働き方改革とコロナ禍を経て、出社の魅力をプラスする「設置型社食」が注目度を高めています。企業の担当者が導入を検討していくにあたって「実際にどの程度の費用がかかるのか」という観点は大切です。
本記事では、設置型社食にかかる費用、主要サービスの料金比較、導入時の注意点など、サービスの検討や導入に必要な情報を解説します。
設置型社食とは
設置型社食サービスとは、オフィス内に専用の冷蔵庫や電子レンジなどを設置し、企業が従業員に提供する食の福利厚生です。従来の社員食堂のように食事を提供するスタッフや厨房、机・椅子などを用意する必要がなく、導入しやすいと定評があります。
従業員は24時間好きな時間に利用できるメリットから、勤務時間が不規則な職場で重宝されます。
設置型社食にかかる4つの費用と相場
設置型社食では、どのような費用が必要になるのでしょうか。主な費用は以下の通りです。
- 初期導入費用
- 月額利用料
- 商品代金(企業負担・従業員負担)
- 配送料
初期導入費用
設置型社食の導入には、冷蔵庫や冷凍庫などの設備設置が必要です。多くのサービスでは、これらの設備をサービス提供側が貸与し、初期導入費用は無料もしくは数万円程度に抑えられているケースが一般的です。
ただし、電子レンジについては企業側での用意が必要なことも少なくありません。
月額利用料
設置型社食サービスの運用では、月額で発生する基本料金を支払います。サービスによって料金体系は異なりますが、一般的に次のような内容が含まれます。
- 冷蔵庫や冷凍庫のレンタル費用
- 管理システム利用料
- 定期補充や在庫管理サービス料
- 配送料
- 容器やカトラリーなどの消耗品費用
月額利用料は、利用人数や設置規模、商品数によって変動します。ただし、サービスによっては月額料金が無料の場合もあります。
商品代金(企業負担・従業員負担)
商品(お惣菜・弁当・軽食等)の購入代については、企業側が全部または一部を負担し、従業員としても一部自己負担金を徴収するパターンが主流です。 従業員が100円〜300円程度で手軽に買える一方、企業側は商品原価や残り分の金額を事後精算する方式が多く見られます。
配送料
配送料については、月額利用料に含まれているケースが一般的です。ただし、サービスや地域によっては別途配送料が発生する場合もあります。特に地方や離島など、配送コストが増加する地域では追加費用が発生する可能性があるため、事前確認が必要です。
設置型社食の主要サービスをチェック
設置型社食の主要サービスについて、費用、メニュー、満足度など導入を検討する際に把握したいポイントを紹介します。
OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)
「OFFICE DE YASAI」は、株式会社KOMPEITOが運営し、「オフィスでやさい」と「オフィスでごはん」の2つのプランを提供しています。2か月のトライアル期間を活用し、企業内での運営方法を定着させやすいです。
| 項目 | 詳細 |
| 運営会社 | 株式会社KOMPEITO |
| 初期導入費用 | なし |
| 月額利用料 | 要問い合わせ |
| 従業員負担 | 1個100円〜 |
| 商品形態 | 冷蔵・冷凍 |
| メニュー | 約140品で月替わり
メニュー例:
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| 導入実績等 |
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| 特徴 | 利点:
留意点:
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| 公式ホームページ | https://www.officedeyasai.jp/ |
オフィスおかん
「オフィスおかん」は、株式会社OKANが運営する設置型社食サービスです。管理栄養士が監修した商品を冷蔵で配送します。チルド商品のため冷凍タイプと比較して解凍時間が短く、忙しいオフィスでもスムーズに利用できます。
| 項目 | 詳細 |
| 運営会社 | 株式会社OKAN |
| 初期導入費用 | 要問い合わせ |
| 月額利用料 | サービス・システム利用料金(資材の提供、必要設備の貸与、配送および納品、サービス維持管理等の費用)あり、詳細は要問い合わせ。 |
| 従業員負担 | 1品100円(税込) |
| 商品形態 | 冷蔵 |
| メニュー | 毎月20種類、主食・主菜・副菜をバランスよく提供
メニュー例: 丸ごと食べられるさばの塩焼き、タンドリーチキン、胡麻味噌担々、1/3日分の野菜がとれるごちそう豚汁、アップルパイ |
| 導入実績等 |
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| 特徴 | 利点:
留意点:
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| 公式ホームページ | https://office.okan.jp/ |
ESキッチン
「ESキッチン」は、手軽さと美味しさ、健康面に配慮したメニューを特徴とする設置型社食サービスです。保存料や合成着色料を使用しない食材を厳選し、徹底的な品質管理を実施しています。オフィス内での食事だけでなく、持ち帰りにも対応しているのが特徴です。
| 項目 | 詳細 |
| 運営会社 | ESキッチン株式会社 |
| 初期導入費用 | なし |
| 月額利用料 | 33,000円〜(50個)
上記はすべての商品代金の一部、資材、冷蔵庫レンタル代、送料、システム使用料を含む |
| 従業員負担 | 1品100円〜 |
| 商品形態 | 冷蔵 |
| メニュー | 月替わりで20種類以上のお惣菜を提供
メニュー例: ほくほく肉じゃが、タニタの金芽米、春雨サラダ、あおもりプリン(りんご) |
| 導入実績等 | 要問い合わせ |
| 特徴 | 利点:
留意点:
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| 公式ホームページ | https://es-kitchen.biz/ |
パンフォーユーオフィス
「パンフォーユーオフィス」は、専用の冷凍庫をオフィス内に設置することで、24時間利用できるパン専門の設置型社食サービスです。福利厚生として利用では、従業員負担ありorなしのどちらにも対応できます。
| 項目 | 詳細 |
| 運営会社 | 株式会社パンフォーユー |
| 初期導入費用 | 無料 |
| 月額利用料 | 管理費 |
| 従業員負担 | 1個100円~ |
| 商品形態 | 冷凍 |
| メニュー | 毎回8種類を厳選 |
| 導入実績等 | 400社以上(2025年6月時点) |
| 特徴 | 利点:
留意点:
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| 公式ホームページ | https://office.panforyou.jp/ |
タニタカフェ at OFFICE
「タニタカフェ at OFFICE」は、タニタが提供する野菜を楽しめる設置型社食サービスです。健康経営を重視する企業向けに、カロリーや栄養バランスを考慮した健康的なメニューを提供します。また、温めた容器はそのまま食器として使えて便利です。
| 項目 | 詳細 |
| 運営会社 | 株式会社タニタ |
| 初期導入費用 | 6万円(税別) |
| 月額利用料 | 4万5,000円(税別) |
| 従業員負担 | あり |
| 商品形態 | 冷凍 |
| メニュー | トマト仕立てのピリ辛スパイスカレー、チーズ香る鶏肉とお豆のチリトマトスープ、ベイクドチーズケーキ等 |
| 導入実績等 | 要問い合わせ |
| 特徴 | 利点:
留意点:
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| 公式ホームページ | https://www.tanita.co.jp/tanitacafe/atoffice/ |
snaq.me office(スナックミーオフィス)
「snaq.me office」は、常温保存ができる設置型社食サービスです。無添加のおやつコースを中心に、ドリンク、惣菜、スイーツパンなどをすべてのコースで常温提供します。冷蔵・冷凍設備が不要で、コンパクトな運用が可能です。従業員に「ほっと一息」、癒しの時間を提供できます。
| 項目 | 詳細 |
| 運営会社 | 株式会社スナックミー |
| 初期導入費用 | なし |
| 月額利用料 | なし(月会費・導入費・更新費・送料などはすべて無料) |
| 従業員負担 | プランにより選択可能(従業員負担型・企業負担型) |
| 商品形態 | 常温 |
| メニュー | おやつ、ドリンク、スイーツパン、おつまみ、ジャーキー、プロテインバー、ヴィーガン、惣菜
メニュー例(おやつコース): |
| 導入実績等 | 要問い合わせ(数名規模〜実績あり) |
| 特徴 | 利点:
留意点:
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| 公式ホームページ | https://office.snaq.me/ |
関連記事:2025年版「設置型社食サービス」12種類を徹底比較!選び方・特徴まとめ
食事補助が福利厚生費として認められる条件
設置型社食の導入を検討する際、税務処理は重要な検討ポイントです。
食事補助は法定外福利厚生に該当します。適切な運用により福利厚生費として経費計上することで、企業が提供する食事補助は福利厚生費として経費計上(損金としての扱い)が可能となり、従業員は非課税での受け取りが可能です。
国税庁が定める食事補助の非課税要件を満たすためには、以下3つの条件を満たす必要があります。
税務上のメリットを最大限活用するためには、導入前に税理士等専門家へ相談するのもよい選択です。
条件1:現物給付による提供
食事補助は現金給付ではなく、「現物給付」で行う必要があります。食事そのもの、食事券、ICカードなどが現物給付に該当します。現金での食事手当は給与扱いとなり、福利厚生費として計上できません。設置型社食サービスの交通系ICカードや専用アプリでの決済は、この要件を満たす現物給付として認められます。
条件2:半額以上の従業員負担額
従業員が食事代の半分以上を負担していることが必要です。この条件を満たさない場合、食事補助は給与と見なされ課税対象となります。例えば、商品価格が200円の場合、従業員は100円以上(50%以上)を負担する必要があります。
条件3:企業負担の上限額
1か月あたりの企業負担額が3,500円(税別)以下であることが求められます。企業負担額は「食事代全額-従業員負担額」で計算されます。設置型社食の場合、月間の利用回数や商品単価によって調整が必要です。ここまでの条件を一つでも満たさないと、給与課税の対象となります。
関連記事:【税理士監修】置き型社食は給与課税?非課税が認められる条件と上限額
設置型社食導入のメリット
設置型社食の導入で得られる企業側と従業員側の主要なメリットを紹介します。
企業側のメリット
導入の手軽さ
多くの設置型社食は、サービス業者が専用の冷蔵庫・冷凍庫を設置してくれます。社員食堂のように、膨大な費用をかけて敷地を確保し、栄養士をはじめとするスタッフの手配、食材の仕入れなどは必要ありません。
管理負荷の軽減
食品の在庫チェックや補充をすべて業者が行うケースもあります。会計もキャッシュレス決済が主流です。仕出弁当のように前日までに各部署の注文を確認したり、従業員の利用料金を毎月計算したりする管理負担を軽減できます。
24時間利用機会を提供
設置型社食は24時間いつでも利用可能です。ハイブリッドワークを導入している企業や、営業職、夜勤の多い職種など、いつも同じ時間帯に昼食をとれない従業員も利用できます。
福利厚生として求職者にアピール
従業員を大事にする象徴でもある福利厚生は、企業の魅力を高めます。特に食事補助は日常的にメリットを感じられる福利厚生として求職者へのアピール度が高く、他社との差別化に貢献します。
離職防止
既存従業員にとっても企業から大切にされている実感が得られ、満足度向上や離職防止にも効果的です。
従業員側のメリット
食費の節約
市場価格よりも低コストで食べられるサービスが多く、食費の節約効果が喜ばれます。
時間短縮
外出して食事を購入する時間を削減でき、限られた休憩時間を有効活用できます。忙しい職場では、オフィス内で手軽に食事を済ませられる利便性が高く評価されています。
健康増進効果
栄養バランスや塩分、カロリーに配慮したメニューが豊富など、従業員の健康増進に配慮できます。健康経営を実践している企業にとって有効な施策となります。
コミュニケーション活性化
設置型社食の設置エリア付近には従業員が集まるようになります。補充のタイミングを楽しみにしたり、おすすめメニューの情報交換したりと、従業員同士のコミュニケーション活性化にも効果的です。
設置型社食:導入前の検討ポイント
設置型社食導入で成功するために検討が必要なポイントを説明します。
事前準備
従業員ニーズの事前調査
利用したい時間帯、よく食べるジャンル、1週間あたりの想定利用回数、食物アレルギーの有無などをアンケートで確認しましょう。メニュー等を参考に、どの社食サービスを利用したいのかアンケートを行うことで、導入後のミスマッチを防げます。
利用率の適切な見積もり
適切な利用者数、利用頻度の見積もりが導入効果を最大化します。利用率が低いと、商品が余るリスクも発生します。事前アンケートで利用頻度をヒアリングするのもおすすめです。
設置環境の事前確認
設置する環境については、電子レンジや冷蔵庫の設置スペース、電源設備の確認、従業員の動線を考慮した配置が必要です。利用しやすい環境が利用率アップにつながります。
契約・費用面
契約内容や費用については以下を確認しましょう。
契約条件の把握
サブスクリプション型サービスが主流で、最低契約期間や違約金の確認が必要です。万が一に備えて解約方法や申請期限を把握しておくとよいでしょう。
費用体系と税務処理の明確化
初期導入費用、月額利用料、商品価格、従業員負担額、その他追加費用等を明確にしましょう。各サービスに問い合わせると詳細を把握できます。
また、福利厚生費計上の可否も重要な確認ポイントです。企業負担分につき、非課税扱いとなるのか、給与課税されるか確認し、税理士や会計部門との確認も含めて推奨されます。
導入前の検証にはトライアルを活用
トライアルでの利用により、実際の導入前に従業員の反応を確認できます。導入する設置型社食サービスの候補をある程度絞ったら、ぜひ試してみてください。
多様な食事補助サービスの選択肢
設置型社食は24時間利用でき健康的なメニューを提供しますが、他の食事補助サービスとも比較検討することをおすすめします。チケット型サービスやデリバリーサービスなど、異なる特徴を持つサービスと比較することで、自社のニーズに最適な選択肢を見つけやすくなります。
チケット型サービス「チケットレストラン」との比較
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全国25万店舗以上の加盟店(コンビニ、飲食店、カフェチェーン等)において、専用のICカードを使用して食事補助を受けられる食の福利厚生サービスです。24時間利用可能で、社外での食事から社内に持ち込んでのランチまで柔軟に対応します。
費用:
- 初期導入費用:システム設定料、カード代金、カード配送料など
- 月額利用料:企業と従業員で折半しチャージ(原則一人あたり3,500 円)
- 従業員負担:チャージ料として原則3,500 円(1人あたり)
企業内に設備を設置する必要がなく、月1回のチャージのみで運用できるため、福利厚生担当者の管理負担を軽減できます。
「チケットレストラン」がおすすめの企業:
- オフィス内にスペース確保が困難
- 従業員の勤務時間、勤務場所、外出頻度がバラバラ
- 管理業務の負担を最小限に抑えたい
- 食事補助の非課税枠を活用したい
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
デリバリー・弁当宅配サービスとの比較
弁当宅配サービスは、外部業者がオフィスに弁当やおかずを配送し、従業員が休憩スペースで食事を取る形式です。大きなスペースを必要とせず、できたての温かい食事を外出せずに楽しめるのが特徴です。
費用例(社食DELI:導入実績700社以上)
- 初期導入費用:なし
- 月額利用料:月額運営費あり(詳細は要問い合わせ)
- 商品代金:1食630円〜700円(税込)※企業補助により従業員負担軽減可能
- 配送料:要問い合わせ
公式ホームページ:https://www.shashokudeli.com/
多くのデリバリーサービスでは、備品レンタルや設営・片付けを提供側が担当するため企業の運営負担がほとんどありません。ただし、サービスによっては毎日の注文取りまとめが必要な場合もあります。
都心部では複数のサービスから選択できますが、立地によっては利用可能なサービスが限られます。
デリバリーサービスがおすすめの企業:
- できたての温かい食事を重視
- 決まった時間に拠点内で休憩を取れる職場
- 都心部などデリバリー対応エリア内に立地
設置型社食は24時間提供可能!併用もおすすめ
働き方の多様化が進む現在、設置型社食は24時間いつでも利用でき、健康に配慮されたメニューを手軽に職場で摂取できる魅力的な食事支援の選択肢として評価されています。早朝から夜間まで柔軟な利用を実現し、従業員の食生活サポートを通じて働く環境の満足度向上にも貢献します。
また、他の食事補助サービスとの併用により、さらに充実した福利厚生環境の構築が可能です。特に企業内で食事をとれない従業員向けとして「チケットレストラン」との併用がおすすめです。全国の飲食店やコンビニで利用できるため、設置型社食を提供するのが難しい外回りや在宅勤務の従業員にも、働き方に合わせた食事補助を提供できます。
これまで紹介した各サービスの特徴を参考に、自社の状況に最適な食事補助の方法を見つけてください。
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