「人が定着しない職場」3つのリスク
人が定着しない状況を放置した場合、企業が受ける損失は決して小さなものではありません。まずは、具体的な3つのリスクから解説します。
採用・教育コストの増大
従業員が1名離職するたびに、企業には、求人広告費・採用代行費・選考にかかる人的コストが新たに発生します。
就職みらい研究所の調査では、中途採用にかかる費用は1名あたり103.3万円でした。採用と離職を繰り返せば、この損失は蓄積する一方です。さらに、採用後の研修やOJTへの投資も、早期離職によって無駄になります。
なお、離職が続くと他の従業員の業務負担が増し、「また辞めた」という空気が職場に漂います。その結果、周囲の従業員のモチベーションが低下し、連鎖的な離職につながるケースも少なくありません。
採用と離職の繰り返しは、企業の資金と人材の双方を同時に消耗させるのです。
参考:就職みらい研究所|就職白書2020 ~冊子版 PDF~
「人が辞める会社」という評判による採用難化
SNSや転職口コミサイトが普及した近年、「人が辞めやすい会社」という評判は瞬く間に外部へ広がります。
在職中の従業員が匿名で投稿した口コミや転職サイトの評価スコアは、求職者が応募先を選ぶ際の重要な判断材料です。定着率の低さが表面化した場合、応募者数の減少は避けられません。
採用難が続けば採用基準を下げざるを得なくなり、さらなるミスマッチや早期離職を招くという悪循環に陥ります。結果として、採用コストが増大するうえ、入社してくる人材の質も担保しにくくなるという二重の問題が生じます。
「人が定着しない職場」という評判は一度広まると払拭は簡単ではありません。採用力の回復には長期的な取り組みが必要となります。
企業イメージの毀損
「人が定着しない職場」であることは、取引先や顧客との関係にも波及します。
従業員が頻繁に入れ替わる職場では、担当者が変わるたびに顧客との関係を一から築き直す必要があります。サービス品質が安定しにくいのはもちろんのこと、引き継ぎが不十分なまま業務が続けば、クレームの増加や顧客離れを招くリスクも否定できません。
さらに、離職率の高さは株主や投資家にとってもネガティブな指標と映ります。「人が定着しない会社」という印象が広がると、採用・取引・資金調達のいずれの場面でも不利な立場に置かれかねません。
定着率の問題は、社内の課題にとどまらず、企業の信頼性と競争力を長期的に損なうリスクをはらんでいるのです。
人が定着しない職場に共通する6つの特徴
「なぜ自社の従業員は辞めてしまうのか」その答えを探るには、人が定着しない職場に共通する特徴を知ることが第一歩です。ここでは、人が定着しない職場に共通して見られる特徴を、6つの視点から解説します。
① 職場の人間関係・雰囲気が悪い
上司の威圧的な言動、同僚間の陰口や派閥、挨拶すら交わされない殺伐とした空気——。こうした「心理的安全性」が低い環境では、出社そのものが従業員にとって精神的な負荷になります。不満を誰にも打ち明けられないまま、静かに退職の準備を進めるケースも少なくありません。
この問題の難しさは、経営層の目に届きにくい点にあります。一般的に、部下は上司に本音を伝えにくいため、不満が水面下で蓄積されていきます。退職の申し出があったときにはすでに気持ちが固まっていて、引き止めに応じてもらえないケースが大半です。
② 長時間労働・休日出勤が常態化している
勤務時間の長さや休みの取りにくさは、従業員の体力と精神力を静かに蝕みます。
残業が常態化するなかでプライベートの時間が削られれば、家族との関係が悪化したり、健康状態に悪影響を及ぼしたりする可能性も否定できません。特に、ワークライフバランスを重視する若い世代の従業員は、「この職場では長く続けられない」と見切りをつけ、離職の決意を固めやすくなります。
ここで注意したいのは、管理側と現場の間で課題感にズレが生じやすい点です。有給休暇はあるものの取りにくいなど、制度が形骸化し、名ばかりになっている可能性も無視できません。
③ 採用時の説明と入社後の実態に大きな差がある
求人票や面接で提示された労働条件・業務内容と、実際の職場の現実に大きなギャップがある場合、入社直後に「こんなはずではなかった」という心理的ショックが起きます。これを「リアリティショック」と呼び、早期離職の主な原因のひとつとされています。
意図的な虚偽でなくとも、採用担当者が現場の実態を正確に把握していないケースや、「良いことだけを伝えてしまう」という慣習から生じるケースも少なくありません。
採用の時点で自社のリアルな職場環境や課題をどれだけ共有できるかが、定着率を左右する重要なポイントです。
関連記事:若手社員の離職防止に必要な取り組みは?新卒の離職率もチェック
④ 評価制度が不透明で頑張りが報われない
昇給・昇進の基準が曖昧な職場では、どれだけ成果を出しても「自分は正当に評価されているのか」という不安が拭えません。
具体例としては、特定の上司との関係や主観的な印象が評価に影響していると感じる職場、完全な年功序列の職場などが挙げられます。こうした職場では、努力が報われないために従業員のモチベーションはおのずと低下します。
キャリアに真剣に向き合っている従業員ほど、自身の評価には敏感です。より公正な評価を求める動きが加速した結果、「優秀な人材から辞めていく」事態に陥るケースは決して珍しくありません。
評価制度の透明性は、定着率と組織の質を守る大切な要素です。
⑤ 成長・キャリアアップの機会が見えない
「この会社にいても成長できない」と感じた瞬間から、従業員の気持ちは職場の外へ向かい始めます。
特に若手従業員は、成長実感とキャリアの展望を仕事を続ける上での重要な動機とする傾向にあるため、それが得られない環境では定着しにくいのが実情です。
例えば、研修制度が整っていなかったり、昇格ルートが不透明だったり、チャレンジできる業務が少なかったりすると、「ここにいても自分の市場価値は上がらない」と感じがちです。
従業員一人ひとりが十分に能力を発揮できる環境を整備することは、採用力の向上にもつながります。
⑥ 福利厚生・待遇が同業他社より見劣りする
給与や昇進だけでなく、日々の生活で実感できる福利厚生の差も定着率に影響します。
求職者が複数の企業を比較できる今、福利厚生の充実度は「この会社を選ぶかどうか」の判断材料になっています。入社後も「同業他社のほうが条件が良かった」という後悔が離職の引き金になるケースも少なくありません。
特に注目したいのは、日常的に使える制度の有無です。食事補助や交通費補助など、毎日の生活に直結する支援は、従業員が日々メリットを実感できる分、満足度への貢献度が高い傾向があります。
在宅・外勤・夜勤など、多様な働き方をする従業員全員に公平に提供できる制度かどうかも重要なポイントです。
経営層が「従業員が辞める本当の理由」に気づきにくい構造的な理由
「なぜ自社の従業員は辞めるのか」についての答えを経営者が把握しにくい背景には、構造的な問題があります。
退職を申し出る従業員の多くは「一身上の都合」「キャリアアップのため」という建前の理由を挙げます。これは、上司への遠慮や「言っても変わらない」という諦めによるものです。こうした状況では、経営層が従業員の抱える不満に気づくことは基本的にできません。
職場への不満を経営層に伝えにくい環境は、多くの組織に共通して存在します。根本的な課題の解決には、不満を早期に吸い上げる組織としての仕組みづくりが求められます。
人が定着する職場にするための4つの改善施策
人が定着しない職場から、人が定着する職場へと変わるには、具体的にどのような対策をすればよいのでしょうか。ここでは、どんな組織でも実践できる4つの改善施策を紹介します。
① 採用の入口でミスマッチを防ぐ
人が定着する職場を目指すうえで、第一に注目したいのが、採用の入口です。
まず、求人票の内容が実態と乖離していないか定期的に見直すことが重要です。良い点だけを強調した求人票は、入社後のリアリティショックを引き起こしかねません。業務の難しさや職場の課題も正直に伝える「リアリスティック・ジョブ・プレビュー」の考え方を取り入れると、入社後のミスマッチ軽減につながります。
また、選考回数を増やし、応募者との対話の機会を十分に確保することも有効です。面接では会社が一方的に話すのではなく、応募者が職場の雰囲気や働き方をイメージできるような工夫を心がけましょう。
② 定期的な1on1で「現場の声」を拾う仕組みをつくる
経営層が現場の実態を把握しにくい構造への対処法として、1on1(1対1面談)の定期実施も検討しましょう。上司と部下が定期的に対話する場を設けることで、日常業務では表に出てこない不満や悩みを早期にキャッチできます。
ただし、形式的な進捗確認で終わらせてしまっては意味がありません。部下が本音を話しやすくなるよう、上司の傾聴スキルを高める研修とセットで取り入れることが効果的です。
月に1回程度の頻度で継続することにより、離職の予兆を早期に察知できる組織づくりにつながります。
③ 評価基準を明確にして「納得感」を高める
評価制度の透明化は、従業員の定着に直結する施策です。昇給・昇進の基準を文書化して従業員へ開示し、「何をどれだけ達成すれば評価されるのか」を明確にすることから始めましょう。基準が見えることで、従業員は目標に向かって自律的に動きやすくなります。
評価の結果だけでなく、評価のプロセスや根拠を上司が丁寧にフィードバックすることも欠かせません。「なぜこの評価なのか」を説明できる体制を整えることで、従業員の納得感が高まります。
評価への納得感は、エンゲージメントを高め、長期的な定着の基盤となります。
④福利厚生を見直し「選ばれる職場」をつくる
給与の引き上げ以外の待遇改善として、福利厚生の注目度が高まっています。日常のなかで使える福利厚生を提供することで、従業員が日々その恩恵を感じやすく、自社への帰属意識や貢献意欲の醸成につながると期待されているためです。
なかでも近年、注目を集めているのが食事補助の福利厚生です。2026年4月より、食事補助の非課税上限額が従業員1人あたり月額3,500円から7,500円へと大幅に拡大されました。
これにより、企業が従業員へ提供できるメリットが大きくなり、採用・定着の両面で効果が期待できる施策として導入や見直しを進める企業が増えています。
参考:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
参考:国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
4000社以上が導入「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、全国25万店舗以上の加盟店での食事を半額で購入できるサービスです。
加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・カフェ・三大牛丼チェーンなど幅広く、使用する人の年代や好みを問いません。勤務時間中にとる食事であれば利用する時間や場所の制限もないため、内勤・外勤・リモートワーク・夜勤者など、すべての従業員が公平に利用できる点も魅力です。
2026年4月にはAIがレシートを自動解析する「証憑スキャン機能」や、さらにお得に食事を楽しめる「食のクーポン機能」といううれしい機能も追加され、ますます注目度を高めているサービスです。
参考:株式会社エデンレッドジャパン|チケットレストラン、AIによるレシート解析機能「証憑スキャン」を 4月1日(水)より提供開始 ~食事補助の適正運用を支援。公式アプリからレシート撮影で自動解析、管理工数を最小化~
参考:株式会社エデンレッドジャパン|チケットレストランで「食のクーポン」を公式アプリでスタート
【Q&A】人が定着しない職場にまつわるよくある疑問
ここでは、人が定着しない職場に関連し、多く寄せられる疑問についてQ&A形式で紹介します。
Q. 人が定着しない職場の一番の原因は何ですか?
【A. 単一の原因ではなく、人間関係・評価制度・採用のミスマッチなど複数の要因が絡み合っているケースがほとんどです。】
退職理由の多くは「一身上の都合」などの建前であり、実態をつかむには従業員へのアンケートや1on1、退職者インタビューが欠かせません。「どの問題がもっとも影響しているか」を整理した上で、優先度の高い施策から着手することが定着率改善への近道です。
Q. パートやアルバイトが定着しない職場の特徴は何ですか?
【A. シフトの不透明さ・正社員との待遇格差・コミュニケーション不足が主な原因として挙げられます。】
パートやアルバイトは「自分だけ取り残されている」と感じやすく、情報共有や日常的な声かけが欠かせません。福利厚生を正社員と同様に提供することも有効で、食事補助など全員が平等に使える制度を整えることが職場への帰属意識を高めます。
Q. 定着率を上げるために、まず何から始めればいいですか?
【A. まずは「なぜ辞めるのか」の実態把握を行い、着手しやすい施策から順に取り組むことをお勧めします。】
取り組みの優先順位としては、①求人票の見直し、②1on1の導入、③福利厚生の整備が挙げられます。なかでも食事補助は導入のハードルが低く、すべての従業員が日常的に恩恵を実感できる点で見逃せません。まずひとつ、着手しやすい施策から動き出すことが定着率改善への第一歩です。
関連記事:食事補助が離職率低下につながる理由や実際の導入事例をチェック
人が定着する職場づくりは、小さな施策の積み重ねから
人が定着しない職場には、人間関係・評価制度・採用のミスマッチ・福利厚生など、複数の共通した課題があります。放置するほど、採用コストの損失と組織力の低下が連鎖しやすいため、課題を抱えた企業は早期の対策が必要です。
施策の具体例としては、採用基準の見直し、1on1の導入、「チケットレストラン」をはじめとする福利厚生の整備などが挙げられます。まず一つから着手し、従業員から愛され、優秀な人材が長期的に定着する企業を目指しましょう。
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
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