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【社労士監修】中小企業の退職金相場は?2025年最新データを紹介

【社労士監修】中小企業の退職金相場は?2025年最新データを紹介

2025.09.24

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
中小企業の経営者や人事担当者にとって、退職金制度の設計は重要な経営判断の一つです。「優秀な人材の流出を防ぎたい」「限られた予算の中で適正な水準を見極めたい」といった課題を抱えていることも多いのではないでしょうか。
本記事では、2025年9月時点で確認できる最新調査データを基に中小企業の退職金相場を詳しく解説します。近年の労働市場の変化に対応するために、大企業との比較、業種別の違い、勤続年数による変動などを確認しましょう。

中小企業の退職金相場を確認

中小企業の退職金相場を見ていきます。参考として大企業の退職金相場も説明します。

中小企業の退職金相場

中小企業における退職金の相場は、企業規模や業種によって大きく異なりますが、まず全体的な傾向を把握することが重要です。

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」モデル退職金によると、中小企業における自己都合・定年退職(会社都合退職)時の平均退職金額は以下の通りです。

  • 高校卒の定年時退職金相場:974万1,000円
  • 高専・短大卒定年時退職金相場:992万円
  • 大学卒の定年時退職金相場:1149万5,000円

勤続年数ごとの詳細をまとめます。

学歴 勤続年数 自己都合退職支給金額 会社都合退職支給金額
高校卒 10年 98万5,000円 126万4,000円
20年 288万1,000円 342万8,000円
30年 575万7,000円 657万円
定年 974万1,000円
高専・短大卒 10年 102万1,000円 152万8,000円
20年 303万5,000円 357万8,000円
30年 582万2,000円 663万5,000円
定年 992万円
大学卒 10年 112万5,000円 144万8,000円
20年 346万8,000円 408万1,000円
30年 750万7,000円 776万2,000円
定年 1149万5,000円

出典:東京都産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)モデル退職金

大企業の退職金相場

次に、大企業の退職金相場を紹介します。中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」を見ていきます。

    • 高卒の定年時退職金相場:2,019万9,000円

      大学卒の定年時退職金相場:2,139万6,000円

  勤続年数 会社都合退職支給金額
高卒 35年 1,319万8,000円
定年 2,019万9,000円
大学卒 35年 1,867万6,000円
定年 2,139万6,000円

中小企業と比較すると、定年時は2倍近い差(中小企業大学卒で1149万5,000円、大企業大学卒で2,139万6,000円)であることがわかります。

出典:中央労働委員会|令和5年賃金事情等総合調査〔調査結果の概要〕

中小企業の規模・勤続年数ごとの退職金相場

一口に中小企業といっても、従業員数の違いがあり、退職金支給額も規模ごとに違いがあります。自己都合と会社都合とそれぞれの退職金相場も見ていきましょう。

定年退職を含む会社都合退職における、企業規模ごとの退職金相場は下表の通りです。

会社都合退職支給金額:

学歴 勤続年数 100人から299人

退職金支給額

50人から99人
退職金支給額
10人から49人
退職金支給額
高校卒 10年 118万7,000円 117万7,000円 131万1,000円
20年 353万3,000円 320万6,000円 348万6,000円
30年 750万4,000円 618万1,000円 653万4,000円
定年 1,092万円 866万1,000円 992万3,000円
高専・短大卒 10年 127万5,000円 122万2,000円 168万4,000円
20年 395万5,000円 323万4,000円 361万9,000円
30年 829万3,000円 593万8,000円 656万2,000円
定年 1,163万5,000円 869万7,000円 1,003万5,000円
大学卒 10年 160万4,000円 132万8,000円 145万2,000円
20年 498万3,000円 356万9,000円 403万7,000円
30年 1,026万9,000円 661万9,000円 758万0,000円
定年 1,445万7,000円 1,096万7,000円 1,088万4,000円

下表にまとめた自己都合退職のケースでは、同じ規模・勤続年数であっても、会社都合退職時よりも金額が少ないことがわかります。

自己都合退職支給金額:

学歴 勤続年数 100人から299人
退職金支給額
50人から99人
退職金支給額
10人から49人
退職金支給額
高校卒 10年 87万8,000円 95万2,000円 102万円
20年 265万4,000円 271万7,000円 298万5,000円
30年 602万2,000円 541万7,000円 582万2,000円
定年 - - -
高専・短大卒 10年 93万円 96万1,000円 106万円
20年 319万1,000円 269万4,000円 311万7,000円
30年 685万7,000円 520万2,000円 581万3,000円
定年 - - -
大学卒 10年 112万円 107万円 114万5,000円
20年 386万7,000円 311万6,000円 348万2,000円
30年 1,233万円 582万9,000円 678万8,000円
定年 - - -

出典:産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)

中小企業規模別退職金の傾向

中小企業の企業規模ごとの退職金傾向は次の傾向を読み取れます。

      • 10~49人規模の企業:他の規模の企業と比較して、短期勤続の場合に退職金が高額になる傾向
      • 50~99人規模の企業:他の規模の企業と比較して、退職金の水準が低い傾向
      • 100〜299人規模の企業:長期勤続者や定年退職者に対しては、高い金額の退職金が支払われる傾向

その他の傾向として、大規模な企業ほど学歴による退職金の格差が明確である一方、小規模な企業では実力主義の傾向が強いです。また、退職理由(会社都合か自己都合か)による退職金の差も、大規模な企業ほど大きくなる傾向があります。

中小企業の業種別退職金相場

業種によって退職金水準に差があり、同じ中小企業でも2倍以上の差が生じることもあります。ここでは、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」より、学歴ごとの定年時退職金相場を業種ごとに紹介します。

業種別定年時の退職金支給額:

業種 高校卒 高専・短大卒 大学卒
建設業 991万4,000円 931万2,000円 929万6,000円
製造業 1,027万2,000円 1,040万5,000円 1,107万6,000円
情報通信業 - - -
運輸業、郵便業 866万1,000円 953万3,000円 938万3,000円
卸売業、小売業 880万7,000円 826万1,000円 1,239万円
金融業、保険業 1,497万円 1,521万1,000円 1,940万4,000円
不動産業、物品賃貸業 - - -
学術研究、専門・技術サービス業 - - -
宿泊業、飲食サービス業 - - -
生活関連サービス業、娯楽業 - - 1,054万4,000円
教育、学習支援業(学校教育を除く) - - -
医療、福祉 - - -
サービス業(他に分類されないもの) 1,213万2,000円 1,157万2,000円 969万1,000円

出典:東京都産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)

業種別退職金の特徴

最も平均退職金額が高いのは、「金融・保険業」です。大学卒で1,940万4,000円、高校卒で1,497万円と、他業種を大きく引き離しています。

業種によって学歴格差が大きく異なることも示されています。建設業や一部のサービス業では、大卒よりも高卒の方が退職金額が高いです。現場での実務経験や技能が重視される業種では、学歴よりも勤続年数や実績が退職金額に反映されている可能性があります。

データ未掲載の業種(情報通信業、不動産業、医療・福祉業等)は、今回の調査では十分なデータが集まらず、平均値の算出が難しいと考えられます。

中小企業の退職金額は減少傾向

近年、中小企業の退職金額は減少傾向です。下表に定年時退職金支給額の変遷をまとめています。

年度による定年時退職金支給額の変遷:

調査年 高校卒 高専・短大卒 大学卒
2012年 1,113万7,000円 1,136万3,000円 1,224万4,000円
2014年 1,219万1,000円 1,234万5,000円 1,383万9,000円
2016年 1,082万9,000円 1,030万5,000円 1,138万9,000円
2018年 1,126万8,000円 1,106万6,000円 1,203万4,000円
2020年 1,031万4,000円 1,026万円 1,118万9,000円
2022年 994万円 983万2,000円 1,091万8,000円
2024年 974万1,000円 992万円 1,149万5,000円

出典:東京都産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情|雇用・就業 統計・調査

上表からは、学歴を問わず退職金額が減少していることが明白です。大学卒以外では、2022年より1,000万円を下回り、10年間で約100万円以上もの金額減少が見られます。

中小企業における退職金制度の種類

退職金相場の背景には、企業がどのような制度を選択しているかも影響しています。中小企業で一般的な4つの制度について、整理します。

退職一時金制度

「退職一時金制度」は、企業が独自に積み立てを行い、退職時に一括支給する最も一般的な制度です。支給基準や金額は企業ごとに自由に定めることができるため制度設計の自由度が高く、企業の財務状況や方針に合わせて柔軟に運用できます。

資金の運用・管理は全て企業の責任となります。将来債務となるリスクがあるため、安定した資金力のある中小企業が導入しやすいです。

中小企業退職金共済制度(中退共)

「中小企業退職金共済制度(中退共)」は、国が運営する中小企業専用の退職金制度で、多くの中小企業が利用しています。中小企業では長期間独自に退職金を積み立てることへのハードルは高いです。そのような中小企業を支える役割をになっています。

掛金負担軽減措置があり、掛金は損金または必要経費として全額非課税です。運用や管理も簡単です。加入できる中小企業の条件を満たす必要があり、一般業種であれば従業員300人以下、または3億円以下の中小企業が加入できます。

出典:厚生労働省|一般の中小企業退職金共済制度のしくみ

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金(DB)は、企業が従業員に約束した給付額を支給する制度です。Defined Benefit Planと英語で表現します。

資産の運用は企業側が行うため、運用リスクを負い、管理にはコストがかかります。一方で、将来安定した給付額を支給できるため、従業員にとって資金計画を立てやすいのがメリットです。

外部機関に運用を委託する規約型と300人以上の加入者をもって基金を設立し実施する基金型の2つがあります。基金型は大規模企業向け、規約型は中小企業向けと言えるでしょう。

年金としての受け取りの他に、一時金としての受け取りが可能であることから退職金としての役割を持ちます。

出典:企業年金連合会|確定給付企業年金(DB)

企業型確定拠出年金(DC)

「企業型確定拠出年金(DC)」は、企業が掛金を拠出し、従業員が自ら運用を行う制度です。運用リスクを従業員が負い、ポータビリティ(離職・転職時の年金資産の持ち運び)もできます。一方で、運用成果が思わしくないケースも起こり得ることについては注意が必要です。

企業が導入する老後資産形成制度の一つとして位置づけられますが、「退職金の代わり」としても機能しています。

出典:厚生労働省|確定拠出年金制度の概要

退職金制度の導入率

退職金制度を人事戦略として活用するにあたり、現在の普及状況を把握しておきましょう。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、日本企業全体の約74.9%が退職金制度を導入しています。企業規模別でも見ていきましょう。

      • 1,000人以上:90.1%
      • 300~999人:88.8%
      • 100~299人:84.7%
      • 30~ 99人:70.1%

30〜99人と小規模企業でも7割が制度を導入しており、高い普及率と言えます。また、人事戦略としての退職金は魅力を高める上で必須としての位置付けになるでしょう。

出典:厚生労働省|令和5年就労条件総合調査概況 3 退職給付(一時金・年金)制度

人事戦略としての退職金制度活用法

退職金制度は人事戦略において2つの効果をもたらします。優秀な人材の採用競争力向上と、既存従業員の満足度向上による定着率改善です。

採用競争力向上

退職金制度は採用活動における差別化要素です。求職者にとって将来への安心感をもたらし、就職先選択の決定要因となります。特に長期的なキャリアを考える人材ほど、退職金制度の有無を重視します。

従業員満足度向上

退職金制度は従業員の長期勤務を促進し、組織への愛着を高める効果があります。勤続年数に応じて退職金額が増加する仕組みは、従業員のモチベーション維持と離職防止に直結します。

退職金制度と併せて検討したい従業員支援策

退職金は将来への安心を提供しますが、従業員が日々実感できる福利厚生も同様に重要です。現代の従業員は、日常生活の支援や福利厚生に高い関心があります。中小企業でも限られた予算の中で、効果的なサポートが可能です。

非課税を活用した食の福利厚生サービス「チケットレストラン」

福利厚生の中には、税制上の非課税枠を活用できるものがあり、住宅補助や食事補助などが該当します。これにより、従業員の実質的な手取りアップを図れます。企業にとっても、福利厚生費として経費計上が可能であり、導入しやすいです。

例えば、全国のコンビニやカフェチェーンなどで使える「チケットレストラン」は、食事補助の非課税枠を活用した食事補助の福利厚生サービスです。3,000社以上の企業で導入され、毎日20万人以上がランチを実質半額で利用しています。導入企業では、従業員満足度93%と高い満足感が得られています。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

食事補助の非課税枠とは

食事補助の非課税枠とは、従業員に支給する食事について以下の要件を両方満たすと給与として課税されないことです。

(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。

(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

食事補助を福利厚生として非課税で運用するためには、「現物支給」であることが前提となります。「チケットレストラン」は、食事の用途に限られる専用のICカードを介して食事補助を提供します。企業と従業員とが半額ずつ負担してチャージするため、「現物支給」の要件を満たすことが可能です。

月額3,500円の非課税枠を活用すれば、年間最大4万2,000円の手取りが増えます。退職金制度と異なり、従業員が毎日メリットを実感できるのが魅力です。

関連記事:【税理士監修】食事補助は課税される?給与にしないための非課税限度額

退職金制度の効果を高めるために

退職金制度は従業員の人生設計に深く関わる制度です。相場データを参考に従業員一人ひとりの将来に寄り添った制度設計に取り組みましょう。

退職金制度と併せて、日常的な福利厚生の充実も従業員満足度向上に効果的です。限られた予算でも工夫次第で、従業員の生活をサポートする制度を構築できます。これにより、従業員の将来への安心感も高まります。

食事補助の福利厚生サービスとして注目される「チケットレストラン」の導入も、ぜひ検討してみてください。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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