中途採用をスムーズに行うには、母集団形成や内定・採用などに関する課題を解決する必要があります。具体的な課題と、その解決策について、中途採用市場の現状を確認した上で見ていきましょう。併せて中途採用の実施時に役立つ、働きやすい環境づくりについても解説します。
中途採用市場の現状
中途採用の課題を見ていくにあたり、まずは近年の中途採用市場について確認しましょう。
好条件の仕事を探すために転職する人が増加
厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応-」によると、転職者数は2021年にコロナ禍の影響により落ち込んだものの、2022・2023年は2年連続で増加しています。
出典:厚生労働省|令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応-
また転職の理由は「より良い条件の仕事を探すため」が増加しました。雇用情勢の改善を受けて、キャリアアップを目指す前向きな転職が増えていると分かります。
売り手市場で人材を確保しにくい
雇用情勢の改善は、企業にとっては中途採用市場での人材確保が難しくなっていることを表します。
リクルートワークス研究所の「中途採用実態調査」によると、中途採用で必要な人数を確保できた企業より確保できなかった企業の方が多い結果でした。
企業規模別に見ると、従業員数5,000人以上の企業のみが必要な人数を確保できた企業と確保できなかった企業が同数で、従業員数が5,000人より少ない企業では必要な人数を確保できなかった企業の方が多くなっています。
業種別に見ても、多くの業種で必要な人数を確保できなかった企業の数が、確保できた企業の数を上回っています。
また企業の中途採用市場での採用意欲は、2025年も高いまま維持される予想です。今後も人材確保の難しい状況が続くと予想されます。
関連記事:人手不足が深刻化する日本の現状|統計データのわかりやすい解説と企業の対応策
中途採用の課題
中途採用による人材確保がなかなか進まないと感じているのなら、何らかの課題を抱えている可能性があります。自社の課題を明確にしていくために、中途採用の課題について見ていきましょう。
十分な応募が集まらない
中途採用を行うには、転職を希望している求職者を集めなくてはいけません。これを母集団形成といいます。
求人を出しても応募が集まらず、母集団の人数が不十分な場合「今回は採用を見送る」といった事態に陥ることもあるでしょう。
関連記事:中途採用に強い企業の人材募集手法を知りたい!採用手法とプロセス
求める人材を採用できない
母集団形成がうまくいったからといって、必ずしも自社の求める人材を採用できるとは限りません。応募してきた求職者の持つスキルや経験などが、求める人材と合わない可能性があるためです。
内定や採用につながらない
募集してきた求職者の中に、自社の求める人材がいたとしても、内定や採用につながらない可能性もあります。
近年は雇用情勢が改善しており、中途採用市場は売り手優位です。求職者は「より良い条件の仕事を探すため」に転職活動をしているケースも多いため、自社より好条件を提示する企業があれば、そちらへの就職を決めてしまうかもしれません。
関連記事:人材採用を企業がスムーズに実施する方法は?成功させるコツを紹介
早期離職が多い
中途採用に成功したあとは、早期離職に注意が必要です。「考えていたのと違った」「希望する働き方ができない」「職場の雰囲気が合わない」などの理由で、早期離職に至るケースもあるためです。
関連記事:【離職防止アイデア12選】従業員の離職率を下げるために必要なことを解説
応募数を増やすための取り組み
十分な募集が集まらないという課題へ対策するには、自社に合う採用手法を取り入れることや、アピールの仕方を工夫することがポイントです。それぞれの解決方法をチェックしましょう。
採用手法を見直す
採用手法には、求人広告や求人検索エンジンなどの求人媒体・人材紹介会社・採用イベント・自社サイトの活用・リファラル採用などがあります。採用手法が自社に合っていない場合には、母集団形成が計画通りに進まないかもしれません。
自社に合う採用手法を選ぶには、それぞれの特徴や活用の仕方を押さえておくとよいでしょう。
例えば求人媒体で中途採用を行うなら仕組みや機能・登録している転職者の傾向などを確認します。人材紹介会社を利用するなら、自社の魅力を転職者へ伝える担当者との良好な関係性の構築が重要です。
採用イベントを活用するなら、転職者が知りたいと考えていることにテーマを絞ると、自社のアピールしたい内容が伝わりやすくなります。
自社で採用したい人材にマッチする採用手法を選ぶと、スムーズな母集団形成につながるでしょう。
求人内容を見直す
自社に合う採用手法で求人を出しているにもかかわらず、母集団形成がうまく進まないのだとすれば、求人内容を見直した方がよいかもしれません。
売り手優位の中途採用市場では、転職者はより良い条件で働ける職場を探す傾向があります。同業他社が自社よりも高い給与や充実した福利厚生で求人を出していれば、そちらへ応募が集まりやすくなるでしょう。
競合となる他社の求人をチェックし、必要に応じて待遇改善を検討します。
併せて自社の事業内容や、入社後に任せる仕事内容などが、分かりやすく記載されているかも見直しましょう。転職者から見て分かりにくい部分があれば、表現を見直すことも重要です。
自社に必要な人材を採用するための取り組み
求める人材を採用できないという課題に対しては、情報発信の内容を見直したり、ターゲットの設定を見直したりするのが有効です。それぞれの取り組みについて解説します。
ターゲットに合わせた情報発信をする
求人に関する情報発信をするときには、自社で採用するターゲットとなる人材に合わせた情報発信をすることが重要です。
まずは自社で採用したいと考えている人材がどのような人なのかを明確にしましょう。どのようなスキルを持っているのか、どのような経験があるのか、といった業務に直接関係することはもちろん、家族構成や休日の過ごし方なども想定します。
ここで想定した人材は、自社のどのような情報を知れば「応募してみよう」「入社したい」と考えるようになるでしょうか?
例えば即戦力となる人材を採用したいと考えているとき、その人材に家族がいて子育て中だと想定するなら、給与や業務内容などに加えて、育児に関する制度について詳しく掲載すると自社の魅力を伝えられるかもしれません。
同じ即戦力となる人材でも単身者をターゲットとする場合には、スキルアップにかかる費用補助や住宅手当・社宅などを紹介すると、興味を持ってもらいやすくなります。
ターゲットの設定を見直す
ターゲットの設定が適切かどうかも検討が必要です。自社の業務内容を見直すと、より良いターゲットが見つかるかもしれません。
例えば即戦力としてフルタイムで働ける人材を採用したいと考えているけれど採用が思うように進まないケースで考えてみましょう。今のままではフルタイムで働ける人材でないと対応が難しいかもしれませんが、任せる業務を分担できれば時短勤務やパートでも対応できるかもしれません。
「働きたいけれどフルタイムは難しい」と考えている経験者を採用できる可能性が高まります。
内定や採用につなげるための取り組み
応募が集まり母集団形成がスムーズに進んだとしても、内定辞退が続くといったケースもあるでしょう。このような場合に役立つ取り組みを4つ紹介します。
自社の魅力を伝える
内定辞退が続いている場合、自社の魅力が転職者に伝わっていないかもしれません。自社の魅力を十分伝えるには、選考時に転職者の評価だけを行うのではなく、自社についての話も行いましょう。
事業内容や今後のビジョン・入社後の仕事・従業員が利用できる制度などについて説明し、転職者が「入社したい」と思えるようにするのがポイントです。
選考に進む前にカジュアル面談を実施する、面接時に職場見学を行う、といった取り組みも役立ちます。
スピーディーに選考を行う
選考をスピーディーに進めることも、内定や採用につながりやすくするポイントです。応募があってもやり取りに時間がかかると、その間に転職者は他の企業への入社を決めてしまうかもしれません。
売り手が優位な近年の状況では、選考を素早く進めていく必要があります。
選考基準を見直し統一する
社内で選考基準を統一することも、内定や採用に向けては重要です。採用担当者の基準と現場担当者や経営者の基準が異なれば、内定や採用に至る人材をなかなか見つけられないでしょう。
採用基準を1つにすることで、選考通過者の人数が適正なものになります。また自社のビジョンに合う人材の採用を実現しやすくなるのもメリットです。
内定後のフォロー体制を作る
内定後に辞退が出ているなら、フォロー体制の見直しが必要です。内定通知を出すだけでなく、面談を行い改めて待遇や条件について説明を行い、転職者の疑問や不安を解消します。
このとき企業理念や事業内容などについても解説するとよいでしょう。実際の業務への理解度を高めるための研修も行います。事前に学ぶ機会を設けることで、入社後の教育がスムーズに進みやすくなります。
ただし転職者は内定が出た時点で、就業中のこともあるでしょう。フォローが負担にならないよう、相談しながら進めていきます。
早期離職を減らすための取り組み
入社後の対応が不十分な場合、転職者が定着せず早いタイミングで離職する可能性があります。早期離職すれば再び採用活動に取り組まなければいけません。この手間やコストを削減に役立つ、転職者の研修・面談・キャリアのサポートについて解説します。
研修制度を整える
入社後の研修は転職者の早期離職防止に役立ちます。即戦力となる経験者を採用したとしても、入社直後はまだ自社の仕事の進め方を知りません。まずは自社の事業について全体像を把握する機会を設けましょう。
担当する仕事についての研修も必要です。専門分野に関する知識を持っている転職者であっても、入社直後は自社での仕事の進め方に慣れていません。現場に教育担当者を設けて、説明したり慣れるまで一緒に仕事をしたりするとよいでしょう。
現場に任せきりにするのではなく、社内の制度として研修を実施します。
定期的にフォローする
面談の実施といった方法で定期的にフォローすることも、早期離職の防止につながります。自社での仕事のやり方や職場の雰囲気などに馴染めないまま、離職を決めてしまう転職者もいるでしょう。
定期的に面談を行い、悩みや不安を聞き取る機会を設けていれば、転職者が離職を選ぶ前に何らかの対策を取れる可能性が高まります。
希望のキャリアをサポートする
希望のキャリアを実現するために転職した人は、入社した企業で望むキャリアを実現できそうにないと判断すると、再び転職する可能性があります。早期離職を防ぐには、転職者がどのようなキャリアを希望しており、それを自社でかなえるには何が必要となるかを提示することです。
将来的に必要となるポジションのために採用したのであれば、どのくらいの時期にそのポジションへ就くことになるかを明確にします。
また転職者が希望するキャリアを実現するには、現状ではスキルや経験が不足しているようなら、今携わっている仕事が希望のキャリアにどのようにつながっていくのかを説明するとよいでしょう。
リーダーのマネジメントスキルアップに取り組む
転職者の離職防止には、リーダーのマネジメントスキル向上も欠かせません。リーダーが十分な能力を持っていなければ、転職者の育成がスムーズに進まず、モチベーションやパフォーマンスの低下につながる可能性があるためです。
リーダー向けの研修を実施したり、部下によるリーダーの評価制度を導入したりすることで、リーダーのマネジメントスキル向上につながります。
中途採用には働きやすい環境づくりも重要
中途採用を成功させるには、働きやすい環境づくりへの取り組みも重要です。仕事内容や給与などが同じであれば、働きやすい環境が入社の決め手になることもあります。ここでは中途採用の成功に向けて、働きやすい環境づくりに取り組むときに企業ができることを見ていきましょう。
関連記事:中途採用に福利厚生は役立つ?魅力的な福利厚生をチェック
公平公正な人事評価制度を整える
同じように働き、同じように結果を出していても、評価者によって人事評価に差が出るようでは、不満が募りやすいでしょう。誰が評価者であっても、働きを公平公正に評価する人事評価制度が必要です。
企業にとって必要な能力やスキル・働きなどを適切に評価できるよう、明確な指標を作りましょう。作った指標は評価者だけでなく、従業員にも共有するのがポイントです。
何をどのように頑張れば評価されるのかが明確になるため、従業員は評価につながる努力に取り組みやすくなります。努力が報われる経験による「もっと頑張ろう」というモチベーションの向上も期待できます。
備品や機材を整備する
働きやすい職場づくりのためには、オフィスの整備も重要です。例えば体に合わないデスクやチェアで事務仕事をしていると、肩や腰に負担がかかりやすくなってしまいます。空調が快適な状態でないことで、ストレスに感じることもあるでしょう。
またパソコンが古く動作が遅い場合には、処理に時間がかかり業務効率が落ちることも起こり得ます。工場の機械が古く不具合が増えている場合には、本来の生産力を発揮できていないかもしれません。
従業員が担当する業務を快適に行えるよう、事務用品・OA機器・機械などをそろえることで、働きやすさを改善可能です。
賃上げに取り組む
働きやすい職場環境を整えるには、賃上げにも取り組みましょう。2024年春闘では5%の賃上げ率を達成していますが、全ての企業でこの賃上げ率となったわけではありません。
日本労働組合総連合会の「33 年ぶりの 5%超え!~2024 春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~」によると、従業員数が1,000人未満の企業の賃上げ率は平均が5%を下回っています。
加えて消費者物価指数は上昇を続けているのが現状です。エデンレッドジャパンの実施した「賃上げ実態調査2025」によると、60.9%が「手取りが増えた実感がない」、80.8%が「家計の負担が増えた」と回答しています。
働いても生活が苦しくなるようでは、仕事への意欲が低下しかねません。またより良い給与を求めて転職活動をしている人もいるでしょう。賃上げに取り組むことで、年収アップを目指す転職者の採用につながるかもしれません。
参考:
日本労働組合総連合会|33 年ぶりの 5%超え!~2024 春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~
総務省|2020年基準 消費者物価指数 全国2024年(令和6年)12月分及び2024年(令和6年)平均
関連記事:
「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!~
2025年の賃上げ平均は?予測とこれまでの動きも解説
福利厚生を充実させる
働きやすい環境の整備には、福利厚生の充実度アップも役立ちます。ベター・プレイスの実施した「福利厚生制度に関するアンケート」によると、転職をするときに福利厚生が充実していることを「重視する」「やや重視する」と回答した人は、合計で79.4%でした。
ただし福利厚生の数を増やせばよいというわけではありません。従業員が「あったらうれしい」と思う福利厚生の導入がポイントです。
同調査によると、30%以上が「導入してほしい」と回答した福利厚生は「社宅・住宅手当・家賃補助」「通勤手当」「長期休暇」「フレックスタイム制度、時短勤務制度」「社員食堂・食事補助」などがあります。
これらを参考にしつつ、自社の従業員の意見を取り入れつつ、導入する福利厚生を決めるとよいでしょう。
参考:ベター・プレイス|【福利厚生制度に関するアンケート】従業員数300名未満の企業で、導入率が低い福利厚生は「企業年金・iDeCo+」、「カフェテリアプラン」
関連記事:福利厚生が良い会社ランキングを紹介!従業員が喜ぶ福利厚生もチェック
福利厚生の充実度アップには「チケットレストラン」がおすすめ
企業が福利厚生の充実度アップで働きやすい職場環境づくりに取り組み、中途採用の成功率を高めていきたいと考えているなら、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
ここでは「チケットレストラン」をおすすめする理由として、公平に支給できる点と、手取りアップにつながる点を解説します。
対象の従業員へ公平に支給できる
エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できるのが特徴です。
セブン‐イレブン・ファミリーマート・ローソンといった大手コンビニチェーンや、𠮷野家・松屋・すき家といった牛丼チェーン、ドトール・上島珈琲店といったカフェなどを利用できます。
店舗での購入に加えて「 Uber Eats 」の利用も可能です。オフィスに出社して働いている従業員はもちろん、テレワークで働く従業員や、いつも異なる現場で働く従業員など、働く場所によらず利用しやすい福利厚生サービスといえます。
実際に導入した企業からは「全国にある営業所の従業員へ公平に食事補助を提供できるようになった」「雇用形態にかかわらず福利厚生を提供できて満足度が上がった」といった声が届いています。
実質的な手取り額アップにもつながる
従業員の実質的な手取り額アップにつながるのも、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」のメリットです。
「チケットレストラン」を一定の利用条件下で導入すると、所得税を非課税枠運用できるため、同額の賃上げを行ったときと比べて、従業員は手取り額アップを実感しやすくなります。
このような福利厚生の仕組みを利用した手取り額アップを、エデンレッドジャパンでは「第3の賃上げ」と定義しました。
賃上げとともに、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」で「第3の賃上げ」に取り組めば、従業員の暮らしのサポートが可能です。詳しくはこちらの資料請求からお問い合わせください。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
中途採用の課題解決には福利厚生も活用を
中途採用市場は売り手優位の状況となっており、採用が思うように進まない企業もあるようです。このような状況で中途採用を成功させるには、母集団を形成できない・求める人材を採用できない・内定や採用につながらない・早期離職してしまうといった課題を解決しなければいけません。
加えて福利厚生の充実度アップによる働く環境の整備もポイントといえます。従業員の求める福利厚生を導入すれば、スムーズな中途採用につながりやすくなるでしょう。
福利厚生を充実させるときには、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。対象となる従業員に公平に支給できる福利厚生を、中途採用の課題解決に役立てていきませんか。
参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!~
従業員の生活支援に!「第3の賃上げ」導入応援キャンペーン開始 ~食事補助サービス「チケットレストラン」で“手取りアップ”を実現~
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