資料請求 (無料)
English

エデンレッドブログ

-働く人と働きたい人のための福利厚生ブログ-

【社労士監修】法定福利費率とは?給与と賞与で異なる計算方法をチェック

【社労士監修】法定福利費率とは?給与と賞与で異なる計算方法をチェック

2025.11.11

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

法定福利費率とは、法律で義務付けられている福利厚生にかかる費用のうち企業が負担する金額が、人件費に占める割合のことです。法定福利費は毎年のように料率が変わっていますし、業種によって異なる料率となっているものもあります。

ここでは、法定福利費率についてQ&A形式で概要をチェックした上で、法定福利の種類や費用の計算方法をチェックしましょう。あわせて建設業の法定福利費率についても見ていきます。

法定福利費率に関するよくある質問

まずは法定福利費率の概要について、Q&A形式で解説します。

法定福利費って何?

法定福利費とは、企業が従業員を雇用すると、法律に従って負担しなければいけない費用のことです。具体的には「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「労災保険料」「子ども・子育て拠出金」があります。

関連記事:【2025年版】法定福利費とは|計算方法・保険料率・福利厚生費との違いを徹底解説

法定福利費率は何パーセント?

法定福利費率は15~17%が目安です。法定福利費の料率は、年度・業種・地域などによって変わるため、一律ではありません。同じ企業でも負担する金額が昨年と変わることがあるため、正しく把握しましょう。

法定福利費の推移は?

東京商工リサーチの調査によると、法定福利費は2020年から2025年の間に11.6%増えています。全体的には、売上高と法定福利費の増加率はほぼ同程度で、増収に伴って法定福利費も増加している傾向が見られました。

ただし、売上高が減っているにもかかわらず、法定福利費が増加している企業も21.2%あります。背景には、人材確保を目的とした賃上げによる、人件費負担の増加があると考えられるでしょう。

関連記事:【2025年最新】賃上げ疲れとは?データで読み解く実態と対策

参考:東京商工リサーチ|企業が負担する法定福利費は5年間で1割上昇 宿泊業は55.6%増、コロナ禍から反転し急増

法定福利は法律で定められている福利厚生

法定福利とは福利厚生の一種で、法律で義務付けられているもののことです。食事補助や通勤手当など、支給が義務付けられていない法定外福利とは異なり、ルールの通りに適用しない場合には法律違反となります。

ここでは6種類の法定福利について見ていきましょう。

関連記事:【社労士監修】 福利厚生とは何か?種類別に分かりやすく意味を解説

業務外の病気やけがに対する給付を行う 「健康保険」

健康保険とは、働く人の生活と健康を支える公的な社会保険制度です。主に、業務外で病気やけがをしたときや、出産したときなどに、必要な給付を受けられます。

加えて、病気や出産などで仕事を休まざるを得なくなった際には、被保険者やその家族の生活を保障するために、傷病手当金や出産手当金など手当の支給も受けられる制度です。

参考:全国健康保険協会|こんな時に健保

介護サービスの利用に備える「介護保険」

介護保険制度は、高齢や病気により介護が必要になったとき、利用者や家族の負担を軽減し、社会全体で支えるための公的保険です。市区町村等が運営しており、40歳になると被保険者として加入しなければいけません。

サービスを利用できるのは、原則として65歳以上で要介護認定を受けた人です。また、40歳から64歳の方も、初老期の認知症など老化が原因とされる特定疾病により、要介護認定・要支援認定を受けた場合にサービスを利用できます。

参考:厚生労働省|介護保険事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム|介護保険とは

老齢年金や遺族年金などを受け取れる「厚生年金」

厚生年金保険は、企業などに勤務する従業員が加入する公的年金制度です。公的年金制度における「国民年金(基礎年金)」に上乗せされる2階部分にあたります。

加入期間と過去の賃金に応じた年金額が、将来的に老齢年金として支給される仕組みです。また、病気やけがで障害を負ったときには障害年金が、加入者が死亡した際には遺族年金が給付されます。将来の暮らしはもちろん、万が一の出来事にも備える制度です。

参考:厚生労働省 | いっしょに検証! 公的年金 | 日本の公的年金は「2階建て」

失業時の給付やスキルアップを支援する「雇用保険」

雇用保険は、雇用の安定や就職の促進を目的とする公的保険です。例えば労働者が失業したときに一定の要件を満たしていると、次の仕事を見つけるまでの生活費を給付する基本手当等を受け取れます。

加えて、従業員のスキルアップを支援するための教育訓練給付や、育児休業・介護休業を取得した際の給付金などにより、雇用継続や能力開発などのサポートも行っています。

関連記事:【社労士監修】雇用保険法の改正でどう変わる?2025年10月施行の内容を中心に確認

参考:厚生労働省|雇用保険制度

仕事中の事故から従業員を守る「労災保険」

労災保険は業務上または通勤途中の事故により、従業員が負傷・疾病・障害または死亡した場合に、必要な保険給付を行う制度です。労働者が安心して働ける環境を保障するために、医療費や休業中の賃金を補償する休業補償給付などが支給されます。

労働災害から働く人を守り、社会復帰を支援する役割を担っている制度です。加えて、被災者の社会復帰に向けて、アフターケアや被災家族支援なども行っています。

関連記事:【社労士解説】傷病休暇と有給付与:休職時に適切な制度運用方法ガイド

参考:厚生労働省|労災補償

子どもの成長をサポートする「子ども・子育て拠出金」

子ども・子育て拠出金は、子どもの健やかな成長を支援するための制度です 。徴収された資金は、主に児童手当の支給財源に充てられています 。

その他にも、企業主導型保育事業・放課後児童クラブ・延長保育事業など、仕事と家庭の両立支援や子どものための教育・保育給付といった、子育て支援事業に活用されている拠出金です 。

参考:こども家庭庁|子ども・子育て拠出金事業について

法定福利費率の計算方法

人件費に対する法定福利費の割合である法定福利費率は、13~17%が目安とされています。自社の法定福利費率を計算するには、まず法定福利費を計算しましょう。ここでは6種類の法定福利について、計算方法を紹介します。

また法定福利の中には、計算に用いる料率が毎年のように変化しているものもあります。自社の法定福利費や法定福利費率を算出するときには、最新の計算方法を用いることにも注意しましょう。

健康保険料の計算方法

健康保険料は「標準報酬月額×保険料率(全国平均10.0% ※全国健康保険協会の場合)」で算出します。標準報酬月額とは、基本給に対象となる各種手当を加えた報酬の月額を、区切りよく区分した金額のことです。

また賞与にかかる健康保険料は、千円未満を切り捨てた金額を標準賞与額として「標準賞与額×保険料率(全国平均10.0%)」で計算します。

健康保険料は労使折半のため、算出した保険料を2分の1にすると企業の負担額です。

参考
全国健康保険協会|令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
全国健康保険協会|令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)

介護保険料の計算方法

介護保険料の計算方法は「標準報酬月額×保険料率(1.59% ※全国健康保険協会の場合)」です。賞与を支給する場合には、千円未満を切り捨てた金額を標準賞与額として「標準賞与額×保険料率(1.59% ※全国健康保険協会の場合)」にて保険料を計算します。

健康保険と同様で、企業が負担するのは計算した保険料の半分です。

参考:全国健康保険協|協会けんぽの介護保険料率について

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料は、毎月の給与であれば「標準報酬月額×保険料率(18.3%)」、賞与であれば「標準賞与額×保険料率(18.3%)」で計算します。計算した保険料のうち、企業が負担するのは2分の1です。

関連記事:【社労士監修】厚生年金保険料の上限引き上げへ|改定の詳細と企業への影響を解説

参考:日本年金機構|厚生年金保険の保険料

雇用保険料の計算方法

雇用保険料は「賃金総額×雇用保険料率」で計算します。雇用保険料率の料率は以下の通りです。業種ごとに事業主負担分・労働者負担分が定められているため、自社の属する業種の料率を用います。

1円未満の端数が出た場合には、50銭以下は切り捨て、50銭超は切り上げますが、1円未満は全て切り捨てとしても構いません。

業種

労働者負担分

事業主負担分

一般の事業

0.55%

0.9%

農林水産・清酒製造の事業

0.65%

1.0%

建設の事業

0.65%

1.1%

参考:厚生労働省|雇用保険料率について|令和7年度の雇用保険料率

労災保険料の計算方法

労災保険料は「賃金総額×労災保険料率」で計算します。計算には業種ごとに定められている労災保険料率を使用します。例えば建設事業の舗装工事業であれば0.9%、製造業の食料品製造業であれば0.55%です。

保険料を負担するのは企業のみで、労働者の負担分はありません。

参考:厚生労働省|令和7年度の労災保険率について(令和6年度から変更ありません)|労災保険料率表(令和6年度~)

子ども・子育て拠出金の計算方法

子ども・子育て拠出金は「(標準報酬月額+標準賞与額)×0.36%」で計算します。標準報酬月額は厚生年金保険料額表の金額、標準賞与額は1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。

拠出金は企業が全額負担します。

参考:日本年金機構|保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)|一般・坑内員・船員の被保険者の方(令和7年度版)

建設業における法定福利費

建設業では労働環境を改善し人材確保につなげるために、社会保険への未加入対策に取り組んでいます。その一環として実施されている、国土交通省の推進策が、見積書への法定福利費の明示です。

算出した労務費に法定福利の料率をかけて、法定福利費を計算します。このとき計算するのは「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「子ども・子育て拠出金」です。

関連記事:2025年ショックで建設・住宅業界の人手不足が深刻化?解決策と対応事例

参考:全国建設労働組合総連合|【改訂版】標準見積書作成パンフレット「標準見積書の作成で正しく計算しっかり請求適正な賃金と法定福利費・工期を確保しよう」を作成しました。|改訂版 標準見積書パンフレット

国土交通省|建設業における社会保険加入対策について

法定福利費率の現状

東京商工リサーチの調査によると、2020年から2024年にかけて、法定福利費は11.6%上がっています。売上高も10.6%増加しているため、売上高の増加に合わせて法定福利費も増加している状況です。

一方、法定福利費の売上高に対する割合は、2020年に1.10%、2024年に1.11%で、ほぼ横ばいでした。ただし業種によっては、売上高よりも法定福利費の方が上昇率が高いケースもあります。

さらに売上高が下がっているにもかかわらず、法定福利費が増加している企業は21.2%でした。人材確保を目的に賃上げを実施した結果と考えられます。

参考:東京商工リサーチ|企業が負担する法定福利費は5年間で1割上昇 宿泊業は55.6%増、コロナ禍から反転し急増

法定福利費率を正しく計算しよう

法定福利費率とは、人件費に占める健康保険や厚生年金などの法定福利に関する費用の割合です。法定福利費率を正しく把握するには、最新の料率を用いて法定福利費を計算しなければいけません。また料率は法定福利の種類によっても異なる点に注意しましょう。

2020年からの5年間で法定福利費は上がっています。これは人材不足対策を目的に賃上げに取り組んだ結果といえるでしょう。

人材不足解消に向けた取り組みを検討しているなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」も有効です。実際に導入した企業の事例を見ると「採用力強化につながった」「離職率が低下した」といった企業が複数あることが分かります。

賃上げとともに「チケットレストラン」の導入も検討してみませんか。

資料請求はこちら

当サイトにおけるニュース、データ及びその他の情報などのコンテンツは一般的な情報提供を目的にしており、特定のお客様のニーズへの対応もしくは特定のサービスの優遇的な措置を保証するものではありません。当コンテンツは信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社はその正確性、適時性、適切性または完全性を表明または保証するものではなく、お客様による当サイトのコンテンツの利用等に関して生じうるいかなる損害についても責任を負いません。

エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

最新記事はSNSから確認していただけます
トップへ戻る