保育士の賃上げでよくある質問をまずはチェック
まずは保育士の賃上げは実際のところどうなっているのか、多くの方が疑問に感じるポイントをQA方式で確認します。
Q. 2026年に保育士の給料は上がるのでしょうか?
A. はい、2026年4月から5.3%の賃上げが実施される予定です。年額で約20万円の処遇改善が見込まれています。
Q. 保育士の賃上げはいつから反映されますか?
A. 2024年度分(10.7%)は補正予算成立後、2024年4月分に遡って反映されています。2026年度分(5.3%)は2026年4月から適用される予定です。
Q. 保育士の給料が上がる理由は何ですか?
A. 人事院勧告に準じた国家公務員の給与改定に合わせて、保育士の処遇改善が行われています。保育士不足の解消と保育の質向上が目的です。
Q. 全ての保育士の給料が上がりますか?
A. 認可保育園や認定こども園で働く保育士が対象です。ただし、実際の配分は各園の判断に委ねられるため、園によって反映方法が異なる場合があります。
保育士の給与
「e-Stat|令和6年賃金構造基本統計調査」で保育士の給与を確認すると、以下の通りです。()は同調査における令和5年度の数値です。
保育士の給与(男女計)
| 保育園の規模 |
保育士にきまって支給する現金給与額 |
保育士の年間賞与等 |
保育士の年収 |
| 全体平均 |
27万7,200円
(27万1,400円)
|
74万1,700円
(71万2,200円)
|
406万8,100円
(396万9,000円)
|
| 1,000人以上 |
28万円
(27万8,700円)
|
44万8,400円
(50万2,500円)
|
380万8,400円
(384万6,900円)
|
| 100~999人 |
28万500円
(27万300円)
|
74万8,900円
(76万2,600円)
|
411万4,900円
(400万6,200円)
|
| 10~99人 |
27万4,000円
(27万800円)
|
80万9,700円
(71万8,500円)
|
409万7,700円
(396万8,100円)
|
参考:e-Stat|令和5年賃金構造基本統計調査、e-Stat|令和6年賃金構造基本統計調査
※年収は「(きまって支給する現金給与額×12か月)+年間賞与等」で計算した金額
保育士の年収は施設の大小にかかわらず約400万円が水準です。2023年度から2024年度にかけては、1,000人以上の大規模施設を除いて、10万円以上の年収増が実現されました。
ただし、一般労働者の賃金平均と比べると低めの傾向です。
<一般労働者(短時間労働者以外の常用労働者)の賃金(月額)>
- 男女計 33万400円(前年比 3.8%増)
- 男 性 36万3,100円(同 3.5%増)
- 女 性 27万5,300円(同 4.8%増)
企業別では、男女計で以下の通りです。
- 大企業:36万4,500円(前年比 5.3%増)
- 中企業:32万3,100円(同 3.8%増)
- 小企業:29万9,300円(同 1.8%増)
参考:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査の概況
保育士の給与が企業(園)の規模によって大きく変わらない理由
一般企業の場合、企業規模が大きいほど給与や賞与が高額になる傾向があります。一方、保育士の給与や賞与は、園の規模によらずほぼ同じです。
これは認可保育園が収入を得る仕組みと関係しています。認可保育園は、保育園へ通う子どもの保護者が支払う保育料と補助金によって運営される仕組みです。
補助金の支給額を決めるときには、子ども1人あたりの教育や保育に必要な費用である公定価格から保育料を差し引いて算出します。保育園の運営に必要な金額に満たない分を補助金として支給するため、どの保育園であっても得られる金額は公定価格と同額です。この仕組みがあるため、保育士の給与はどこの園でも大きく変わらない傾向があります。
保育士の給与は上昇傾向
「賃金構造基本統計調査」によると、過去10年間の保育士の「きまって支給する現金給与額」は上がり続けています。保育士の賃上げに充てるための処遇改善加算に取り組んだ結果と考えられるでしょう。
| 年 |
保育士にきまって支給する現金給与額 |
| 2024年 |
27万7,200円 |
| 2023年 |
27万1,400円 |
| 2022年 |
26万6,800円 |
| 2021年 |
25万6,500円 |
| 2020年 |
24万9,800円 |
| 2019年 |
24万4,500円 |
| 2018年 |
23万9,300円 |
| 2017年 |
22万9,900円 |
| 2016年 |
22万3,300円 |
| 2015年 |
21万9,200円 |
参考:e-Stat|賃金構造基本統計調査
保育士の給与水準が低いことによる影響
保育士の給与水準が低いと、どのような影響があるのでしょうか?人材確保と保育の質について解説します。
保育士の人材確保に影響する
東京都福祉局の「令和4年度東京都保育士実態調査報告書」によると、保育士の資格を持っているけれど保育士として働いていない人は38.2%です。
このうち保育士として働いた経験のある人は12.3%の割合です。保育士を辞めた理由として多いのは「職場の人間関係(31.5%)」「仕事量が多い(23.1%)」「給料が安い(22.1%)」となっており、低水準の給与が離職につながっているとわかります。
さらに、69.0%が復職の希望条件として給与をあげていることから、保育士の賃上げは経験者の採用につながるといえるでしょう。
現在保育士として働いている人の中で「退職したい」と考えている人も、61.6%が給与が安いことを理由にあげています。
参考:東京都福祉局|令和4年度東京都保育士実態調査報告書
関連記事:エッセンシャルワーカーの人手不足の原因は?人材確保に向けた対策を解説
保育の質に影響する
低い給与により保育士の人材確保が十分にできない場合、保育の質の低下につながりかねません。保育士の目が届きにくくなることで、保育所内で思わぬ事故が起こる可能性が高まります。安心して子どもを預けられる環境づくりのためにも、保育士の賃上げが重要です。
保育士の賃上げを行うための補正予算
保育士の賃上げにつながる補正予算について見ていきましょう。
2024年度に10.7%賃上げを実施
2024年の「人事院勧告」では、民間企業の従業員と公務員との差を解消する目的で、民間給与の賃上げを反映した大幅なベースアップを勧告しました。
保育士の10.7%賃上げは、この勧告に準じて行われるものです。補正予算は1,150億円となっており、他の取り組みと比べても多くの予算が充てられています。
過去10年間で最大の引き上げ率となることからも、重点的に取り組むべき課題と捉えられていることがわかります。
参考:
人事院|令和6年 人事院勧告・報告の概要
こども家庭庁成育局保育政策課|令和6年度保育関係補正予算の概要
2026年度も5.3%の賃上げ継続決定
こども家庭庁は、2025年度補正予算案により保育士の人件費を5.3%引き上げると発表しました。この補正予算は2025年12月に成立し、2026年4月から適用されます。
こども家庭庁によると、1人あたり年約20万円の改善となる見通しです。過去15年間で比較可能なデータでは、2024年度の10.7%に次いで2番目に大きい上げ幅となります。
参考:
こども家庭庁|「新たな総合経済対策」の主要事項
こども家庭庁|令和7年度保育関係補正予算の概要
財務省|令和7年度補正予算(第1号)の概要
保育士の賃上げはいつから?
保育士の賃上げは段階的に実施されています。
2024年度分の10.7%
2024年4月から実施済みです。公定価格を引き上げて各保育園への支給額を増やし、保育士の賃上げに充てています。
2026年度分の5.3%
2026年4月から新たに適用される予定です。
予算成立から賃上げ実現に至るまでの注意点
保育士の賃上げには予算成立が直結しない点に注意が必要です。保育園の運営主体では、保育士の待遇改善につながるよう、適切な配分の実施が重要となります。
配分は各保育園に任される
保育士の賃上げを目的に、子ども1人あたりの教育や保育に必要な費用である公定価格の引き上げが実施されます。ただし引き上げられて増えた補助金を、どのように配分するか決定するのは保育園の運営主体です。
引き上げられた分を全て保育士へ配分する園もあれば、そうでない園もある可能性が考えられます。また日々の働きぶりによって、賃上げ率に差をつける園もあるかもしれません。
保育園の運営側には、適切な配分の実施が求められます。
世代や役職により賃上げに差が生じる
保育士の賃上げは人事院勧告に準じて行われるものです。この賃上げは勤続5年ほどの職員の給与が基準となっています。勤続年数が長い保育士や役職に就いている保育士は、給与水準が他の保育士より高い傾向にあるため、賃上げ率が水準に届かないかもしれません。
保育士の処遇改善の仕組み
これまで保育士の処遇には、処遇改善加算I〜Ⅲが使われていました。しかし、制度がわかりにくいとの指摘があり、2025年度以降に新しい処遇改善の仕組みへと見直されました。
新しい仕組みは、区分1(基礎分)、区分2(賃金改善分)、区分3(質の向上分)という構成で従前よりもシンプルです。
- 区分1:経験に応じた昇給の仕組みの整備や職場環境の改善(基礎分)
- 区分2:職員の賃金改善(賃金改善分)
- 区分3:職員の技能・経験の向上に応じた賃金の改善(質の向上分)
詳細の処遇改善要件や加算の算定方法は、下表を参考にしてください。
参考:子ども家庭庁|令和7年度以降の処遇改善等加算について
保育士の待遇改善に福利厚生も活用しよう
2026年度には、保育士の給与アップ(賃上げ)が予定されています。この機会に、企業独自の福利厚生で待遇を改善すれば、保育士のやる気を高め、定着率の向上につながります。
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