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飲食店の賃上げ動向2025|すき家・松屋の高実績と3つの戦略

飲食店の賃上げ動向2025|すき家・松屋の高実績と3つの戦略

2025.07.24

2025年、飲食店業界は「賃上げ」の勢いが止まりません。人手不足を受け、賃金上昇で優秀な人材をつなぎとめようとする企業が相次いでいます。他社の賃上げ報道を見て「何か対策をしないと人材が集まらない」と焦っている人事担当者は多いのではないでしょうか。
本記事では、飲食店業界の賃上げを戦略的な人材投資と捉えた上で、持続可能な賃上げ実現に向けた具体策を解説します。

外食産業を取り巻く環境

外食産業とは、レストラン、カフェ、居酒屋、ファストフード店、ケータリング、デリバリーサービスなど、飲食物を提供するビジネス全般を指します。外食産業の状況を経済産業省ホームページを参考に紹介します。

1.コロナ禍からの回復状況

経済産業省のデータによると、外食産業はコロナ禍からの回復が他の個人向けサービス業に比べて遅れています。第三次産業全体ではコロナ前の水準に戻りつつあり、特に宿泊業は順調に回復しています。一方で飲食サービス業の回復は宿泊上とは対照的です。

飲食店 賃上げ01

出典:経済産業省|コロナ禍に苦しんだ外食産業、今後の期待は賃上げとインバウンドか

外食費は、緊急事態宣言等により外食から内食へとシフトする動きが生じたため一時低下し、その後回復傾向を見せています。2024年にはコロナ禍前の2019年を超える水準にまで回復しました。

飲食店 賃上げ02出典:経済産業省|コロナ禍に苦しんだ外食産業、今後の期待は賃上げとインバウンドか

しかし、物価変動の影響を除いた実質的な金額で見ると、世帯あたりの外食費はコロナ禍前の水準まで回復していません。外食回数を減らしたり、1回の金額を抑制している様子が推察されます。

飲食店 賃上げ03出典:経済産業省|コロナ禍に苦しんだ外食産業、今後の期待は賃上げとインバウンドか

2.賃上げが外食産業に与える好循環

外食産業の賃上げは業界全体の好循環を生み出す重要な要素です。春闘では賃金上昇の動きが加速しており、名目賃金は前年比で増加し続けています。この勢いが続き賃金上昇が物価上昇を上回れば、実質的な外食費もコロナ禍前を上回ることが期待されています。

飲食店 賃上げ04出典:経済産業省|コロナ禍に苦しんだ外食産業、今後の期待は賃上げとインバウンドか

3. インバウンド需要回復による飲食店への好影響

2024年は訪日外国人の飲食費が1兆7,000億円に達し、ここ数年増加傾向が続いています。

日本フードサービス協会の推計によると、外食産業の市場規模も回復基調にあり、以下の通り増加傾向で推移しています。

  • 2021年度:約17兆円
  • 2022年度:約20兆円
  • 2023年度:約24兆円

2023年度の24兆円という市場規模は、コロナ禍以前の規模(2019年約26.2兆円)に迫る水準です。また、2023年度の外国人飲食費は外食産業全体の約5%を占めました。インバウンド需要の取り込み成功が外国産業の成長に結びつくことがわかります。

出典:一般社団法人 日本フードサービス協会|令和 4 年・5 年(各年 1 月~12 月)外食産業市場規模推計について

2025年飲食店の賃上げ動向

ここでは、2025年の飲食店における賃上げ動向を最新の統計を用いて解説します。

2025春闘結果概要

2025春闘では、賃金上昇の勢いを受け多くの企業が高い賃上げを実現しました。金額で16,356円、比率では5.25%と1991年以来34年ぶりの高水準です。この勢いは外食産業にも当てはまる結果となりました。

関連記事:賃上げを表明した企業一覧。2025年春闘の動向や第3の賃上げも解説

飲食店・ホテルなどサービス業の2025春闘結果

以下はサービス・ホテル業の2025春闘最終集計結果です。特に比率について、平均より高い水準となりました。

業種 妥結組合数 賃上げ額 賃上げ率 前年賃上げ額 前年賃上げ率 増減
サービス・ホテル 38組合 13,319円 5.3% 9,917円 3.91% +3,402円、1.39%

38組合が妥結し、平均賃上げ率は5.3%という高水準を達成しています。前年比で金額が3,402円増、比率は1.39%増と改善を記録しました。

出典:連合|2025 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果について

非製造業を上回る高い賃上げ率

飲食店の賃上げ動向を別のデータでも見てみましょう。

日本経済新聞社の「2025年の賃金動向調査」によると、定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた非製造業の平均賃上げ率は5.13%。前年比0.51ポイント上昇し、2年連続で過去最高を記録しました。

特に外食・その他サービス業は6.74%と、製造業の5.72%を1ポイント以上の差をつけ大幅に上回っています。賃上げを積極的に行う企業が相次いでおり、背景には人手不足や優秀な人材をつなぎとめる企業の姿勢が読み取れます。

出典:日本経済新聞|賃上げ率、外食など6.74% 25年本社調査 人材獲得へ ゼンショーは11%超

2025春闘:飲食店業界の賃上げ実績

2025年の春闘における飲食業界の賃上げ実績を見ていきます。

「すき家」の賃上げ

「すき家」「なか卯」などを展開するゼンショーホールディングスは、正規従業員1,339名を対象に平均11.2%の給与引き上げを行うことで妥結しました。同時に4月1日の給与改定では、新卒初任給が31万2,000円へとアップします。

  • 給与引き上げ額は過去最高
  • ベースアップは13年連続
  • 直近3年間(2023年~2025年)の累計賃上げ率は 36.7%

出典:ゼンショーホールディングス|春季労使交渉妥結

「松屋」の賃上げ

「松屋」などを展開する松屋フーズホールディングス「新卒の初任給引き上げ(大卒初任給25万0,000円から26万5,000円)」に「ベア、定期昇給分等」を加味して、7.41%の引き上げを実施しています。

「ベア、定期昇給分」に、その他賃金改定などを含めると最大10.12%に達し、2年連続で10%台の賃上げです。

出典:松屋フーズホールディングス|正社員給与ベースアップ及び新卒初任給引き上げについて 定期昇給分他含めて2年連続の10%台の賃上げを決定

「餃子の王将」の賃上げ

「餃子の王将」で知られる王将フードサービスは、組合要求22,000円を上回り平均3,0139円(賃上げ率は8.2%)の引き上げを行います。直近3年間の賃上げ率は約29%となり、大卒の新卒初任給も2万1,500円引き上げ、30万円代に突入しました。

出典:王将フードサービス|2025年度 月例給および新卒初任給の引き上げに関するお知らせ

「すかいらーく」の賃上げ

「バーミヤン」、「ガスト」などを営むすかいらーくホールディングスは、ベースアップと定期昇給を合わせて平均約6.5%(23,375円)の賃上げで妥結しました。昨年の6.22%を上回る賃上げで、3年連続の満額回答となります。

対象は約4,340名で、人財による成長こそが最大の成長戦略と考え、人的資本投資を積極化したことも公表しています。

出典:すかいらーくグループ|2025 年春季交渉 賃上げ総額 6.5% 3年連続 満額回答

賃上げの目的

賃上げする主な目的は、「優秀な人材確保」、「従業員満足度向上」、「モチベーションアップ」とされています。ここからは、相次ぐ飲食業界の賃上げについて、企業の事例も交えながら理解を深めましょう。

1. 優秀な人材確保

飲食業界でも初任給30万円の企業が見られるようになりました。

  • すき家(ゼンショーホールディングス):31万2000円
  • 餃子の王将(王将フードサービス)30万円

これまでの25万円前後という初任給水準を大きく上回ります。「人材確保」や「採用競争力の維持」により、初任給上げを狙う動きが加速しています。

2. 従業員満足度向上

初任給や全体給与の引き上げについて、各社は従業員満足度の向上を意識したものと公表しています。

松屋の場合、以下のとおり従業員満足度向上を目的としていることを公表しました。

「人財の育成・事業体制の強化の観点から従業員満足度(ES)向上施策の一環として、継続的な賃上げを実施しています。」

出典:松屋フーズホールディングス|正社員給与ベースアップ及び新卒初任給引き上げについて 定期昇給分他含めて2年連続の10%台の賃上げを決定

3. モチベーションアップ

「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは、2030年まで長期にわたる継続的なベースアップを労使合意しました。これは、従業員の将来への不安を解消し、組織への帰属意識や働くモチベーションを高める戦略と言えます。

飲食店業界の賃上げを見据えた3つの取り組み

持続的な賃上げ実現に向け、飲食店経営で重要になる取り組みを解説します。

1.「値上げ」による原資確保

飲食店は事業を継続し、従業員に還元するために、まずは価格を上げるという現実的な選択肢を選ばなければなりません。

原材料や人件費上昇を受けた価格転嫁

原材料価格が高騰し、光熱費、人件費、配送費、包材費なども上昇しています。

このような状況を慎重に検討した結果、松屋フーズでは商品の質を維持・向上し、安定供給を図るため価格改定を実施しています。2025年4月22日より「値上げ」と事業継続性を両立させる「深夜料金制度の導入」という現実的なアプローチを示しました。

  • 価格改定: 牛めし(並盛)は税込430円から税込460円へ30円増
  • 深夜料金制度:一部店舗にて22時〜5時に7%前後を加算

出典:松屋フーズ|価格改定および深夜料金導入店舗拡大のご案内

食品分野は継続的な値上げ見込み

帝国データバンクによると、主要な食品メーカー195社における2025年の飲食料品値上げは判明分で18,697品目(値上げ率平均15%)に達しました。2025年を通じて値上げが継続的に見込まれるため、各飲食店は適切な価格設定により人材投資の原資を確保する必要があります。

なお、これまでも食品分野では多くの品目が値上げされています。

  • 2025年:18,697品目(1月〜11月分)
  • 2024年:12,520品目
  • 2023年:32,396品目
  • 2022年:25,768品目

出典:帝国データバンク|レポート「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年7月

価格改定の要因分析

2025年の値上げの要因で、最も多いものは「原材料高」(97.2%)です。他方で、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映し、「物流費」由来の値上げが80.0%、エネルギー由来の値上げが66.4%、「人件費」由来の値上げが53.9%を占めます。

人件費割合の推移では、2023年9.1%、2024年26.5%、そして2025年53.9%と大きく割合を増やしました。人への還元として価格転嫁が広まっています。

飲食店 賃上げ05

出典:帝国データバンク|レポート「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年7月

2.デジタル化による業務効率化

デジタル化は飲食店の人材戦略と密接に関わっており、結果として賃上げに貢献します。セルフオーダー、勤怠管理システムといったデジタル技術やAIを導入することで、業務が効率化され、ミスが減り、顧客と従業員両方の満足度が向上します。手間やミスの減少で、従業員の働くモチベーションも高までしょう。

ホットペッパーグルメ外食総研の調査によると、飲食店経営者の81.0%が、人によるオペレーションを代替するツールの導入に効果を実感。導入目的としては「人事労務管理」が、効果実感としては「セルフ・スマホオーダー」が高い評価を得ています。

出典:ホットペッパーグルメ外食総研|2025年度 飲食店経営者のDXに対する興味・関心と導入状況・効果の調査

3.第3の賃上げの活用

昨今の物価上昇を受け、多くの企業は賃上げを検討しています。しかし、未だコロナ禍以前まで市場規模が回復していない飲食業界では、賃上げ原資確保に悩む場合も多いでしょう。

そこで注目されているのが、エデンレッドジャパンが提案する福利厚生を活用した新しい賃上げの形「第3の賃上げ」です。

通常の賃上げでは、増額分が課税対象となるため、従業員の手取りは賃上げ額よりも少なくなります。しかし、福利厚生を活用した賃上げであれば、一定の条件を満たすことで所得税が非課税となり、従業員はより多くの手取りを得ることができます。

「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

チケットレストランで「第3の賃上げ」を実現

第3の賃上げ」を代表する食の福利厚生サービスが「チケットレストラン」です。全国25万店舗以上の加盟店で利用可能なサービスで、専用のICカードを介して従業員のランチ代を実質半額サポートします。

食の福利厚生サービス「チケットレストラン」などを活用した「第3の賃上げ」には以下のメリットがあります。

  • 従業員の実質手取り増加
  • 企業の税負担軽減効果
  • 福利厚生の充実による従業員満足度向上
  • 採用競争力の強化
  • 企業の魅力アップ

福利厚生として支給される食事補助は、一定の条件を満たすと所得税の非課税扱いが可能です。同じ金額でも給与で支払う場合に比べ、実質的な手取りが減らずに済みます。

チケットレストラン」では、企業が従業員に提供した福利厚生費分の月額3,500円(税別)につき、従業員は所得税が非課税となり手取りが増えます。企業は経費計上が可能で、双方にメリットがあります。

飲食店 賃上げ06出典:エデンレッドジャパン|「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~

「チケットレストラン」のハイブリッド導入事例

魚べいを展開するGenki Global Dining Conceptsは、従業員向けに「チケットレストラン」を導入しました。同時に、全国192店舗で同サービスの加盟店としても参画しています。

従業員向けには実質手取りを増やせる福利厚生としての導入であり、加盟店としてはサービス提供というハイブリッド型の運用が革新的です。飲食チェーン業態としては初の事例となります。

サービス利用者とサービス加盟企業として「チケットレストラン」を2つの立場で関わる選択により、従業員を含めた利用者のランチシーンを多様化しました。地域社会や他企業の方も含めて魚べい等自社の飲食サービス利用を促すことも可能です。これにより、従業員と企業、さらにお客様も含めて多くのメリットを生み出しました。さらには、外食産業全体の活性化にも貢献しています。

同社は、「チケットレストラン」を通して、新たな福利厚生の価値を提唱することに成功しています。

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出典:エデンレッドジャパン|「魚べい」を手がけるGenki Global Dining Concepts 全4ブランド・全国192店舗で
出典:エデンレッドジャパン|「魚べい」を手がけるGenki Global Dining Concepts 全4ブランド・全国192店舗で、 食事補助サービス「チケットレストラン」サービス提供を開始 ~従業員の福利厚生としてチケットレストラン導入も開始~

飲食店の持続可能な賃上げに向けて

2025年の飲食店業界における賃上げは、人材戦略のためのものとして位置付けられます。どの企業も人材採用を重視しており、給与アップに踏み切る流れが加速しています。

賃上げは継続が重要です。DX活用などで業務を効率化すれば賃上げ原資を確保しやすくなります。持続可能な賃上げを目指すには、福利厚生サービスを通して実質的な手取りアップを実現する「第3の賃上げ」も有効です。

持続可能な賃上げとして、少ない金額からトライでき、小・中規模企業の賃上げとしても活用されている食の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入してみませんか。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

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