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【社労士監修】業務改善助成金についてわかりやすく解説!対象事業の具体例もチェック

【社労士監修】業務改善助成金についてわかりやすく解説!対象事業の具体例もチェック

2025.12.17

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

業務改善助成金とは、賃上げや設備投資を行うときに活用できる助成金のことです。中小企業や小規模事業者が対象となる制度を利用するには、どのような要件を満たしている必要があるのでしょうか?制度の概要や要件について分かりやすく見ていきましょう。

業務改善助成金についてよくあるQ&A

業務改善助成金について、まずはQ&A形式で概要をチェックしましょう。制度については厚生労働省の「業務改善助成金」を参考に記載しています。

参考:厚生労働省|業務改善助成金

業務改善助成金とは?使える企業は?

業務改善助成金とは、対象となる中小企業や小規模事業者が、賃上げと設備投資などを実施したときに利用できる助成金です。

事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金未満までで、解雇や賃金引下げなどの不交付事由のない、「資本金または出資額」か「常時使用する労働者」に関する要件を満たしている中小企業や小規模事業者が利用できます。

関連記事:【社労士監修】賃上げで最大600万円の業務改善助成金とは?その他の支援制度も解説

業務改善助成金の金額や対象となる設備投資は?

業務改善助成金の対象となるのは、生産性向上のために行った設備投資などの費用です。この費用のうち、賃上げ後の事業場内最低賃金が1,000円未満なら4/5(80%)、1,000円以上なら3/4(75%)が助成金として支払われます。

助成額の上限は、事業場内最低賃金の引き上げ額・引き上げる従業員数・事業場の規模によって決まっており、事業主ごとに最大で600万円です。

関連記事:【社労士監修】2025年|設備投資に活用できる補助金一覧わかりやすくまとめ

業務改善助成金の申請の流れは?

業務改善助成金の申請するときには、労働局へ「交付申請書」と「事業実施計画書」を提出して審査を受けます。令和7年9月5日からは、賃金引き上げ計画の事前提出は省略可能となりました。交付決定通知を受け取ったら、提出した「事業実施計画書」の通りに事業を実施しましょう。

その後、期限までに「事業実績報告書」と「支給申請書」を労働局へ提出し、審査に通過すると助成金を受け取れます。さらに期限までに「状況報告」や「消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額報告書」を作成して、労働局へ提出しなければいけません。

審査の結果、必要があれば返還金を支払います。

*令和7年度は令和8年1月31日までに、賃上げや設備投資などの支払・納品などを全て完了させていなければいけません。

業務改善助成金とは?わかりやすく解説

業務改善助成金とは、賃上げと設備投資などを実施した場合に利用できる助成金のことです。企業のスムーズな賃上げや、従業員の働く環境の整備に役立ちます。

ここでは厚生労働省の「業務改善助成金」をもとに、制度の詳細をチェックしましょう。

参考:厚生労働省|業務改善助成金

業務改善助成金の対象となる企業

業務改善助成金を利用するには、以下に示す要件を満たしていなければいけません。

  • 事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金未満までであること
  • 解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
  • 「資本金または出資額」か「常時使用する労働者」のいずれかが以下の要件を満たしていること

業種

資本金または出資額

常時使用する労働者

小売業

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他の業種

3億円以下

300人以下

業務改善助成金の助成額

業務改善助成金の助成額の上限は、事業場内最低賃金の引き上げ額と、賃上げする従業員の人数で決まります。加えて業務改善助成金の対象となるには、全ての従業員の賃金を新しい事業場内最低賃金以上に引き上げなければいけません。

コース区分

事業場内最低賃金の引き上げ額

引き上げる労働者数

助成上限額

事業場規模30人以上

事業場規模30人未満

30円コース

30円以上

1人

30万円

60万円

2~3人

50万円

90万円

4~6人

70万円

100万円

7人以上

100万円

120万円

10人以上※

120万円

130万円

45円コース

45円以上

1人

45万円

80万円

2~3人

70万円

110万円

4~6人

100万円

140万円

7人以上

150万円

160万円

10人以上※

180万円

180万円

60円コース

60円以上

1人

60万円

110万円

2~3人

90万円

160万円

4~6人

150万円

190万円

7人以上

230万円

230万円

10人以上※

300万円

300万円

90円コース

90円以上

1人

90万円

170万円

2~3人

150万円

240万円

4~6人

270万円

290万円

7人以上

450万円

450万円

10人以上※

600万円

600万円

※10人以上の上限額区分、事業場内最低賃金が1,000未満の事業場か、物価高騰などの影響で申請前3カ月のうちいずれか1カ月分の利益率が前年同期より3ポイント以上低下している事業場が該当します。

また業務改善助成金の助成率は、以下の通り賃上げ前の事業内最低賃金で決まります。

賃上げ前の事業場内最低賃金

助成率

1,000円未満

4/5(80%)

1,000円以上

3/4(75%)

業務改善助成金の対象となる設備投資

業務改善助成金の対象となるのは、生産性向上や働き方改善につながる設備投資などです。例えば以下の設備投資が対象となります。

  • POSレジ
  • 受発注システム
  • 勤怠管理システム
  • 自動釣銭機
  • 厨房機器の自動化・省力化
  • 物流効率化機器

目的が曖昧であったり、汎用性の高すぎる設備投資の場合には、対象外となる可能性があるため注意しましょう。

ここでは生産性向上のヒント集(令和6年3月作成)」を元に、実際に業務改善助成金を活用して行った設備投資の事例を紹介します。

参考:厚生労働省|最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業|生産性向上のヒント集(令和6年3月作成)

電話注文や配膳の効率化のために予約サイト開設と店内カウンター改装を実施した事例

佐賀県の飲食店では、電話によるテイクアウト注文の増加で店内業務に支障をきたしていました。加えて厨房と客席が離れていることで、配膳に時間がかかっていたのも課題です。

これらの課題を解消するために、テイクアウト受注用の予約サイト開設と、カウンターの階層を実施しました。この結果、来店客数は1日あたり10人以上、全体の売上が16%増加しています。

患者の待ち時間短縮と検査効率化のためにレフラクトメーターを導入した事例

東京都の眼科医院では、遠視・近視・乱視などの屈折度数の検査をほぼ全ての患者に実施しています。この検査に用いるレフラクトメーターの不足から、患者の待ち時間が発生しており、検査効率が悪い状態でした。

検査の効率化と患者の待ち時間短縮を目的に、レフラクトメーターを増設したことで、後続の検査にスムーズに移行できる効率的な検査の流れができ、1日に診察できる患者数が1.2~1.5倍になっています。

従業員の身体的負担軽減のために電動昇降用モーターベッドを導入した事例

神奈川県にある介護施設では、低床ベッドでの患者介助時に従業員がしゃがみ込む必要があり、身体的負担の大きさが離職の原因にもなっていました。解除による従業員の負担を軽減するために導入したのが、電動昇降用モーターベッドです。

これにより、患者の体位変換や排せつなどの介助時間が減った他、受け入れ可能な患者の幅が広がり満床が実現しています。

業務改善助成金の申請手順

業務改善助成金を申請するときには、以下の手順に沿って手続きを行います。

  1. 「交付申請書」と「事業実施計画書」を作成して労働局へ提出し審査を受ける
  2. 交付決定通知を受け取る
  3. 賃上げや、生産性向上のための設備投資などの実施・支払などを行い事業を完了する
  4. 期限までに「事業実績報告書」と「支給申請書」を作成して労働局へ提出し審査を受ける
  5. 助成金の額が確定し助成金の支払を受ける
  6. 期限までに「状況報告」を作成して労働局へ提出して審査を受ける
  7. 期限までに「消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額報告書」を作成して労働局へ提出して審査を受ける
  8. 審査の結果、返還が生じる場合は返還金を支払う

※令和7年9月5日から、賃金引き上げ計画の事前提出は省略可能となりました。

手続きの期限は以下の通りです。令和7年度については、申請期間・賃上げ期間ともに終了している地域が多くなっています。また賃上げや設備投資などの事業は、令和8年1月31日までに完了させなければいけません。

 

申請期間

賃上げ期間

事業完了期限

第1期

令和7年4月14日~6月13日

令和7年5月1日~6月30日

令和8年1月31日

第2期

令和7年6月14日~申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日

令和7年7月1日~申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日

令和8年1月31日

参考:厚生労働省|業務改善助成金

業務改善助成金を申請するときのポイント

業務改善助成金を受け取るには、申請時のポイントを押さえておきましょう。

設備の購入や導入は交付決定後に行う

業務改善助成金の対象になるのは、交付決定後に購入・導入した設備にかかる費用です。交付決定前に行った設備投資は対象外のため注意しましょう。

目的を明確に記載する

業務改善助成金を申請するときに提出する書類には、事業の目的を記載する欄があります。なぜその設備投資が必要なのか、設備投資をすることでなぜ生産性が上がるのか、といった項目は特に重要です。

今ある課題が、設備投資でどのように解消されていく見込みであるのかを、できるだけ具体的に記載します。

相見積もりで適正価格による申請を行う

設備投資にかかる費用が業務改善助成金の対象と認められるには、2社以上の相見積もりの提出が求められます。適正価格で設備投資ができるよう、複数社に見積もりを依頼しましょう。

高額な見積もりを提出すると、支給が認められない可能性があります。

最新の交付要綱や様式を確認する

業務改善助成金の制度は年度ごとに改定されています。令和7年度も、助成率や申請上限額などが変更されました。

この変更に伴い、申請書の様式や、満たすべき要件が変わっている可能性があります。申請するタイミングで最新の交付要綱や様式をチェックして、正しく手続きを行いましょう。

社労士など専門家への相談を検討する

業務改善助成金は書類や記載内容に不備があると、要件を満たせず支給できない可能性があります。自社のみでも申請はできますが、手続きに慣れている人材が在籍していない場合には、書類の抜け・漏れが発生するかもしれません。

スムーズに申請を行うには、社労士をはじめとする専門家への相談・依頼を検討するとよいでしょう。

業務改善助成金は最新情報をチェックして手続きを

賃上げや設備投資を行う中小企業や小規模事業者が活用できる助成金に、業務改善助成金があります。スムーズな賃上げに加えて、従業員の働きやすさ改善にも役立つ助成金です。

自社が対象となるか確認するには、業種ごとの中小企業や小規模事業者の要件を満たしていなければいけません。また支給額の上限は、事業場内最低賃金の引き上げ額と、賃上げする従業員の人数で決まります。

対象となる設備投資として認められるかどうかは、実際の事例も参考に検討しましょう。

業務改善助成金は毎年改定されているため、最新の情報を忘れずにチェックする必要があります。必要に応じて社労士といった専門家の力も借りながら、申請の手続きを進めるとよいでしょう。

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※助成金支給対象に該当するか否かのご相談については事業所がある労働局までお問い合わせください。

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社会保険労務士 吉川明日香

社労士と民間企業の人事部で働くハイブリッド型社労士。労働者、経営者、人事担当者それぞれの視点から、バランスのとれたサポートを心がけています。子育て世代の生活環境や就業環境の課題を探るために保育士の資格を取得し、特定の専門分野を作らず、給与計算、手続き業務、労務相談、助成金等、幅広く実践的なアドバイスを行っています。
吉川社会保険労務士事務所
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