賃上げできない企業が淘汰され始めています。賃上げできないままでいると、企業はどのような事態に陥るのでしょうか?調査結果を元に現状を確認していきましょう。また賃上げできずに淘汰される事態の回避に向けて、対策として有効な「第3の賃上げ」について解説します。
賃上げできない企業の淘汰が始まっている
帝国データバンクの「「従業員退職型」の倒産動向(2024年)」によると、従業員や経営幹部の退職をきっかけとする従業員退職型の人手不足倒産は、2024年に過去最多の87件でした。
物価上昇が続いており、賃上げの動きが企業規模によらず広がっている中、賃上げできない企業の淘汰が始まっています。2025年には、この動きがさらに加速することも予想されています。
ここではまず、賃上げできない企業の淘汰が進む理由を確認しましょう。
参考:帝国データバンク|「従業員退職型」の倒産動向(2024年)
賃上げの動きが広がっているため
2025年4月17日に日本労働組合総連合会が発表した「2025 春季生活闘争 第 4 回回答集計結果」によると、全体の賃上げ率は5.37%です。歴史的な賃上げとなった2024年同時期の5.20%を上回る賃上げ率となっています。
また2025年春闘に向けて、日本労働組合総連合会は「2025春季生活闘争 闘争方針」で格差是正に取り組むことを表明していました。
その結果として、2025年春闘では、従業員数999人以下の企業の賃上げ率も、以下のように前年を上回っています。
従業員数 |
賃上げ率(2025年4月時点) |
賃上げ率(2024年4月時点) |
300~999人 |
5.22% |
5.25% |
100~299人 |
5.06% |
4.92% |
~99人 |
4.66% |
4.19% |
特に人手不足感が強い企業では、賃上げを実施見込みの企業の割合が高いようです。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」によると、2025年度に賃上げを実施見込みと回答した企業は61.9%でした。
人手不足の状況別に賃上げの実施見込み割合を見ると、人手不足の企業では68.1%、過不足のない企業では58.3%、人手が過剰な企業では51.9%となっています。
賃上げの動きが全体に広がっていることや、人手不足対策として賃上げを実施する企業があることから、賃上げが難しい企業の待遇は相対的に悪化します。より良い待遇を求める従業員は、転職を検討し始めるかもしれません。
参考:
日本労働組合総連合会|2025春季生活闘争 闘争方針
日本労働組合総連合会|全体は5%超えを維持!中堅・中小組合も健闘が続く!~2025 春季生活闘争 第 4 回回答集計結果について~
帝国データバンク|人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)
関連記事:賃上げ率の見通しは?2025年春闘の予想や第3の賃上げについて解説
より高い給与を求めて転職する人が増えているため
「労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果」によると、2024年の転職者数は331万人となり、3年連続で増加しました。
また厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査結果の概要」では、「定年」や「会社都合」などを含めない個人的理由で転職した人のうち、「給料等収入が少なかった」ことを理由としてあげた人の割合は、男性8.2%・女性7.1%となっています。
男女ともに離職理由の上位に入っていることから、より高い給与を求めて転職した人の割合は高く、賃上げできない企業は人手不足が進行しやすい状況であるといえるでしょう。
参考:
総務省統計局|労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果
厚生労働省|令和5年 雇用動向調査結果の概要
関連記事:中途採用の課題と解決方法。中小企業の人材確保につながる取り組み
最低賃金の引き上げが予定されているため
「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」で、最低賃金1,500円について以下のように示されました。
労働生産性の引上げ努力等を通じ、2030年代半ばまでに1,500円となることを目指す目標について、より早く達成ができるよう、中小企業・小規模企業の自動化・省力化投資や、事業承継、M&Aの環境整備等について、官民連携して努力する。
加えて石破政権では、最低賃金1,500円への引き上げを、2029年までに達成する目標を掲げています。2029年までに最低賃金1,500円の政府目標を実現するには、2025年から7.3%の引き上げを行わなければいけません。
一方、日本商工会議所の「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」によると、政府目標通りの最低賃金の引き上げについて、「対応は不可能」「対応は困難」と回答した企業は74.2%です。
さらに実際に最低賃金の引き上げが行われた場合「収益悪化により、事業継続が困難(廃業、休業等の検討)」という回答が15.9%となっています。さらに地方にある小規模企業に限定すると、この割合は20.1%です。
最低賃金の引き上げに対応しきれず、淘汰される企業も出てくる可能性があります。
関連記事:最低賃金1,500円はいつから?企業の半分が「無理」と考える理由
中小企業や小規模企業の賃上げの現状
「2025 春季生活闘争 第 4 回回答集計結果」によると、2025年春闘の途中経過では、中小企業にも賃上げの動きの広がりが見られました。ただし他の調査では、中小企業や小規模企業の賃上げが二極化している状況も見られます。
ここでは大同生命とフリーウェイジャパンの調査で、中小企業・小規模企業の賃上げについてチェックしましょう。
関連記事:中小企業が賃上げできない理由は?賃上げに活用できる制度や福利厚生を解説
大同生命サーベイで見る中小企業・小規模企業の賃上げ
「大同生命サーベイ」2024年12月度調査レポートによると、2025年度に「賃上げ予定」と回答した中小企業は33%でした。そのうち小規模企業に限定すると「賃上げ予定」と回答した割合は24%でした。
さらに2024年度の賃上げ実施状況とあわせて確認すると、2024年度に賃上げを実施した中小企業や小規模企業の約半数が2025年度も賃上げ予定と回答した一方、2024年度に賃上げをしていない中小企業や小規模企業で2025年度に賃上げ予定と回答したのは10%未満です。
賃上げできる企業とできない企業の二極化が進んでいる状況がうかがえます。
参考:大同生命|中小企業経営者アンケート調査「大同生命サーベイ」2024年12月度調査レポート
フリーウェイジャパンの調査で見る中小企業・零細企業の賃上げ
フリーウェイジャパンの実施した「2025年賃上げ状況に関するアンケート」は、中小企業と零細企業の従業員・代表取締役と、個人事業主を対象とした調査です。
同調査によると、2025年度中に「賃上げ済み」「賃上げ予定」「賃上げを検討中」と回答した、賃上げに前向きな企業の割合は、合計で38.3%でした。
その一方で「業績の回復が見込めていない」「社会保険料の増加で会社負担が増えている」「今後の経営環境・経済状況が不透明」などの理由から、給与を引き下げた企業は1.6%、引き下げる方向で検討中の企業も2.1%あります。
また42.9%と多数派の回答となった「変動なし」を選んだ企業も、その理由は「今後の経営環境・経済状況が不透明」「業績の回復が見込めていない」などです。
先行きの不透明感から、賃上げに踏み切れない中小企業や零細企業は少なくありません。
参考:フリーウェイジャパン|2025年賃上げ状況に関するアンケート
賃上げ以外にもある!人材確保のためにできること
エデンレッドジャパンが実施した「賃上げ疲れ実態調査2025」によると、継続的な賃上げに負担を「とても感じている」「やや感じている」と回答した、賃上げ疲れを実感している企業は77%でした。
さらに賃上げ疲れの影響として、68.7%が「企業収益の圧迫」を、33.1%が「事業への投資抑制」をあげています。経営判断にも影響を及ぼしている実態が分かる結果です。
現時点で賃上げが難しい企業はもちろん、賃上げを実施している企業でも経営判断に影響を受けているケースがある状況の中、人材確保のために賃上げ以外にできることとして「第3の賃上げ」を紹介します。
関連記事:賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~
第3の賃上げとは
エデンレッドジャパンでは、定期昇給を「第1の賃上げ」、ベースアップを「第2の賃上げ」とした場合に、実質的な手取りアップや家計負担の軽減につながる福利厚生を活用した賃上げを「第3の賃上げ」と定義しました。
継続的な賃上げが難しい場合でも、福利厚生を活用した実質的な手取り額アップであれば取り組みやすいでしょう。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
第3の賃上げには「チケットレストラン」がおすすめ
第3の賃上げを行うときには、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できるため、対象となる従業員に公平に提供できます。
一定の利用条件下であれば所得税の非課税枠が活用できるため、従業員の手取り額アップにつながる仕組みです。
例えば株式会社sumarchでは「チケットレストラン」をはじめとする充実した福利厚生を整備した結果、転職を検討していた従業員が「自社より待遇の良い企業がなかった」と転職を考え直したケースがあったそうです。
また株式会社ほねごりでは、複数の採用施策を実施するとともに「チケットレストラン」をアピールすることで、新卒採用数の倍増につながりました。
賃上げできない企業の淘汰が進む状況で、人手不足による倒産の回避に役立つ福利厚生サービスです。
詳細な導入事例はこちら:
株式会社sumarch
株式会社ほねごり
ご参考:名古屋テレビ「ドデスカ+」で実質手取りを増やす福利厚生としてチケットレストランが紹介されました
NHK東海エリアニュースにて#第3の賃上げ 愛知アクション発表会とエデンレッドジャパンが紹介されました
中部経済新聞で「#第3の賃上げ 愛知アクション」とエデンレッドジャパンが紹介されました
賃上げが難しいなら第3の賃上げの検討を
物価高が続く中、企業規模を問わず賃上げの動きが広がっています。ただし中には賃上げの実施が難しい企業もあるでしょう。継続的な賃上げが難しい状況下でも取り組みやすいのが、福利厚生を活用する第3の賃上げです。
例えば第3の賃上げとして食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を一定の条件下で導入すれば、従業員の所得税が非課税枠が活用できるため実質的な手取りアップにつながります。
実際に導入した企業で、離職防止や人材採用に役立った事例もあります。賃上げ以外の方法で従業員の待遇を改善に取り組むなら、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみませんか。
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