2025年、食事補助の非課税上限額を見直す方針が政府文書に明記され、実現に向けた動きが加速しています。本記事では、福利厚生としての食事補助の基本から現行制度の詳細、引き上げが求められる背景など、制度改正の現状を分かりやすく解説します。日本一の実績を持つ人気の食事補助サービスについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
そもそも「食事補助」とは
「食事補助」とひとくちに言ってみても、その定義は企業によってさまざまです。まずは、一般的な「食事補助」の定義について、国税庁の言説等を参考に解説します。
食事補助=給与とは異なる「福利厚生」の一種
「食事補助」は福利厚生の一種で、従業員の食事代を補助することを目的とし、企業が給与とは別に支給する報酬のことです。
呼称は組織によって異なり、「食事手当」や「昼食手当」等と呼ばれることもあります。
食事補助は、法的な義務のない「法定外福利厚生」のひとつであり、提供する・しないは企業の判断に委ねられています。
提供する場合は賃金扱いとなるため、基本的には課税対象ですが、一定の条件を満たすことにより税制の優遇措置を受けながらの支給が可能です。同時に、企業側は法人税の負担を抑えることができるため、従業員側・企業側双方にメリットの大きい仕組みです。
関連記事:食事手当の相場は?非課税での運用方法や導入メリットを解説!
食事補助の種類
食事補助の提供方法は多岐にわたります。主な提供方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 社員食堂:企業内に食堂を設置し、割安で食事を提供する
- 仕出し弁当:弁当の仕出しを行う業者から弁当を配送してもらう
- 設置型社食:社内に設けたカフェスペースなどに専用の冷蔵庫を設置し、軽食やドリンクを提供する
- チケットサービス:食事券などを提供し、提携飲食店での支払いの一部を企業が負担する
近年は、主にコスト面が課題となり、社員食堂を設ける企業は減少傾向です。一方、企業側の負担が軽く、従業員の自由度も高い食事補助として、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」をはじめとする「チケットサービス型」の食事補助の福利厚生サービスが認知度を高めています。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
非課税での運用条件
食事補助を非課税で提供するためには、一定の運用条件を満たす必要があります。
国税庁は、食事補助が給与として課税されない条件について、以下のように定めています。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
つまり現行制度では、企業が従業員へ提供できる食事補助の上限額は1カ月あたり3,500円です。仮に提供額が3,500円超えた場合、上限額との差額だけでなく、企業が提供した食事補助額のすべてが課税対象となります。
現物支給が原則。ICカード型も対象に
食事補助を福利厚生として非課税で運用するためには、「現物支給」であることが大前提です。
具体例を見てみましょう。
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例1:食事補助にあたる金額を給与に上乗せして支給した場合 例2:従業員がいったん飲食店へ代金を支払い、後日企業に請求する、いわゆる「立て替え払い」をした場合 例3:従業員が企業から支給された食事チケット(ICカードを含む)を利用し、飲食店での支払いをした場合 |
これらのケースで「現物支給」と認められるのは例3のみです。食事チケットは食事以外の用途で使用できないことから、「現物支給」と判断されます。
一方、例1と例2は、食事代に限定されない報酬にあたることから「現物支給」とは認められません。給与として扱われ、課税対象となります。
参考:国税庁|使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合
深夜勤務者には1日300円まで特例あり
食事補助は現物支給が原則です。給与をはじめ、現金での支給は原則福利厚生費として認められません。
ただし、深夜勤務者に対しては、別途特例が設けられています。
通常、深夜勤務者に食事の現物支給を行うのは困難です。そのため、1食あたり300円を上限とし、非課税での現金支給が認められています。
また、残業や宿日直時における食事の現物支給も全額課税対象外となり、福利厚生費として計上可能です。
関連記事:【税理士監修】食事補助は課税される?給与にしないための非課税限度額
ビジネスパーソンのランチ事情から見える「現行制度の限界」
現行制度では、1カ月あたり3,500円が食事補助非課税上限額です。しかし、近年の物価高騰や実質賃金の低下を受け、この金額が現実に即しているのかどうかが注目されるようになりました。ここでは、エデンレッドジャパンが行った調査をもとに、現行制度の限界について分析します。
参考:エデンレッドジャパン|ビジネスパーソンのランチ実態調査2025~コメ高騰でランチの主食危機⁉ 7割近くが“影響あり”と回答~
ランチ代は424円で高止まり。実際の支出は「節約傾向」
出典:エデンレッドジャパン|ビジネスパーソンのランチ実態調査2025~コメ高騰でランチの主食危機⁉ 7割近くが“影響あり”と回答~
エデンレッドジャパンが全国20~50代のビジネスパーソン男女(N=600)を対象に行った調査によると、2025年の平均ランチ代は424円でした。これは前年(2024年)と同じ金額で、飲食店やファストフードへのランチ代支出も昨年とほぼ同水準となっています。
一方で、「ここ1年で勤務日に使えるランチ代に変化があったか」の問いに対しては、約4割(34.8%)が「減った/やや減った」と回答しました。
ランチ代が上昇傾向にあるにもかかわらず、実際の支出が増えていない背景として、家計の悪化により使える金額そのものが減っている現状がうかがえます。
消費者物価指数の上昇
出典:エデンレッドジャパン|ビジネスパーソンのランチ実態調査2025~コメ高騰でランチの主食危機⁉ 7割近くが“影響あり”と回答~
総務省が2025年6月に公開した同年5月の消費者物価指数は、2020年の平均を100として111.4でした。前年同月比で3.7%の上昇です。
中でも「米類」は、価格高騰の影響を受けて上昇率が前年同月比で101.7%と過去最高を更新し、過去最高水準となっています。
エデンレッドジャパンの調査でも、コメの価格高騰がランチ代に与える影響を尋ねたところ、7割近く(64.7%)のビジネスパーソンが「非常にある/ややある」と回答し、食のコストが家計を直撃している実態が浮き彫りとなりました。
この現状において、食事補助の非課税上限額は、40年前の物価水準を前提とした3,500円のまま据え置かれています。物価水準が大きく変化する中、より実態に即した見直しが求められています。
4人に1人がランチを抜く。その半数が週2〜3回以上
出典:エデンレッドジャパン|ビジネスパーソンのランチ実態調査2025~コメ高騰でランチの主食危機⁉ 7割近くが“影響あり”と回答~
同調査では、24.3%のビジネスパーソンが「勤務日にランチを抜いたことがある」と回答しており、そのうち半数以上が週2〜3回以上という高頻度で欠食を繰り返していることが分かりました。
欠食が引き起こすのは、単なる空腹だけではありません。同調査では、昼食を抜くことにより「やる気・集中力の低下」「仕事のペースの低下」「判断力・思考力の鈍化」などの悪影響があることが明らかとなっています。
こうした影響は、ミスやパフォーマンスの低下、ひいては生産性の低下にもつながるため、企業にとっても見過ごせない課題です。
引き上げの根拠は?制度改正に向けた最新動向
昨今、食事補助の非課税上限額が引き上げられるのではとの声が多く聞かれるようになりました。ここでは、その背景と最新の動向について解説します。
2024年と2025年、2度の要望書提出
2024年6月、エデンレッドジャパンをはじめ、食事補助の福利厚生を提供する事業者、外食事業者などからなる534社が、食事補助制度の非課税上限額について「現行の非課税枠を月額3,500円から6,000円まで約70%の拡大を求める要望書」を政府に提出しました。
翌年の2025年5月には、賛同企業が1,139社にまで増加し、再度「現行の3,500円という非課税枠を、物価上昇を考慮した妥当な水準である6,000円以上(月額)にまで、約70%の引き上げを求める要望書」を議員へ提出。
このとき、自民党の小泉進次郎議員(物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直しPT座長[当時])からは、「食事補助の上限引き上げについては(自民党内の)提言の中にも明記をさせていただいたので、骨太の方針への反映、さらには予算(編成)と必ず実現に向けて取り組んでまいります」とのコメントも寄せられています。
参考:エデンレッドジャパン|飲食店・福利厚生企業 534社賛同のもと、食事補助の上限枠緩和に向け、要望書を自民党議員へ提出
:エデンレッドジャパン|食事補助の上限枠緩和に向け、自民党小泉進次郎議員、古川康議員らに要望書を提出
2025年6月、骨太方針に「見直し」明記
2025年6月13日に閣議決定された「骨太の方針2025」および「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、「食事補助の非課税限度額の速やかな見直し」が明記されました。
これは、単なる検討段階から、具体的な制度改正の準備段階に入ったことを示す重要な前進です。明文化されたことで、予算措置や制度設計に関する検討が今後本格化することが期待されます。
企業にとっては、現行制度の課題が公的に認識されたことで、制度活用への期待と準備の両面で行動が求められるタイミングに入ったといえるでしょう。
参考:内閣府|経済財政運営と改革の基本方針 2025 について
参考:内閣府|新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画|2025年改訂版(案)
海外の補助額と比較しても「6,000円」は妥当な水準
フランスやイタリアなどでは、すでに物価上昇を反映した補助制度が実施されています。
フランスでは、物価スライド制の導入により、2020年には5.55ユーロ(一食当たり。別途従業員負担)だった非課税上限額が、2025年には7.26ユーロまで引き上げられました。
これに対し、日本の3,500円という水準は、1984年以降40年以上にわたって据え置かれており、国際的に見ても低水準にとどまっています。こうした比較からも、6,000円という金額は現実的かつ妥当な見直し水準と考えられているのです。
非課税上限額の引き上げが企業にもたらすメリット
食事補助の非課税上限の引き上げは、従業員だけでなく、企業側にもさまざまなメリットをもたらします。ここでは、企業が享受できる具体的な利点を紹介します。
従業員満足度が向上する
食事補助は、企業が昼食代の一部を補助することにより、従業員の金銭的負担が軽減される施策です。日々の食事という、誰もが必要とする支出に直接アプローチできるため、従業員の安心感や満足度の向上に寄与します。
物価上昇が家計を圧迫する中、経済面での直接的な支援はエンゲージメントや職場への愛着にもつながりやすく、結果的に定着率や業務意欲の改善にも波及します。長期的には、企業としての業績アップにも貢献することが期待できる施策です。
「第3の賃上げ」として従業員をサポートできる
企業が給与を引き上げる場合、社会保険料や賞与への影響など、想定以上のコストが発生することがあります。その点、非課税枠を活用した食事補助は、企業の追加負担を最小限に抑えつつ、従業員の実質的な手取りアップを可能とします。
このような、実質的な手取りアップにつながる福利厚生や、家計の負担軽減につながる福利厚生を活用した賃上げを、エデンレッドジャパンは「第3の賃上げ」と定義しました。
ベースアップ、定期昇給に続く「第3の賃上げ」を通じ、物価高時代における従業員へのより強力なサポートが可能となります。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
優秀な人材の確保・定着が期待できる
求職者が企業選びをする際、福利厚生の充実度は重要な指標です。中でも、食事補助のような生活に直結する制度は「働きやすさ」の象徴となりやすく、採用・定着の強力な武器になります。
特に、売り手市場の中で各企業の待遇を比較検討している求職者や、出費が多くなりがちな子育て中の従業員に対するアピール度は高く、他社との差別化や離職率の低下も期待できます。
「チケットレストラン」で新卒採用者数が倍増した事例
鍼灸接骨院・整体院を展開する「株式会社ほねごり」では、従業員のリクエストによって2024年1月に「チケットレストラン」を導入しました。
導入後、「チケットレストラン」をはじめとする福利厚生の充実と独自の人事施策との相乗効果により、2025年の新卒採用者数が前年の2倍にまで増加したそうです。
▼「株式会社ほねごり」の詳細な導入事例はこちら
企業ブランディングができる
食事補助制度の導入は、社内だけでなく対外的にも企業イメージを高める要因になります。
「従業員を大切にする企業」というイメージは、採用活動や取引先との関係性にも良い影響を及ぼします。
また「ダイバーシティ」「ウェルビーイング」といった価値観への取り組みは、SDGsの「働きがいも経済成長も」「ジェンダー平等」「すべての人に健康と福祉を」などの目標とも合致するものです。
さらに近年、「ESG投資」と呼ばれる、「Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス)の要素を考慮して企業を選ぶ」という投資の動きが世界で広まっています。ESG投資の観点からも、福利厚生の戦略的な設計は効果的であり、企業ブランディングの強化につながる施策です。
参考:日本ユニセフ協会
関連記事:ESG経営とは?採用力強化と企業価値向上をかなえる新時代の経営戦略
「チケットレストラン」とは|3,000社以上が導入する食事補助の福利厚生
エデンレッドジャパンが運営する「チケットレストラン」は、従業員のランチ代を補助する食の福利厚生サービスです。導入した企業の従業員は、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できます。
加盟店のジャンルは幅広く、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど、利用する人の年代や嗜好を問いません。また、勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用する場所や時間に制限がないのも魅力です。
さらに、一定の条件を満たすことによって所得税の非課税枠を活用できるため、従業員の実質的な手取りアップにも貢献します。
従業員のエンゲージメントやモチベーションアップによる生産性の向上も期待できるとして、すでに3000社を超える企業に選ばれている福利厚生制度です。
「チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
食事補助拡大に備えた食の福利厚生戦略を
非課税上限の引き上げに向けた制度見直しが進む中、食事補助サービスの乗り換えや新規導入を検討する企業が増えています。
食事補助の福利厚生にはさまざまな形態がありますが、「チケットレストラン」のような自由度の高いサービスを選ぶことで、より効果的に従業員満足度の向上やパフォーマンスの向上をサポートできるでしょう。
食事補助拡大に備え、福利厚生戦略の見直しに踏み切ってはいかがでしょうか。
参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
:「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!
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エデンレッドジャパンブログ編集部
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