看護師の福利厚生は、採用や定着を左右する重要な要素です。看護師不足が深刻化する中、診療報酬の制約により給与だけで差別化することは難しく、福利厚生による待遇改善が求められています。本記事では、看護師に効果的な福利厚生の考え方や具体例、導入のポイントを解説します。
看護師の福利厚生に関するよくある質問
まずは看護師の福利厚生について、よくある質問をチェックしましょう。
Q1 看護師に人気の福利厚生は?
看護師に人気の福利厚生には、住宅手当・社宅、柔軟なシフト、院内託児所、医療費還付、食事補助があります。暮らしのサポートにつながる制度や、医療施設ならではの制度を整えるとよいでしょう。
Q2 給与を上げずにできる待遇改善は?
診療報酬制度により、看護師の待遇は給与のみでの差別化が難しい状況です。このような中、差別化を行うには、要件を満たすことで実質的な賃上げにつながる福利厚生を活用するとよいでしょう。
例えば、社宅や食事補助は、要件を満たすと所得税非課税で支給できます。
関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
Q3 中小病院でも導入しやすい福利厚生は?
規模の小さな医療施設が福利厚生を充実させるには、福利厚生サービスを活用するとよいでしょう。導入や運用をアウトソーシングできるため、手間やコストを抑えつつ福利厚生を充実させられます。
例えば食事補助であれば、エデンレッドジャパンの運営する「チケットレストラン」を利用したアウトソーシングが可能です。
関連記事:福利厚生アウトソーシングとは?導入メリット・デメリットとサービス比較のポイント
看護師の福利厚生が重要な理由
なぜ今、看護師の福利厚生が重視されているのでしょうか。代表的な理由について解説します。
看護師が不足しており採用難だから
看護師の人手不足は年々悪化している状況です。日本医療労働組合連合会が実施した「2025年看護職員の入退職に関する実態調査」では、採用人数と退職者数が減った施設は、いずれも前年より増加しています。
募集をかけても十分な人数が集まらず、今いる看護師は辞めていく、という状況の改善には、福利厚生による待遇改善が有効です。
参考:日本医療労働組合連合会|2025年看護職員の入退職に関する実態調査結果
看護師の求人は給与だけで差別化するのが難しいから
医療機関の主な収入源は国が定めている診療報酬です。自由に価格を上げられないため、看護師の給与にあてられる資金が限られていることから、給与のみでの差別化は難しいのが現状です。
SMSの実施した「医療機関・介護施設に聞いた看護師の働き方に関する調査2025」でも、67.2%の施設が賃上げを実施していますが、78.4%の施設で看護師が不足していると回答しています。
このような状況の中、他の施設と差別化して看護師の採用や定着を促すためにも、福利厚生が役立ちます。
関連記事:看護師賃上げ2026|診療報酬改定で給与は上がる?賃上げ難の理由と対策
参考:SMS|医療機関・介護施設に聞いた看護師の働き方に関する調査2025
看護師のニーズが高い福利厚生
福利厚生は、法律で実施が定められている法定福利と、各事業所が独自に定める法定外福利の2種類に分けられます。このうち、他の施設との差別化につながるのは法定外福利です。
シフト勤務や夜勤があること、女性比率が高いことなどの特徴から考える、看護師が「あるとうれしい」と感じる福利厚生を見ていきましょう。
暮らしをサポートする福利厚生
看護師の給与の推移を、日本看護協会の「病院看護実態調査報告書」をもとに見ていきましょう。
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年度 |
勤続10年看護師の平均税込給与 |
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2023年度 |
32万6,675円 |
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2024年度 |
33万4,325円 |
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2025年度 |
34万278円 |
勤続10年の看護師の平均税込給与は、この3年間で上昇し続けています。ただしこの3年間は物価も上昇し続けているため、暮らしの負担は以前よりも増している状況です。
このような中、暮らしをサポートする住宅手当といった制度は「あるとうれしい」福利厚生の1つといえます。
参考:日本看護協会|日本看護協会調査研究報告シリーズ|病院看護実態調査報告書
心身の健康をサポートする福利厚生
心身の健康をサポートする福利厚生も、看護師の採用や定着につながります。病院やクリニックだからこそ提供できる福利厚生として、医療費還付の実施が有効です。
ワークライフバランスを取りやすくする福利厚生
看護師は夜勤での勤務もある仕事です。日本看護協会の「2025年 看護職員実態調査報告書」によると、看護師の夜勤状況で最も多いのは「16時間以上の夜勤のある2交代制」でした。
また、夜勤がない職場に勤務する看護師や、日勤のみで勤務する看護師もいますが、約60%は何らかの形で夜勤をしています。
不規則になりがちな看護師の働き方では、ワークライフバランスが取りにくいこともあるでしょう。ライフステージの変化に合わせて、プライベートとのバランスを取りやすい柔軟なシフトも、看護師のニーズに合う福利厚生です。
参考:日本看護協会|日本看護協会調査研究報告シリーズ|2025年 看護職員実態調査報告書
キャリアをサポートする福利厚生
看護師が希望するキャリアを実現するための、資格取得をサポートする福利厚生も魅力につながります。
例えば、特定の分野に関するより深い知識や技術を身につけた、専門看護師を目指すには、看護師としての5年以上の経験と、看護系の大学院での修士課程修了、専門看護師認定審査への合格が必要です。
自力で合格するには、大学院へ通うために退職しなければいけないケースもあるでしょう。学費やシフト調整などの福利厚生を整備していれば、退職することなく働きながら合格を目指せます。
また、保健師・助産師・ケアマネジャー・理学療法士などの資格を取得して、ダブルライセンスで活躍の場を広げたいと考える看護師の、資格取得をサポートしてもよいでしょう。
実質的な賃上げにつながる福利厚生
福利厚生の中でも社宅や食事補助などは、要件を満たして導入すると、看護師の納める所得税を増やすことなく支給できる制度です。税額が増えない分、実質的な賃上げにつながります。
関連記事:2026年版【税理士監修】福利厚生費に所得税はかかる?課税・非課税の判断基準
看護師に人気の福利厚生5選
看護師の福利厚生は、コストや導入のしやすさだけでなく、「利用できる人」と「役立つシーン」も考慮して選ぶことが重要です。まずは、紹介する5種類の福利厚生について比較していきましょう。
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福利厚生 |
コスト |
導入難易度 |
利用できる人 |
役立つシーン |
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住宅手当・社宅 |
中 |
中 |
一人暮らしや世帯主の看護師 |
生活費負担の軽減 |
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柔軟なシフト |
低 |
中 |
全員 |
育児・介護などと仕事の両立 |
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院内託児所 |
高 |
高 |
子供を持つ看護師 |
子育て期間中の離職防止 |
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医療費還付 |
低~中 |
低 |
医療を受ける看護師 |
医療費負担の軽減 |
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食事補助 |
低 |
低 |
全員 |
日常的な食費負担の軽減、夜勤時の食事確保 |
「福利厚生に関するアンケート調査」や「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」など近年の福利厚生に関する調査によると、全職員が公平に日常的に利用できる福利厚生が人気です。
医療職を対象とした「「本当に欲しい福利厚生」ランキング」の自由記述でも、生活費の固定費を下げる制度や食事の割引制度がありがたい、といったコメントがありました。
ここでは限られた予算で効果を最大化するために、優先的に整備するべき福利厚生選びに向けて、比較した5種類の福利厚生について特徴を見ていきましょう。
参考
:労務SEARCH|福利厚生に関するアンケート調査
:労働政策研究・研修機構|企業における福利厚生施策の実態に関する調査
:ABCテレビのメディカルキャリア|医療職99名に聞いた「本当に欲しい福利厚生」ランキング
住宅手当・社宅
住宅にかかる費用のサポートにつながる住宅手当や社宅は、看護師の暮らしの負担軽減につながる福利厚生です。制度があることで、施設に近い場所に住めるようになれば、通勤の負担軽減にもつながります。
社宅を提供する方法であれば、一定の要件を満たすことで、看護師の納める所得税を増やすことなく支給することも可能です。
関連記事:【税理士監修】住宅手当は課税・非課税どちら?それぞれのケースや課税額を解説
柔軟なシフト
約60%の看護師が何らかの形で夜勤に従事しています。中には、ワークライフバランスが取りにくいことを理由に離職を選ばざるを得ない状況の看護師もいるかもしれません。
日勤のみ・時短勤務・夜勤専従など、看護師が自身の状況に合わせて働き方を選びやすい柔軟なシフトの導入も、看護師の採用や定着につながります。
参考:日本看護協会|日本看護協会調査研究報告シリーズ|2025年 看護職員実態調査報告書
院内託児所
育児をきっかけとする離職を防ぐには、院内託児所の設置が役立ちます。一般の保育園に預ける選択肢もありますが、夜間や休日の保育は限定的なケースが多いでしょう。看護師の勤務に合わせて利用しやすい院内託児所を設置すれば、離職を選ぶ看護師を減らせる可能性があります。
医療費還付
医療施設ならではの福利厚生として、医療費還付を導入してもよいでしょう。看護師本人に加えて、配偶者や子供など家族も対象として、一定以上の診療費を還付する仕組みです。
食事補助
看護師の食事代をサポートする食事補助も、採用や定着に役立つ福利厚生です。以下の要件を満たして導入することで、所得税額を増やすことなく支給できるため、実質的な賃上げにもつながります。
- 看護師が食事代の半分以上を負担していること
- 「食事代-看護師の負担した金額」が1カ月あたり7,500円(税抜)であること
ここでは、食事補助が看護師の福利厚生としておすすめな理由も見ていきましょう。
夜勤があり勤務が不規則なため
夜勤があり勤務が不規則になりがちな看護師は、食事の調達が難しいこともあります。施設に食堂があったとしても、休憩を取れるのが食事の提供時間外であることもあるでしょう。
食事補助があれば、看護師は自由な時間に食事を購入できます。また、夜勤で働く看護師への食事補助であれば、1食あたり650円(税抜)まで所得税非課税での支給が可能です。
健康維持につながるため
食事補助があれば、その分バランスの良い食事を購入しやすくなります。
例えば、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入した医療法人社団順栄会 浜田戸部整形外科(導入事例)では、職員から「いろいろなお店で使えるので、バランスの良い食事ができる」といった声があがっています。
実質的な手取りアップにつながるため
要件を満たして導入することで所得税が非課税となるため、実質的な手取りアップにつながるのも、食事補助のメリットです。
訪問看護ステーションを運営するMIRAI station株式会社(導入事例)では、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入してから、「負担が軽減した」「今の物価では贅沢かなと思う商品に手が伸びる」といった声が届くようになったそうです。
福利厚生を充実するメリット
充実した福利厚生は、看護師の暮らしや健康のサポートにつながります。ここでは、福利厚生を充実することで得られるメリットを見ていきましょう。
スムーズな採用につながる
福利厚生が充実しており働きやすい環境が整っている職場は、採用がスムーズに進みやすくなることが期待できます。
メディカルサポネットが実施した「2027年卒 看護学生就職活動意識調査」によると、看護学生が就職先を選ぶときに重視する項目は、以下の通りです。
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看護学生が入職したい病院を探すときに譲れない項目 |
回答した割合 ※3つ以上の複数回答 |
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給与 |
69.1% |
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勤務地 |
64.9% |
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休日・休暇 |
53.7% |
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交通アクセス |
42.4% |
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勤務体制 |
36.9% |
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人間関係 |
35.3% |
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病院の雰囲気・文化 |
32.1% |
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教育・研修制度(資格取得など) |
31.2% |
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有給取得率 |
28.1% |
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教育・研修制度(臨床) |
27.7% |
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診療科目 |
22.1% |
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病院の種類 |
21.9% |
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福利厚生(育児支援) |
21.3% |
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福利厚生(寮) |
20.7% |
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離職率 |
20.7% |
20%以上の看護学生が「入職先を探すときに譲れない項目」としてあげた内容の中には、福利厚生に関連するものが複数見られます。このことから、福利厚生の充実による待遇改善を実施すると、スムーズな採用につながりやすくなるといえるでしょう。
参考:メディカルサポネット|2027年卒 看護学生就職活動意識調査(2025年7月実施)
人材定着率の向上と離職率の低下
働きやすい環境が整っている職場であれば、人材定着率が上がり離職率は下がります。
看護師本人が「働き続けたい」と考えていても、育児や介護などと仕事の両立が難しい環境であれば、続けられないこともあります。このようなとき、育児や介護などと仕事を両立しやすくなるような福利厚生を整えていれば、看護師の離職を回避可能です。
関連記事:賃上げで離職率は下がる?人材確保には将来の給与見込みが重要
エンゲージメントの向上
従業員に人気の福利厚生を導入すると、エンゲージメント向上に役立つことは複数の調査から分かります。
ベター・プレイスの「福利厚生制度に関するアンケート調査」によると、「福利厚生の充実度が高いと企業へのエンゲージメントが向上する」と回答した割合は77.9%でした。
同調査では「転職するとしたら企業選びでは福利厚生を重視する」と回答した人の割合も79.4%と高い割合であることが分かります。
また労務SEARCHの「福利厚生に関するアンケート調査」でも、85.6%が転職するとしたら福利厚生を重視すると回答しました。
看護師の場合にも、これらの調査結果と同様の傾向があると考えられるため、福利厚生の充実度アップはエンゲージメントの向上につながります。
関連記事:従業員エンゲージメントとは?向上に役立つ施策や取り組むメリット
参考:
ベター・プレイス|福利厚生制度に関するアンケート調査
労務SEARCH|福利厚生に関するアンケート調査
医療サービスの質向上
充実した福利厚生で看護師の働きやすい環境が整っていれば、医療サービスの質が高まることも期待できます。エンゲージメントの高い看護師が増えることで、より良い医療サービスを提供するために、自ら考え行動する人材が増えるためです。
福利厚生を充実させるデメリット
福利厚生を充実させると、スムーズな採用や定着率アップなどのメリットがあります。その一方、デメリットもある点に注意しましょう。具体的なデメリットを解説します。
コスト増加
福利厚生の充実にはコストがかかります。新たに制度を導入するときには、まずどのくらいのコストをかけられるかを確認しましょう。無理なく継続できる範囲内で、制度を整えていく必要があります。
不公平感のリスク
利用できるシーンが限られている福利厚生を導入すると、不公平感につながる可能性があります。福利厚生の導入によって、看護師のスムーズな採用や定着などにつなげたいと考えている場合には、対象となる看護師が公平に利用できる制度設計が必要です。
利用されない制度
導入しても利用されなければ、福利厚生の効果は期待できません。コストが余計にかかるだけになってしまうことがないよう、看護師が利用しやすい福利厚生を導入することも重要です。
採用・定着につながる福利厚生の選び方
福利厚生を単に導入するだけでは、採用や定着にはつながりません。重要なのは、看護師のニーズに合う、公平に利用できる制度の導入です。
看護師のニーズを把握する
採用や定着につながる福利厚生を導入するには、看護師のニーズに合っていることが重要です。どのような福利厚生がほしいか、看護師にアンケートを取ったり、面談のタイミングでヒアリングしたりするとよいでしょう。
公平に利用できる制度を導入する
公平に利用できる制度の導入も、採用や定着につながりやすくなるポイントです。福利厚生を導入しても、不公平感が高い制度では不満につながりかねません。
利用できるシーンが限られている福利厚生ではなく、住宅手当や食事補助など、暮らしに欠かせない福利厚生を意識して充実させるとよいでしょう。
福利厚生の導入手順
福利厚生を導入するときの手順は以下の通りです。
- 現状分析をする
- 導入する制度を選ぶ
- 制度を周知する
- 効果測定をする
まずは現状分析を行い、どのような制度が不足しているのかを確認しましょう。このとき看護師にアンケートやヒアリングをすると、ニーズに合う福利厚生を整備しやすくなります。
導入する福利厚生を選んだら、制度の詳細や使い方について周知しましょう。制度を導入しても、使い方が分からなければ看護師が利用できないためです。
導入後の効果測定も重要です。実際に採用や定着にプラスに働いているのかを、目標に照らし合わせて確認しましょう。期待するほどの改善が見られないときには、見直しも必要です。
看護師の福利厚生を強化するなら食事補助がおすすめ
看護師の採用や定着には、福利厚生の充実が役立ちます。夜勤で勤務する人材が多く、ワークライフバランスが仕事に偏りがちであること、物価高の進行といった社会全体の状況などから、住宅手当・社宅や柔軟なシフトなどが人気です。
中でも食事補助は、勤務中にバランスの良い食事を調達しやすくなる点や、実質的な賃上げにつながる点からおすすめの福利厚生です。
実際に医療施設での導入実績もある、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか。
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