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エデンレッドブログ

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2024年問題とは何?働き方改革関連法のおさらい。運送・物流、建設業に与える影響と対策もチェック

2023.04.21

「2024年問題」とは具体的にどのような内容なのでしょうか?「働き方改革関連法」(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)により、時間外労働の制限が以前より厳しい内容となりました。2024年4月1日からは運送・物流、建設業などにも制限が適用されます。これにより発生する問題や解決しなければならない課題は山積みです。問題の解決に向け有効な対策を見ていきましょう。職場環境の改善から課題解決にアプローチできる「チケットレストラン」も紹介します。

2024年問題とは何か

働き方改革関連法による時間外労働の上限規制で起こる可能性のある、さまざまな問題が2024年問題です。働き方改革関連法により、時間外労働や休日出勤についての制限が従来より厳密になりました。定められた時間数を超え、従業員を時間外労働や休日出勤に従事させたときには罰則の対象です。

従業員の働く環境を整えるためにプラスに働く法律ですが、人材が不足し長時間労働が当たり前の業種では、法律を守ることで問題が発生する可能性があります。

特に業務内容の性質によって長時間労働になりやすい運送・物流、建設業は、対応に時間がかかることが予想されました。対応できるよう猶予が設けられた結果、2024年4月1日から時間外労働や休日出勤についての規制が適用されます。

ただし人材不足の目立つ運送・物流、建設業では、全ての企業が十分な対策を行えているとはいえない状況です。長時間労働が罰則付きで規制され、従業員1人あたりの走行距離や労働時間が減少すれば、企業の収益が減少するかもしれません。

従業員は時間外手当が減る分収入が減るケースもあるでしょう。運賃や工事費の上昇も予想されます。

働き方改革関連法について確認

働き方改革関連法は2019年4月1日から順次施行されています。ポイントは以下の3点です。

  • 時間外労働の上限規制
  • 年次有給休暇の取得義務化
  • 同一労働同一賃金の徹底

ここでは年次有給休暇の取得義務化と同一労働同一賃金の徹底について見ていきましょう。

年次有給休暇の取得義務化

1年に10日以上の年次有給休暇が付与される従業員には、企業が年5日の有給休暇を取得させることが義務になりました。有給休暇を従業員が取得するときには、以下のいずれかの方法で行います。

  • 従業員から取得するタイミングの希望を聞いた上で日にちを指定する
  • 従業員の希望に応じて有給休暇を取得させる
  • 労使協定で取得日を定める計画年休として取得させる

企業が従業員へ年5日の有給休暇を取得させない場合には、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科されるルールです。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

参考:e-Gov法令検索|労働基準法

同一労働同一賃金の徹底

正社員・契約社員・パート・アルバイトなど、企業ではさまざまな雇用形態の従業員が働いています。これまでは雇用形態が異なると、同じ仕事をしていても賃金をはじめとする待遇が異なることがありました。

働き方改革関連法では、理想の暮らし方やライフステージに合わせ、従業員にとって最適な働き方を選べるよう、同一労働同一賃金を徹底するよう定めています。理由なく待遇に差を設けることは禁じられていますし、仮に待遇に差があるときには非正規雇用の労働者から事業主へ待遇についての説明を求められます。

また従業員との間に待遇に関する紛争が起きたときには、行政ADRによる解決も可能です。行政ADRを活用すれば、自社内で起こった待遇についての紛争について、都道府県労働局の手を借り、無料・非公開で解決手続きを実施できます。

参考:厚生労働省|雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

時間外労働の上限規制について

2024年問題に直接関わる時間外労働の上限規制についても解説します。時間外労働や休日出勤については従来も法律で定められていましたし、時間外労働について定める36協定の締結も行われていました。

ただし働き方改革関連法の施行前は、36協定を結べば事実上無制限に従業員を時間外労働や休日出勤に従事させられる内容でした。現在は働き方改革関連法の施行により、時間外労働が厳しく制限されています。

時間外労働の上限時間は年720時間

原則として労働時間は1日8時間、1週間40時間が限度と労働基準法第32条1項で定められています。加えて同法第35条に記載されているのは、毎週1回は休日がなければならないというルールです。36協定を締結していないなら労働基準法に従わなければならず、そもそも従業員に時間外労働を命じられません。

36協定を締結している場合でも、原則として時間外労働は月45時間かつ年360時間が上限です。臨時に特別な事情がある場合に限り、時間外労働の上限が年720時間以内、2~6カ月の平均が月80時間以内になります。ただし月45時間を超える時間外労働は1年のうち6カ月が限度です。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

参考:e-Gov法令検索|労働基準法

労働時間の上限を超える残業には罰則

時間外労働の上限を超えた場合には罰則が設けられています。違反すると6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科されるかもしれません。

これまでは時間外労働の上限を超えても企業に罰則はありませんでした。働き方改革関連法によって罰則ができたため、企業はルールをより厳密に適用する必要が出てきています。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

上限規制の適用が2024年からの事業もある

時間外労働の上限規制の適用は、全ての企業へ一斉に施行されているわけではありません。2019年の法律施行とともに適用されたのは大企業のみです。中小企業には1年間の猶予が与えられ、2020年4月1日から適用され始めました。

また以下の4種類の事業は、さらに長く5年間の猶予期間を設けられており、上限規制が2024年4月1日から適用されます。

  • 建設事業
  • 自動車運転の業務(運送・物流)
  • 医師
  • 鹿児島県と沖縄県の砂糖製造業

4種類の事業はどれも長時間労働になりやすく、時間外労働の上限規制に対応するには時間がかかると考えられ、猶予が与えられました。ただし猶予期間中に上限規制を遵守するための体制づくりが十分できていないケースもあり、2024年問題に注目が集まっています。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

運送・物流の2024年問題

運送・物流は自動車運転の業務に分類され、時間外労働の上限規制が2024年4月1日から適用されます。ただし他の事業と比べると上限規制の内容は厳しいものではありません。それでも規制の適用による2024年問題が懸念されています。

運送・物流は他の事業と比べゆるい上限規制

2024年4月1日から自動車運転の業務に適用される時間外労働の上限規制は、他の事業と内容が異なります。

36協定を結ぶと時間外労働の上限が年960時間になりますし、時間外労働と休日労働を合わせ月100時間未満かつ2~6カ月の平均を80時間以内に抑えなければいけない規定や、月45時間を超え時間外労働を命じられるのが年6カ月までとする規定は適用外です。

厚生労働省の「改善基準告示見直しについて(参考資料)」によると、トラックドライバーの時間外労働は大型が月35時間、中小型が月31時間で、年間に換算してもそれぞれ420時間と372時間です。

36協定を結んでいれば、自動車運転の業務に適用される時間外労働の上限規制の範囲内に収まります。ただし厚生労働省の他の調査では、1カ月の時間外労働の平均時間が88.3時間という結果も見られます。

これでは1年間の時間外労働が1,059.6時間となり、自動車運転の業務に適用される上限規制を超えてしまいます。企業によっては2024年4月1日までに十分な対策ができないまま、ドライバーの労働時間を減らさなければいけないケースも出てくるでしょう。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

企業の売上や利益が減る

時間外労働の上限規制が適用されると、ドライバー1人あたりの労働時間が減り走行距離も短くなります。ドライバーの人数を増やせなければ、運べる荷物が減り企業の売上や利益は減少することが予想されます。

ドライバーの収入減

ドライバーの収入減も起こるかもしれません。給与に占める時間外労働の賃金が多い場合、上限規制が適用されることで時間外労働に対する賃金が減り、収入減につながるケースも出てくるでしょう。

運賃のアップ

顧客には運賃アップという形で影響が出る可能性があります。企業が減収減益をカバーし、ドライバーにこれまで通りの給与を支払うため、運賃アップで不足分を補おうとするケースが考えられるためです。

建設業の2024年問題

2024年問題は建設業でも懸念されています。通常の事業であれば原則上限規制が適用されるため、運送・物流と比べ制限が厳しい中、具体的にどのような問題が起こると予想されているのでしょうか?

建設業は上限規制が原則適用

建設業は時間外労働の上限規制が原則としてそのまま適用されます。災害の復旧や復興に関する事業については、時間外労働を月100時間未満、2~6カ月の平均を80時間以内に抑える規制の対象外ですが、通常の事業は以下の規制の対象です。

  • 36協定を結ぶことで原則月45時間、年360時間まで時間外労働が可能
  • 臨時的で特別な事情があるときは年720時間までの時間外労働が可能
  • 臨時的で特別な事情があるときでも時間外労働と休日出勤の合計は月100時間未満
  • 臨時的で特別な事情があるときでも時間外労働と休日出勤の2~6カ月の平均は80時間以内
  • 臨時的で特別な事情があるときでも月45時間を超え時間外労働命じられるのは年に6カ月が限度

運送・物流のように、他の事業よりゆるい上限規制は設けられていません。

工期の遅れ

時間外労働の上限規制によって、2024年4月1日から建設業でも従業員1人あたりの労働時間が厳しく制限されます。これにより1人あたりの労働時間が減ったとき、不足分を補填する人材を確保できなければ、生産性の低下が起こるかもしれません。

予定していた工期に遅れが生じる可能性も考えられます。

給料の減少

企業によっては基本給を低く抑え、時間外手当を多く出す給与形態を取っていることもあるでしょう。このような給与形態では、時間外労働の上限規制の影響を受けやすくなります。給与形態が変わらなければ、時間外労働が減る分給与も減るかもしれません。

工事費の高止まり

2021年半ばから建設工事費は上昇傾向です。住宅建設の需要が高まったことに加え、山火事といった出来事から木材の供給不足によるウッドショックが起こり、建材の価格が高騰していることも理由の1つとしてあげられます。

加えて2024年問題への対応で人材を採用し上がった人件費は、工事費へ上乗せされることが考えられます。急激に建設工事の需要が落ち込まない限り、工事費は高い水準で推移していく予想です。

運送・物流、建設業の抱える課題

2024年問題が指摘されている運送・物流、建設業には共通の課題があります。長時間労働の常態化と少子高齢化による人材不足です。時間外労働の上限規制を守ると労働力が不足しますが、労働力の不足分を補填する十分な人材を確保できない企業が多くあります。

長時間労働の常態化

厚生労働省「月勤労統計調査 令和4年分結果確報」によると、運輸業・郵便業の月間労働時間は165時間、建設業では163.5時間です。年間だとそれぞれ1,980時間、1,962時間となります。全体平均の月136.1時間、年1,633.2時間と比べても長時間です。

2024年4月1日からは、このように常態化した長時間労働を改めなければいけません。

参考:厚生労働省|月勤労統計調査 令和4年分結果確報

少子高齢化による人材不足

長時間労働をなくし上限規制内で働けるよう制度を整えるには、不足する労働力を補うための人材が必要です。ただし少子高齢化による人材不足が進行している中、人材の確保はそう簡単にはいきません。

国土交通省の「トラック運送業の現況について」によると、大型トラックの運転業務を行っている人の平均年齢は47.5歳、中型トラックでは45.4歳です。全職業の平均である42.2歳と比べ平均年齢が高く、経験を積んだ年長者が多く若手は少ない傾向であると分かります。

また国土交通省の「最近の建設業を巡る状況について【報告】」では、建設業で働いている人の高齢化が進んでいる現状が示されています。

2021年には55歳以上が36.0%であるのに対し29歳以下は11.8%です。全産業の平均と比べると、55歳以上は多く29歳以下が少ないと分かります。

定年退職により減っていく人材に対し、十分な人材を採用できない企業も出てくるかもしれません。

課題解決に役立つ施策

長時間労働や人材不足を解決するには、企業による積極的な取り組みが必要です。課題解決に役立つ施策をチェックし、自社が実施できるところから取り組んでみてはいかがでしょうか。

従業員が安心して働ける給与体系

十分な人材を確保するには給与体系の整備が役立ちます。例えば基本給が安く時間外手当の割合が高い給与体系のままでは、時間外手当の制限規制が適用されると給与が大幅に減ってしまうかもしれません。

給与体系を見直し、従来と同程度の給与を従業員が受け取れれば、安心して働きやすくなるでしょう。

業務効率化のためのICTやIoT

時間外労働を減らさなければならず、減った労働力を補填する人材も不足しているなら、業務効率化を推進するのが有効です。業務管理のためのシステムや現場での労働がスムーズになる機器を導入することで、より効率的に人材を活用できる体制を作れます。

職場環境の改善

働きたいと感じる職場環境の整備もポイントです。業務の配分見直しや、適性な評価基準の設定、福利厚生の充実などで職場環境を改善できます。

時間外手当の減少で給与が減る見込みなら、従業員の生活をサポートする福利厚生を導入するのも有効です。例えば住宅手当や食事補助がおすすめです。

福利厚生を充実させるなら「チケットレストラン」

職場環境を改善する福利厚生として食事補助を導入するなら、「チケットレストラン」を検討してみませんか。対象の飲食店やコンビニの利用を企業がサポートできるため、配送先や現場付近でも使いやすいでしょう。

国税庁の定める「従業員が半分以上の金額を負担していること」「1カ月の補助が3,500円(税別)以下であること」を満たせば、企業が負担する費用は福利厚生費として経費計上できます。企業にとってもコストメリットのあるサービスをぜひ利用してみませんか。資料請求はこちらから

2024年問題への対策は計画的に

働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が設けられました。運送・物流、建設業に規制が適用されるのは2024年4月1日からです。これにより企業の減収減益や従業員の収入減・運賃や工事費の値上げなど2024年問題の発生が予想されています。

問題の解決に役立つ対策には、給与体系の整備や業務効率化・職場環境の整備を実施するのが有効です。職場環境の整備には食事補助を提供できる「チケットレストラン」がおすすめです。

2024年問題対策として導入を検討するとよいでしょう。資料請求はこちらから