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【税理士監修】150万円の壁とは?なくなる壁はどれでいつから?2025年改正を解説

【税理士監修】150万円の壁とは?なくなる壁はどれでいつから?2025年改正を解説

2025.10.21

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

「150万の壁がなくなる」「103万の壁がなくなる」といった情報に対して、混乱している方も多いのではないでしょうか。2025年は年収の壁に関する制度改正が複数同時進行しているため、何がいつから変わるのか、整理が必要です。

本記事では150万円の壁など、さまざまな年収の壁がいつからどう変わるのかを整理して解説します。

【なくなる壁】106万円の壁はいつから撤廃?

社会保険に関する壁である「106万円の壁」を説明します。

106万円の壁:2025年6月20日から3年以内に撤廃予定

2025年年金制度改正法により、月収8.8万円(年収換算約106万円)の要件が撤廃されることが決まりました。撤廃の実施時期は、全都道府県の最低賃金が1,016円以上になることを確認した後となります。

106万円の壁が存在する理由

現在、パート・アルバイトが社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する条件として、以下すべてを満たす必要があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収換算約106万円)
  • 従業員数が51人以上の企業
  • 雇用期間の見込みが2か月超
  • 学生でないこと(夜間・通信制等を除く)

この「月額賃金8.8万円以上」という要件が、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれています。

106万円の壁 撤廃後の影響

月収要件がなくなると、週20時間以上働くパート・アルバイトの大半が社会保険の対象となります。これにより、企業の社会保険料負担が増加する一方で、従業員は将来の年金受給額が増えるメリットがあります。

なお、従業員数の要件(51人以上)についても、今後段階的に縮小・廃止される予定です。企業規模に関わらず、週20時間以上働く短時間労働者の多くが社会保険加入対象となる方向で制度が進んでいます。

【変わる壁①】103万円の壁は廃止されたのか?

所得税がかかるかどうかのボーダーとして知られた「103万円の壁」を見ていきましょう。

廃止ではなく、160万円に引き上げ

「103万円の壁が廃止」という表現が広まっていますが、正確には160万円に引き上げです。所得税が課税される基準が変更されたもので、壁そのものがなくなったわけではありません。基礎控除と給与所得控除の引き上げにより実現しました。

項目 従来 2025年の年末調整より 増加額
基礎控除 48万円 95万円 +47万円
給与所得控除 55万円 65万円 +10万円
合計(所得税の課税開始) 103万円 160万円 +57万円

学生の「103万円の壁」はいつから変わる?

すべての労働者にとって、所得税が課税される基準は2025年分の確定申告分から160万円になります。これは年齢や学生かどうかに関係なく適用されます。

ただし、19〜22歳の学生については、さらに優遇措置があります。親の扶養控除の上限が150万円に引き上げられたため、親の税負担を増やさずに150万円まで働けるようになりました。詳細は次の章で解説します。

関連記事:【税理士監修】103万円の壁は廃止?いつから変わる?最大160万円への引き上げを解説

【変わる壁②】150万円の壁はどうなる?

「150万円の壁」には2種類あり、それぞれ異なる変化が起きています。この点が混乱を招きやすいため、丁寧に整理します。

配偶者の150万円の壁→160万円に変更

パート・アルバイトで働く配偶者の場合、配偶者特別控除の満額上限が150万円から160万円に引き上げられました。

配偶者の年収 配偶者特別控除額 変更
160万円まで 38万円(満額) 2025年12月の年末調整から
160万円超~201.6万円未満 段階的に減少 変更なし
201.6万円以上 控除なし 変更なし

つまり、配偶者の「150万円の壁」はなくなったのではなく、「160万円の壁」に移動したと考えるとわかりやすいでしょう。

150万の壁 なくなる いつから01出典:首相官邸|「年収の壁」対策

19〜22歳の子どもの150万円の壁が新設

令和7年度税制改正により、「特定親族特別控除」が創設されました。これに伴い、大学生などのアルバイト収入に関する新しい壁が登場しています。

対象者の主な条件:

  • 19歳以上23歳未満の子ども(学生である必要はない)
  • その子どもを扶養している親
  • 配偶者は対象外

これにより何が変わったのかというと、従来、子どもの年収が103万円を超えると、親は特定扶養控除(所得税63万円、住民税45万円)を受けられませんでした。新制度では、子どもが150万円まで働いても親は満額扶養控除を受けられます。

項目 従来 変更後
親の税制上の扶養上限 103万円 150万円
親の社会保険の扶養上限 130万円 150万円
親の控除額(所得税) 103万円超でゼロ 150万円まで63万円を維持

新制度では、子どもの年収が150万円を超えても、188万円までは親の控除額が段階的に減少する仕組みが導入されました。これにより、子どもの年収が少し増えただけで急激に世帯の手取りが減る「働き損」を避けることができます。

150万の壁 なくなる いつから02出典:首相官邸|「年収の壁」対策
出典:国税庁|所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)

※重要な注意点(社会保険上の扶養について)
2025年10月1日以降に扶養認定を受ける19〜22歳の方は、年収150万円まで親の社会保険の扶養に入れます。扶養認定日が2025年10月1日より前の場合は、従来通り130万円が基準となります。

【残る壁】130万円の壁はなくなるのか?

続いて、残る壁である社会保険の扶養についての「130万円の壁」がどうなるのかを説明します。

130万円の壁は「なくなりません」

「130万円の壁がなくなる」「2025年に見直し」という情報が広まっていますが、一般のパート・アルバイトにとって、130万円の壁は2025年以降も重要な基準として残ります。

130万円の壁とは

年収130万円以上になると、社会保険の扶養から外れ、自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。この時点で保険料の自己負担が発生するため、手取り額が大きく減少します。

19〜22歳のみ特例:150万円に引き上げ

ただし、令和7年度税制改正により、19〜22歳の方については年収150万円未満まで親の社会保険の扶養に入れるようになりました(配偶者を除く)。

対象年齢 社会保険の扶養上限 変更 いつから
19〜22歳 150万円未満 引き上げ 2025年10月1日以降の扶養認定から
その他の年齢 130万円未満 変更なし -

関連記事:【社労士監修】130万の壁はなくなる?いつから?2025年制度変更の要点

大学生アルバイト・パート従業員の年収の壁をチェック

結局のところ、誰がどの年収の壁にあてはまるのでしょうか。2025年の変更を受け、企業が確認しておきたい大学生アルバイトとパート従業員のケースを確認しましょう。

大学生(19〜22歳)の場合

19〜22歳(学生など)の年収の壁には、大きな変化があります。

壁の種類 金額 内容
所得税の課税 160万円 本人に所得税が発生
親の扶養控除(満額) 150万円 親の控除が満額
親の扶養控除(ゼロ) 188万円 段階的減少の上限
社会保険の扶養 150万円 親の社会保険の扶養から外れ、本人に社会保険料負担が発生

従来は103万円までしか働けなかったところ、150万円まで働けるようになったため、47万円分の収入増加が可能になりました。親の税負担も増えず、社会保険料も払わなくて済むため、学生とその家庭にとって世帯年収増加のメリットがあります。

ただし、150万円を超えると子ども本人の社会保険料負担と親の税負担増が同時発生し、世帯の手取りが一時的に減少します。

配偶者(パート)の場合

壁の種類 金額 内容
所得税の課税 160万円 本人に所得税が発生
配偶者特別控除(満額) 160万円 配偶者控除38万円
配偶者特別控除(ゼロ) 201.6万円 控除なし
社会保険の扶養 130万円 変更なし

配偶者にとって重要なのは、160万円の壁(旧150万円)と130万円の壁です。新設される150万円の壁(19〜22歳)は配偶者には適用されません。

150万円の壁に関してよくある質問

年収の壁について理解のポイントになる内容をQA形式で説明します。

Q1:パートで150万超えたらどうなりますか?

A:対象者によって影響が異なります。

19〜22歳の場合、社会保険料の負担開始(本人)と親の税負担増加が同時に発生します。配偶者の場合、160万円までは配偶者特別控除が満額適用され、160万円を超えると控除が段階的に減少します。

Q2:パートに対する扶養制度が2025年になくなりますか?

A:いいえ、扶養制度そのものはなくなりません。年収の基準が変更されるだけです。ただし、106万円の壁撤廃により社会保険加入対象者が増えるため、「自ら社会保険に加入するケース」が増加すると考えられます。

Q3:130万の壁は2025年になくなるのですか?

A:一般のパート・アルバイトの社会保険上の130万円の壁はなくなりません。ただし19〜22歳限定で、社会保険の扶養上限が150万円に引き上げられました。

Q4:150万円の壁で重要となる「年齢」はいつ時点で判定しますか?

A:12月31日時点の年齢で、その年全体を判定します。例えば、2025年の途中で19歳になった場合でも、12月31日時点で19歳なら、2025年1月からの年収が150万円基準で判定されます。

出典:日本年金機構|19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります

年収の壁を意識した待遇設計が大切

制度改正により、19〜22歳の学生は150万円まで働けるようになりましたが、学生以外のパート・アルバイト従業員はその恩恵を受けることはありません。公平に恩恵を受けられる職場環境改善に有効な制度を整えることが、時間を調整しながら働く従業員の助けになります。

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企業側のメリットとしては、福利厚生費として経費計上できるうえ、一定の利用条件下で非課税枠運用が可能です。経費として取り扱いながら待遇改善を実現できます。

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導入事例:株式会社サニクロ

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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