「退職代行」とは?
「退職代行」とは、従業員本人に代わり、退職の意思を勤務先に伝える外部代行業者のことです。
主な運営主体は、弁護士・労働組合・民間企業で、近年若い世代を中心に支持を広げています。「辞めたいけれど自分から言い出せない」「辞めさせてもらえない」といった状況にある従業員にとって、「心理的負担を軽減できる」「スムーズに退職を実現できる」という大きなメリットがあります。
一方、企業側にしてみると、退職代行を通じての退職は理由が不明かつ突然の退職となりやすく、再発防止策につながりません。今後の離職防止を図ることが難しいという点で、デメリットの大きい仕組みです。
関連記事:【退職代行】調査で見えた「職場の本質的課題」とは?効果的な対策も
若手社員が退職代行を利用するのはなぜ?
若手社員が退職をするにあたり、手間やお金をかけてまで退職代行サービスを利用するのはなぜなのでしょうか。以下、エン・ジャパンが行った実態調査をもとに解説します。
参考:エン・ジャパン(en Japan)|7700人に聞いた「退職代行」実態調査 ー『エン転職』ユーザーアンケートー
1位は「退職を言い出しにくかったから」
エン・ジャパンでは「退職代行サービスを利用したことがある」と回答した人に対し、退職代行を利用した理由について尋ねました。(年代別/複数回答可)以下の表は、この設問の回答結果から、20代の回答を抜粋したものです。
| 順位 |
理由 |
回答率(20代) |
| 1位 |
退職を言い出しにくかったから |
57% |
| 2位 |
すぐに退職したかったから |
40% |
| 3位 |
人間関係が悪かったから |
34% |
| 4位 |
パワハラやセクハラの被害に遭っていたから |
31% |
| 5位 |
退職を認めてもらえなかったから |
27% |
| 入社して間もなく相談しづらかったから |
退職代行を実際に利用したことがある20代の利用理由としてもっとも多かったのは「退職を言い出しにくかったから(57%)」でした。以降「すぐに退職したかったから」(40%)、「人間関係が悪かったから」(34%)が続きます。
この結果からは「退職意思を伝える行為そのもの」が、新卒をはじめとする若手社員にとって高いハードルになっていることが分かります。
人間関係の希薄さや信頼関係の不在が、辞意を伝える上での高いハードルとなっている実態が明らかとなりました。
どんな環境や条件があれば退職代行を利用しなかった?
同調査では、退職代行を利用した人に対し「どのような環境であればサービスを使わずに済んだか」という質問も行われています。
| 順位 |
条件・環境 |
回答率(20代) |
| 1位 |
上司が話しやすい |
64% |
| 2位 |
職場の人間関係がよい |
57% |
| 3位 |
退職意向をきちんと認めてくれる風土がある |
36% |
| 4位 |
人事が話しやすい |
25% |
| 5位 |
退職者ネットワークがある |
9% |
同じく20代の回答を抜粋したところ「上司が話しやすい」が64%で最多となりました。以降「職場の人間関係がよい(57%)」「退職意向をきちんと認めてくれる風土がある(36%)」となっています。
この結果を通じ、退職代行を利用する・しないを決断する上で「組織内のコミュニケーションの質」が大きな役割を占めていることが明らかとなりました。
若手社員の6割が連休明けに「仕事を辞めたい」と感じている
実際に「仕事を辞めたい」と感じている若手社員の割合はどの程度なのでしょうか。「株式会社Wandering Seagull」が20〜35歳の社会人を対象に行った「職場における退職意思表明の経験」に関する調査をもとに解説します。
参考・画像出典:PR TIMES |【若手社会人に調査】連休明け、6割が「仕事を辞めたい」と感じるも──職場で「気持ち」を言い出せない人に共通する過去の経験が明らかに|株式会社Wandering Seagullのプレスリリース
5割以上が「仕事のことを考えると強いストレス」
同調査で「連休明けに『仕事を辞めたい』と感じたことがあるか」と尋ねたところ、「とてもある(25.5%)」「ややある(32.2%)」と、約6割が辞めたいと感じた経験があると回答しました。
その理由として、もっとも多かったのは「仕事のことを考えたとたん強いストレスを感じたから(55.9%)」です。続いて「働いていない時間が快適で戻りたくないと感じたから(52.7%)」となりました。
3人に1人が「退職代行は合理的な選択肢」

同調査で、退職代行の利用についてどう思うかを尋ねたところ、最多となったのは「自分が使うイメージは今のところない(37.3%)」でした。一方で「状況によっては合理的な選択肢だと思う」も35.6%と、大きな割合を占めています。
退職代行を利用するメリットとして「精神的な負担が大きく軽減される(32.8%)」が挙げられていることに鑑みるに、「今すぐ利用することはないものの、退職を検討するときには代行も選択肢に入る」人が多いことがうかがえます。
若手社員の退職が企業にもたらすリスク
若手社員の離職は、企業にどのような影響をもたらすのでしょうか。以下、深刻な課題に通じる主なリスクを4つ紹介します。
- 採用・教育コストの損失
新卒1人あたりの採用コストは約93.6万円(「就職白書2020」)に及びます。退職によって説明会・面接・研修などにかけたコストが回収されず、現場のOJTや引継ぎにかかる時間的コストも無駄になります。
- 既存社員への負担増
人員が補充されるまでの間、業務が偏り、長時間労働やストレスの原因になります。「どうせ辞める」という風土が定着すれば、育成意欲や職場の活力にも悪影響を及ぼします。
- 企業イメージの低下
退職代行の利用や早期離職が目立つ職場は、外部から「問題のある会社」と見なされるリスクがあります。SNSや口コミを通じて評判が拡散すれば、企業ブランドにも打撃を与えかねません。
- 優秀な人材の確保が困難に
採用市場が売り手優位の今、離職率の高い企業は敬遠されやすく、優秀な求職者が集まりにくくなります。人が辞める企業は、やがて人が入らない企業へと至る可能性があります。
若手の退職が企業にもたらすダメージは決して小さいものではありません。若手の退職防止は、企業にとって喫緊に取り組むべき課題といえます。
参考:就職みらい研究所|就職白書2020
若手社員の退職を防ぐために企業ができること
新卒をはじめとする若手社員の早期離職を防ぐには、単に精神論や働きかけだけでなく、職場の仕組みや待遇面の見直しが不可欠です。ここでは、若手社員の退職を防ぐために企業が行える具体的な施策について解説します。
コミュニケーションを密にする
入社直後の若手社員は、業務だけでなく、人間関係や職場の空気にも戸惑いを感じやすい時期です。
「こんなことを聞いていいのか」「迷惑をかけたくない」との遠慮から、結果的に孤立感や自己否定につながるケースも少なくありません。
こうした課題を解消するには、上司や先輩が能動的に声をかけ、コミュニケーションの機会を増やすことが必要です。
定期的な1on1ミーティングやメンター制度の活用、ランチ時の雑談などを通じて信頼関係の土台を築くことにより、退職のリスクを軽減することができます。
業務内容や役割を見直す
新卒をはじめとする若手社員は、自分の適性ややりたいことが不明瞭な傾向があります。そのため、「このまま続けても成長できる気がしない」「自分に合っていない仕事を延々と任されている」など、理想と現実のギャップを感じやすいのが特徴です。
こうしたミスマッチを放置すれば、仕事への意欲低下や早期離職の引き金になりかねません。そこで重要なのが、業務の進捗状況や本人の感触を定期的に確認し、適性に合った業務内容に見直すことです。
小さな成功体験の積み重ねが「やればできる」という実感につながり、結果として業務へのモチベーションや自社への満足度を高めます。
待遇を改善する
賃金や福利厚生の充実は、「従業員一人ひとりを大切にしている」という企業からのメッセージになります。
職場で何らかの困難に直面したとき、待遇を基準として「もう少し頑張ろう」「これではやっていられない」と判断するケースは少なくありません。
また、待遇は求職者が企業を選ぶ際の重要な条件でもあります。待遇の改善は、優秀な人材の獲得・定着を考える上で無視できないテーマといえます。
新卒の退職防止にも効果的|食の福利厚生「チケットレストラン」
賃上げや福利厚生など、待遇の改善を図る企業の中で、近年特に注目を集めているサービスに、エデンレッドジャパンの運営する食の福利厚生「チケットレストラン」があります。
「チケットレストラン」は、企業と従業員との折半により、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できるサービスです。
加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど幅広く、利用する人の年代や嗜好を問いません。また、勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用する場所や時間に制限がないのも大きな魅力です。
さらに、一定の条件を満たすことによって所得税の非課税枠を活用できるため、同額を給与として支給するよりも従業員の実質的な手取りが増えるほか、企業側の法人税の削減にも効果的です。
充実した福利厚生の提供と実質的な賃上げを兼ね備えたサービスとして、すでに3,000社を超える企業に導入されています。
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
「チケットレストラン」で社内コミュニケーションを活性化させた事例
▼鍼灸接骨院・整体院を展開する「株式会社ほねごり」では、従業員のリクエストによって2024年1月に「チケットレストラン」を導入しました。
導入後、「チケットレストラン」をはじめとする福利厚生の充実と独自の人事施策との相乗効果により、2025年の新卒採用者数が前年の2倍にまで増加。「チケットレストランがあるから少し贅沢しようよ!」など、社内コミュニケーションの活性化にも寄与しているそうです。
→「株式会社ほねごり」の詳細な導入事例はこちら
▼「名古屋商工会議所」では、近年の物価高の中、賃上げの一環として「チケットレストラン」の導入を決めました。
導入後、利用可能店舗の情報共有などを通じ、社内コミュニケーションが活発に。さらに、公平性の高い福利厚生の提供が採用力の強化にもつながっているそうです。
「チケットレストラン」導入後の職員へのアンケートでは、回答者全員から「今後も利用したい」との回答を得られたとのことでした。
→「名古屋商工会議所」の詳細な導入事例はこちら
▼不動産流通事業や注文住宅事業等を手掛ける「株式会社sumarch」では、賃上げ以外で従業員の実質手取りを増やす施策として「チケットレストラン」を導入しました。
導入後、採用活動においても「福利厚生が充実している企業」としてのイメージが浸透し、採用力強化や定着率の向上に寄与しています。
過去には「自社より好待遇の企業はなかった」と、転職を考え直した従業員も出たとのことでした。
→株式会社sumarchの詳細な導入事例は「こちら」
若手の退職を防ぎ、「選ばれ発展する企業」へ
新卒や若手社員による退職代行の利用は、単なる「世代の甘え」ではなく、職場における構造的な問題の表れともいえます。この課題を放置すれば、離職は繰り返され、企業の持続性にも影響を及ぼすことが避けられません。
若手の退職を防ぐ具体的な施策としては、コミュニケーションの活性化や業務内容の見直し、「チケットレストラン」のような福利厚生をはじめとする待遇の改善などが挙げられます。「辞める理由を減らす」ための職場づくりを進め、企業の未来を支える人材の定着と成長を目指しましょう。
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参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
:「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!