物価上昇が続く現在、企業は従業員の生活水準を維持するため、賃上げを前向きに検討しています。そこで注目を集めているのが、福利厚生の非課税メリットを活用し、実質的な手取りアップとして従業員に還元する「第三の給与・賃上げ」というアプローチです。
本記事では、この「第三の給与・賃上げ」の仕組みや生み出す効果を解説します。
「第3の給与・賃上げ」とは
「第3の給与」とは、「第3の賃上げ」の別称です。ここからは、より一般的な呼称である「第3の賃上げ」を用いて解説していきます。
「第3の賃上げ」は、実質的な手取りアップや暮らしの負担を軽減するような福利厚生を活用した”賃上げ”です。
例えば、従業員へ同額を支給する場合、「給与」と「非課税枠を活用した福利厚生」とでは、福利厚生の方が従業員の実質的な手取りが多くなります。
「第3の賃上げ」を導入することで、メリットがあるのは従業員側だけではありません。企業は福利厚生費を経費計上できるため、最小限のコストで従業員への還元が可能になります。
つまり、「第3の賃上げ」は、企業と従業員の双方にメリットがある施策なのです。
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「第3の賃上げ」は、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を提供する株式会社エデンレッドジャパンの登録商標です。2024年2月、新たな賃上げの捉え方として、同社と借上げ社宅導入をサポートするフリー株式会社によって提唱されました。物価上昇による生活負担が増す中で、従業員支援の新たな方法として注目を集めています。 |
「第3の賃上げ」で実質手取りが増える仕組み
「第3の賃上げ」に対して、多くの企業が関心を示すポイントは「手取りの増加」です。
この章では、従来の賃上げ方法と比較しながら、「第3の賃上げ」がどのように実質手取りアップを実現するのか、具体的な仕組みを解説します。
従来の賃上げと差し引かれる負担との関係
通常の賃上げでは、給与が増えると税金などの負担も増加します。企業が支払う金額と従業員が実際に手にする金額には差が生じます。
例えば月額3,500円(所得税を仮に20%と想定)の場合、税を差し引いた金額が手元に残ります。
- 企業側のコスト:3,500円
- 従業員の手取り増加額:約2,800円(所得税等控除後)
第3の賃上げの効果:非課税で手取り最大化
一方、福利厚生を活用した「第3の賃上げ」では、一定の条件を満たせば所得税の非課税が活用できるため、通常の賃上げより有利な場合があります。
同じく月額3,500円を還元すると、金額どおりに利用できる分だけ、手取りアップが実現します。
- 企業側のコスト:3,500円(福利厚生費として経費計上可能)
- 従業員の利用可能額:3,500円(非課税内での利用が可能)
同じ金額を投資するなら、「第3の賃上げ」は従業員の実質的な経済的メリットを最大化できると同時に、企業側の負担も最適化できます。
出典:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
第3の賃上げの付加価値:生産性向上と働きやすさ
家事代行、育児・介護サポートといった生活支援につながる福利厚生は、直接的な経済的メリットだけでなく、時間的・精神的余裕を生み出します。結果として、仕事の効率アップや生産性向上にも貢献することが可能です。
間接的な効果も含めると、実質的な賃上げと同等かそれ以上の価値を従業員に提供できる場合もあります。
第3の賃上げと従来の賃上げの違い
「第3の賃上げ」と従来の賃上げの違いはどこにあるのでしょうか。ここでは、給与形態や賃上げの種類を整理しながら、それぞれの特徴を押さえましょう。
第1の賃上げ(定期昇給)とは
第1の賃上げは、基本給として毎月支払われ、定期昇給は勤続年数や評価に応じて年1〜2回行われるものです。個人の努力や成長を評価する仕組みです。
第2の賃上げ(ベースアップ)とは
第2の賃上げ(ベースアップ)は、物価上昇や労働条件改善のために基本給が引き上げられる賃上げ(ベースアップ)です。主に全従業員の基本給が一律(または、ほぼ一律)に増額される方式で、春闘などの労使交渉で実施されることが多いです。
第1、第2の賃上げと「第3の賃上げ」の違い
従来の第1・第2の給与やベースアップによる賃上げは直接給与に反映されるため、税金等の負担が増加します。
一方、「第3の賃上げ」では、一定の条件を満たすことで非課税となる福利厚生を活用するのが特徴です。そのため、実質的な手取りの増加の効果が得られます。
福利厚生を活用した「第3の賃上げ」の種類
福利厚生を活用した「第3の賃上げ」は、日常生活に直結する福利厚生の活用を通じて実質的な手取りアップを実現する方法です。代表的な例として、次のような福利厚生サービスがあります。
- 食事補助:「チケットレストラン」などの食事補助の福利厚生サービス
- 生活出費支援:「freee福利厚生 ベネフィットサービス」などの生活出費支援サービス
- 家事代行:「ベアーズ」などの暮らしをサポートする家事代行サービス
これらの福利厚生は、一定の条件を満たすことで実質的な賃上げ効果があります。企業にとっても経費として計上できるため、双方にメリットがあります。
関連記事:「第3の賃上げ×社食」のススメ|物価高時代の新たな福利厚生戦略とは?
「第3の賃上げ」のメリット
第3の賃上げには、企業と従業員の双方にとって多くのメリットがあります。ここまでで紹介した内容を含め、メリットをまとめます。
企業側のメリット
- 税負担を軽減:福利厚生費として計上することで、法人税等の負担を抑えられる可能性があります。
- 少額から導入可能:福利厚生は、定期昇給やベースアップよりも、少額からトライしやすいのが特徴です。
- 離職率の低下と定着率の向上:充実した福利厚生は従業員の満足度を高め、人材流出を防ぎます。
- 採用力の強化:魅力的な福利厚生は求職者へのアピールとなり、優秀な人材の確保につながります。
第3の賃上げは、福利厚生サービスの活用により、企業が従業員に提供する経済的価値を向上させながら税負担を軽減できる新しい賃上げの形です。
単なる賃上げに留まらず、従業員の満足度向上、人材の定着、採用力の強化といったさまざまな効果が期待できます。
従業員側のメリット
- 実質的な手取り額の増加:税負担が軽減される福利厚生の活用により、給与として受け取るよりも手元に残る金額が増えます。
- 働きやすさの向上:福利厚生の充実により、日々の生活費が抑えられ、経済的な余裕が生まれます。
- 生活の安定力向上:生活コストが下がり、経済的なゆとりにつながります。
手取りが増えると、生活水準の向上や経済的な安定につながります。充実した福利厚生があることで、職場のコミュニケーションが活性化するなど、より働きやすい環境が整備されます。
第3の賃上げとして、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入した名古屋商工会議所では、「あのお店で使えるね」など食の情報交換を通じて従業員間のコミュニケーションが活発になったとのことです。
導入事例:名古屋商工会議所様
関連記事:エデンレッドジャパン、名古屋商工会議所と提携 ~食事補助サービス「チケットレストラン」の会員企業への提供を4月1日より開始~
「第3の賃上げ」のデメリット
多くのメリットがある「第3の賃上げ」ですが、導入や運用にあたっては考慮すべき課題もあります。企業と従業員それぞれの視点から見たデメリットを確認しておきましょう。
企業側のデメリット
導入・運用面での課題:
- 導入コスト:サービスの導入や維持に費用がかかるため、費用対効果を考える必要があります。
- 制度設計の難しさ:福利厚生選びの検討に時間と労力がかかります。
制度面の課題:
- 非課税の条件確認:福利厚生の非課税の利用にあたって、金額や利用方法などの条件を満たす必要があります。
- 規定の整備:福利厚生の導入にあたり、就業規則の変更等が発生する場合があります。
福利厚生を活用した「第3の賃上げ」を導入・運用するには、導入コストや税務処理の手間、従業員のニーズに合った制度設計などが課題となります。また、非課税となるための条件を確認したり、社内規定を整備したりする事前準備も欠かせません。
関連記事:チケットレストランにデメリットはある?導入前の不安を徹底解消
従業員側のデメリット
個々のニーズや感じ方により、以下のようなデメリットを感じる場合があります。
- 利用の制限:現金給与と異なり、福利厚生では使い道が限定されます。
- 利用しづらさ:提供される福利厚生がライフスタイルに合わず、十分に活用できない可能性があります。
- 実感の差:福利厚生の恩恵を感じる度合いは個人差があり、同じ制度でも満足度に差が生じる可能性があります。
- 不公平感:全従業員が平等に福利厚生を利用できる環境が整っていないと、不公平感が生じる可能性があります。
公平性が高く利用しやすいなど、自社にとって利用・運用しやすい、最適なサービスを模索することが望ましいでしょう。
広義の「第3の賃上げ(第3の給与・第3の賃金)」
「第3の賃上げ」は、エデンレッドジャパンの登録商標です。
一方で、「第3の〜」という表現は、新しいカテゴリーや選択肢、考え方を表すときに用いられる一般的な表現です。
そのため、ピアボーナス※など、従業員の実質的な手取りを増やす新たな取り組み全般を指して使われることもあります。
※従業員同士が互いの貢献を評価し合い、「感謝のメッセージ」とともに「金銭やポイント」などの報酬を送り合う仕組み
第3の賃上げとしての「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は「第3の賃上げ」となる代表的な食の福利厚生サービスです。
一定の条件下のもとで、企業が提供する食事補助は、月額最大3,500円(税別)までが非課税となります※。このような食事補助の非課税枠を「チケットレストラン」では利用できます。
「チケットレストラン」は、食事補助の福利厚生サービスとして、全国加盟店25万店舗以上(コンビニやファミレスを含む)で使用可能です。使用方法は簡単で、導入した企業の従業員は、専用のICカードでiDを使用したタッチ決済を介してサービスを利用できます。
なお、「チケットレストラン」の導入・運用にあたって、企業側の手間は基本的に月に1回のチャージのみです。人的リソースを割かないため、利用状況の把握や経費精算の効率化が図れます。
こうした多様な魅力が高く評価され、「チケットレストラン」は導入企業4000社以上・日々30万人が利用する人気サービスとなっています。
※2026年1月時点。2026年12月の閣議決定により、2026年度中に食事補助の非課税上限額が現行の3,500円から7,500円まで引き上げられる方針が示されました。
関連記事:食事補助非課税枠上限アップについて
関連記事:【2026年版】食事補助の非課税枠上限が7,500円に引き上げへ!企業に求められる対応は?
チケットレストランの具体的な手取り増加額をチェック
例えば、企業が従業員に月額3,500円分の「チケットレストラン」を提供した場合、一定の利用条件下において従業員は所得税の負担を増やすことなく、勤務中の食事や飲み物の購入にあてられます。
これにより、年間で42,000円※の実質的な手取り増が実現できるのです。一方、企業は提供した食事補助の負担額を福利厚生費として経費計上できるため、負担軽減効果が期待できます。
※非課税上限額が7,500円まで引き上げられた場合、年間最大90,000円(7,500円×12ヶ月)
関連記事:【税理士監修】チケットレストランで食事補助を非課税に!控除方法とメリット完全ガイド
第3の賃上げに関するよくある質問
第3の賃上げについて、人事担当者や経営者からよく寄せられる質問と回答をまとめます。導入を検討する際の参考にしてください。
Q:第3の賃上げは中小企業でも導入できますか?
A:はい、第3の賃上げは中小企業でも十分に導入可能です。むしろ、資金力に限りがあり大幅な賃上げが難しい中小企業にこそ、費用対効果の高い第3の賃上げは適していると言えます。
中小企業向けのメリットには、以下が挙げられます。
- 少額から始められる福利厚生サービスが多数
- 社内コミュニケーションの活性化に貢献
- 企業の規模に応じた柔軟な制度設計が可能
- 大企業と比較しても遜色ない福利厚生を提供可能
エデンレッドジャパンが実施した「賃上げ実態調査2025」(2024年12月、対象は経営者・人事担当者400名と一般従業員400名)によると、中小企業では「第3の賃上げ」導入後に約9割が「非常に満足/やや満足」という回答となりました。福利厚生サービス活用の実質賃上げに対して高い評価を得ています。
出典:エデンレッドジャパン|#第3の賃上げアクション『賃上げ実態調査2025』
Q:パートタイム労働者にも第3の賃上げは適用できますか?
A:パートタイム労働者にも「チケットレストラン」のような第3の賃上げとなる福利厚生を提供できます。
パート従業員の多くは、収入が一定額を超えると税金等の負担が急増するいわゆる「年収の壁」の問題を抱えています。第3の賃上げに該当する「チケットレストラン」では、一定の利用条件を満たせば課税対象額を増やさずに実質的な手取りを増やすことが可能です。そのため、年収の壁を超えずに、福利厚生による手取り増のメリットを享受できます。
参考:パート・アルバイト・契約社員 にも「第3の賃上げ」を!ラウンドテーブルを開催~“年収の壁”を抱える非正規雇用にも、福利厚生で実質手取りアップを実現~
関連記事:【社労士監修】バイトの食事補助とは?まかないとどう違う?支給の注意点を解説
第3の給与・賃上げで企業成長と従業員満足の両立を目指す
「第3の賃上げ」は、物価上昇や人材確保の困難さが増す現代において、企業と従業員の双方にメリットをもたらす福利厚生を活用した”賃上げ”です。従来の給与アップに加えて、福利厚生を活用することで、従業員の実質的な手取りを増やしたり、生産効率を高めたり、満足度向上を促したりすることができます。
物価上昇が続く現在、従業員の生活を支えつつ、企業の競争力も維持・向上させるために、福利厚生サービスを活用した「第3の賃上げ」という選択肢を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。「チケットレストラン」は、少ない金額からトライでき、企業側の導入しやすさ・継続しやすさも魅力です。新しい取り組みにより、組織全体の活性化が期待できます。
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