日本の賃金は長い間上がっていなかった
日本の賃金は20年以上の間、ほとんど上がらない時期が続いていました。
「令和6年賃金構造基本統計調査」で賃金の推移を見ると、賃金が前年より1%以上連続して上がり始めたのは2022年からです。
出典:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|賃金の推移
2020年から2024年の平均賃金と、対前年増減率を見てみましょう。
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年
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平均賃金
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対前年増減率
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2020
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30万7,700円
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0.6%
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2021
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30万7,400円
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-0.1%
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2022
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31万1,800円
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1.4%
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2023
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31万8,300円
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2.1%
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2024
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33万400円
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3.8%
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春闘での賃上げ率が5.1%と33年振りに5%を超え、歴史的な賃上げとなった2024年には「賃金構造基本統計調査」でも対前年増減率が3.8%と高くなっています。
参考:日本労働組合総連合会|33年ぶりの5%超え!~2024春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~
関連記事:賃上げ率の見通しは?2025年春闘の予想や第3の賃上げについて解説
実質賃金は上がっていないのが現状
2022年から賃金は上がり始めています。ただし賃上げのペース以上に進む物価高の影響で、実質賃金は上がっていません。
「毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果速報」によると、実質賃金の前年比は2022・2023年がマイナスに、2024年は0になっています。2024年はプラスになった月もありましたが、2025年は1~3月まで全てマイナスです。
エデンレッドジャパンの実施した「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」によると、賃上げの動きが広がっているにもかかわらず「家計が苦しい」と感じているビジネスパーソンは、79.3%でした。
参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果速報
関連記事:歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」
日本の賃金が上がらない理由
物価高が続いたことで賃上げの機運が高まり、企業規模を問わず賃上げを実施する企業が増えました。このような状況でも、実質賃金が下がっており、十分な賃上げが行われていないのはなぜなのでしょうか?日本の賃金が上がらない理由を解説します。
労働生産性が低いから
労働生産性とは、労働者がどのくらい効率的に成果を生み出したのかを表す数値です。「労働生産性の国際比較2024」によると、日本の労働生産性は、1時間当たりで見ても1人当たりで見ても、主要7カ国で最下位となっています。
労働生産性の高さは、中小企業の割合との関係が指摘されています。日本の企業のうち中小企業は99.7%を占めており、労働者のうち中小企業で働く人の割合は69.7%です。
小さな規模での経営による効率化の難しさから、労働生産性がなかなか上がらず、賃上げが進みにくいケースもあるでしょう。
また業務を効率化して労働生産性を高めるには、デジタル技術を活用して業務を変革するDXへの取り組みが有効です。ただし「DX動向2024」によると、DXの取り組みは企業規模が小さいほど進んでいません。
何らかの形でDXに取り組んでいる企業の割合は、規模別に見ると以下の通りです。特に従業員数100人以下の企業では、DXに取り組んでいる企業が半数を下回っています。
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従業員数
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DXに取り組んでいる企業の割合
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100人以下
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44.7%
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101人以上300人以下
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78.8%
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301人以上1,000人以下
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85.9%
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1,001人以上
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96.6%
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デジタルを十分に活用できていないのも、賃上げが進みにくい要因の1つです。
参考:
日本生産性本部 生産性総合研究センター|労働生産性の国際比較2024
中小機構|日本を支える中小企業
情報処理推進機構|DX動向2024
関連記事:従業員の食事と労働生産性の関係。健康経営にも役立つ食事補助を解説
非正規雇用が多いから
非正規雇用の従業員が多いことも、日本の賃金が上がらない理由の1つといわれています。「労働力調査」によると、日本の非正規雇用の従業員の割合は以下の通りです。
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年
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非正規雇用で働く労働者の割合
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2020
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37.2%
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2021
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36.7%
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2022
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36.9%
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2023
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37.1%
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2024
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36.8%
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また非正規雇用と正規雇用の従業員では賃金に差があることが分かっています。「賃金構造基本統計調査」によると、全体の平均賃金では月10万円以上の差があります。また非正規雇用と正規雇用の従業員賃金の差は、企業規模が大きいほど大きくなっており、大企業では15万2,100円です。
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企業規模
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正規雇用の従業員賃金
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非正規雇用の従業員賃金
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全体平均
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34万8,600円
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23万3,100円
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大企業
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39万1,900円
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23万9,800円
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中企業
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34万2,000円
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23万3,600円
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小企業
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30万9,100円
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21万9,200円
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正規雇用の従業員と比べて賃金の低い非正規雇用の従業員が多いため、賃金が上がりにくくなっています。
参考:
e-Stat|労働力調査|雇用形態別役員を除く雇用者数(正規雇用者数・非正規雇用者数(パート・アルバイト・派遣社員等))
厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査|雇用形態別
関連記事:非正規雇用の賃上げをした企業一覧を紹介!賃上げ目的の福利厚生とは?
人材流動性が低いから
日本では同じ企業で働き続ける人が多く、人材流動性が低いといわれています。人材流動性の低さも賃金が上がりにくい要因です。
「労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果」によると、2024年の転職者数は331万人となり、3年連続で増加しました。
また厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査結果の概要」では、「定年」や「会社都合」などを含めない、個人的理由で転職した人のうち「給料等収入が少なかった」ことを理由としてあげた人の割合は男性8.2%・女性7.1%で、どちらも転職理由の上位に入っています。
より良い待遇を求めて転職する人が増えていることから、人材流動性は高まっていると考えられるでしょう。
ただし「令和2年転職者実態調査の概況」によると、労働者のうち転職者の割合は全体平均で7.2%です。業種や企業規模によっては、さらに割合が低いケースもあります。
転職する人の割合が高い場合、人材確保を目的に賃上げは進みやすくなるでしょう。日本の現状では、低い賃金のままでも働き続ける従業員の割合が高くなっています。これも日本の賃金が上がらない理由です。
参考:
総務省統計局|労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果
厚生労働省|令和5年 雇用動向調査結果の概要
厚生労働省|令和2年転職者実態調査の概況
関連記事:【働きがい1万人調査】から見る|大転職時代に選ばれる企業とは
1度賃上げすると下げにくいから
賃上げすると下げにくいことも、日本の賃金が上がらない理由といえます。「労働契約法第8条」には、以下のように記されています。
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
引用:e-Gov 法令検索|労働契約法
この条文により、労使での合意がない場合には、賃金をはじめとする労働条件は変更できません。
また労使で合意したとしても、1度上げた賃金を下げると、従業員のモチベーションを大きく損ないます。業績が悪化したときに賃上げ前の金額に戻す場合でも、やる気は賃上げ前より低下するといわれているためです。
将来、業績が悪化したときに賃金を下げられない事態や、賃金を下げられたとしても従業員のモチベーションを損なう事態を避けるために、積極的な賃上げに踏み切れないというケースも考えられます。
賃上げが難しいなら「第3の賃上げ」の検討を
エデンレッドジャパンでは、定期昇給を「第1の賃上げ」、ベースアップを「第2の賃上げ」とした場合に、実質的な手取りアップや家計負担の軽減につながる福利厚生の活用した賃上げを「第3の賃上げ」と定義しました。
現金で支給する賃金を上げにくい場合でも、第3の賃上げであれば、コストを抑えつつ従業員の生活をサポートできます。
例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を一定の利用条件下で導入すれば、所得税の非課税枠が活用できるため、従業員の実質的な手取りを増やせます。
加えて日ごろの感謝や健康への気遣いなど、現金支給の賃金では表現が難しいメッセージ性を伝えられるのも特徴です。
実質的な手取り額アップについての詳しい内容は、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
賃上げが上がらない理由を押さえて自社でできることに取り組もう
賃上げの機運が高まっていますが、物価上昇の中、実質賃金は低下しています。さらなる賃上げが求められますが、労働生産性が低い・非正規雇用の従業員が多い・人材流動性が低い・賃上げすると下げにくい、といった理由から積極的な賃上げは難しいかもしれません。
このような場合に役立つのが、実質的な手取りアップや家計負担の軽減につながる福利厚生を活用する「第3の賃上げ」です。例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」であれば、従業員の食事をサポートできます。
まずは小さなコストで取り組める「第3の賃上げ」から、取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
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