物価高対策として、政府では所得税の減税や備蓄米の放出などを行っています。具体的な対策について見ていきましょう。加えて企業ができる物価高対策として、エデンレッドジャパンが定義した「第3の賃上げ」を紹介します。
政府が実施する物価高対策
国内では物価高が続いています。賃上げの動きも広がっていますが、物価高に追いついておらず、実質賃金はマイナスとなっているのが現状です。このような中、政府が行っている物価高対策について見ていきましょう。
所得税の減税
税制改正により、基礎控除や給与所得控除が見直された結果、2025年分の所得税から1人あたり2万円以上の税負担が軽減されます。
改正前に合計所得金額2400万円以下で一律48万円だった基礎控除額は、合計所得金額に応じて以下のように変わりました。
合計所得金額 |
基礎控除額 |
132万円以下 |
95万円 |
132万円超336万円以下 |
88万円 ※2027年以降は58万円 |
336万円超489万円以下 |
68万円 ※2027年以降は58万円 |
489万円超655万円以下 |
63万円 ※2027年以降は58万円 |
655万円超2,350万円以下 |
58万円 |
2,350万円超2,400万円以下 |
48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 |
32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 |
16万円 |
2,500万円超 |
0円 |
また給与所得控除は、最低保障額が55万円から65万円に引き上げられています。
基礎控除額や給与所得控除額は、所得税を計算するときに収入から差し引く金額です。控除額が上がったことで、所得税の計算で税率をかける課税所得金額が少なくなるため、税負担が軽減します。
参考:
内閣府|所得税の減税
国税庁|令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
国税庁|No.1199 基礎控除
関連記事:【税理士監修】年収160万円で手取りはこうなる!新しい壁はいつから?
政府備蓄米の放出による米価格高騰への対策
総務省統計局の「小売物価統計調査」によると、2024年8月以降、米の小売価格は上がり続けています。2024年4月と比べると、2025年4月の小売価格は約2倍です。
上昇した米の価格を落ち着かせる目的で、政府は備蓄米を夏まで毎月売り渡すことを決定しました。既に3回の売り渡しにより、合計約31万トンの入札が行われています。また随意契約による、小売店への政府備蓄米の売り渡しも始まりました。
参考:
総務省統計局|小売物価統計調査(動向編)調査結果|全品目
農林水産省|政府備蓄米の買戻し条件付売渡しの入札結果(第3回)の概要について
関連記事:【令和の米騒動】2025年最新動向|政府備蓄米放出の効果と今後
ガソリンや電気・ガス料金への対策
2025年5月22日からはガソリンと軽油の価格を、1リットルあたり10円引き下げることが決まっています。
これまでは全国平均価格を185円ほどに抑えるよう補助が行われてきましたが、定額の値下げに切り替えることで、市場価格が185円を下回っても補助が適用される仕組みになりました。
また電気・ガス料金の補助も7~9月に行われます。標準的な家庭では、3カ月間で約3,000円の負担軽減につながる施策です。
参考:
内閣府|ガソリン等の価格の抑制
内閣府|電気・ガス料金の支援
高校無償化の先行措置
2026年度から高校無償化の収入要件が撤廃されます。この先行措置として、2025年分の支援金11万8,800円の支給についても、収入要件が撤廃されることとなりました。
育児休業給付の拡充
2025年4月に出生後休業支援給付金が新設されました。規定の期間において、夫婦が各々14日以上の育児休業を取得した場合、または配偶者の育児休業を必要としない条件に該当した場合には、最大28日間にわたって給付金が支給されます。
出生時育児休業給付金または育児休業給付金と組み合わせることで、手取り収入が10割程度となる仕組みです。
関連記事:【社労士監修】育児介護休業法とは?制度の概要を分かりやすく解説
地方自治体が行う物価高対策への支援
2024年度の補正予算案では、地方公共団体がそれぞれの地域の実情に合わせて、生活者や事業者を支援できるよう、6,000億円が確保されました。
交付を受けた地方公共団体では、具体的に以下のような取り組みが行われています。
- 0~18歳の児童1人あたり3万円分の商品券を配布(福島県田村市)
- 18歳未満の児童を持つひとり親世帯に対する、子ども1人あたり2万円の給付(徳島県)
- 紙おむつとおしりふき5,000円相当を支給(和歌山県岩出市)
- 全世帯へ地元産米5kgを支給(北海道知内町)
- 町内出身で町外に暮らす学生へ米や麺類などの特産品を詰め合わせてお届け(長野県辰野町)
- 市内で省エネ性能の高いエアコンか冷蔵庫を購入した場合の補助金を支給(埼玉県越谷市)
- 水道料金の基本料金を3カ月分減免(北海道士幌町)
参考:
内閣府|地域の実情に応じた対応~子育て世帯への支援~
内閣府|地域の実情に応じた対応~食料品価格高騰への支援~
内閣府|地域の実情に応じた対応~光熱費等の高騰への支援~
低所得世帯向けの給付金
重点支援地方交付金には、低所得世帯支援枠も設けられています。住民税非課税世帯を対象に1世帯につき3万円を目安に支給する給付金です。
また住民税非課税世帯のうち子育て世帯では、世帯人数が多いため、子ども1人あたり2万円の加算を行います。
2025年5月までに、98.4%の地方公共団体で給付開始済みです。
参院選を前に消費税減税や現金給付も選択肢か
2025年夏に行われる参議院議員選挙を前に、物価高対策として減税や現金給付を検討する声も上がっています。
各党の方針を知るために、2025年6月5日時点で発表・報道されている参院選の公約や公約の原案を見ていきましょう。
政党 |
物価高対策に関連する公約 |
公明党 |
・食料品にかかる消費税率を5%へ引き下げ |
共産党 |
・消費税5%への減税と将来的な廃止 |
立憲民主党 |
・食料品にかかる消費税率0% |
参考:
時事ドットコム|食品消費税5%、現金も給付 公明公約原案
日本共産党|2025 参議院選挙 基本政策
東京新聞|立民、参院選の公約了承へ 物価高対策を重視
企業にできる物価高対策
物価高対策として企業に求められているのは賃上げです。
ただし「賃上げ疲れ実態調査2025」によると、継続的な賃上げに負担を「とても感じている」「やや感じている」と回答した、賃上げ疲れを実感している企業は77%となっています。
また帝国データバンクの「「従業員退職型」の倒産動向(2024年)」によると、従業員退職型の人手不足倒産が増えており、賃上げできない企業の淘汰が始まっている状況です。
賃上げできる企業とできない企業の二極化が進む状況下で、賃上げよりも低いコストで導入しやすい対策として、ここでは「第3の賃上げ」を紹介します。
エデンレッドジャパンでは、定期昇給を「第1の賃上げ」、ベースアップを「第2の賃上げ」としたとき、福利厚生を活用した実質的な手取りアップや家計負担の軽減を「第3の賃上げ」と定義しました。
第3の賃上げの特徴や、おすすめの食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」について見ていきましょう。
参考:帝国データバンク|「従業員退職型」の倒産動向(2024年)
関連記事:
賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~
賃上げできない企業の淘汰が加速。企業にできる対策は?
“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
第3の賃上げは実質的な手取りアップにつながる
食事補助や社宅などの福利厚生は一定の条件下で導入すると、所得税の非課税枠を利用できます。その分、従業員の手取り額が上がるため、物価高対策として利用可能です。
また家計負担を軽減する福利厚生を提供すれば、従業員は暮らしに必要な支出を軽減できます。負担が減る分、自由に使える金額が増えるため、手取りアップと同様の効果が期待できる対策です。
第3の賃上げのメリット
「第3の賃上げ」のメリットは、少額から導入できる点と、メッセージ性がある点です。
賃上げを行うと、給与の上昇分に加えて、社会保険料の負担も増えます。負担が大きいため十分な賃上げが難しいこともあるでしょう。一方、第3の賃上げであれば、賃上げより少ない費用で導入可能です。
また福利厚生の支給による第3の賃上げを実施すると、制度を通して従業員に日頃の感謝や気遣う気持ちを伝えられます。「企業が従業員のことを考えている」ということが伝わるため、従業員満足度やエンゲージメントの向上につながりやすいでしょう。
第3の賃上げには「チケットレストラン」がおすすめ
エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すると、対象となる従業員は全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できます。
社員食堂やお弁当のように、食事を提供できる場所が限定されないため「毎日異なる現場で仕事をしている」「常駐先で仕事をしている」「リモートワークで仕事をしている」など、働く場所によらず都合の良い時間帯に利用可能です。
例えば物価高対策の一環として「チケットレストラン」を導入した名古屋商工会議所では、「健康を意識してサラダを購入するようになった」「欠食せずに食事をとるようになった」「コーヒーやおやつで小さな幸せを感じるようになった」などの変化が見られたそうです。
詳細な導入事例はこちら:名古屋商工会議所
骨太の方針に向けて食事補助の上限枠緩和の要望を申し入れ
「食事補助上限枠緩和を促進する会」(代表:株式会社エデンレッドジャパン)では、食事補助の所得税非課税限度額引き上げを目指して、自民党の小泉新次郎議員・古川康議員などに要望書を提出しました。
6月に閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」には、食事補助の所得税非課税限度額引き上げが言及される予定となっています。
これにより、食事補助がさらに実質的な手取り額アップに活用しやすくなっていくことが期待できます。
関連記事:
食事補助の上限枠緩和に向け、自民党小泉進次郎議員、古川康議員らに要望書を提出
経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)とは|提出された提言や要望も
政府が行う物価高対策をチェック
物価高対策は政府の行う取り組みでも大きなテーマとなっています。参院選でも争点の1つとなるでしょう。具体的な施策を確認した上で、企業が従業員に対してできる取り組みも検討する必要があります。
例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を活用して、「第3の賃上げ」を実施するとよいでしょう。実質的な手取りアップにつながる福利厚生の導入を検討してみませんか。
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