上、企業負担が1人あたり10万円程度が目安とされています。以下、国税庁の具体例を確認しましょう。
<経費として認められる例>
・旅行期間3泊4日、旅行費用15万円(うち使用者負担7万円)、参加割合100%
・旅行期間4泊5日、旅行費用25万円(うち使用者負担10万円)、参加割合100%
<経費として認められない例>
・旅行期間5泊6日、旅行費用30万円(うち使用者負担15万円)、参加割合50%
過去の裁判例では、1人あたり約24万円の費用を会社が全額負担したマカオ慰安旅行について、「一般的な企業負担額を大きく上回る」という理由で経費と認められませんでした。
なお、従業員が一部を負担することは問題ありません。たとえば1人あたり24万円の旅行でも、会社負担が10万円、従業員負担が14万円であれば条件を満たすと考えられます。
出典:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
出典:東京地方裁判所|税務訴訟資料 第262号-272(順号12122)
社員旅行を福利厚生費にできない4つのケース
たとえ条件を満たしていても、次のようなケースでは経費計上できないため注意が必要です。
ケース1.不参加者に金銭を支給している
不参加者に金銭を支給すると、参加者・不参加者の全員に対し、支給額と同額の給与が発生したものとして扱われます。
福利厚生費は金銭以外の報酬として提供する必要があり、現金を支給すると福利厚生費の対象外です。さらに、不参加者への金銭支給は所得税の課税対象となるため、社員旅行の費用全体が経費として認められなくなります。
ケース2.取引先が参加している
取引先との旅行は接待目的とみなされ、従業員レクリエーション旅行の対象外です。取引先が同行する旅行は「接待交際費」として処理する必要があります。
ケース3.従業員の家族が参加している
従業員の家族が参加するケースは、2つのパターンに分けて考えます。
従業員の家族が同伴する場合
従業員の家族が同伴する場合、家族分の費用を企業が負担すると福利厚生費として認められません。家族の参加を認める場合は、費用を従業員本人が全額負担し、振込の記録や領収書などで証明できるようにしておく必要があります。
家族経営の企業の場合
家族経営の企業で経営者の家族のみで旅行した場合、プライベートな旅行とみなされ、経費計上できない可能性があります。
ただし、次のような業務目的が明確であれば、経費として認められる余地があります。
- 競合店の市場調査
- 同業他社の施設見学
- 業界セミナーへの参加
旅行の目的と実施内容を記録し、社員旅行としての実態を客観的に証明できることが求められます。
関連記事:【社労士監修】個人事業主が福利厚生費を活用できる条件とは?知っておきたいポイント
ケース4.実質的には私的な旅行
実質的に私的旅行と認められる旅行は、国税庁の「従業員レクリエーション旅行」に該当しません。社員旅行の目的は、従業員の慰安やリフレッシュ、コミュニケーション活性化です。観光が含まれること自体は問題ありませんが、観光のみが目的の場合は私的利用とみなされます。旅程に研修やレクリエーションを組み込むなど、業務との関連性を持たせることが求められます。
また、以下の研修旅行は業務上、直接必要ではないものとして扱われます。
- 同業者団体の主催する、主に観光旅行を目的とした団体旅行
- 旅行のあっせん業者などが主催する団体旅行
- 観光渡航の許可をもらい海外で行う研修旅行
個人の自由時間中の食事代やお土産代などは、私的な支出として従業員が負担しなければなりません。全員で食事する場合の費用は経費として計上できますが、自由行動中の個人的な支出は対象外です。
出典:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
福利厚生費・交際費・給与課税の違い
社員旅行の費用は、その内容や参加者によって「福利厚生費」「交際費」「給与」のいずれかに分類されます。判断のポイントは、「誰のための支出か」「経済的利益が誰に帰属するか」です。形式ではなく実態で判断される点に注意しましょう。
福利厚生費になるケース
社員旅行が福利厚生費として認められるのは、従業員の慰安を目的としており、社会通念上一般的な内容で実施されている場合です。
国税庁も「専ら従業員の慰安のために行われる旅行などの費用は交際費等から除かれ、福利厚生費となる」と明示しています。
また、給与課税の判断においても「社会通念上一般的なレクリエーション旅行であり、経済的利益が少額である場合は課税しない」とされているため、一定の条件を満たせば給与として扱われません。
そのため、全ての従業員を対象としており、内容や費用が社会通念上相当な範囲内であれば、福利厚生費となります。
出典:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
交際費になるケース
社員旅行に取引先や顧客が参加している場合には、旅行にかかった費用は福利厚生ではなく交際費として扱われます。
国税庁は交際費について「得意先や仕入先などに対する接待・慰安のための費用」と定義しています。このことから、社外の関係者への接待となる要素が含まれると交際費です。
具体的には、取引先との親睦・接待を目的とした旅行や、社員旅行に顧客や協力会社を招待している場合です。
この場合、費用は交際費として処理します。また損金算入限度額に制限がある点に注意が必要です。
出典:国税庁|No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
給与として課税されるケース
社員旅行が特定の社員のみを対象としている場合や、経済的利益が大きい場合は、給与として課税されます。
例えば、参加者が役員のみの旅行、実質的に私的なものと認められる旅行、金銭と旅行のどちらかを選択可能なケースです。
経費計上のためには準備が必要
社員旅行を福利厚生費として経費計上するには、税務調査に備えた準備が必要です。
証拠書類を保管する
税務調査は「本当に社員旅行が実施されたのか」、「その社員旅行は福利厚生費計上のための条件を満たしているか」を確認します。実施の証明と条件の確認ができるよう、以下の書類を保管しておきましょう。
保管が推奨される書類:
- 参加者リスト
- 日程や訪問先を記載したスケジュール表・日程表
- 旅行会社の請求書・領収書(支払いを証明する書類)
- 旅行先の集合写真
- 観光地で入手したパンフレット
税務調査は、通常過去3年から5年分を対象としますが、最長で7年分に及ぶことがあります。そのため、証拠書類は7年間保存しておくと安心です。
就業規則に明記する
社員旅行が福利厚生の一環であることを証明するため、就業規則へ記載しておく必要があります。次のような内容を明記します。
就業規則への記載事項:
- 社員旅行は全従業員を対象としている
- 福利厚生として定期的に実施する
- 海外旅行の場合、パスポート取得費を企業が負担するかどうか
- 従業員の家族同伴を認める場合の費用負担ルール
社員旅行を企業の正式な制度とするためには、就業規則への明記が不可欠です。これにより、従業員への制度周知が徹底され、特に費用負担に関するトラブルを未然に防ぐことができます。
例えば、パスポート取得費(1万円〜)について企業が負担する場合、就業規則にその旨を規定することで経費計上が可能になります。規定がない場合は個人負担となるため、費用負担のルールを明確に定めることが重要です。
日常的に利用できる福利厚生の充実も検討を
社員旅行をはじめとするイベント型の福利厚生においては、全員に参加を呼びかけたとしても、介護や育児との両立など、個人的な事情により参加が困難な従業員がいるのはやむを得ません。
最近の調査では、Z世代の約3人に1人が「社員旅行に参加したくない」と回答し、その理由として「上司や先輩への配慮が必要」という声が約6割を占めました。
こうした世代間の意識差も考慮すると、若手からシニアまで、誰もが日常的に利用できる福利厚生の重要性が高まっています。
出典:株式会社日本デザイン|【社員旅行は苦行それともレジャー?】Z世代の約3人に1人が「参加したくない」と本音、“しんどい”理由に「上司や先輩への配慮が求められるから」が約6割
毎日のプチ贅沢に「チケットレストラン」がおすすめ
「社員旅行は家庭の事情で参加が難しい」そういった従業員にも喜ばれるのが、毎日使える福利厚生です。
「チケットレストラン」は、食事補助の福利厚生として日本でもっとも実績のあるサービスで、導入企業4000社以上の実績があります。
仕組みはシンプル
企業と従業員が半額ずつ負担した専用ICカードで支払うと、食事補助の非課税枠が使えてランチが実質半額になります。全国にある加盟店25万店舗以上で利用でき、コンビニや牛丼チェーン、Uber Eats経由ではモスバーガーやスターバックスなど、選択肢が豊富です。
メリットは双方に
条件を満たせば福利厚生費として経費計上でき、従業員も給与で受け取るより手取りが増えます。育児中でも介護中でも、オフィス勤務でも外回りでもリモートワークでも使え、正規従業員だけでなくアルバイトやパートの方も対象にできます。
運用は月1回のチャージのみ
契約から約1か月で始められ、運用は毎月のチャージのみです。社員旅行と併せて、毎日使える福利厚生も充実させれば、従業員満足度はさらに高まります。
資料請求はこちら
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
社員旅行について税務調査で見られるポイントは?
社員旅行にかかった費用を福利厚生費として計上する場合、実態がどうであるかが重要です。費用の区分や旅行の名称が何であったとしても、従業員を対象に主に慰安目的の旅行でなければいけません。
参加者リスト・旅行日程表・請求書・集合写真なども、社員旅行の実態を示す重要な証拠書類のため、7年間は保管しましょう。
社員旅行の費用と福利厚生費に関するよくある質問
社員旅行の費用と福利厚生費に関するよくある質問と、その回答をチェックしましょう。
Q1. 社員旅行は何泊までなら福利厚生費として認められますか?
社員旅行は、一般的に4泊5日以内であれば社会通念上相当であると判断されます。
ただし、泊数そのものが絶対基準ではなく、旅行内容や費用、参加状況などを含めて総合的に判断されます。
長期であっても業務研修要素が強い場合などは認められるケースもあります。
Q2. 社員旅行の参加率はどの程度必要ですか?
費用を福利厚生費として扱うには、一般的に全従業員の50%以上の参加が目安です。特定の部署や役職者のみの参加となると、福利厚生ではなく特定の従業員や役員への利益供与と判断される可能性があります。
全従業員が参加できる旅行で、不参加でも不利益が生じることはなく、参加は任意とする設計だと安心です。
Q3. 社員旅行の費用はいくらまでなら問題ありませんか?
明確な上限金額は定められていませんが、社会通念上相当な範囲でなければいけません。一般的には、1人あたり数万〜10万円が目安とされます。過度に高額な場合は給与として扱わなければいけない可能性があるため注意は必要です。
Q4. 社員旅行に不参加の従業員がいる場合はどうなりますか?
社員旅行に参加していない従業員に対して、現金や金銭的補填を行うと給与課税の対象となる可能性があります。そのため、社員旅行はあくまでも任意参加として、不参加でも代わりに現金で支払うといった対応は避けましょう。
Q5. 社員旅行が福利厚生費として否認される典型的なケースは?
社員旅行が福利厚生費として認められないのは、実態が「慰安目的」を逸脱している場合です。例えば以下のようなケースは、交際費や給与にあたります。
-
取引先や顧客が参加している:交際費
-
役員や特定社員のみの旅行:給与
-
実質的に私的旅行に近い内容:給与
-
高額で社会通念を逸脱している場合:給与
福利厚生の条件を理解し社員旅行を経費計上
社員旅行の費用を経費として扱うには、旅行期間・参加率・企業負担額の3つの要件を押さえておく必要があります。期間は4泊5日以内、参加率は50%以上、企業負担は1人あたり10万円程度が目安です。
不参加者に現金を渡したり、取引先や家族を同行させたりすると、条件を満たしていても経費として認められません。記録として、参加者リストや日程表、領収書、集合写真などの証拠書類を7年間保管しておきましょう。就業規則への明記も有効です。
社員旅行のような特別感のある福利厚生に、「チケットレストラン 」のような日常的に使える食事補助を組み合わせれば、より充実した福利厚生制度を構築できます。
資料請求はこちら